「疲れたー……アクセル君、少しは労ってくれない?」
「円の言う通りだけど、アクセル君とイチャつくのなら私が先だからね」
ホワイトスターにある家に戻ってきた円と美砂は、双方共に瀕死の重傷……というのは少し大袈裟だったが、そんな言葉が相応しいと思える程に疲れ切っていた。
魔法球の中で艦長としてやっていく為の勉強を始めてから、2日。
それでも疲労の極致といった表現が相応しい状況となっていたのだ。
……いやまぁ、無理もない。
普通艦長になるのは、軍人としての勉強とか、士官学校を出るとか、そういう風にしないといけない。
だが、円と美砂は当然ながらそのような場所は出ていない。
そんな訳で、現在魔法球の中ではその辺の詰め込み作業を突貫でやっている訳だ。
もっとも、士官学校の勉強を1からやるとなるとさすがに時間が足りないので、あくまでも艦長として行動する為に必要なものに限っての勉強だったが。
ただ、そんな士官学校の勉強をする上で、円と美砂にとっては非常に楽なところもある。
具体的には、体力とかの身体を動かす方面。
普通なら士官学校であっても、相応の体力は必要となる。
それこそ軍人として最低限の体力を必要とする為に各種トレーニングをやったりするのだが、そちらに関しては円と美砂はスキップ出来る。
何しろ円も美砂も、生身での戦闘という点ではシャドウミラーの中でさえ上位に位置するだけの実力の持ち主なのだから。
寧ろ他の世界の軍人で円や美砂よりも生身で体力があったり、戦闘技術が上の奴が一体どれだけいるのやら。
そんな訳で、士官学校の勉強をしているが、それもかなり短縮されている。
……なお、士官学校と一口に言っても色々な世界がある以上、どの世界の士官学校が相応しいのかは、正直なところ俺も分からない。
そんな訳で、円や美砂が勉強している勉強の内容も、色々な世界の士官学校のカリキュラムを分析し、最大効率を求めた授業となる。
そのへんはレモン、コーネリア、マリューを始めとして、他にも何人か協力したらしい。
ちなみに士官学校という事なら実は俺も普通に士官学校を出てたりするんだが。
「ねー、アクセル君。こんなに頑張ってるんだから少しくらいゆっくりしてもいいんでしょ?」
俺に抱きついてきてそう言う美砂の髪を撫でながら、口を開く。
「そうだな。取りあえず明日まではゆっくりとするといい。北米連邦の方ではもう少し時間が掛かるらしいし、新連邦の方もそれは同様だ。そういう意味では、こっちも今は少しなら余裕があると思うし」
「少し余裕って……X世界の件が片付いたら、絶対にゆっくりしてやるんだから」
恨めしそうな様子の美砂。
美砂の性格を考えれば、そういう風に言うのも理解出来る。
「そうだな。X世界の件が終わったらゆっくりするのもいいと思うぞ」
「……本当に?」
何故か確認するように聞いてくる美砂。
何だ? 何か企んでいるように見えるのは、きっと俺の気のせいではないと思う。
「ああ、艦長の件で無理をさせているのは分かってるしな」
「なら……そう。例えば温泉に行くとか」
「温泉? まぁ、美砂が行きたいのなら、それは別にいいけど」
ホワイトスターと繋がっている世界は日本と繋がっている場所も多い。
そして日本は火山大国で、温泉の有名所も多い。
「エヴァ辺りに聞けば、色々といい場所を紹介してくれると思うぞ」
日本文化を好むエヴァだ。
自分のお勧めの温泉とかは、聞けば喜んで教えてくれるだろう。
だが、何故か美砂は不満そうな様子を見せて、俺の腹を抓ってくる。
「痛っ、ちょ、おい美砂? 円、美砂を何とかしてくれないか?」
「えー……今のは美砂じゃなくて、アクセル君が悪いと思うわよ? えいっ」
「って、こっちもか!」
何故か美砂に続いて円までもが俺を抓ってくる。
それに不満を言うが、2人の行動は止まらない。
止まらないのだが……
「ほら、2人とも。その辺にしておきなさい。アクセルにそう遠回しに言っても分からないから」
レモンのその言葉で、何故かあっさりと抓るのを止める。
レモンの言う事はしっかりと聞くんだな。
そう思ったが、ここで俺がそんな風に言おうものなら、また抓られたりしそうなので止めておく。
混沌精霊としての力を使えばいいのかもしれないが、そうすればそうなったら、それこそ魔力を込めて抓ってきそうだし。
「それで、艦長としての勉強はどんな具合なのだ?」
じゃれ合い……イチャつき? それが一通り終わったところで、コーネリアが円と美砂に尋ねる。
円と美砂を艦長にするというのは、俺とコーネリアの相談で決めた事だ。
それだけに、コーネリアにしてみれば2人の勉強の進み具合がどのようなものなのか気になるのだろう。
そんなコーネリアの様子に、スレイが何かを言いたげにしてるけど……何だ?
