転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3284話

 テンザン級から出撃した俺は、敵の数を確認する。

 ヴァサーゴの映像モニタに表示されている敵の数は、全部で15。

 カリスが最初に襲ってきた時のMSは、ベルティゴを含めてジュラッグも全機確保した。

 確保出来ずに撃破した機体もあったし、フリーデン側……エアマスターやレオパルドが撃破した機体もあるので、それに関してはフリーデン側が持っていったが。

 とにかく撃破や鹵獲を含めて、カリスと一緒に襲ってきたMSは全てが撃破されたのだ。

 だというのに、まだ15機も残っていたのは……ちょっと驚きだった。

 しかもその15機全てジュラッグなのだから。

 ……いやまぁ、考えてみれば色々と納得出来る事は多い。

 フォートセバーンがこれだけジュラッグを持っているのは、それこそフォートセバーンの市長をしているノモアが宇宙革命軍のドーラットだったというのが大きいだろう。

 パトゥーリアを確保して、その上にフォートセバーンを作るだけの権力を持った人物だ。

 宇宙革命軍のMSであるジュラッグをあれだけ確保していても、不思議ではない。

 また、そんな中でこれだけのジュラッグを出してきたのは、やはりカリスを取り戻す為だろう。

 カリスだけではなく、パトゥーリアを取り戻すという目的も大きいのかもしれないが。

 ノモアにとって、パトゥーリアとカリスはセットで自分にとって必要な物……そう、道具として必要なのは間違いない。

 それだけに、フォートセバーンの防御を薄くしてでも、カリスとパトゥーリアを奪い返そうとしているのだろう。

 疑問なのは、カリスはともかくパトゥーリアはもし奪い返しても、それを本当にどうにか出来るのかという事だろう。

 この場所からどうやってフォートセバーンまで運ぼうとするのか。

 あるいはパトゥーリアの上にフォートセバーンを作ったように、パトゥーリアを中心にここにも街……あるいはそこまでいかずとも、研究施設を作ったりするのか。

 その辺りは分からない。

 分からないものの、向こうの目論見が達成されない以上、その辺を考える必要はないだろう。

 どうしても気になるなら、ノモアを捕らえた後で聞けばいい。

 そんな訳で、今の俺がやるのは……

 

「敵MSの撃破のみ、か。正確には確保だけど」

 

 その呟きが、向こうにとっては反応する理由となったのだろう。

 スノーボードに乗っていたジュラッグは、空にいるテンザン級のMS隊に向かってビームライフルを撃ってくる。

 なお、GXは出撃していない。

 カリスとの戦いで大破……いや中破か? 大破寄りの中破といったくらい、結構なダメージを受けている。

 そのおかげで、まだ修理が出来ていないらしい。

 一応フリーデンにも前回の戦いで確保したジュラッグがあるが、降伏した機体はなかった筈なので、何だかんだと被害は大きく、ジュラッグで出撃するような真似は出来ない。

 エアマスターは俺達と同じく空を飛んでおり……そんな中、レオパルドはジュラッグが使っていたスノーボードに乗っていた。

 レオパルドは本来なら足の裏にあるローラーで素早く移動出来るのだが、それはあくまでも普通の大地での話だ。

 雪が降っている状況では当然だがそのような真似は出来ず、今の状況で出来るのは雪の中を歩くだけだった。

 しかし、ジュラッグを鹵獲したり撃破したという事は、当然ながらスノーボードも確保出来ている。

 そのおかげで、レオパルドもスノーボードを使えるようになったらしい。

 とはいえ、ジュラッグ用に調整されているスノーボードだけに、レオパルドで使うには色々と設定したりする必要がある。

 その辺はキッド達が頑張ったのだろう。

 

「さて、獲物は15機。早い物勝ちだぞ」

 

 そう言い、地上に向かって降下していく。

 そんな俺のヴァサーゴに負けてたまるかと、他のオクト・エイプやエアマスターも降下していく。

 こっちが近付けば、当然ながら向こうもビームを連射してくるが……

 

「狙いが甘い」

 

