TS転移で地球人   作:月日星夜(木端妖精)

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激突!!100億パワーの戦士たち
第三十九話 サマーデイズ


 猛暑。

 じりじりとした陽射しが降り注ぐ8月の上旬。

 気温は39度。屋内はサウナのように熱されて、さしものサイヤ人も汗濡れになって参っている。

 それよりも忍耐力も耐久力もないナシコなどは言わずもがなで、あまりの暑さにその驚異のわがままで暴れ回り、1階も、2階のクーラーも訳なく破壊しつくされてしまった。

 

 人造人間ではあるが有機体であるウィローもまた暑さを厭い、自らの研究所に引き籠ったところをナシコに引きずり出されてうだった外に連れ出され、あついあついと引っ付くナシコによってオーバーヒートを起こし、あえなくダウンしてしまった。

 

「……くそあちぃ」

 

 ウィローが動けない以上、業者を待つ以外にクーラーという宝具を取り戻す手段はない。

 ナシコがブルマにでも連絡を入れれば、カプセルコーポレーション印の新品のクーラーを即日取り付けてくれるだろうが、そうすべきだと提案されたナシコは目を泳がせて下手な言い訳を並べ、連絡する事を拒否した。

 

「あのコミュ障め……」

 

 縁側にどかりと腰を下ろしたターレスは、手にした棒アイスを乱暴に齧るとそう独り言ちた。

 自分達に対しては饒舌で無遠慮なナシコが、他人に対して極端に奥手になるのは知っていたが、なかなかそういった場面を見た事が無かったので実感していなかった。

 ああまでドロドロにダメージを受け、一刻も早い空調機の復活を願っていながら、その手段を取らないほどとは思わなかったのだ。

 

「……ふぅー」

 

 頬が膨らむほどに噴き出した息は熱っぽく、地面から立ち上る陽炎に溶けていく。

 どこかでセミの鳴く声がする。鳥の声や、動物の移動する葉音……。

 山中に作られたナシコハウスは、様々な手が入り広大な敷地になってはいるものの、自然も多く残っている。

 

 そして、これもまたターレスは最近知った事なのだが、ナシコは虫の類が大の苦手らしい。

 アブラムシは元より、蛾やムカデなどの害虫に加え、子供の頃は平気だったカブトムシや蝶々、果ては蟻に至るまでまるで駄目。

 ならどうしてこんな辺鄙な場所に家を作ったんだよ、と突っ込まずにはいられない。そんな気力もないターレスは、ただぼうっとして短い草の生える庭を眺めているのみだった。

 

「……あちぃ」

 

 ウチワや何かを用意して自分を扇ぐのも面倒だ。というか、もはや棒アイスを口まで運ぶのも億劫で、開いた足の右膝の上に手を置いて、くりくりと棒をよじって弄ぶ程度だった。

 

 そこへ這い寄る真夏のモンスター……。

 

「はー、む♡」

 

 膝の間からひょっこり頭を出したナシコが棒アイスをぱくりと咥えた。

 しばし、沈黙。

 

「……」

「……んむ」

 

 ギロリ。ターレスの目つきの悪さが殺人級になる。

 食べる気力はなかったが、大事な冷え要素だ。勝手に食べられてはたまらない。

 ナシコは目が合うと、悪戯が見つかった猫のように固まった。

 

 しかし溶けゆくアイスをちゅるちゅると吸い、味わう図々しさは止まらない。

 かわいいナシコを許してね、みたいにウィンクするふてぶてしさだ。

 非常にいらつく。100回小突いて転がしてしまいたくなるほどに。

 

「おい」

「うー……(うるうる)」

 

 もはや我慢ならず、仕方なく重い口を動かして注意するターレスに、ナシコは目を潤ませて小動物になり切り始めた。へにょっと下がった眉に、大きな瞳が涙に濡れる。

 しかし「うるうる」と口で言って庇護欲を誘おうとするそのあざとさはいただけない。

 

 さあて、でこぴんでも食らわせてやるか。それとも頭を掴んで左右に揺さぶってやるか。

 生まれた嗜虐心のままに算段をたてるターレスだが、いずれも実行に移すには多大なエネルギーがいる。

 エネルギーの補給にはメシを食うのが一番だ。

 今メシと言えるのは、未だにナシコがくっついている棒アイスの他にないだろう。

 

