2日という時間は、あっという間にすぎる。
俺は特に何か急いでやるようなこともなく……フォートセバーンにあるベルティゴの予備部品を見たり、パトゥーリアの予備部品を受け取ったりといった具合に行動していた。
フォートセバーンが俺達に対して降伏したという件については、当初こそ不満に思っている者も多かったが、最終的にはノモアのせいという事で話を収めた。
ニュータイプがフリーデンにいて、人工ニュータイプの研究をしていたノモアは本物のニュータイプを欲して襲撃し、それによって俺達と戦いになった、という感じで。
……別にこれは丸っきりの嘘という訳ではない。
事実、ノモアが天然のニュータイプであるティファを欲して行動に出たのは事実なのだから。
ただ違うのは、カリスはノモアによって騙されてフリーデンを襲撃するといった流れになった事だろう。
新たにフォートセバーンの市長になるカリスにマイナスのイメージを付けない為の情報操作。
これについては、シーマ達が積極的にフォートセバーンの街中に出かけては、情報を流していた。
フォートセバーンの住人にしても、美人なシーマ達から聞いた話だけに情報が広がるのは早かった。
そしてカリスの人工ニュータイプの件は、このフォートセバーンを守りたいからこそ、何の力もなかったカリスはノモアから持ちかけられた人工ニュータイプになるという件を引き受けたという事になっている。
あくまでもフォートセバーンを守りたいが為に、自分の身を犠牲にして人工ニュータイプになった、と。
これもまたノモアの件と同じく完全に嘘ではない。
カリスが人工ニュータイプになったのは、あくまでもその力でフォートセバーンの住人を守るという目的の為だったのだから。
「では、これで失礼する。フォートセバーンについては任せるよ」
「はい。フォートセバーンは僕が必ず守ってみせます」
ノモアの言葉にカリスがそう答えつつ、握手を交わす。
フォートセバーンとの戦いの時、カリスはノモアがパトゥーリアに自分を生体部品として使おうとしているのを知り、ショックを受けていた。
カリスにしてみれば、裏切られたという思いがあっただろう。
そんな2人が、こうして握手を交わして別れるといったような事になるのは……当時を知ってる者にしてみれば予想外の光景だろう。
もしノモアがフォートセバーンに残るとなれば、こういう別れにはならなかったと思う。
ノモアが俺達の基地に来るという事になったのが、この場合は大きかったのだろう。
「アクセルさん、これからよろしくお願いします」
「基地に戻ったら、すぐにロッキー級を何隻かここに向かわせる。それまではポーラ・ベアーで頑張ってくれ」
「はい。ベルティゴもそう遠くないうちに出来ると思いますので、バルチャーが襲ってきても問題はないと思います」
ベルティゴがあれば、それだけで十分な戦力なのは間違いない。
その辺の盗賊のバルチャーが襲ってきても、対処するのは難しい話ではないだろう。
「ガロード、君とはもう少し話したかったのですが……」
「気にするな。ただ、もし次に戦う事があったら、俺が勝つからな!」
「ふふっ、そうですね。僕も次には負けませんよ。……ティファ、君とも色々とありましたが……」
ガロードと話をしていたカリスが、次にティファに視線を向ける。
何だか俺が知らないところでカリスとガロード、ティファの3人は色々とあったらしい。
ガロードはカリスに一方的にやられて落ち込んでいたと思うんだが。
それがいつの間にか完全に立ち直っており、こうして友好的な関係になっていたというのは、少し驚きだった。
「元気で」
いつものように右肩に炎獣のリスを乗せたティファが、笑みを浮かべてカリスにそう告げる。
