TS転移で地球人   作:月日星夜(木端妖精)

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新元号が発表されましたね。
とはいえ4月30日までは平成。
残りの30日を噛みしめて生きていきましょうね。

平成ライダーの歴史が終わりを告げる……うう、私の青春……。


第六十二話 激戦! 死を呼ぶセルゲーム

 二つの拳がぶつかり合う。

 その衝撃に揺さぶられた大地が土煙を噴き上げて一瞬視界を遮った。

 幕が落ちるように土煙はすぐ消えたけれど、同時に武舞台中央で(まじ)わっていた悟空さんとセルの姿も消えていた。

 

 かと思えばドドドドドッと芯まで響く打撃音を重ねて、見えないままの格闘戦が繰り広げられる。

 中央に集中して現れていた衝撃の残滓が端に広がり、空中へ移り、合間合間にどちらかが姿を現しては空気中に溶けるようにして消えていく。

 

 その戦いを、私は椅子に深く腰掛けて眺めていた。

 具合が悪いのを察してくれたスタッフの方が組み立て式の椅子を貸してくれたのだ。一人だけ座ってるなんて申し訳ないのだけど、息苦しさを感じているのは確かだからこうして腰を下ろしている。

 吹き荒ぶ風に髪がなびく。頬を撫でる風は涼しいのに、いくら息を吐き出しても胸に詰まる重いものはなくならない。それが苦しくて、汗まで掻いてしまう。

 

 熱は出てないはず……もう鼻が詰まっていたり、咳が出てたりもしない。ただ息苦しいだけ。

 まさか、本当に心臓病って訳でもないのだろうけど……胸元の服を握って伏し目がちに武舞台の縁へ視線を落とす。

 日差しを遮るためにウィローちゃんが出してくれたツバ広の白い帽子をかぶり直して、呼吸を安定させて観戦に戻る。

 

 再び拳をぶつけ合った悟空さんとセルは、今度は消えることなく鏡合わせにバックステップを踏むと、靴音を鳴らして構えた。最初と寸分変わらない構図。きっと意図して、無意識にそうしているもの。

 力量をはかり確かめ合い、擦り合わせて、台本があるかのように示し合わせた動きに行きつく。

 

「いいぞ! これだ……これこそが戦いというものだ……!」

 

 拳を握り締め、歓喜に打ち震えるように口角を上げるセルが瞳を煌めかせて言う。

 

「戦いはこうして実力が近くなければ面白くない……!」

「ああ。オラもそう思う」

 

 悟空さんの顔に笑みは浮かんでない。でも雰囲気で実戦を楽しんでいるのは伝わってきた。どうしようもなく、戦うのが楽しいんだ、って……遠慮がちに。

 

 のびのびと戦えていないんだな、ともわかる。確かに全力を出せているし、セルもほとんど同じパワーで張り合っていて、これが殺し合いじゃないなら良い試合だと評せたかもしれないくらいだ。……そうならないのは、悟空さんが心の底から楽しめないのは……私が邪魔しちゃってるから、なんだろうな。

 

 一緒に戦う事を強要して、そのくせ体調不良で外したから、それを気にしてしまっている。私に心を傾けてくれている。胸が痛くなるよ……なんで具合悪くしちゃうんだろう……大事な時っていつもそうだよ。

 ううん、ナシコになってからあんまり体調を崩した事はない。極度の緊張でお腹が痛くなったりするのも一過性のものばかりだ。

 だから不思議だった。今生で風邪を引いたのはたったの一度きりな超健康優良児のこの私が、今さら微熱に苦しめられるのっておかしいんじゃない?

 なにか良からぬ呪いをかけられてるとか、ウィルスに感染しちゃってるとか、そういう悪い想像をしてしまう。

 

「……ぁ、ふ、う……」

 

 痛む……ううん、痛くはないんだけど、ずんってする胸を押さえて、思わず出してしまった声を誤魔化すように息をする。

 二人の姿が掻き消えた。追ったカメラが左右にぶれて、驚きと戸惑いの声を発する。

 

 突風が帽子を持ち上げ、前髪を持ち上げておでこを晒す。前面から吹き付ける風に衣服が波打つ感覚に肌がむず痒くなって、むうっと眉を寄せた。

 ああ、もう。

 

「っぷぅ」

 

 傾いてた椅子が戻ると同時にかくんと頭が落ちて……ぼやける視界に、テレビ画面の砂嵐みたいに視界が騒ついた。

 

 

 

 

 ふんふんと鼻唄をしていた。

 鏡台の前。ぴかぴかに磨かれた鏡に映る私は、両目をつぶって上機嫌に髪を梳いていた。

 ……懐かしいメロディ。80年代のヒットソング。お母さんが好きだったやつだ。夕飯を作っている時、干した布団を叩いている時、洗濯物を畳んでいる時……よく口ずさんでいた。

 それがお姉ちゃんや私にも伝播して、時々なんの気なしに口ずさむとタイミングがかぶったりして、笑い合った思い出がある。

 

 暗い室内。ごてごてした鉄の、なんだか無機質な部屋。

 明かりも何もないそんな場所で、唯一輝くくらいに綺麗な鏡が私を反射していた。

 

 ……うげっ、私、なんでこんな格好してるんだろう?

