転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3283話

「アクセル……」

 

 ジャミルの呆れの視線が俺に向けられる。

 そんなジャミルの向こう側では、フリーデンの医者のテクスがカリスの診察をしていた。

 俺から知らされた情報の数々がカリスにとって予想外な程に重かったのだろう。

 その結果として、カリスは気絶してしまった。

 回復魔法を使えない以上、医者に容態を診せるしかない。

 そういうことで、ジャミルに連絡をしてテクスに来て貰ったのだ。

 

「そう言われてもな。ノモアがカリスに色々と隠し事をしてるのは分かってたけど、ここまで強いとは思っていなかったんだよ」

 

 カリスの知らなかった情報の諸々……それはノモアがカリスを自分の仲間やパートナーとして考えている訳ではなく、利用すべき道具であると考えていたのが大きい。

 ノモアにしてみれば、カリスをパトゥーリアの生体部品として使い、消耗して使い物にならなくなれば捨てていたのだろう。

 これが普通のニュータイプなら希少なので、迂闊に捨てるといった真似は出来ない。

 だが、カリスは天然のニュータイプではなく、人工ニュータイプだ。

 そうである以上、ノモアがその気になれば新たにニュータイプを作り出す事も可能となる。

 勿論、カリスの様子から考えてニュータイプを今日作ろうと思って明日にはもう出来ていた……といったような事ではないのだろう。

 恐らくは相応に時間が掛かるのは間違いない。

 また、今のところニュータイプがカリスだけというのを考えると、人工ニュータイプを作るのにはかなりのコストが必要なのかもしれない。

 人工ニュータイプについては色々と考えられるが、カリスの存在と、ノモアがエニルとの会話で口にしていた『最高傑作』という言葉を考えると、人工ニュータイプを作れるのは間違いない。

 もしかしたらカリスが知らないだけで、フォートセバーンでは人工ニュータイプが量産されている可能性も否定は出来なかった。

 

「ニュータイプが自然に生まれるような事はない、か」

 

 苦々しげな様子で呟くジャミル。

 ジャミルはカリスが否定した、自然に生まれたニュータイプだ。

 それだけに、カリスが口にした言葉に納得が出来ないのだろう。

 あるいはカリスにそのように言い聞かせたノモアが気にくわないのか。

 もしかしたら、ノモアは本当にそのように思っているのかもしれないな。

 

「ノモアは宇宙革命軍の残党らしいが、宇宙革命軍ではニュータイプは自然に生まれないという認識なのか? 俺が知ってる限りだと、宇宙革命軍はニュータイプ至上主義ってイメージだったんだが」

 

 俺は当然ながら、15年前の戦争には関わっていない。

 だが、実際にその戦争に関わった者とは結構接している。

 分かりやすいところでは、サン・アンジェロ市のメンテ親父がそのいい例だろう。

 他にも多くの者と接してきたが、そういう連中から聞いた話によると宇宙革命軍はニュータイプ至上主義という事になる。

 だが、そこにニュータイプは自然には生まれないと認識している者が出て来たとすれば、それは大きく話が違ってくるだろう。

 

「いや、違う。少なくても私が戦争で戦った宇宙革命軍のニュータイプは、人工のニュータイプではなく自然発生したニュータイプだったと思う」

 

 そう言うジャミルだったが、人工ニュータイプと天然のニュータイプの違いというのは、どうやって分かるのかといった疑問がある。

 あるいはニュータイプ同士で接していれば、それによって相手の違いが分かるのかもしれないが。

 ただ、カリスはティファとも会っていた筈で、それでも理解出来ていなかったとなると、やっぱりそこには色々とあるのは間違いないのだろう。

 

「それにしても、ニュータイプ同士のライバルか。……シャアとアムロを思い出すな」

「シャアとアムロ?」

 

 ジャミルは俺が何を言ってるのか理解出来ないといった様子でサングラス越しに視線を向けてくる。

 

「UC世界……クスコやマリオンがいた世界のニュータイプだ。連邦軍のエースとジオン軍……この世界では宇宙革命軍のエースだな。どっちも強力なニュータイプだ」

「私が言うのも何だが、確かにそれは私やランスロー・ダーウェルと似ている関係かもしれないな」

 

 ランスローか。

 それがある意味ではこちらのシャアな訳だ。

 ……うん? そうなると、ジャミルがこの世界のアムロな訳だ。

 それはそれで色々と面白い。

 もしアムロがジャミルと会ったら、どう思うんだろうな。

 シャアは……現在行方不明である以上、何とも言えないが。

 