「おい」

 

 二度目の注意に、さすがのナシコも頭を離した。

 ただしシャクッと一欠け齧っていく強欲さ。

 減ってしまった棒アイスが哀愁を誘う……。

 

「んふー」

 

 彼女の好みの味であるのもあるだろうが、ターレスの膝に手を乗せて、垂れたアイスを指で拭うナシコはご満悦にもごもごと頬を膨らませている。

 そのほっぺをつついて虐めてやりたい衝動に駆られたターレスは、しかしじりじりと照りつける太陽にその気を削がれてしまった。

 ああ、このままでは棒アイスの命運は尽きてしまうだろう。ただでさえ気温によって溶けるスピードも速いのに……。

 

「あー……」

 

 んあー、と口を開いてアイスの下に顔を寄せるモンスターに雫が吸い取られていく。

 伸ばされた真っ赤な舌先に落ちる蜜。んく、んく。小さく動く喉に、揺れる黒髪。

 今、その髪を撫でてやれば、きっと手の平が火傷するだろうな、とターレスは思った。たまに撫でると心地良いのだ、コレは。

 

「……」

 

 微かな土音が近づいてくるのに、その出所に目を向けたターレスは、ウィローの姿を見つけた。意識の外からの来訪者に僅かに浮足立つ。

 いつもの白いブラウスに黒いスカート姿。いかな戦闘民族と言えどまるきり気配がない人造人間相手では、気が抜けていると接近に気付けなかった。

 

 幽鬼のようにふらつく足取りに、声をかけようかと思って、やめる。

 暑さに参っているその程度はターレスも同じくらいなのだ。

 というか、つい数時間前まで干からびたミミズのように物言わぬ骸と化していたナシコが元気に棒アイスの強奪に勤しんでいる方がおかしいのだ。

 

「はひー、はふー」

 

 よく見ればうなじに汗の玉が浮かんでいる。別に暑さを感じていないという訳ではないのだろう。

 ではこのアクティブさは何か。ターレスには皆目見当もつかなかったし、わざわざナシコの挙動の理由を考えるのも面倒だった。

 こいつは理解不能な異星人だ。それに尽きる。

 

「うえろぉちゃー……おーいーでー……」

「ぁぁ……」

 

 あまり頭の働いていない声を発しながらふらふらと近づいて来たウィローは、言われるがままナシコの前に膝をつき、手を引かれるのに膝で歩いてナシコに寄り添った。

 その際、邪魔なものを退ける気軽さで膝を押し退けられたターレスは、大きく広げた足の間に二人の子供を迎え入れる羽目になった。

 

 ただでさえ体温の高いナシコが一匹いるだけで体感温度が上昇するというのに、同じく基礎体温の高いウィローまで来ると、もはやここは灼熱地獄だった。

 てめぇらなんでわざわざ寄り集まってくるんだ、蒸し殺す気か、と思いながらも、言葉すら発せないターレスであった。

 代わりにくりくりとアイスを弄ぶ。

 

「これ、たーべーよー?」

「ぁー」

 

 言われた事をそのまま実行する機械にでもなってしまったのか、指し示された棒アイスをぱくりと咥えたウィローは、そのまま小さく齧り取ると、もこもこと口内に転がした。

 表情が緩む。至高の冷菓に幸せそうに微笑んだウィローは、しかし幾ばくもしないうちに物悲しそうにした。

 いっとう熱いウィローの口内では、アイスは数秒も生き延びられなかったのだろう。

 

 細められた目が、もう半分もない棒アイスに向けられる。

 

「たべちゃいましょー……せーっかく、たーれすがたべていーっていったからさぁー」

 

 言ってねぇよ。とは突っ込まない。そんな気力はない。

 貰わなきゃそんそんそーん♪ と小さく頭を揺らすナシコに、ウィローは躊躇いなく二口目を奪った。

 

「あー、んっ」

「……」

 

 じゃあ私ももうひとくちー♡ と大口を開けたナシコの前から棒アイスが逃げる。

 はれ? と首を傾げ、位置を調整したナシコが逃げたアイスを追って口を閉じる──直前に棒アイスはバニシング回避を行って魔の手から逃れた。

 

「んぁー……?」

 

 ナシコは、確かに捉えたはずの冷たさを感じられないのに怪訝そうに目を開けた。

 目の間でアイスが揺らめいている。なんだーそこにいたの、と改めてお口を開けて食べにかかり、今度もアイスが逃げてしまうのむっとした。

 

 ターレスが意地悪をしているのだ。ひどい! こんなかわいい女の子を虐めるなんて!