 透け透けの肌着は上等そうで、その下に見える紫色のブラジャーはレースとフリルでとっても派手。同色の下着もアダルティックで、うーん、えっち?

 それから、子供の時と違って太い太ももに、薄布の靴下と桃色のミュールサンダル。

 うへー、私こんな格好しないよ~? でもしてる。なんでだろ?

 

「ん~……?」

 

 何かの動物の毛で作られたブラシが黒髪を撫で下ろす動作の合間に、ふっと目を開けた私は、そのままぽけーっと目も口も開いて……ガンッ! て鏡に食いついた。

 

「ちょっともーお! 今いいところだったじゃん!」

 

 せっかく楽しく見てたのに、なんでか途切れてしまった事に嘆く。

 右手に握ったブラシに、左手も握ってくぅっと上を向く。

 さてはきっと、眠ってしまったからなのだろう。だから鏡面に何も映らなくなってしまったんだ!

 

「あーあ! つまんないのー!」

 

 発散するように声を上げつつ背もたれに体重をかけて椅子を傾け、両足をばたつかせる。

 ひっくり返っちゃいそうだけど大丈夫。私って浮けるもんね。実質体重0!

 

「もういいや」

 

 ぽーいとベッドへブラシを放って、お尻で回転。椅子を下りて出入り口へ向かう。脇にかけられたコートを引き抜いてつっかける。

 うきうき腕を振り腰を振り、鼻唄の続きをしつつ廊下に出れば、ぱぱぱっと壁際上部が点灯して左右に広がっていった。廊下の向こうは緩やかに湾曲して見えないけれど、足取りに迷いはない。

 いくつかの小部屋は全部真っ暗。ごおん、ごおんと重い音が遠くで響いている。

 

 広い一室に出た。そこもまた薄暗くて、でも奥の方……二つの仕切りに区切られた三つの大窓から見える外の景色は、外宇宙! って感じがして壮観だった。

 あとは、あれ。何やらやってた異星人の諸君が一斉に頭を下げて挨拶してくれるのが気持ち良い、みたいな?

 なんだろーこれ。社長願望……? ふふん、なんにしても悪い気はしないね。

 

『起きたか、ラグースよ。遅いお目覚めだな』

「おっはよー、良い天気だねぇ」

『……』

 

 大きなテーブルの前には大きな椅子があって、大きな人が座っている。

 あいにく暗いから手元や足くらいしか見えないけれど、親しい感じの人かな。話すのに苦はない。

 その人は伸びをしながらの私の挨拶に、すっと窓の方を向いて何か言いたげにした。

 宇宙だからいつだって夜だー、って? いいんだよこういうのは、私がいい天気だっていったらいい天気なの!

 

「というかー、ララですけど」

『ふん、どう呼ぼうが変わりはないだろう』

「変わるわよ、気分とか雰囲気とか」

 

 あと名前の可愛さとか。気にしてたもんね、あんまり可愛くない名前だったし。

 だから自分で戒名したの。安直? 悪かったねセンスなくて!

 

『どうだ。段々と活動時間も増えてきたようだな。なかなかに元気に見える』

「そっかなー。まあそうかも。いややっぱ違うわ、眼科いった方がいいんじゃない?」

『……』

 

 だって私、見たかったテレビ見れなかった感じで気分最悪なんだもん。あーあ、このご時世にただのテレビだよテレビ! 早回しとかさー、そういう機能ないわけ? 科学者無能・ザ・無能! 処刑!

 ふんっと息を吐くと、おっきな人はなよなよして落ち込んじゃったみたい。打たれよわ……強面が台無しである。やっぱ良い男ってのは細身で低身長で童顔で声高くて可愛い子じゃないとね。

 

「ふんふんふ~」

 

 窓の外を眺めつつ、テーブルに寄っていって、少し浮かんでワイングラスを手に取る。

 おっきな人がグラスにワインを注いでくれるのに、この人飲まないのになんで用意してるんだろって疑問に思いつつも口に運ぶ。

 芳醇な果実の甘みと、ほんのり酸味とアルコール。

 ああー、ぺっぺ! 私アルコール苦手なんだよね! ぺっ!

 

『おおお、お口に合いませんでしたでしょうか!!』

「合わなかったわ。次はもっと良い物選んでね?」

『はああっ!!』

 

 平身低頭震えるよくわかんない生物を見下ろして、でも一回口付けちゃったので一気飲みする。

 うえー、マッズ……なんで私ワイン飲んだんだろ。雰囲気かな。かっこいいもんね。

 

「だいぶん強くなってきたみたいね……」

 

 気のせいか体も熱くなってきたので、かけていたコートを床に落としつつ窓に歩み寄って見上げる。

 肉体的変化はまったくないけど、気の総量が恐ろしい程に上がっている。いったい何をどうすればここまで強くなれるのか……人間とは不思議な生物だ。

 

『お前の妹か』

「あん? あー、んー、んん」

 

 妹……妹……はて、おっきな人がなんの話をしているのかわかんない。

 けど、ニュアンスは伝わる。

 そそ、それそれ、って感じ?

