転生とらぶる   作:青竹(移住)

3602 / 4304
3465話

 格納庫の中でニーズヘッグに乗り込んだものの、すぐに何か動きがある訳でもない。

 

『アクセルはニュータイプ研究所がどう出ると思うの?』

 

 そうして暇をしていると、行われるのは通信だ。

 しかも1対1ではなく多くの者達と同時に通信を開いて。

 エニルのその質問に俺は少し考えてから口を開く。

 

「取りあえず即座に攻撃をしてくるという事はないと思う」

『でも、アベルの件もあるし、新連邦に協力してるんでしょう? なら……』

「それは分かってる。けど、ニュータイプ研究所にしてみれば、ウィル・ウィプスという、未知の存在に対して迂闊に攻撃をするような真似は避けたい筈だ。出来れば友好的に接して、ウィル・ウィプスの情報を欲すると思う」

 

 俺の偏見というか思い込みかもしれないが、ニュータイプ研究所のような場所で働いている者達というのは、基本的に好奇心が強い者が多い。

 そんな好奇心の強い者が異世界の技術で作られたオーラバトルシップを見たらどうなる?

 それ以外にも異世界の技術には興味があるだろうし、魔法とかそういうのにも興味を持つだろう。

 場合によっては、自分達が異世界に行けるかもしれないという期待を持ってもおかしくはない。

 その辺の諸々を考えると、即座に俺達に攻撃というのは少し考えにくい。

 そして何よりニュータイプ研究所の興味を惹くのは、X世界における最高のニュータイプ能力を持つと思われるティファ、15年前の戦争に参加し、精神崩壊を起こしたがそこから復活し、精神だけをシャドウミラーの技術で作った身体に宿したルチル、UC世界のニュータイプであるクスコとマリオン。

 これらに興味を示さない筈もない。

 幼児退行しているアベルも、ニュータイプ研究所にしてみれば、確保したいと思うだろう。

 そう考え、ふと気が付く。

 

「最悪の場合、ニュータイプ研究所は……もしくは新連邦の手を借りるかもしれないが、ティファとアベルが狙われるかもしれないな」

『ちょっ、アクセル! それ本当か!?』

『私も聞きたい。何故そう考えた?』

 

 通信は繋がったままだったんで、俺の呟きを聞いたガロードとジャミルが真剣な表情でそう言ってくる。

 ジャミルの場合はサングラスをしたままなので、真剣かどうかは分からないが。

 声を聞いた限り、真剣なのは間違いないだろうけど。

 

「何故も何も、向こうがどこまでこっちの情報について詳しいのかは分からないが、アベルの件はともかく、ティファについてそれなりに情報を集めている筈だ」

 

 ニュータイプ研究所が新連邦と手を組んでいるという事は、フロスト兄弟からの情報も流れていると考えて間違いない。

 俺がフロスト兄弟と最後に戦ったのは……どこだった? LシステムとビットMSを積んだ軍艦の海域だったか?

 ゾンダーエプタで俺がMSを奪ったのが理由か、結局遭遇する事はなかったし。

 とにかくフロスト兄弟はアルタネイティブ社の一件で既にティファについての情報を持っていた。

 そうである以上、その情報はニュータイプ研究所に伝わってると思って間違いないだろう。

 そしてティファがMS乗りでも戦闘の訓練を受けた者でもなく、ただの素人だという情報も。

 それでいてX世界では現時点で最高のニュータイプである以上、ニュータイプ研究所がティファを狙わないという選択肢は存在しない。

 そしてもしティファを欲するのなら、MSの戦いとかそういうのは抜きにして、歩兵をウィル・ウィプスに侵入させるという手段が手っ取り早いだろう。

 そんな真似をすれば間違いなく俺達と敵対する事になるが、新連邦と手を組んでいる以上は今更だし。

 問題なのは、陸上戦艦ならともかく空を飛んでいるウィル・ウィプスを相手にどうやって侵入するか。

 そしてカトックや量産型W、コバッタが多数存在する中でどうやってティファに接触するか。

 更には、最終関門としてティファを守っているリスの炎獣をどうにか出来るのか。

 ……シャドウミラーの実働班とかならどうにか出来るかもしれないが、X世界の一般人――気や魔力を使えないという意味で――には、とてもではないが無理だろう。

 その辺りについて説明し……

 

「そんな訳で、危険ではあると思うが、実際にはそこまで問題ないと思う」

 