 そしてアイスはウィローの口に。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」

 

 この生意気でずうずうしいガキにやるのは業腹だ、と感じたターレスが、わざわざウィローの唇を棒アイスで小突いて開けさせ、食べさせてしまったのだ。

 これにはナシコも怒髪天。

 

「それ私のぉーっ!!」

「んむぐっ!?」

 

 怒り心頭に達したナシコはウィローに襲い掛かり、すでに彼女の口に収められたアイスの奪取にかかった。

 当然ウィローだってそんな殺生な真似を許すはずもない。不意打ちで押し倒されようともそこからなんとか逆転しようと手足をばたつかせ、ナシコがバリバリッとスパークを散らすのに目が死んだ。

 

「ふむぅーっ!!!」

「んぐぅーっ!!!」

 

 腕を掴み合って激しい接吻を交わす二匹の子猫に、ターレスはなんの感想も抱かずに空を見上げたのだった……。

 

 

 

 

「きゃっほーぉ! いーきかーえるぅーっ!!」

「さっさとこうしておくべきだったな!」

 

 ところ変わって、ここは増設されたばかりのプール。

 お互いにワンピースタイプの水着に着替え、たっぷりの水の中で大はしゃぎ。

 木陰にパラソルをたて、チェアーに寝そべるターレスが二人の監督役だ。

 

 お金に糸目をつけずナシコがスケッチブックに描いたあれこれを機能性を排して取りつけたミニテーマパークには、浅いプールに深いプール、流れるプールにスライダー、波のプールに飛び込むプールとなんでもござれ。無駄に広いので閑散としていて、そして一度の使用に馬鹿みたいに水道代がかかるのでほとんど無用の長物と化していたのだが、とうとう耐え切れなかったウィローからGOサインが出された。

 

 といっても、数十万数百万ゼニーくらいはナシコ家のお財布に大したダメージを与える事はないのだが、どことなく節制するきらいのあるラディッツやウィローにつられてナシコもやや消費が控えめになっている。だから、暑いのにプールに水を入れるという発想が出てこなかったのだ。

 

 水気が多い場所だけあって気温はぐっと下がり、過ごすのにも快適だ。示し合わせたりはしていないが、三人とも空調が直るまでここにいる気でいる。

 

「すいとんすいりゅーだぁーん!」

「ぼごごごごご」

「おーい、あんまり暴れて水流すんじゃねぇぞ。山が崩れちまうだろうが」

 

 ナシコが気を通した水を東洋龍の形にして打ち出し、飲まれたウィローが水中へ消えていくのに注意を飛ばすターレス。

 あくまでここは山中なのだ。他の生き物も住んでいるし、過度に水を溢れさせれば木々も腐ってしまうだろう。生態系に悪影響を及ぼすのはよくない、ということだ。

 

「ぷはっ、はー、はー、ナシコぉ許さんぞ……! ……どうした?」

 

 水深13メートルからウィローを引き上げたナシコは、肩を震わせて怒りを露わにする彼女から空へと視線を移していた。

 何かあるのかと追って顔を上げたウィローは、分厚い雲が流れる空に鳥や星以外を見つける事はできなかったらしく、こてんと首を傾げた。しっとりと濡れた髪から水滴が落ちて、細い肩を流れる。

 

「んおー。界王様だー」

「界王? ああ、例のゴキブリみたいなやつか」

「フッ」

 

 アブラムシのような、という説明は、以前ナシコが身内向けに界王の姿を説明した時の例えだ。

 そうとうに不敬なのだが、特に貶すような思惑はなく、直感的な言葉選びをしただけである。

 そして三人の共通認識として界王は虫人間となったのだ。

 