 

 一人納得して頷いていれば、急に建物全体がズガンと揺れた。

 思いっきりつんのめっちゃって慌てて両手を振るってバランスを取る。

 

「どぁあっ、なになになに!?」

『いつもの襲撃だろう。まったく懲りん奴らめ』

「あー、なるなる。びっくりしたぁー……」

 

 ドキドキする胸を押さえて窓を見上げれば、確かに宇宙船的な何かがびっしり。戦艦的円板も発見。

 起きたタイミングでこれは良い。さっそく体がどんなもんか試してみよう。

 

「んっ……」

『ほう……?』

 

 気合いを入れれば、ぼうっと白い気が立ち上り、ぐんぐんパワーが上昇していく。

 それはスパークを帯びた赤に変わると、だんだんと紫に染まっていった。

 やがて気が静まって表には出なくなる。あるのは澄んだ気配だけ。いわゆるクリアな気というやつ。

 

「ふうっ」

 

 闇が溢れ出す。

 先程かぶっていたコートのように、クリアな……クリアでいて真っ黒な気が衣服を形成し、ドレスとなって身に纏わる。ゴテゴテのゴスロリ趣味というか、闇の女王って感じ。……王冠もついてるし。

 あ、やっぱヤなんだ、私。うへーって顔してるのわかるもん。シュミじゃないもんね、これ。

 それにところどころ肌が露出しててすっごい変態っぽい。誰だこんな衣装考案したのは!

 

『それが神の力か』

「そういうことよ。それじゃあ……片付けてくるわね」

 

 何やら船外でクウラ様の仇だのコルド大王の仇だの騒いでいる連中を使って慣らし運動をするために、長いマントを翻して歩み、自動ドアをくぐって隣の部屋へ。

 扉が閉まって密閉されたのを確認して、ハッチを開いて宇宙空間へ飛び出す。

 

「しゃ~らんら!」

 

 指を振るってきらめきを生み出せば、万の軍勢が爆ぜて消える。

 勢いあまって傍の赤い星も爆散したけど、誤差の範囲ね、誤差の範囲。

 だって思ってた以上にパワーがアップしていたんだもん。

 

「お掃除完了! こんなことやってる場合じゃないわ! 続き続きっと」

 

 しゃしゃっと船内へ戻って、大きな人との会話もそこそこに自室に戻り、鏡台の前に果実や飲料水を並べて視聴に入る。

 うすぼんやりと輝いて、鏡面を波立たせた鏡は、次第にこことは別の光景を映し出し始めた。

 

 

 

 

 ……。

 ぱちりと目を開くと、すぐ傍に大きな熱源を感知した。

 ついでにゴム気質な硬いプロテクターに、もさもさの髪!

 こりゃあラディッツだ、間違いないね。

 

「起きたか」

「おっはよー……」

 

 抱きかかえられる形でいる自分に疑問を持つも、降ろしてもらった時には消えていた。

 何せ武舞台が消えてなくなってたからね。それがあった場所には底が見えない大穴が空いていて大惨事。

 戦いの舞台を移した悟空さんとセルは、互いに一歩も引かない格闘戦で激しくやり合い、台風の目もかくやといった具合に風を巻き起こしていた。

 そうして優劣が拮抗したまま戦いは進んで……ついに、悟空さん全力のかめはめ波によってセルが消し飛んだ。

 

 やったぁ! 完全勝利!!

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……?」

「カカロット! 油断するな!」

 

 傍に立つラディッツが大声を発するのに、呼吸を乱す悟空さんもわかっているとばかりに小さく頷いた。

 上半身が消し飛んだセルの死骸は、それでもまったく気を減らしていない。

 ぐっと両足を上げたかと思えば跳ね起きて、ズビビッと体を生やして再生してしまったのだ。

 

「ウィローちゃん、どう?」

 

 頭を押して調子を確かめ、馴染ませているセルから目を離さず、ウィローちゃんがパワースカウターを発動させるのを待つ。

 電子音が響いて、それからウィローちゃんは神妙に頷いた。

 

「数値に変動はない。多少消耗しているが、奴のパワーは大きく増えてはいない」

「そっかぁ……」

 

 懸念が晴れた。

 原作じゃ軽く流されていたけれど、あれ程損傷してしまったらサイヤ人の特性が発動してパワーアップしてしまうんじゃないかと思ってたんだけど……どうにも変わりはないみたい。潜在能力までを見抜くウィローちゃんのパワースカウターが言うんだから間違いない。

 

 あれかな、頭にあるという核以外が粉々に砕け散るほどでないと瀕死と判定されないとか……?