 そう言いつつ、スラスターを使ってビームライフルの一撃を回避する。

 フォートセバーンのMS隊は、基本的にベルティゴを主力にしていた。

 ベルティゴあってのMS隊なのだが、そのベルティゴがいない。それも俺に負けて捕らえられている以上、どうしてもMS隊としての総合戦力は落ちてしまう。

 それでも士気が高いのは、単純に俺達からカリスを奪い返すのが目的だからだろう。

 自分達の希望の星を奪い返す為の行動……恐らく囮だろうが、それでも囮だからこそこっちにとってはやりやすいのも事実。

 雪上をスノーボードに乗りながら動きつつ、こちらにビームライフルを撃ってくるジュラッグ。

 だが……スノーボードで移動しているジュラッグと、空を飛ぶヴァサーゴでは当然ながら機動力ではこちらの方が上だ。

 敵のビームライフルの一撃を回避した瞬間にクロービーム砲を撃つ。

 放たれたその一撃は、ジュラッグの右足に命中し、次の瞬間にはバランスを崩して雪上に倒れ込み……そのままスノーボードに引きずられていく。

 スノーボードの方を破壊した方がいいな。

 個人的にはスノーボードも出来るだけ多く確保したいのだが……それによってジュラッグを確保出来なくなるのを思えば、どちらを優先させるのかは考えるまでもない。

 雪上との距離が近付いてきたところで、機体を反転させてスラスターを全開にする。

 コックピットにはかなりのGが掛かるが、混沌精霊の俺にしてみれば全く意味はない。

 そうして体勢を整えたところでこちらに近付いてくるジュラッグに向けてビームサーベルを振るう。

 斬、と。

 ジュラッグの両足が切断され、切断された部分から下を乗せたスノーボードがどこへともなく移動する。

 足を失って地面に落ちたジュラッグは、しかしそれでも戦意を喪失するような真似をせず、こちらにビーム砲の銃口を向け……次の瞬間、ビームサーベルによってコックピットを貫かれた。

 両足を切断された時点で戦意を喪失するかと思ったのだが、生憎とそういう事はなかったらしい。

 カリスを取り戻す為に、全身全霊を込めているのだろう。

 だが……この様子を見ると、潜入部隊がいると考えたのは、俺の気のせいか?

 もし潜入部隊がいるのなら、自分が死んでもいいといった気迫で攻撃をしてきたりはしないだろうし。

 だとすれば、ここはもっと別の理由があると……そう思った方がいいのか?

 だが、今のフォートセバーンの戦力でそこまで多くの選択肢があるとは思えない。

 

「っと」

 

 残っていたジュラッグのうちの2機がビームライフルを撃ってくるのを回避する。

 このX世界において、ガンダムというのは高性能MSの象徴だ。

 そんな中でヴァサーゴがいるのだから、敵にしてみれば出来るだけ早く撃破したいと思ってもおかしくはない。

 そういう意味では俺が狙われるのも納得出来るのだが……GXがいないとはいえ、レオパルドとエアマスターは戦場にいるんだから、そっちを狙ってもいいだろうに。

 映像モニタで一瞬だけ確認すると、レオパルドはスノーボードに乗りながら雪上を素早く移動しつつ、ビームガトリング砲やミサイルを発射しつつ敵を牽制しており、エアマスターは空を飛びながら地上に向けてビームライフルを撃っていた。

 そちらにもきちんと敵は攻撃をしているのを見ると、別に俺だけ狙われている訳じゃないのか。

 スラスターを全開にし、ビームライフルを撃ちながらこっちに向かって突っ込んでくる敵に向かい、突き進む。

 機体を小刻みに制御しつつ、ビームを回避していき……

 

「食らえ」

 

 その言葉と共に、ストライククローを放つ。

 外部装備の部分が手に覆い被さり、巨大な爪がジュラッグのコックピットを押し潰す。

 これで3機、いや、最初の1機はまだコックピットが無事なので、決定的に倒したのは2機か。

 仲間を殺されたのが許せなかったのだろう。

 俺に向かって攻撃をしていたジュラッグは、左手でビームライフルを撃ちつつ……ついでに肩のマシンキャノンも放ちつつ、こっちに向かって突っ込んでくる。

 そんなジュラッグに向けて、クロービーム砲を撃とうした瞬間、ジュラッグはスノーボードをどう操作したのか、極端なウィリー状態と表現すべきか……とにかく、スノーボードを盾にした。

 あるいは、あのスノーボードは最初から盾になるように設計されていたのかもしれない。

 だからこそ咄嗟にスノーボードを盾にする事も出来た。

 その判断の素早さは、称賛されるべきものだろう。

 カリスには及ばずとも、フォートセバーンのMS隊の中では腕の立つ奴だったのかもしれない。

 だが……甘い。

 そんな俺の予想通り、放たれたビームはシールドとしているスノーボードをあっさりと貫き、その背後にいるジュラッグの胴体も同時に貫く。

 これで3機。

 他の連中はと周囲に視線を向けると、そこではもう敵は残り少ない。

 エアマスターのビームライフルによって撃破されたり、レオパルドのミサイルによって破壊されたジュラッグもいるが、テンザン級のオクト・エイプ隊の前にジュラッグは圧倒的な敗北を味わっていた。