 そんな界王が突然に話しかけてきたというナシコに、ターレスは自らの腕に預けていた頭を動かして鼻で笑った。

 いや、それに特に意味はないのだが、なぜか笑ってしまったのだ。

 

「なんかナメック星がやばやばなんだって。あー、クウラ様かな?」

「ん、そやつはお前が前に倒した、あー、フリーザの兄ではなかったか?」

「そそ。あーや、みんなで倒した、ね? あれだね、今度はメタルクウラだねー」

「メタル……?」

 

 そっかー、そんな時期かー。助けに行こ! と即決即断して、おー! と腕を振り上げ一人で盛り上がるナシコに、ウィローもターレスも疑問符が絶えない。

 クウラが生きていたというのは驚きだ。ナシコが事情を知っている口振りなのはもはや気にもならない。勝手に納得してしまうのもいつもの事。クウラに様付けをするのは謎だがこれもまた意識するだけ無駄だろう。界王から聞いたであろう話を欠片も説明しないのもよし。

 

「なんだと? 奴が生きているだと……?」

「んー、『オレは甦った……ビッグゲテスターの、高度な科学力によって!!』」

「唐突な声真似はやめんか。気の質も変えるんじゃない、パワースカウターが勝手に反応したわ」

「ごめごめ。それで、悟空さんが来てナメック星まで運んでくれるって言うから、準備しよ!」

 

 水着じゃ失礼だしー、とプールから上がったナシコが、腕を回しながら「ラディッツも呼ばないと」と零す。

 

「ハッ、余裕なこった……奴は桁外れの力を持っていた。超サイヤ人となったオレ達でも勝てるかわからんぜ?」

「大丈夫だよー、経験値稼ぎだと思ってさ、ササッと行ってメタルクウラ・コアぶっ壊してさ、ナメック星人助けてあげてー。そうだ、ポルンガに頼んでクーラー直してもらおう!!」

 

 良い事思いついた、と指を鳴らしたナシコに、二人は顔を見合わせて呆れてしまった。待てば直してもらえるクーラーを万能の願い玉への願いで直そうというのだから当然だ。というかもうウィローが復活したのだから、修理屋すら必要ないはずなのだが。

 

「容易く倒せるっつー口ぶりだな。楽勝だって確信してんのか?」

「どうかなー、わかんないけど……まあ大丈夫でしょ。クウラ様相手にせずコアぶっ壊せばそれでおしまいだし」

「コア、か。よし、同行しよう。わたしも実戦経験を積みたいと思っていたところだ」

 

 プールサイドに上がったウィローが、髪に指を通して流し目を送るのに、えっろ、と呟くナシコ。

 

「……。……」

「あっなっなんで離れるん!? やめよ? そういうのやめよ?」

「馬鹿やってねぇでさっさとシャワー浴びて来い。カカロットがいつ来るのかは知らねぇが、待たせて困るのはお前だろ」

「んあっ、そーそうね、うん。あの、水着じゃ駄目かな……あっち絶対暑いよ」

「やめておけ。お前は絶対に孫悟空に耐えられん」

「死にたいなら好きにしろよ。てめぇの死体なんざ犬も食わねぇだろうがな」

「え、しんらつ……引くほど辛辣じゃない……?」

 

 自分の体を見下ろして呟くナシコに双方からツッコミが入る。

 確かにナメック星は太陽が3つある常夏の星だ。地獄のようなものだろう。せっかく涼しくなったのに暑い所へ行くのは辛いものがある。

 

 しかしその格好で孫悟空の前に出たナシコが羞恥心に殺されてしまうのは目に見えているのだ。そうなるとわかっていて、この瞬間の楽を取ろうとする楽観的な思考に辛辣な言葉が出てきてしまうのも仕方ないだろう。

 これくらい強く言わないと理解しないのがナシコなのだから。

 

 家に戻り、動きやすく涼しい格好に着替えたナシコは、比較的涼しいプールサイドに戻って飲み物を用意して孫悟空一行を出迎えた。

 ピッコロ、ベジータの二人が同行者らしい。だが雰囲気は険悪だ。悟空とピッコロはともかく、ベジータはそのどちらとも目を合わせようとしない。

 