 だとしたらそれは私達にとって良いニュースだ。悪いニュースは、奇襲を受けても核の位置を素早く移動させられるっぽいって事かな。それも一片残らず完全に消し飛ばしてしまうんなら関係ない。

 

 それにセルは、今の再生でかなりの気を消費した。もうフルパワーを発揮する事は難しいだろう。なれて数分から数十秒だと思われる。

 だから、タコ殴りにするのはここだ、とみんな構えたのだけど──。

 

「フッフッフ……さあ孫悟空、お前も……仙豆を食べるがいい」

「なに……!?」

 

 するりと尻尾を伸ばして尾を上向かせたセルは、そこからプッと何かを吐き出して掴み取った。

 紛れもなく、それは仙豆だった。即座にそれを口に含め、体力を完全に回復させてしまったセルが得意げに言うのに、悟空さんが慄く。

 

「おめぇ……そいつはどこで」

「当然、カリン塔だ。……安心するといい、有象無象など眼中にはない。これさえ手に入ればなんの問題もなかったからな」

 

 カリン様やヤジロベーの心配をしたのだろうけれど、セルは手出しはしてないと言った。

 それは良かったけど……でも、仙豆なんていつの間に取りに行ったんだろう。姉妹達からはセルがここを離れたという報告は上がってない。瞬間移動が使えるのはわかっているから、少しの間でも姿を消せばシスターズは認識するはず……。

 

「私がカリン塔に向かったのは、この場所へ来る前だ……そして仙豆を手に入れた。孫悟空だけならばまだしも、この後にはナシコも控えているのだ……当然の用意だよ」

 

 私へ不敵な笑みを向けるセルに、構えを緩くして、やがて解く。

 まだ私達の出番ではないみたいだ……。

 

「私が思うに、孫悟空。お前とナシコの実力は現在互角と見た。だからこその手段だ……私はもっともっと戦いを楽しみたいのだ。こいつはお前達も用意しているものだ、文句はないだろう?」

「……ああ、文句は言わねぇさ。おめぇが何も傷つけてないとわかって安心した。よし、それならオラも遠慮なく使わせてもらおうかな……クリリン! オラにも仙豆を!」

「お、おう!」

 

 手に持つ袋から仙豆を取り出したクリリンが投げれば、受け取った悟空さんがそれを食べ、即座に気を解放してフルパワーになる。

 巻き起こる突風にますます笑みを深くしたセルもまた、腕を広げて力み始め、どんどんパワーを上げていった。

 

「はあっ!!」

 

 ほんの数秒でこちらもフルパワーに達したセルに、悟空さんは身動ぎだけで反応した。

 

「やはり……! マズいぞ、悟空のパワーが完全に負けている……」

「と、とんでもない奴だぜ、セルってのは……!!」

 

 悟空さんとセルの最大戦闘力の差は、数値にして2500万ほどだ。

 私達の戦闘レベルが億に達している現状、その程度の差ならば覆せそうなものだけど、やはり1000万単位というのは大きい。

 先程の互角に見えた戦いにもそれは現れていた。セルは、まったくの余裕さで悟空さんを相手取っていたのだ。

 

「孫悟空、小手調べはもう終わりだ。貴様を(くだ)し、ナシコをも倒してやる……この私が、宇宙で最も強い生命体だと証明する時が来たのだ……!」

「へっ、さすがに強ぇな……」

 

 力量で上回られているのがわからない人じゃないはずなのに、彼は笑っていた。

 ようやっと気が晴れてきたんだと思う。なんにも気にせず戦いに集中できる自然体に戻って……でも、セルは勝負を決めようとしている。

 ここからの悟空さんの役目はセルの体力をできる限り削ることだ。……仙豆を隠し持ってたんじゃ意味ないかもしれないけど、回復さえ阻止できるならやる価値はある。問題は、そんな捨て石みたいな戦い方を許容できるかってことだ。悟空さん自身も……私達も。

 

「やっぱこれしかねぇか」

「……?」

 

 負けが確定した試合であるとはセルも理解しているのだろう、ゆったりとして構え、そして悟空さんの言葉に怪訝な顔をした。

 顔の前で腕を交差させた悟空さんが、限界以上に気を高める。

 

「いくぜっ! (スーパー)界王拳!!」

「なに!?」

 

 ババッと腕を広げれば、黄金の気が赤い炎に塗り替わり膨れ上がる。

 あの技は、あの世で使うはずの……!

 まさかこの場でその手を取るとは思わなかったけど……悟空さん、自分の手でセルを倒すつもりなんだ……!