「俺もそう思うよ。……とにかく、カリスの件はどうする?」

「それを私に聞くのか? 気絶させたアクセルがどうにかするべきだと思うのだが?」

「そう言われてもな、カリスの件は色々と思うところはあるが。……気が付いたら、ちょっと話してみる。最善なのは、カリスをこっちに引き込む事なんだろうが、そう簡単にはいかないだろうしな」

 

 元々ジャミルの目的は、ニュータイプを見つけて、そのニュータイプが虐げられていたりした場合は助けるというものだ。

 あるいはニュータイプがその能力を利用して悪い事をしてる場合は、それを止めるとか。

 そんなジャミルにとって最善なのは、やはりカリスを味方に引き込む事だろう。

 とはいえ、カリスもフォートセバーンの希望の星といった存在だ。

 それだけに、そう簡単にこちらに寝返るといったような事はないだろうが。

 

「起きたら話してみよう」

「……ちなみに、カリスを捕虜にしてからジャミルがカリスと話した事はあったのか?」

「ああ。少しだけだがな」

 

 ジャミルと話していたのなら、カリスもジャミルが元ニュータイプだと理解してもいいような気がするが。

 あるいは理解していても、それを言葉や態度に出していなかったのか。

 

「なら、任せる。……今のカリスはノモアに対する不信感を持ってる筈だ。実際、ノモアが隠していた件とかを考えると、そんな風に思うのは当然だろうが」

「アクセルには悪いが、私はその辺を突くような真似はしない。普通に話をしようと思っている」

 

 そう言ってくるジャミルは、真剣にそう思っているのは間違いない。

 ジャミルにとっては、正面から話してカリスの信頼を勝ち取りたいといったところか。

 そんなに悪い選択肢ではないのかもしれないな。

 ノモアに騙されていたのだから、理屈がどうこうといったような事よりも、正面から話して味方にした方がいいのは事実だ。

 問題なのは、ジャミルでカリスを無事に説得出来るかどうかだろうな。

 ジャミルはフリーデンのクルーには信頼されている。

 だが、ジャミルは行動で結果を示すといったタイプで、自分の口で相手を説得するような真似は決して得意ではないのだ。

 カリスがニュータイプ能力を使ってその気持ちを理解出来れば、あるいは……と思わないでもない。

 

「カリスの説得もいいけど、フォートセバーンに対する降伏勧告の文章はもう考えたのか?」

「そちらはまだ途中だ。だが、出来るだけ早く作りたいと思う。それに、降伏勧告の文章は、カリスから話を聞いてからでも……」

 

 そうジャミルが言っている最中、不意に周囲にヴィー、ヴィーという警報音が鳴る。

 

『現在、敵が接近中。フォートセバーンの部隊と思われます。MSは至急発進を』

 

 サラの声で響く通信。

 本来ならMSの発進とかはジャミルが命令をするのだろうが、そのジャミルはここにいる。

 そうである以上、実質的に副艦長のサラが指揮をする必要があるのだろう。

 

「フォートセバーンからか。正直なところ予想外だったな。まさか正面から来るとは。あるいは、正面から攻めてくるのが囮で、フリーデンに侵入してカリスを奪い返すといった真似を……なるほど。ジャミル。フリーデンをテンザン級の前に出してくれ」

「前に? いや、なるほど、普通に考えればテンザン級の方に捕虜がいると思うか」

 

 ジャミルの言葉に頷く。

 普通に考えた場合、MSを多く有し、さらにはフリーデンよりも巨大なテンザン級の方にカリスが捕らえられていると判断してもおかしくはない。

 あるいは、もしかしたら……と思う者もいるかもしれないが、そんな中でフリーデンがテンザン級の前に出るといったような事をした場合、どうなるか。

 フリーデンがカリスを捕らえているテンザン級を守るようにしか思えないだろう。

 もし攻めて来たのが囮で、こっそりとカリスを助け出そうとしているような相手の場合、まさかフリーデンとテンザン級の両方に侵入するといったような事はない筈だ。

 今の状況を思えば、やはりここはフリーデンを前に出した方がいい。

 

「それと万が一の為にも量産型Wをここの護衛に連れてくる。生身での戦いでは、この世界の人間は銃火器を持っていてもまず勝てない力を持ってるから、安心してくれ」

 