もしかして、スレイも実は艦長をやってみたかったとか? いや、違うな。
スレイならそういう風には思わないと思う。
そうなると……まぁ、スレイは天才肌の上に努力を惜しまないタイプだ。
円や美砂に色々と思うところがあるのかもしれないな。
「うーん、勉強してる方としてはどのくらいなのか、微妙に分からないわね」
「あ、でもナタルは感心した様子を見せてたわよ。じゃあ、多分それなりに上手くいってるんじゃないの?」
ナタルが褒めるというのは、確かに相応に凄いと思う。
ナタルが教える授業となると、間違いなく厳しい。
そんな中でナタルが褒めるというのは、実は円と美砂はかなりいい具合に勉強を進めている証なんじゃないか?
「ナタルが褒めるのなら、上手くいってるのは間違いないか。……それならもう少し頑張れば艦長としてやっていけるようになるんじゃないか?」
「ちょっと、本気でそれを言ってるの? 今の状況でもかなり頑張ってるのよ? なのに、これ以上もっと頑張れって言うの?」
あ、これは失敗したか?
頑張ってる奴に頑張れと、勉強をしてる奴にもっと勉強をしろと言ってるような今の言動は、美砂が不満に思ってもおかしくはない。
勿論、全員がそういう言い方を不満に思う訳ではない。
中にはそのように言われた事でより奮起するといった奴もいる。
けど、円や美砂はそのタイプではないという事だろう。
「ほら、X世界の件が終わったら温泉に行くんだろ? なら、もう少し頑張ってもいいんじゃないか?」
「……言っておくけど、温泉に行く時はアクセル君も一緒だからね」
「俺も? いやまぁ、美砂達がいいのなら構わないけど」
「アクセル君との旅行が嫌な訳じゃないじゃない。……ねぇ、円?」
「そうね。私もそれは否定しないわ。あ、ちなみに温泉は出来れば近くに美味しい牛丼屋があるところがいいわね」
円、相変わらず牛丼好きなんだな。
ただ、円の牛丼好きは普通とはちょっと違う。
例えば、シャドウミラーが誇る料理人の四葉。
その四葉が作る牛丼は、しっかりとした肉を使っており、ファーストフードというよりはきちんとした料理と呼ぶに相応しい。
だが、円はそんな四葉の牛丼よりも、ファーストフードの牛丼を好むのだ。
勿論、四葉の作った牛丼が嫌いという訳ではない。
それはそれで十分に美味いと思っているし、実際に満足そうな様子を見せているのを何度か見ている。
しかし……それでも、円が求めている牛丼と四葉が作る牛丼は違ってしまう。
そんな牛丼通の円にしてみれば、すき焼き丼は牛丼のライバルという扱いになるらしい。
牛丼とすき焼き丼……まぁ、似てるか。
牛丼は牛肉とタマネギ。
それに対してすき焼き丼は牛肉に豆腐、長ネギ、椎茸、しらたき、春菊、白菜等々。
具としては、明らかに牛丼よりもすき焼き丼の方が多い。
もっとも、長ネギというだけなら牛丼も上から長ネギのみじん切りを掛けたりといった真似をするし、溶き卵を上から掛けたりもする。
そういう意味では、牛丼も工夫次第ではかなり美味くなる。
……もっとも、どの世界で見たのかは忘れたが、牛丼の上に山盛りの紅ショウガを掛けるのはちょっとどうかと思うが。
いや、それなりに流行っていたのを思えば、実は美味いのかもしれないが、以前円と一緒にとあるチェーン店で牛丼を食べた時に試してみたら、口に合わなかったんだよな。
円もそれは邪道だと言ってたし。
「円がお勧めの牛丼屋となると、四葉とかが作るような牛丼じゃなくて、チェーン店だよな?」
「そうよ。決まってるじゃない」
一瞬の躊躇もなく、そう告げる円。
円にしてみれば、牛丼というのは高級料理ではなく、チェーン店で食べるものなのだろう。
ちなみにすき焼き丼よりも牛丼を好む円だが、すき焼きそのものは普通に好きだったりする。
すき焼きとすき焼き丼は、円にとって明確に違うものなのだろう。
実際、その意見には別に反対する訳でもないが。
「温泉宿と牛丼については分かった。だから艦長として頑張ってくれ。円と美砂が艦長になってくれれば、俺も嬉しいし」
「……最悪、艦長が生身で敵艦に突っ込んで制圧とか、そういう事になるかもしれないわね」