 とにもかくにもこれで気の総量だけでいえば悟空さんはセルを上回った。

 

「そ、その技は……!」

「ああ。ナシコが使ってたんと似たようなもんさ。今おめぇが見抜いた通り負担も大きい……一気に決めさせてもらうぞ!」

「フン、それが貴様の奥の手というわけか。だが……深紅に染まる段階まで至れていないのならば恐れる程ではない!!」

 

 幾度目のぶつかり合いか、拳同士をかち合わせた彼らは、見た目の上では拮抗していた。

 だがすぐに差が出てくる。お互いが決める気でいるからか、繰り出されたパンチが噛み合う事は少なくなって、徐々に悟空さんが押し始める。セルが放つパンチより多くの拳が飛んで、セルが受ける攻撃より多くを防いでみせる。

 

 ひっきりなしに空間が揺るがされて、びりびりと服が震え、貫通して肌まで震える。

 一度は引いたと思った具合の悪さが戻ってくるのに、無意識に後ろに手をやって椅子を探してしまった。

 残念ながら椅子はもうどこかに吹き飛んで行ってしまったみたい。それを貸してくれたスタッフさんは、遠くの岩の影でサタン達と一緒に丸まってこらえている。

 

 ……そういえば、いつの間にか帽子もなくなっていた。せっかく作ってもらったの、可愛くて、お気に入りだったのに……。

 

「っ……」

 

 上下に揺れる地面に膝から力が抜けて倒れそうになったので、ラディッツの腕に縋ってこらえる。こいつ杖にしよ……うー、吐き気がするかも……横になりたい。

 

 この広い地区を戦いの舞台に暴れ回る二人は、時に遠方に、上空に、そしてすぐ近くに現れては殴り合う。

 目の前でかち合う拳にびっくりして目を見開いた時には、すでに二人は空の彼方だ。 

 

「ずああ! ぬ!!?」

 

 気合一声(きあいいっせい)、砂ぼこりを上げて地上に現れたセルが同じく出現した悟空さんを殴り抜き、残像を捉えるのに滑る。

 ぐるりと背後へ視線をやったセルが思い切り腕を振りかぶる。

 

「そぉこだっ!!」

 

 数メートルの長さで空間を穿つパンチは、またも残像を突き抜けた。二重残像拳。セルの背後──最初の残像があった場所にそっくりそのままの姿で現れた悟空さんは、腰を落とし、腰元まで引いた拳に手の平をかぶせる形で構えていた。

 

「はあっ!」

「ぬぐ!」

 

 正拳一打。握り拳が振り返るセルの脇を打つ。歪む表情へ向けて二本の指が鋭く向かうのを、これをセルは体勢を崩すようにして避けた。

 

「……!!」

 

 落ち行く体が不自然に停止する。自在に空を飛べる彼らにあまり体勢を崩すという概念は通用しないのだけれど、今この時ばかりは……眼前に手の平をかざす悟空さんが相手では、セルの動きは悪手だった。

 

「はっ!!」

 

 気合い砲に顔面を弾かれて乱回転したセルの体が地面を滑っていく。そのうちに回転数を増してアクロバットな動きで立ち上がると、口元に垂れる血を乱暴に拭う。

 

「ジャン拳とは、また古い手を使うな」

「意表はつけたろ?」

 

 セルは完璧だ。技もパワーもスピードもバランスが良く、戦い方も堅実で、目と気で探る技術を使い分けて相手を捉えている。

 でも経験は悟空さんの方が圧倒的に上だ。戦闘力でも上回っている今、本当に悟空さんがセルをやっつけられるかもしれない。

 固唾を飲んで見守る。……私達の出番が無くなるなら、それが一番いい。

 

「だああ!!」

「!」

 

 セルの姿が掻き消えた、その瞬間に空中から撃ち落されたセルが上体で地面を削り進む。

 この私にも移動するのが見えなかった……瞬間移動だと思う。

 その瞬間移動をしたセルを、同じく瞬間移動で追った悟空さんが叩き落としたんだ。

 

「げほっ! ごほっ!」

「む、大丈夫か、ナシコ!」

「ぅ、ん……平気」

 

 二人が激しく動き回っているから、が原因ではないのだろうけど、咳込んでしまうのに手の平で押さえてガードする。しまったな、マスクなんて持って来てないよ……はしたないけど、手で押さえるしかない。

 

「…………」

「え……? お父さん、こっちを見て……?」

 

 悟飯ちゃんの声に、咳込みながらもなんとか視線を向ければ、悟空さんは起き上がるセルではなくこちらを見ていた。はっきり私を見ているのがわかる。息が上がってて、上下する肩に苦し気な表情。

 目が合えば、にっと深い笑みを浮かべた。

 その意図はわからない。ただ、安心させるように笑いかけられて、ほっと……胸が温かくなったのは事実で。

 

「もいっちょ(スーパー)界王拳(かいおうけぇん)!!」

 

 ドン、と地表が揺れた。

 ああ、きっと。

 悟空さんは、私が不調だから、ここでセルを確実に倒すために無理をしたんだ、って……なぜだかわかってしまった。

 

「な、ま、まだ上がるだと!?」

「だぁらぁ!」

 

 さらに数倍肥大する炎に、咄嗟に飛び上がったセルが先の焼き直しのように叩き落とされた。

 

「か、め、は、め!!」

「ぐぐっ、馬鹿な! そんな位置からそのパワーで、貴様にかめはめ波など撃てる訳が……!?」

 

 二度目ともなると着地は容易いらしく即座に体勢を立て直したセルは、見上げた悟空さんが腰だめに光球を生み出すのに驚愕を露わにした。

 どよめきが起こる。あの角度で撃たれたら、セル諸共地球まで爆散しかねない。

 ブラフか!? だがフェイントにしては気を溜めすぎている!!