 何しろ見た限りでは、ジュラッグは俺が撃破したのも含めてその全てが撃破や降伏、あるいは損傷で動けなくなっているのに、オクト・エイプ隊の方では特に被害らしい被害は何もない。

 それこそマシンキャノンの弾丸が命中した痕跡すらないのだ。

 こうして見ると、まさに完勝といった感じだろう。

 その事に安堵しつつ、フリーデンに通信を送る。

 

「ジャミル、戦闘は終了したが……そっちに侵入者はいたか?」

『いや、特にそのような相手はいなかった』

「そうか。……マリュー、侵入者はいたか?」

 

 フリーデンに続いてテンザン級に連絡をしてみる。

 すると映像モニタに表示されたマリューは、苦笑を浮かべて口を開く。

 

『招待していないお客様が来たわ。量産型Wがしっかりとおもてなしをしてるから、安心してちょうだい』

「そうか、やっぱりこっちに来たか」

 

 MSの戦力では到底向こうに勝ち目はない。

 そうである以上、戦ってこっちを全滅させて……あるいは降伏させてカリスやパトゥーリアを奪い返すといった真似が出来るとは、向こうにも思ってなかったのだろう。

 だからこそMSによる攻撃は陽動で、精鋭を侵入させてカリスを助け出す。

 そういう風に考えたのは悪くなかったが、さすがにそのくらいの行動は読める。

 また、こっちの予想通りに前に出たフリーデンではなく、後方に位置するテンザン級に侵入してきたのも読み通りだった。

 敵にカリスがいれば、ニュータイプ能力でこっちの考えを読むといった真似も出来たのだろう。

 もしくはカリスがいなくても、他に人工ニュータイプがいればどうにかなったかもしれない。

 しかしカリスはこちらに捕らえられており、カリス以外の人工ニュータイプはいない。

 まぁ、それは予想出来ていた事だが。

 もしカリス以外の人工ニュータイプがいた場合、俺達がフォートセバーンに侵入した時にこっちの存在を感知していてもおかしくはない。

 ましてや、侵入した者の中にはUC世界のニュータイプであるクスコもいたのだから。

 UC世界とX世界のニュータイプは、言葉こそ同じだがその意味は微妙に違う。

 それでもニュータイプ同士の感応はあるらしいのが、ティファの存在ではっきりしている。

 カリス以外のニュータイプがフォートセバーンにいれば、当然クスコの存在を感知していてもおかしくはなかったのだ。

 

『それで、捕らえた人達はどうするの? 一応現在は武装解除して、他にも怪しげな物を持ってないかを調べてから牢屋に入れてあるけど』

 

 テンザン級は巨大なだけに、当然しっかりとした牢屋もある。

 いやまぁ、フリーデンにも牢屋はあるらしいが。

 陸上戦艦を使っている以上、大体は備えていてもおかしくはないだろう。

 

『降伏勧告の手紙を持っていって貰うというのはどうだ?』

「駄目だ」

 

 ジャミルの提案を即座に却下する。

 映像モニタに表示されているジャミルは、不満そうな様子を見せてはいないものの、サングラス越しでも説明を求める視線を向けているのが分かる。

 

「フォートセバーンの住民は、現在の状況を知らない。そうである以上、降伏勧告をしてきたと知っても、自分達にはカリスがいるから大丈夫だと思ってもおかしくない」

『ノモアだったか。向こうの市長が、カリスが卑怯な手段でこちらに捕らえられているといったように主張したらどうする? それこそ、カリスの存在がフォートセバーンの間で大きいのなら、これを機会にこちらに向かって全員で攻めてくる……といった事態になる可能性もあるだろう』

「その可能性もあるかもしれないな。だが……向こうにはもう何も打てる手段がないと、そうフォートセバーンの住人の前で示してやればどうだ? 向こうもどうしようもないと判断して、降伏するかもしれない」

『賭けだな』

「ああ。けど、そんなに勝率が低い訳ではないと思うぞ? 何しろ向こうは、カリスの件はともかく、パトゥーリアなんて巨大なMAをどうやって奪われたのかも分からないんだ。そうである以上、こっちに不気味さを感じてる筈だ」

『むぅ……』

 

 俺の言葉に、ジャミルはそう唸るのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1754

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