転生とらぶる   作:青竹(移住)

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4047話

「そう言えば、アクセル。ホワイトスターの方で一段落したら、UC世界にも顔を出すんだよ」

「……レモンにも言われたから分かってるよ。セイラにも挨拶をしておきたいしな」

 

 ホワイトスターの中を進むバスでシーマの言葉にそう返す。

 本来なら影のゲートを使って転移してもいいんだが、マーベル、シーラ、クーデリアの3人はホワイトスターについて何も知らない。

 いや、全く知らない訳ではない。

 時々俺がホワイトスターについて話をしたりしていたし。

 ただ、それでも俺から話を聞くのと、実際に自分の目でホワイトスターの様子を見るのとでは大きく違うので、現在こうしてホワイトスターの中をバスで移動しながら見学している訳だ。

 

「ふーん、分かってるのならいいよ。それに……アクセルにとっては、悪くない話も聞けるかもしれないよ?」

「……何がだ?」

 

 シーマがこうして言うという事は、恐らく何かがあるのだろう。

 モニクがマーベル達にホワイトスターについて色々と説明しているのを眺めながら、そう尋ねる。

 するとシーマは、笑みを浮かべて口を開く。

 

「実は、ちょっと面倒……とまではいかないけど、複雑な申し出があってね」

「シーマがそういう風に言うって事は、本当に面倒そうな事らしいな」

「そうなるね。アクセルは確か、連邦軍で行われているガンダム開発計画ってのは知ってるよね?」

「ああ、以前大雑把にだが聞いた事がある。アナハイムと連邦軍の奴だろう?」

 

 水天の涙の一件で俺が関わっていた時に聞いたんだったか?

 もっとも、俺にしてみれば結構昔の話だが、それは俺がオルフェンズ世界にいたからだ。

 ゲートによって時間が同期した以上、もう時差はないのだが。

 俺がいなくなっていたのは、ホワイトスターを基準にして考えると半年前後。

 つまり、現在のUC世界は0082といったところか。

 

「そうだよ。それで、当然だけどアナハイムも出来る限りMSを最高の出来にしようとしている」

「だろうな」

 

 アナハイムは1年戦争終結後に、ジオン公国からジオニック社を初めとする人材の引き抜きや、会社を買収したりした。

 そしてジオン軍のMS技術は連邦軍の10年先を行くという話になっている。

 ……何機ものガンダムを見たりした俺にしてみれば、そこまでの技術差はないと思うんだが。

 ともあれ、そうした感じになっているのは事実。

 そしてジオン公国の技術者を吸収したアナハイムは、UC世界においてトップクラスの技術力を持つ企業なのだ。

 だからこそ、コーウェンもガンダム開発計画をアナハイムに持ち掛けたのだろうし。

 もっとも、実際には1年戦争が終結するよりも前に、ジオンの兵器メーカーから多くの優秀な人材をルナ・ジオンは獲得してるのだが。

 勿論、全ての人員を引き抜けた訳ではない以上、アナハイムに引き抜かれたり、連邦軍に引き抜かれたり、もしくはジオン共和国にそのまま残ったりもしている。

 ともあれ、表向きはアナハイムが高い技術を持っているという事になっているものの、本当の意味で一番高い技術力を持っている組織となると、それはルナ・ジオンの兵器メーカーであるディアナだ。

 ニュータイプ研究所のアルテミスもそれなりの者達はいるが……ニュータイプ研究をしている者達のベースはフラナガン機関の研究者なんだよな。

 フラナガン機関を襲撃した事によって多くの研究者を捕らえ、その中で罪の軽い者……具体的には被検者となった者達に虐待染みた事をしていなかった者を取り立てているのだが、そういうのは人数が多くはない。

 大抵の者達は未だに農作業をしている筈だ。

 もっとも、ニュータイプと見なされた者達の待遇は劇的に改善されており、それによって多くのニュータイプ達は自分から進んで研究に参加しており、結果としてニュータイプ研究は相応に進んでいる。