 誰もが声を抑えられず真偽を問うように声を発する中で、私は、もう一回瞬間移動かめはめ波をやるのかなって思って──みんなの反応で、そもそもまだその技は披露されていないのだと気づいた。

 

「波ぁあああ!!」

「しまっ──!?」

 

 立ち上がった直後に合わせられた瞬間移動かめはめ波は──セルの眼下に現れた悟空さんの、意表を突くパワープレイによって成された。

 二度目、だ。セルが上半身を消し飛ばされたのは。

 

「ぎっ!」

 

 地面に落ちる下半身へ腕を向けた悟空さんが、こめかみに血管を浮かせるほど力んで追撃を放つ。放たれた光弾が地面を穿って爆発させて、舞い上がったセルは、空中の半ばで上半身を生やして四肢で着地した。体液か何かがビチャビチャと四散する。

 

「はあっ、はあっ、く、くそっ……が!」

「はあ! はあ! はあ!」

 

 火が消えるようにその身に纏う気を失ってしまった悟空さんが膝をつく。

 お互いに体力の消耗が凄まじいらしく、そしてセルが再び仙豆を取り出す素振りはなかった。

 一粒しか持ってなかったのかもしれない。それなら──後は私達が弱ったセルを完全に倒してしまうだけ。

 瞬間移動で逃げる事はできない。悟空さんもいればウィローちゃんもいるから、ああ、これで──。

 

「っ、ぁ」

 

 立ち眩みがした。

 万華鏡のような視界に吐き気が強まって、四肢の感覚を失いふらついてしまう。幸いラディッツが支えになってくれているから倒れてしまうようなことにはならなかったけど、上手くスイッチが入らない。気を引き出せない。それに焦る。

 

「ばうっ!」

 

 吠えるようなセルの声に、かなり高密度の気の塊が放られたのに気づく。なのに顔を上げられない。体のそこかしこで起きる不調に背中は丸まっていくばかりで……。

 緩やかに空へ昇るそれはやがて半円を描く軌道で落っこちてくる。まっすぐ、私へ向かって。

 

「ちっ!」

「はああっ!!」

 

 周囲で次々に黄金の光が噴き上がり、斜め前へ出たウィローちゃんもまた気を全開にしていた。

 そうして全員が迫りくる光弾へ反撃の気弾を撃ち、爆発させた。

 私達が襲い掛かってくる事を恐れたセルの悪足掻きは無意味に終わった……らしい。そこまでパワーが落ちていたんだ。

 

「野郎、無茶苦茶しやがって……!」

 

 驚くべきは、ベジータも合わせてくれたこと、だろうか。

 みんなが不調の私を庇うように囲んで立っている。それが申し訳なくて──っ!

 

「げほっ、えほっ、ぐ、ふ……!」

 

 もくもくと広がる煙に辺りが薄暗くなり、何か気管に入ってしまったのかごほげほと激しく咳込んでしまう。

 自分じゃどうしようもない。止められないそれに生理的な涙まで出てきてしまう。

 

「ナシコちゃん、大丈夫かい!?」

 

 蹲って背を丸める私へ、腰を屈めて後ろから話しかけてくれるトランクスに、咳のために言葉を返せないまでも何度も頷いて肯定を示す。平気……こんなの大したことじゃない。ほら、ちゃんと立ち上がれるしっ……。

 足に、全身に力を籠めて立ち上がったところで肺を刺すような痛みがあった。

 

「げほっ、げほ、んぐっ!」

「……! 危ないからオレ達の後ろに下がっ」

 

 数瞬、音が消えた。

 真横を突き抜けていく光の線が数本の髪を消滅させ、聞こえるはずの音までを奪った。

 

「……、……なんだ、当たったのは……トランクスか」

 

 ……え?

 

「ガハッ……!?」

「と、トランクス!?」

 

 ドサリと倒れ込む音に振り返れば、仰向けに倒れたトランクスが血を吐くところだった。胸に大きな穴を開けて、それが致命傷なのだと一目でわかった。

 ──今の攻撃は、私に向けられていた。でも、私が咳込んでいて、彼が背を撫でるように背後に立っていたから……代わりに?

 

「セル!!」

「うん?」

 

 一気に晴れていく煙の向こう側から飛び出してきた16号がセルに組み付く。

 寡黙な彼の表情は怒りに染まっているようで……何がなんだかわからない……。

 なにが……なにが、起こって……?