円の言葉に突っ込みたくなったが、我慢する。
実際、円のその言葉は決して間違ってはいない。
というか、地球でなら普通にそういう真似も出来るだろう。
何しろ虚空瞬動とか普通に使えるし、魔法を使ったりも出来るし、円の場合は俺との仮契約で使えるようになった純炎の涙というアーティファクトもある。
ブリッジから飛び出して敵の陸上戦艦に突っ込み、ネギま世界で拳闘士として活躍していたその実力を発揮すれば、1人で陸上戦艦の中にいる敵を殲滅するのも難しくはない。
難しくはないのだが……出来れば、そういうのは止めて欲しいと思う。
「そういうのはいざという時だけにしてくれ。もしくは小規模の戦いとかな」
小規模な戦いなら、艦長の円がブリッジからいなくなっても量産型Wがいれば何とか対処は出来るだろう。
というか、そういう場合は量産型Wが艦長代理をやりそうだな。
「アクセル君がそう言うのなら、出来るだけ止めておくわ」
実際に口に出しはしたものの、円も本気でそのような事を言った訳ではなかったのだろう。
単純に俺をからかおうと思っただけか?
それならそれで別に構わないが。
「アクセル、そろそろ食事の準備が出来る頃だぞ」
「ん? ああ、悪い。この匂いは……今日はカレーだな」
「そうよ。私が頼んだの。やっぱりカレーはチキンカレーの辛口よね」
そう言って俺とコーネリアの会話に割り込んで来たのは、シェリル。
嬉しそうな様子でそう言うが……
「カレーといったらビーフカレーでしょ」
「えー……私は普通にポークカレーがいいんだけど」
円と美砂がそれぞれに自分の好みを主張し始めた。
カレーは色々な種類があるから、それぞれで好みが違うんだよな。
シーフードカレーやキーマカレー、スープカレー等々。
具材にしても、一般的なカレーのようにジャガイモが入っているのは嫌だと主張する者もいれば、カボチャが入っていると美味いと主張する者。
カレーの辛さも辛口、中辛、甘口とある。
それ以外にも、カレーのトッピングはゆで卵派や生卵派、ソースを掛ける派。
カツやコロッケ、エビフライ、ハンバーグ諸々。
それ以外にも、カレーと一緒に何を食べるのかで、ご飯、パン、ナン、サフランライス。
ご飯も固め、普通、柔らかめ。
……本当にそれぞれ好みが違いすぎる。
ちなみに俺は肉は豚でも鶏でも牛肉でも……それこそシーフードやキーマも好きだ。
ただ、スープカレーはあまり食べ慣れていないせいかちょっと微妙。
あ、でもスープカレーに茹でた中華麺を入れてカレーラーメンとして食べるのは好みだったりする。
「だから、ドライカレーにはキーマカレー風と炒飯風の2種類があるけど、どっちもドライカレーなんだってば!」
綾子が叫ぶ声が聞こえてくる。
その言葉に、以前四葉に聞かされた話を思い出す。
「そう言えば、綾子が言うようにドライカレーって2種類あるらしいな。炒飯とキーマカレーとの違いが分からないけど」
「あ、そう言えばどこかのスーパーでドライカレーの素ってのが炒飯の素とかが売ってるコーナーで見た事があるかも」
凛が思い出すようにしてそう言うと、綾子はほれみた事かといったように笑みを浮かべる。
「だろ? アクセルも凛もこうして2種類見た事があるんだから、本当だって信じてくれよ」
そんな風に言い争っているかと思えば……
「カレーの付け合わせは福神漬けと決まってますわ」
「あら。そう? あやかが言いたい事も分かるけど、らっきょうの甘酢漬けというのもあるわよ?」
「白髪葱というのも忘れて貰っては困る。あのシャキシャキ感が辛いカレーと合わさった時の美味さときたら……」
あやか、千鶴、スレイによってカレーの付け合わせについての話も行われている。
途中で乱入したマリューが、付け合わせがないのも悪くないと言っていたりして、収拾がつかない。
こうして、俺の家では第何次が分からないが、料理についての戦争が行われるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2145
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1796