 しかしナシコが視界に入るとやや雰囲気が和らいだ。そこにはっきりとした親愛や友好の念はないが、今やベジータにとってナシコとは超えるべき壁であり、知り合いの生意気な子供であり、話していると苛立ちが消失する相手であった。

 

「えー、メタルクウラとは、ビッグゲテスターと融合したクウラ様が生み出した量産型機械兵士で、倒すたびに弱点を克服しパワーアップする相手です」

 

 ナメック星は現在大変な状況にあるが、せっかくナシコが知識を持っていてそれを活かせる状況ならばと、情報を共有する時間が設けられた。

 ベジータは話などしないでさっさとしやがれと苛立っているし、ナシコはナシコで慣れない説明に精神的疲労を蓄積させている。

 

「そいじゃああんましクウラを倒さず、コアまで辿りつけばいいんだな?」

「は、はぃ……あの、あのね、ウィローちゃん……」

「まったく……そうだ、孫悟空。くれぐれも無駄な破壊はするな。ベジータもだ」

 

 悟空が確認を取るのにもじもじとして、ウィローの耳元に顔を寄せてこしょこしょと囁くナシコ。自分の代わりに言葉を伝えてほしいらしい。年を重ねて少しは口下手や人見知りが軽くなったかと思いきや、逆に年々酷さが増していっている……。

 自分の言葉で話すのは恥ずかしいから嫌だとそういう行動を取る癖に、目の前にいるのに直接返事をしないのは失礼だと落ち込んでいる面倒な相方に、ウィローは快く説明を引き継いでやった。

 

「ちっ、誰に向かってクチを聞いていやがる。てめぇからぶっ壊されたいのか?」

「やめておけベジータ。お前でウィローに勝てるとは思えん。ボロ雑巾にされたくないんなら止めはせんがな」

「なんだとぉ?」

「ま、まあまあ、そう喧嘩すんなよ」

 

 放っておくとすぐ口喧嘩が勃発してしまう。悟空の仲裁もあまり意味をなさず、ラディッツとベジータの間に火花が散っている。今にもこの場で戦いを始めてしまいそうだ。この喧嘩っ早さはサイヤ人同士だからこそなのかもしれない。

 

「そいじゃ、行くぞ。みんな、オラに掴まってくれ」

「ようやくか。待ちくたびれたぞ」

「そういやぁナメック星はお前さんの故郷だったか。話を長引かせちまって悪かったな」

「……。いや、謝罪はいらん。それにオレの生まれは地球だ」

 

 さりげなくフォローを入れるターレスに、意外そうにするピッコロ。

 ほんの少しチームの空気が緩んだところで、出発の時間だ。

 

「ほい、ついたぞ」

 

 本来ならば宇宙船で6日かかる距離を、孫悟空の瞬間移動によって一瞬にして済ます。

 ナシコ達が並んで下り立った地はやはり暑く、そしてその上空には空の果てまでを覆う機械惑星ビッグゲテスターが広がっているのだった……。




ちょっと巻きで、激突! 100億パワーの戦士達編、前編です

TIPS
・プール
山中を整地して作られた小さなテーマパーク
テンション上がるな~
なお一般開放はされていない

・メンバー
ナシコ、ウィロー、ラディッツ、ターレス
悟空、ベジータ、ピッコロの7人
映画と違い、悟飯達やウーロンなどはついてこない

・ナシコ
再びめぐってきた真夏の猛暑にへばりきっていた
暑くても人肌恋しいのは変わらない
ウィローにラディッツにターレスに引っ付いては暑い鬱陶しいと邪険にされて拗ねている

・ターレス
最近ようやく超サイヤ人特有の興奮状態を多少抑え込めるようになってきた
それは地球人であるナシコやウィローにこてんぱんに伸されているせい、いやおかげかもしれない
戦闘民族のプライドがビーズサイズにまで縮んでしまっている

・ラディッツ
この夏、引っ付いてくるナシコによって度重なる頭髪の危機を迎えた
その長い髪暑いでしょ、鬱陶しいでしょとハサミをチョキつかされて戦々恐々
プライドを捨てて必死にお願いし、なんとか髪を死守した
あやうくバリカンで刈られるところだった

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