 とはいえ、この辺の研究者もいつかどうにかする必要があるのは間違いないのだが。

 ともあれ、実質的に現在UC世界において最も高い技術力を持っているのはルナ・ジオンなのだが、連邦にしてみればジオン共和国と並んで仮想敵国なのは間違いない。

 だからこそ、ガンダム開発計画において、そんなルナ・ジオンを頼る訳にもいかない訳で。

 結果として、連邦軍が頼れるのはアナハイムとなる訳だ。

 いやまぁ、連邦軍にも相応に技術者がいるんだし、そっちで開発した方がよくはないか? とも思わないでもなかったが。

 ただ、現在の連邦軍……そして連邦政府は金がない。

 何しろ1年戦争で多くが死んだのだから。

 人が死ねば、当然ながら税収も減る。

 そういう意味で、今の連邦軍には新しいMSを自力開発する予定はないのだろう。

 実際、以前ちょっと聞いた話によると、1年戦争の時に使ったジムを改修したり、ジオン軍から接収したMSを使っているという話だったし。

 アナハイムに頼んだのは、その辺の理由もあるのだろう。

 そしてアナハイムは月の企業だ。

 そうである以上、妙な事……脱税を始めとした違法行為を行わないように、量産型Wやコバッタが派遣されていたりする。

 ただし、アナハイムもそれは分かっているのか、本社は未だに色々と便利だという意味で月にあるが、水天の涙の時に少しだけ関わったフィフス・ルナにかなり大きな支社があったりするらしい。

 ガンダム開発計画についても、恐らくはそこで行われていると思った方がいい。

 基本的にアナハイムで開発したMSとかはルナ・ジオンに……より正確にはシャドウミラーに譲渡される事になっているのだが、フィフス・ルナで開発した奴についてはどうなるか分からないしな。

 アナハイムがルナ・ジオンに協力を求めてきたのは、その辺についても関係があるのか?

 

「話は分かった。興味深いし、詳細についてはセイラに挨拶に行った時に聞いて見るよ。とはいえ……後でそっちにも連絡が行くだろうが、俺が今いるオルフェンズ世界も近い将来大きな戦いになる可能性がある。それに協力する事になってるから、こっちとしても色々と忙しいんだよな」

 

 今のところはそこまで忙しい訳でもないのだが、それはあくまでも今のところだけだ。

 この先、マクギリスの派閥とラスタルの派閥がぶつかる時、否応なくこっちも出番はあるだろうし。

 もっとも、こうしてホワイトスターと繋がった以上、既にマクギリスの派閥の勝利は確定したようなものだが。

 もしホワイトスターに繋がっていなくても、オルフェンズ支部と鉄華団だけでマクギリス達の勝利の可能性は極めて高かった。

 そこに本家のシャドウミラーの戦力を援軍として使えるのだから、これ以上に有利な事はないだろう。

 ……あ、でもそうだな。オルフェンズ世界のMSは基本的にビームが効かないので、そういう意味では厄介だ。

 シャドウミラーの機体はビーム兵器と重力関係の兵器を多く使っているので、半数近くの武装は使えなくなると考えてもいい。

 実弾を使った武装というのは、あまり使い勝手がよくないせいで好まれないんだよな。

 何しろ実弾の場合、予備弾倉とかそういうのも持つ必要がある。

 そうなると、どうしても機体の重量に多少ではあるが影響してくるし。

 まぁ、それでも誤差に近いようなものではあるのだが、シャドウミラーの実働班同士の模擬戦においては、その誤差によって勝負が決まる事もある。

 

「なるほど。じゃあ……私達もそっちに行くかい? X世界の時のように」

 

 シーマのその提案は、俺にとっても悪くはない。

 悪くはないのだが……X世界とオルフェンズ世界では、少し事情が違いすぎるんだよな。

 X世界はまだ戦争が終わって15年しか経っておらず、戦後復興期だった。

 それと比べると、オルフェンズ世界では厄祭戦が終わってから300年以上が経っている。

 完璧ではないしろ、ギャラルホルンによってしっかりと世界は運営されている。

 それに……MS戦闘とか、そういうのもUC世界と大きく違う。

 

「それは嬉しいけど、今回は止めておいた方がいいかもしれないな。MSという名称の兵器は同じだが、MSの概念そのものが大きく違うし」

「そうなのかい?」

「ああ。まずビーム兵器は基本的に存在しない。というか、MSの装甲に使われているナノラミネートアーマーによって、ビームは無効化する」

「……じゃあ、実弾の兵器かい?」

「それもそれで、基本的には牽制にしかならないな。エイハブ・リアクターとナノラミネートアーマーを使うと、非常に高い防御力がある。だから基本的には実弾の武器で牽制して、メイスとかそういう鈍器でコックピットを潰すといった戦い方になる」

「そうなると、技量の差が大きく影響しそうだね」

「ああ、そんな感じだ」

 