 

「どうした、16号。21号を吸収したのが、そんなに癪に障ったのかな」

「セル!! 貴様をこの世に一片も残しはしない……オレと共に滅びるのだ!!」

「!」

 

 直後に起こった事を理解するには、だいぶん時間を要した。

 視界いっぱいに光が溢れて、それがいつの間にか収まっていて……。

 

 16号が自爆したからだと、その衝撃をみんなが気のバリアーを張って防いだからだと、一連の出来事はゆっくりと頭に染み込むようにして理解できた。

 もしもセルが自爆した場合の対処とも言えない対処法が、こんな形で役立つなんて……。

 

「……どうやら無駄な足掻きだったようだな」

 

 余裕綽々として、輝くセルは立っていた。その身にスパークを纏い、幾度も散らしながら。

 咄嗟に悟飯ちゃんを見る。彼は──険しい表情をしていた。その怒りが限界を超えているなんてことはない。変化は、起きていなかった。

 

 あ……。

 私、なにを。

 悟飯ちゃんを戦わせないって考えてたくせに、今、悟飯ちゃんが怒ってるかを確認して……?

 

「技、頭脳、スピード、パワー。これが全てにおいて完璧(パーフェクト)な姿だ……!」

 

 突然の事態と知っている展開とのあまりの齟齬に混乱から立ち直れない。痛む胸を押さえて、呼吸もままならないままパーフェクトのセルを見据える。

 なんで……? その姿は、彼にとって思いがけない想定外の変化のはず。大きく傷ついてから復活した姿のはず。

 その何もかもが起こっていないのに、なんでパワーアップだけが都合良く……!?

 

「くっそぉーーーーッッ!!」

 

 天へ叫んだベジータが飛び出すのを、誰も止められなかった。

 怒りを宿して超サイヤ人へと変身した彼が一息にセルとの距離を詰めて殴り掛かる。同時に、パワーがガタ落ちしていながらも変身が解けていない悟空さんが息を合わせた攻撃を仕掛けた。

 

「フン」

「ぐっ!?」

「ぐああ!」

 

 ほとんど同時に二人が拳を撃ち込まれて急停止させられる。そのまま胸倉を掴まれた悟空さんとベジータはお互いをぶつけ合わされて、動けなくなってしまった。

 

「あ……!」

 

 辛い喉から声を絞り出す。

 二人ともがあっさりと敗れてしまった。

 だから私、こんな風に病人ぶっている場合じゃない。戦わなくちゃいけないのに……!

 無理矢理つばを飲み込んで呼吸を正す。未だセルに持ち上げられたままの二人を救うべく背を伸ばして……!

 

「勝負あったな」

 

 勝ち誇るセルの声に、湧き上がる怒りを力に変えて構える。

 何が勝負あった、だ。悟空さんは負けない。私達だって負けはしない。

 負けるのは、お前の方だ!

 

「孫悟空もベジータも、トランクスも倒れた。ナシコも……その様子では到底戦えまい。まいったな……セルゲームは早くも決着というわけか」

「ばか、言わないでよ……次は、私が相手、だ……!」

 

 心と体を奮い立たせたはいいものの、相変わらず胸は苦しいし、息はしづらいし、頭は重いしで最悪だ。

 それでも私が戦わなくちゃいけない。私が、やらないと。

 

「ほう? そんなありさまで何ができるというのだ」

 

 知んないよ。やってみなくちゃわかんない。

 ルージュは……うん、維持できてる。でもその程度の戦闘力じゃどうしようもない。

 スパークリングに移行したいんだけど……ああ、くそっ……苦しいなあ。

 

「み、み、み、ミスターサタン! 今こそ再びあなたが立ち上がる時では!?」

「え!? そ、そーかな……? そーかも……! よ、よし!」

 

 ザ、と靴音がした。

 横に並んだ気配に目を向けて、寸前に前へ歩み出てしまうその背中を目で追う。

 マントを脱いだ悟飯ちゃんが、紫の衣服を波立たせて立っていた。

 

「悟飯、ちゃん……けほっ、だ、だめだよ? お姉ちゃんに、まかっ、くふ、まかせてね……!」

「……」

 

 半歩、よろめくように前へ出て声をかけたのに、悟飯ちゃんは返事をしてくれなかった。いつも朗らかに、笑顔と一緒にお返事してくれるのに……。

 それが拒絶のように感じられて、血の気が引く感覚がはっきりとした。

 

「なんだ、孫悟空の息子か。まさかお前のような子供が私と戦うつもりではないだろうな?」

 

 左右へ戦士を放ったセルが腕を組んで問うのに、悟飯ちゃんは答えなかった。

 ただ前へ出て、次に戦うのは自分だという意思を示して、その後は、セルを無視して振り返った。

 

「ボクがやります」

「だ、だめ!」

 

 それはだめ! だって、だって、あの……!

 お、お母さんだって悟飯ちゃんが戦うのは嫌だって、そう言ってたんだよ……? 戦っちゃだめなんだよ……!

 お姉ちゃん、頑張るから! こんなのどうってことないんだから!