 その説明にガロードとジャミルが安堵した様子を見せる。

 他にも何人か、安堵している者がいた。

 ニュータイプの面々は当然ながら、そんなにティファと接触する機会のない者達も安堵している。

 この辺は結局のところ、子供のティファがニュータイプ研究所に捕らえられることがないと聞いて安心してるのだろう。

 

『なら……』

 

 ガロードがそう言った瞬間、不意に格納庫にトニヤの声が響く。

 

『新連邦のMS部隊を確認! 数は20! MS隊、出撃してちょうだい!』

 

 焦った様子のトニヤ。

 何だかんだと20機ともなれば、大戦力だしな。

 

『……あ、それとアクセルは出撃しないで待機って事らしいわ』

「は?」

 

 追加の言葉に、俺の口からはそんな声が漏れる。

 格納庫に搭載されたカタパルトに向かうMS隊を見ながら、ブリッジに通信を入れる。

 

「ブリッジ、アクセルだ。それでなんで俺は待機なんだ?」

『ニュータイプ研究所にニーズヘッグの情報を渡さない為よ』

 

 トニヤではなく、マリューの顔が映像モニタに映し出され、そう言ってくる。

 

「どういう意味だ?」

『中央アジアに入ってからそんなに経ってないのに、結構な規模の新連邦軍が出撃してきたのよ? 場所を考えれば、ニュータイプ研究所が絡んでるのは間違いないわ』

「だろうな」

 

 それは俺にも納得出来るので、特に反対する様子もなく頷く。

 するとマリューは、笑みを浮かべて言葉を続ける。

 

『つまり、ニュータイプ研究所も今回の襲撃で情報収集はするつもりよ。……そもそも、ウィル・ウィプスの性能を調べる為に出撃してきたのかもしれないし』

「つまり、向こうはウィル・ウィプスの情報収集の為にやって来たのだから、ニーズヘッグの情報をわざわざ渡す必要はないという事か?」

『そうなるわね。勿論、こっちが危なくなったら出撃してもいいけど……うちは精鋭揃いよ? 新連邦のMS隊を相手に、アクセルが出る必要があると思う?』

 

 確信と共にそう言うマリュー。

 実際、マリューのその言葉を考えると、俺も反論は出来ない。

 もしここで俺の出番があると言ってしまえば、それは味方を信じていないという事になってしまうのだから。

 そして俺の正直な感想を言えば、こちらのMS隊が新連邦のMS隊に負けるとは思えない。

 俺達の部隊はそれだけ精鋭が揃っている。

 

「こっちの情報を渡さないのなら、メギロートやコバッタも出撃させないのか?」

『そうなるわね。問題はないでしょう?』

「……全機、ガンダムだしな」

 

 俺の機体がヴァサーゴからニーズヘッグになったという事で、全機がガンダムという訳ではなくなったのだが。

 ちなみに俺が乗っているヴァサーゴは、誰も乗らない事になった。

 黒い三連星は当然ながら。

 他の面々も、ヴァサーゴのような扱いにくそうなMSよりも汎用機として高い性能を持つ高機動型GXの方が使いやすいらしい。

 まぁ、ヴァサーゴは俺向けに設定もかなりピーキーになってるしな。

 それを他の面々に最適化するとなると、それこそ1から設定を弄る必要がある。

 それに……ヴァサーゴが使いにくい機体だというのは間違いない。

 メガソニック砲という、極めて強力な武器を装備しているのは間違いない。

 だが、その下の威力となるとクロービーム砲となる。

 そしてこのクロービーム砲は、ビームの発射を数秒間維持出来るという特色は持っているものの、威力という点ではビームライフルに及ばない。

 つまり1か0か……とまではいかないが、ある意味でそれに似たような武器の構成になってる訳だ。

 そしてメガソニック砲を使うにも、ストライククローによって地面に機体を固定する必要がある。

 そういう点でも、使いにくい機体なのは間違いない。

 使いこなせば十分に強いのだが、それは高機動型GXだって同じだ。

 ディバイダーやビームライフルという強力な武器があるし、機体も汎用性が高いのだから。

 

『そうね。だからこそ今回新連邦やニュータイプ研究所に見せる手札はウィル・ウィプスだけで十分なのよ。ニーズヘッグは奥の手として残しておく方がいいわ』

「マリューがそう言うのなら、俺はそれで構わない」

 

 もしこれで敵に強力なエース級がいたりするのなら、俺も出撃するだろう。

 だが、俺が出なくても問題なく敵を倒せるのなら、わざわざ俺が出る必要もない。

 俺もどうしても敵を倒したい訳じゃないし。

 PPは現時点でも十分にあるので、わざわざ貯める必要がない。

 レベルは……以前上がったのはいつだったか。

 もっとも、俺のレベルはそう簡単に上がらないようになっている。

 その上で実際に経験値が入るのは俺が敵を直接殺した時だ。

 生け捕りとかだと経験値は入らないんだよな。

 その辺は今までの経験から判明している。

 