 もっとも、そういう意味ではシーマの技量を疑ってはいない。

 シーマはUC世界においても、間違いなくトップクラスの操縦技術をもっているのだから。

 ……もっとも、アムロやシャアといった者達と比べてしまうと、どうしても劣ってしまうが。

 ただ、それはあの2人がUC世界においてもトップクラスどころか、5本の指に入るパイロットだからというのが大きい。

 シーマはUC世界ではトップクラスだが、だからといって5本の指に入るかと言えば、それは難しい。

 ちなみにトップクラス……シーマと同程度の者達となると、ラル、黒い三連星、ガトー、ヴィッシュといったようにルナ・ジオン軍にも相応にいる。

 ただ、これらも結局のところ、シャアやアムロに並んではいない。

 だが、オルフェンズ世界にはそんなエースパイロット並の、あるいはそれ以上の操縦方法をする為の方法がある。

 阿頼耶識。

 ぶっちゃけ、あの阿頼耶識というのは反則だよな。

 まぁ、それでもマーベルの例を見れば分かるように、阿頼耶識があるから絶対に勝てるという訳でもないのだが。

 そういう意味では、シーマの操縦技術も決してマーベルに負けてはいない。

 ただ……マーベルの操縦の基本は、オーラバトラーだ。

 射撃武器もあるが、基本的にはオーラソードとかを使った近接攻撃がメインの戦闘方法となる。

 それと比べると、MSもビームサーベルやヒートホークがあるものの、基本的には射撃戦がメインとなる。

 そういう意味では、マーベルの方がオルフェンズ世界のMSを使った戦闘には馴染みやすかったんだよな。

 

「まぁ……アクセルが止めておいた方がいいと言うのなら、そうした方がいいんだろうね。けど、手伝えることがあったら言うんだよ?」

「そのつもりだ。とはいえ、ガンダム開発計画の件を聞いたとなると、そっちにも興味があるし……もしかしたら、UC世界とオルフェンズ世界を行ったり来たりする必要があるかもしれないな」

 

 そう言うと、シーマは嬉しそうな笑みを浮かべる。

 UC世界に行くとなると、シーマと会う機会も増えるしな。

 とはいえ、ガンダム開発計画のテストパイロットをやるとなると、月ではなくフィフス・ルナまで行く必要がある。

 月からフィフス・ルナまでは……どうしても移動出来ないといった距離ではないが、それでもそれなりに距離がある。

 ニーズヘッグを使えば、その距離も問題はない。

 ただ、UC世界において、ニーズヘッグはもの凄い有名なんだよな。

 何しろ1年戦争の時、ジオン軍に占領されていた月をたった1機で奪い返したのだから。

 いや、奪い返したという表現はちょっと違うか?

 元々連邦に所属していたのだから、奪い返したというのは俺が連邦軍だった時の事になる。

 だが、あの時は既にルナ・ジオンを建国した後だったので……占領したという表現の方が正しいのか?

 ともあれ、俺がニーズヘッグを使ってグラナダを始めとして、ジオン軍が占領していた場所から出撃してきた敵を倒すシーンは、地球、月、コロニーといった全てに流された。

 そんなニーズヘッグに乗って移動すれば、否が応でも目立ってしまう。

 そして俺としては、絶対にそういうのは避けたい。

 だからこそ、ニーズヘッグを使って転移するのは避けたいのだ。

 となると、普通に移動するか……いや、そうだな。

 

「ガンダム開発計画のテストパイロットの件だが、月でやる事は出来ないのか? 元々、月はアナハイムの本拠地があるんだし、それでも不思議じゃないと思うが」

「え? うーん……どうだろうね。アナハイムとしては、難しいんじゃないかい? 元々フィフス・ルナでガンダム開発計画を行っているのも、連邦軍から私達に少しでも情報を流さないようにする為なんだろうし」

「それが月でガンダム開発計画をやるとなると、難しいと?」

「そう思うよ。そこまでするのなら、それこそ連邦軍がテストパイロットを用意するんじゃないかい?」

「それこそアムロとかか」

「……いや、それは難しいだろうね」

「は? 何でだ?」

 

 俺が知ってる中で、連邦軍の中で一番腕の立つパイロットはアムロだ。

 連邦軍の全員を知ってる訳でもないので、もしかしたらアムロ以上のパイロットがいる可能性もあるが。

 それに、ユウ・カジマのようにアムロに匹敵するパイロットもいるし。

 だが、それでもやっぱり俺の中で連邦軍で最も腕の立つパイロットとなると、アムロなのは間違いない。

 

「そのアムロだけど、どうやらニュータイプを危険視する者達によって半ば軟禁状態らしいね」

 

 シーマのその言葉に、連邦軍なら有り得るかも? と思ってしまうのだった。


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