その後もカリスが他の面々と話しているのを横目に、俺は量産型Wに声を掛ける。
「カリスにも言ったが、基地に戻ったらすぐにロッキー級を何隻か向かわせる。人員として足りないのなら、影のゲートを使って一気に連れてくるが……どうする?」
「いえ、問題ありません」
数人いた量産型Wのうちの1人が、俺の言葉にそう言ってくる。
他の量産型Wも何も言わないところをみると、特に反対という訳でもないのだろう。
「いいのか?」
「はい。ここに残る者達だけで、十分やっていけると思います」
そう告げる量産型Wの言葉に頷く。
量産型Wは自分達の力を正確に把握している。
過大評価も過小評価もしない。
そんな量産型Wが問題ないと判断したのなら、本当に問題はないのだろう。
……もっとも、予想外の事があった場合はどうなるか分からないが。
それこそシャギア達が再び襲ってくるとか。
普通に考えれば、人工ニュータイプについてのデータは奪っていったのだから、改めて用済みのフォートセバーンを襲撃するとは思えないが。
俺達がフォートセバーンに駐留を続ければ、シャギア達が襲ってくる可能性は否定出来なかったが。
何しろ、わざわざ俺達を追ってフォートセバーンまでやって来たのだ。
それだけ恨まれているという事だ。
あるいは、最初から人工ニュータイプのデータが目的だったのかもしれないが。
そうこうしているうちに話は終わり……そして、ノモアはテンザン級に乗ったまま、フリーデンと共にフォートセバーンから離れるのだった。
「休暇?」
『うむ。アルタネイティブ社の一件から、騒動続きだっただろう。特にフォートセバーンの件では、かなり忙しかった。ここで数日程度だが休暇をしたいと思ってな』
フォートセバーンから十分に離れた場所……以前パトゥーリアを調べる為に出した場所の近くでフリーデンのジャミルから通信があった。
その内容が休暇。
「うーん……そういうものか?」
個人的には、そこまで休暇が必要だとは思わない。
だが、それはあくまで俺だからこそ、あるいはテンザン級にいる面々だからこそなのかもしれないな。
『そうだ。特にウィッツとロアビィは今はフリーデンの専属MS乗りとして活動して貰っているが、元々はフリーのMS乗りだ。そうである以上、フリーデンにずっといるというのはちょっとな』
なるほど。ウィッツとロアビィのストレス発散の意味もあるのか。
ロアビィが自費で遊戯室を作っていたし、そこで楽しんでいるという話はそれなりに聞く。
しかし、それでもフリーデンの中であるのは間違いない。
たまにはフリーデンの事は忘れて、ぱーっとやりたい。
そんな風に思ってもおかしくはないか。
「分かった。そういう事なら、こっちも構わない。幸い……というのはどうかと思うが、テンザン級の改修やGXのデータの件もあるしな。ノモアを基地に送り届けたら、少し休暇を楽しむのも悪くない」
『そう言って貰えると助かるが……休暇とはいえ、そこまで長期間ではないぞ? 数日といったところだ』
ジャミルが言いたいのは、テンザン級の改修とかをしている時間がないと言いたいのだろう。
実際、普通ならテンザン級程の大きさの陸上戦艦を改修するには、相応の時間が必要となる。
1日2日……1週間2週間といった時間ではなく、それこそ数ヶ月単位の時間が。
工期を縮める為に改修作業を中途半端にするような真似をしたら、いざ使う時に爆発とかしかねない。
とはいえ……
「その辺は問題ない。シャドウミラーの力があれば、どうにかなる」
とはいえ、GXの量産はX世界にある基地で行う事になる以上、難しいと思う。
出来ても1機か2機といったところか?