『ありがとう。……ニーズヘッグで暴れる時は、そう遠くないうちにあると思うわ』

「いや、別に俺はどうしても暴れたいって訳じゃないんだけどな。取りあえず話は分かった。……一応、本当に一応だが、出撃した連中がピンチになったら俺が出撃するけど、それは構わないんだよな?」

『ええ、それは構わないわ。けど……多分そういう事にはならないと思うわよ?』

 

 ならないと思うと口にはしているものの、そこには絶対にそうならないという思いがある。

 まぁ、俺もその辺については賛成なんだけどな。

 

「あくまでも万が一だよ。そういうのがなければ、俺も出撃しないから安心してくれ」

『そう? 分かったわ。じゃあ、こっちもウィル・ウィプスの運用があるから、通信は切るわね』

 

 そう言い、通信が切れる。

 そうか。ウィル・ウィプスの運用をするという意味でそれなりに動かしてはいたが、それでも俺達はMSに乗っての戦いだった。

 だが、ブリッジクルーにしてみれば、ウィル・ウィプスを直接使って戦闘を行うのはこれが始めてという事になるのか。

 一応、盗賊のバルチャーとの戦闘でもウィル・ウィプスは使っているが、その時は基本的にMSだけで何とかなったしな。

 新連邦からMSを渡されていたとはいえ、結局は盗賊のバルチャーだ。

 援助されたMSもドートレスとか、そういうのだしな。

 勿論、普通の村とかを襲うだけなら、ドートレスだけでも問題はないんだろうが。

 何しろMSを相手に生身で戦うのは……出来ない訳でもないが、死ぬ可能性が高い。

 普通の村人にそれをやれというのは少し難しいだろう。

 あ、でもこのX世界だと街が盗賊のバルチャーに襲われた時にその辺のどこにでもいるような主婦……というか、お袋さんとでも表現すべき女がロケットランチャーを使ってMSに攻撃をしているのを見た事があったな。

 何だかんだと、このX世界の住人はタフでないと生きていけないという事なんだろう。

 映像モニタを使い、ウィル・ウィプスの外部カメラの映像を見る。

 この辺も技術班によって使いやすくする為に改修された場所だ。

 

「やっぱりな」

 

 映像モニタに表示されたのは、新連邦のMS部隊を蹂躙する仲間達の姿だった。

 それだけではなく、ウィル・ウィプスの対空砲に命中して撃破されている敵MSもいる。

 こうして見る限り、新連邦のMS部隊の能力は決して高くないな。

 寧ろかなり低い。

 だが、そこに疑問も抱く。

 ニュータイプ研究所というのは、新連邦にとって重要な場所の筈だ。

 だとすれば、万が一の為に精鋭を置いておく必要があるのは間違いない。

 なのに、何故このような状況になっている?

 あるいは俺が思ったよりも新連邦はニュータイプ研究所を重視してないのか。

 いや、それはないな。

 宇宙革命軍のようにニュータイプ至上主義といったようには思っていないが、兵器としてのニュータイプには強い興味を持っている筈だ。

 人口の99%が減った今だからこそ、敵との戦いにおいて一騎当千の活躍を出来るニュータイプというのは、非常に大きな意味を持つ。

 そんなニュータイプを研究しているニュータイプ研究所の戦力が弱いというのは、正直なところ理解出来ない。

 理解出来ないが、実際にこれだけしか戦力がないのも、また事実。

 この辺の矛盾は……もしかして、ノモアから奪った人工ニュータイプのデータか?

 見つけるのが非常に難しい天然のニュータイプに比べ、人工ニュータイプは人の手で増やせる。

 シナップス・シンドロームという弱点もあるが、これは前もって分かっていればある程度対処する事が可能らしいし。

 これが宇宙革命軍なら、ニュータイプ至上主義である以上、いわば養殖のニュータイプとも呼ぶべき人工ニュータイプは許容出来ないのだろうが、新連邦の場合はニュータイプ能力が使えればそれでいいのだ。

 そう考えると、もしかしたら……と思わないでもなかった。

 ちなみにニュータイプ至上主義の宇宙革命軍に所属していたノモアが人工ニュータイプの研究をしていた事は若干の矛盾があるように思えるが、取りあえず置いておくとする。

 そんな風に考えている間に、外での戦闘は終わるのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:2105
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1788

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。