今井さん家の今日のご飯   作:ジャンヌ・オルタ
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第1話 友希那さんとリサ姉と中華料理

 

 

トントントンッ

 

小刻みに一定のリズムを刻む音の正体を私、湊友希那は見つめる。私の大切な幼なじみの1人である双子の妹《今井明日香》は私と姉のリサとは別に隣町の調理師学校に通っている。

 

「今日は何を作ってるのかしら?」

 

香辛料の香ばしい香りからして中華系と私は推測しながら明日香に尋ねる。

 

「ゆきちゃんはなんだと思う〜?」

 

「……そうね、中華系かとは思ってるわ」

 

「うーん、大雑把だね。他の推測はないの?」

 

いわれてみて私はキッチンから漂う匂いで判断しようと胸いっぱいに空気を吸い込んだが、まだ火を使っていないことから料理に関しては素人の私には分からなかった。

 

「わからないわ」

 

「ありゃ、それじゃあ出来るまで楽しみにしてて」

 

カチッと火をつける音とともに明日香は大きな中華鍋を取り出して油をその上に垂らして調理を始めた。

数分もせずに食欲をそそるような香りが部屋中を満たし始めた

 

今、この今井家の両親は仕事の為に家を空けている。

幼馴染で彼女の姉であるリサももうじき帰って来る頃なので彼女が帰ってきたらすぐにご飯を食べられるように出来上がるのだろうと私は音楽雑誌を読みながら思った。

 

「ゆきちゃんなにか食べたいものある?」

 

「明日香の作るご飯ならなんでも美味しいから特にリクエストはないのだけど」

 

「褒めてもご飯しか出てこないよ〜」

 

「私はそれで十分よ?」

 

戯けたように笑う明日香に私も微笑みながら返す。

昔のように3人で音楽をやることはなくなったけれど今も変わらずこうして笑えるだけで私は幸せな気分になれた。

 

「そういえばRoselia の方は順調?」

 

明日香の方からは滅多にしてこない音楽関係の話に私は一瞬、ドキッとしたがすぐに持ち直して答えを返す。

 

「ええ、みんな本気で練習に打ち込んでくれるおかげで最初の頃とは比べ物にならないほど成長してるわ。来週の土曜日CircleでLIVEをするからもしよかったら来て」

 

「来週?うん、わかった。予定空けとくね」

 

話しているうちに料理が全て完成したようで食卓へ料理が並べられる。

 

並んだ料理を見れば『青椒肉絲』『かに玉』『春雨のスープ』『酢豚』『中華風の筑前煮』が所狭しと並べられていた。

 

「あとはリサを待つだけだけど……」

 

「あー、お姉ちゃんなら問題ないと思う」

 

「……?」

 

明日香の言葉に首をかしげると玄関の方からバタンッと大きな扉の閉まる音がして、バタバタと走ってくる音と共にバンッとリビングの扉が開かれた

 

「ただいまー!」

 

「ん、お帰りお姉ちゃん。今できたとこだから手洗ってきて」

 

「お帰りなさい、リサ」

 

「ただいま〜友希那〜」

 

バイト用のカバンを私の座っているソファのあたりに置いて手を洗いにいったリサを見送って私は食卓の椅子へと座る。

 

「ゆきちゃんご飯はいつも通りくらい?」

 

「ええ、“大盛り”でお願い」

 

普段あまりご飯を多く食べない私だが、週に一回の明日香が作るご飯の時は話が別だった。

一週間、この時のために頑張ったとも思えるくらいの私の密かな楽しみなのだから。

 

「お、友希那は今日も大盛りか〜。明日香ー私も友希那と同くらいで!」

 

「わかったよー」

 

リサも普段はあまり食べない方だが、この日だけは別だった。

私たち2人の前に普段から見れば多すぎるくらいのごはんがもられたお茶碗が置かれる。

 

「うわあ〜今日も美味しそう〜」

 

「そうね、本当に美味しそう」

 

すぐにでも目の前に置かれた箸を持って食べたいところだが、最後の一品が出てくるのを私とリサは待った。

 

この鼻を突く刺激的な辛味の匂いは明日香が中華系を作る時は必ずといっていいほど最後に出てくる料理の香りだ。

 

ゴトッと鈍い音を立ててテーブルに置かれた深皿の中には真紅の液体の中に挽き肉や豆腐といった食材が浮いている。

 

そう、麻婆豆腐である。

それに明日香がレンゲを入れ、私たちの前に数枚の小皿とレンゲが用意され、明日香が自分の席に座ったところで

 

「「「いただきます」」」

 

私は真っ先に麻婆豆腐を取り、次にかに玉、青椒肉絲、酢豚と小皿の上に乗せていく。

 

そして、かに玉を一口、口の中に含む

目の前ではリサもかに玉を口に含んでいた。

 

「「おいしい……」」

 

「それは良かった♪どんどん食べてね!」

 

その一言が私とリサの背中を押した。

酢豚を口に含み、甘酢タレと絡む肉と共に白米を口の中に押し込む。

 

麻婆豆腐をレンゲで掬い、口に運ぶ。

瞬間、辛味が口の中で暴れ出し額に汗が浮かぶが咀嚼して飲み干し、次は白米と共に口の中に含む。

 

青椒肉絲を箸で摘み、白米の上に乗せて一緒に口の中へ運ぶ。

 

少し落ち着いたところで春雨のスープに口をつければ海老で出汁を取っていたようでエビの旨味が口の中で広がりその余韻に浸りながら、再び酢豚へと箸を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

気がついた時には目の前に広がっていた料理の数々は無くなっていた。

 

「ふぅ……ご馳走さま、明日香」

 

「ご馳走さまでした」

 

私とリサが同時に手を合わせて食後の礼をすれば明日香は笑って私とリサをみた

 

「はい、お粗末様でした。本当、毎週いい食べっぷりで作り甲斐があるよ」

 

「普段はこんなに食べないのよ」

 

「そうそう!明日香のご飯食べるために抑えてるんだから!」

 

普段からこんな量を食べていれば私は今の体型を維持できそうにない。明日香のご飯を食べ始めてから軽くランニングを始めたのは今のところリサしか知らない。

 

「また、来週も楽しみにしてるわ」

 

「今食べ終わったばっかりなのにもう来週の話〜?ゆきちゃんも食いしん坊さんになったね?」

 

「……それは誰のせいだと思ってるのかしら?」

 

全くこの子は……!

ニコニコと笑って後片付けを始める明日香を手伝うリサを見て私も手伝おうとキッチンへ向かったが

 

「あ、ゆきちゃんは座ってていいよ」

 

「……わかったわ」

 

私がキッチンへ立たせてもらったことは今のところ一度もない

 




唐突に思い浮かんだネタでした。
はい、早く他の作品投稿しろってところですね。

この作品、元は絶対音感持ちのリサ姉の明日香が一度音楽から離れて調理学校へ通っていながらもRoseliaに影響されてRoseliaのサポートをしていくって内容だったんです。

まぁ、書ける気がしなかったからこうなったんですけどね!


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