機体の慣らしとかは、移動中に訓練出来るので気にする必要も多くないと思う。
ただ、多分この慣らしの作業は多少の時間が必要になると思う。
今まで使っていたオクト・エイプは宇宙革命軍系のMSなのに対し、GXは連邦軍系のMSなのだから。
そう考えると、休暇が終わった後は色々と忙しくなりそうだな。
『そうか。アクセルがそう言うのであれば、問題はないのだろう』
普通ならとてもではないが無理だと言う状況だろう。
しかし、シャドウミラーの実力を多少なりとも知っているだけに、シャドウミラーならもしかしたら? と思ってもおかしくはない。
「とはいえ、休暇が終わった後でどこに行くのかというのは、まだ決まってないんだろう? なら、俺達の基地でどう行動するのかを考えてもいいんじゃないか?」
『MSの売買をする必要があるから、ゆっくりとはしていられないな』
ポーラ・ベアーはそれなりにフォートセバーンに返却したものの、それでも全てを返した訳ではない。
それらを修理して売る、あるいは部品を売るといったことをする必要があるのだろう。
フリーデンはジャミルの考えでニュータイプの保護を目的として動いているものの、乗員にはきちんと給料を支払う必要がある。
特にウィッツやロアビィはフリーのMS乗りである以上、相応の金額を支払う必要があった。
「何なら、それらはこっちで購入してもいいが?」
『それは……いや、そこまでアクセル達に甘える訳にもいかないだろう』
俺の提案に少し心を動かされた様子のジャミル。
それでも今の状況で俺にそこまで頼るといった真似はしたくないのか、首を横に振る。
とはいえ、俺としてはこの世界の金は持っていてもそこまで意味がない。
基地に行けば、当然ながらMSを購入する為にやってきた者達との取引で入手した金もあるだろうし。
この世界の金は、使い道に困るというのが正直なところだ。
そうである以上、出来れば俺が持っているこの世界の金を使ってこの世界のMSとかを入手したおきたいんだが。
ただ、ジャミルも俺達と一緒に行動している以上、そこまで俺達に甘えられないという思いがあるのも理解は出来る。
それ以外にも、MSを売る相手はしっかりと選んでるようだし。
「分かった。ジャミルがそれでいいのなら構わない。……ベルティゴやパトゥーリアみたいに、ニュータイプ用の機体があったらこっちで購入するとだけ覚えておいてくれ」
『うむ』
そう言えば、ベルティゴやパトゥーリアも調査をしないといけないんだよな。
それが終わったら、UC世界に持っていくか。
ただ、そうなるとUC世界の技術が歪んでしまいそうなのがちょっとな。
人工ニュータイプのデータに関してなら、元々フラナガン機関からその手のデータを回収しているので流してもいいかもしれないが。
しかし、X世界のニュータイプとUC世界のニュータイプは名前は同じでも、その意味は微妙に違う。
そうである以上、ノモアから貰った人工ニュータイプのデータを使って人工ニュータイプを作るといったような事をした場合、それはニュータイプはニュータイプであっても、あくまでX世界のニュータイプでしかなく、UC世界のニュータイプとしては使い物にならない可能性がある。
とはいえ、X世界のニュータイプも相応の能力を持ってるのは間違いない。
UC世界ではニュータイプとは認められないかもしれないが、それでもニュータイプに近い能力を発揮してもおかしくはない。
とはいえ、セイラの性格を考えれば人工ニュータイプの研究は基本的に禁止されると思うが。
あるいは犯罪者に対しては実験を許可するか?
いや、でもな。それでも実験が成功した場合、犯罪者がニュータイプ能力を得る事になる。
もっともX世界の人工ニュータイプはシナップス・シンドロームという欠点がある。
元々ルナ・ジオンのアルテミスは、フラナガン機関の中でも人道的な研究をしていた者達が集められて作られた組織だ。
そう考えると、多分実験の類も……いや、この辺はセイラに聞くよりも前に、レモンに聞いてみた方がいいかもしれないな。
「じゃあ、フォートセバーンからも十分離れたし、そろそろ影のゲートで移動するか」
ノモアやカリス、あるいは政庁の中にはそれなりに俺が魔法を使うのを知ってる者がいるが、大半の者はそれについて知らない。
フォートセバーンが実質的にシャドウミラー傘下となったのなら、いずれその辺は公表した方がいいのかもしれないな。
とはいえ、フォートセバーンは雪国だ。
サン・アンジェロ市やセインズアイランドと比べると、どうしても訪れる者は少ないので、魔法とかについてはあまり広がらないかもしれないが。
バルチャーが心配だが、基地からロッキー級で物資を運ぶ事になると思うし。
ともあれ、今はまだフォートセバーンの住人の大半は魔法について知らない。
そうである以上、フォートセバーンの近くで影のゲートは使わない方がいいのは間違いなかった。
『いや、ウィッツとロアビィがそれぞれ行きたい場所はアクセル達の基地よりもサン・アンジェロ市からの方が近いらしい。転移をしても、出るのはサン・アンジェロ市にして貰えるか?』
「この世界だと魔法を使う際の魔力の消耗が激しいんだけどな。……まぁ、いいか」
確かに魔力の消耗はかなり激しいが、俺の魔力ならその辺は何とかなる。
それに時間が経過するに連れて魔力も回復していくしな。
そう判断し、俺は影のゲートを使うべく連絡をしたりと準備するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754