 

「お姉さんがボクの事を想ってそう言ってくれているのはわかります。でも……」

 

 ぐっと拳を握った悟飯ちゃんに、あっ、て声が漏れた。

 だって、その表情は、子供とは思えないくらいに凛々しくて。

 ナメック星で見た、金の光に包まれた悟空さんにそっくりで。

 私は……何も言えなくなってしまった。

 

 完全に私に向き直った悟飯ちゃんが、肩に手をかけてくるのに、ゆっくりと息をする。

 

「こんなに苦しんでるお姉さんに任せてまで、戦うのが嫌いだなんてわがままは言えません」

「……ぅ」

 

 それは、結局私のせいってことだ。

 私がこんなだから、悟飯ちゃんは嫌なのに戦わなくちゃいけなくなって。

 なんで私、こんな、意味わかんない気持ち悪さに負けてっ、こんな体調不良さえなければ悟飯ちゃんは──!

 

「戦いたいんです」

 

 震える体を抑えるように肩を握った悟飯ちゃんが、言い聞かせるように告げる。

 好きじゃないのは変わらない。でも、守りたいんだ、って。

 

「地球も、みんなも……お姉さんのことも。……だからボクがやります」

 

 戦わせてください、なんて頼まれちゃったら、私にはもう何も言えないよ。

 今だって、私が頑張るから下がって見ててって言いたい。無理にヤなことする必要なんてないよ、って……だって、そのために私、強くなったんだから……!

 強くなったのに、なんにも変えられないんじゃ、守れないんじゃ、意味ないよ……!

 

「そいつの言う通りだ。ちったぁオレ達に守られとけよ」

 

 ぽん、と頭に手を置かれるのに見上げれば、ターレスがいた。

 悟空さんとそっくりなのに、どこか野生的な顔立ちで……だけど今は、なんだかとても優しい顔をしていた。

 悟空さんとは違う種類の表情。私にだけ向ける特別な……。

 

「お父さんやナシコさんが言っていた、ボクが一番強いって言葉の意味、なんとなくわかるんです」

 

 声に引き戻されて、悟飯ちゃんと目を合わせる。

 親しい相手なのに、それでも私は少しだけ目を逸らしてしまった。真摯に向けられる目の輝きが、怖かった。

 ……怖いとか、そんなんじゃない。ただ、引け目を……ううん、…………ううん、なんて言ったらいいのか……。

 

「その力を発揮できれば、きっと勝てます!」

「悟飯……」

 

 幼い頃からの、彼の特性。怒りの発露による戦闘力の急激な上昇。

 それを理解して、組み込んで、戦いに挑もうとする彼に、名前を呼んだのはピッコロさんだった。

 私の肩越しに視線を向けた悟飯ちゃんが力強く頷く。

 

「さっきから黙って聞いていれば、孫悟空やナシコよりも強いだと? 怒れば、この私を倒せるだと? 笑わせるな。だが……もうどいつも私の相手にはなりそうもない。ここは一つ、遊んでやるとするか……」

 

 くつくつと笑って構えもしないセルの前へ、三人の戦士が歩み出る。

 悟飯ちゃん、ラディッツ、ターレス。

 いずれも超サイヤ人。だけど……力の差は歴然だ。

 ……それでも悟飯ちゃんが真の力を解放すれば、パーフェクトだろうとなんだろうとあっさりやっつけられるのはわかってる。

 ……わかってるけど……。

 

「三対一か。それでも戦いになるとは到底思えんのだがね」

「大口を叩けるのも今の内だぞ?」

「舐めてんじゃねーぞ……サイヤ人をよォ」

 

 また私は外されて、セルと対峙する三人を眺めるだけの観戦者になってしまった。

 力を解放する三人に、笑みを深めて組んでいた腕を解くセル。

 

「行くぞ、セル!!」

 

 先頭に立つ悟飯ちゃんが気を充実させて構える。

 やがてぶつかり合う両勢の様子は、先程の悟空さんとセルの、そのままだった。




TIPS
・孫悟空(超界王拳)
悟飯に戦いの行方を託そうと思っていた折
ナシコに頼まれて自らが決着をつけられるならばつけようと決めた悟空が取った手段は
ナシコを参考にする事だった
種族は違うが同系統のパワーブーストを得意とする戦士だ、自ずと辿る道は似通ってくる
超化50倍12億に基礎戦闘力×1.5倍=3600万を加え、12億3600万。完全体のセルを1100万上回っている
10倍超界王拳では14億4000万

・セル(パーフェクト)
21号を吸収し、基礎パワーを高めた姿
結果的にさらに壁を突破してしまった、セルの奥の手
2450万+1000万(2億の1/20)=3450万
超化50倍17億2500万 超2化60倍20億7000万

・超2化の倍率
超全集の設定では超サイヤ人2の強化倍率は100倍
本作ではかつての非公式wikiに則り、インフレを抑えるために
倍率を60倍とする

・孫悟飯(超サイヤ人)
父が傷つき倒れ、親しい姉もまた不調をおして戦おうとしている
守られてばかりの自分に怒りを抱き、にわかに戦闘力が上昇を始めている
超化54倍で12億4200万



・ララ・ラグース
夢の中でナシコがロールプレイしていた人
容姿はお姉ちゃんそっくりだ
つまりナシコ(大人)にそっくりだ

・おっきなひと
夢の中とはいえナシコに振り回されるとは相当な苦労人だろう
死後天国に行けるのは間違いない

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