 何しろ素手でもガンドを使えるというのは大きい。

 勿論凛のようにガンドのマシンガンといったような真似は出来ないが、それでも相応の素早さでガンドを撃つ事は出来る。

 他にも生身での戦闘は……エヴァに鍛えられている者達程ではないにしろ、気や魔力を使った身体強化とかも使える。

 聞いた話によると、何とか呼吸を能力として組み込みたいらしいが、生憎とそちらは上手くいってないらしい。

 疑似記憶や疑似経験である程度はどうにかなるのかもしれないとは思うんだが。

 ただ、鬼滅世界においてはそれこそ長年の修行でようやく使えるようになるのが呼吸だしな。

 それに基本的に呼吸というのは日輪刀……日本刀があってこそのものだ。

 まぁ、中には鉄球を使う呼吸もあるが。

 ともあれ、呼吸は特徴的な技術ではあるものの、使いにくい技術なのは間違いない。

 魔力や気による身体強化を使えば、虚空瞬動とかで空中を蹴ったりといった真似も出来るし。

 

「すまない。期待させて貰う」

「ああ。じゃあ、俺は出撃する必要があるから、テンザン級に戻るよ」

 

 そう告げ、俺はその場から移動する。

 カリスがテンザン級にいるように見せるとなると、いっそテンザン級の甲板とかにベルティゴを置いておくというのもいいかもしれない。

 いや、こうして攻めて来たという事は、フォートセバーン側の戦力がこっちの存在をしっかり把握していると思って間違いない。

 だとすれば、この状況でわざとらしくテンザン級にベルティゴを出すといった真似をすれば、寧ろ怪しまれてしまうだろう。

 ……まぁ、そんな真似をしながらもフリーデンが前に出て敵と戦うのだから、もしこっちを怪しんでいてもどっちを把握した方がいいのか分からなくなるだろう。

 とはいえ、わざわざベルティゴを出す必要はないか。

 そんな風に思いながら、テンザン級に到着する。

 

「マリュー、量産型Wを数人カリスの護衛としてフリーデンに向かわせてくれ。フリーデンが前に出てカリスが乗ってるのを誤魔化すが、それでも万が一を考えると量産型Wを用意しておいた方がいい」

『量産型Wを? 分かったわ』

 

 マリューはすぐに返事をする。

 取りあえずこれでもしフリーデンにカリスがいると見抜いて侵入してきても、余程の事がない限りは大丈夫だろう。

 そうならないのが一番いいのは間違いないが。

 そんな風に考えつつ、格納庫に向かう。

 

「おう、アクセル。敵が来たって? この状況でフォートセバーンが攻めてくるってのは陽動だろう?」

「どうやらそうらしいな」

 

 格納庫に向かう途中で、ガイア、オルテガ、マッシュの3人と遭遇する。

 ガイアも大体の事情は予想出来ているのか、即座にそう言ってくる。

 オルテガは……微妙な表情だな。

 カリスとマリオンを会わせたのは、オルテガ的にはちょっと面白くなかったのか?

 あるいは、嫉妬という可能性もあるか。

 オルテガとマリオンは、ある意味でガロードとティファと似ている。

 オールドタイプとニュータイプという意味で。

 勿論、オルテガとマリオンは恋人同士で、肉体関係もある。

 そういう意味では、ガロードとティファの未来の姿といった感じなのかもしれないが

 それだけに、男のニュータイプのカリスとマリオンが会ったのには嫉妬をしてもおかしくはない。

 オルテガは元々単細胞……単純……いや、素直な性格をしているのだから。

 もしかしたら、ガロードとオルテガは相性がいいかもしれない。

 

「とにかく敵の行動が陽動であっても、まさかそれを放っておく訳にはいかないだろ。それに……敵のMSが入手出来れば、それはこっちにとって悪い話じゃないし」

「フォートセバーンのMSは、もう随分と入手しただろう? なのにまだ必要なのか?」

「あればあっただけ、こっちとしては嬉しいんだよ。修理する部品取りとか、データ取りとか……そういうのがなくなっても、最悪キブツに入れればいいし」

 

 そういう意味では、この世界のMS……に限らず、どんな物であってもシャドウミラーにとってゴミになるような物というのはない。

 これはシャドウミラーにとって非常に大きな利点の1つだ。

 それこそゴミでしかない物であっても、それをキブツで資源に変える事が出来るのだから。

 そんな風に考えつつ、格納庫を目指すのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1915
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1751

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