半分寝た状態で投稿したらしく、無理矢理感が拭えない感じになってますが、コレから頑張ってやります。
弓兵の方は今後の展開がうまくいかず、悩んでるのでしばらくお休みです。
全然詳細な設定が見つけられないので、イロイロ独自設定が多いですがご了承ください。
「……ねぇ、起きなよ火神。終わったよ?」
プレゼント・マイクによる入試実技試験の概要説明が終わり、頼まれた通り響香は爆睡している火神を揺さぶって起こす。
「……おはようすみぃ」
「オイ寝るな」
流れるような二度寝に乙女らしからぬツッコミをしてしまう響香。
「……ナイスツッコミ」
「うるさい!ほっとけ!」
「ごっめんね!」
「えっ何そのテンション……」
「ごめん」
見ていて気持ちいいくらいの爆睡だったが、火神はまだ眠いのか目が半分閉じている。響香はまた寝ないようにぺしぺしと火神の肩を叩く。
「寝坊するくらい寝て、まだ眠いの?」
「そもそも今回夜寝てるってことが異常だからね。ほんとなら夜寝なくていいんだけど」
「個性?」
「そんな感じ。昼は調子が出ないんだ。夜行性なんだよ僕」
「えっじゃあいつ寝てるの?寝なくていいわけ?」
「基本は日中寝てる。まぁ寝なくても行けるけど、寝といた方が楽だから。今回はとくに疲れてたから、夜だけど寝たんだ。疲れててね、昼も寝れなかったし」
寝ぼけ眼で簡単に説明されたそれに、響香はすこし驚いた。なぜなら、眠らない個性なんて聞いたことがなかったからだ。響香もヒーロー志望のはしくれ、プロヒーローの情報も結構知っている。しかし、ヒーローにも、数人しか知らないサイドキックにもそんな個性の人物はいなかった。
「へぇ、珍しい個性じゃん」
「まぁね、絶対に同じような人はいないからね。で、山田……プレゼント・マイクは何て言ってた?」
「山田……?まぁいいや。プレゼント・マイクが言ってたのは、コレから『A~G』のグループに分かれて模型、大きさはそのままだけどね、の街で仮想ヴィランのロボットを破壊してポイントを競うんだってさ」
「グループに分かれるのかい?」
「そう。受付でもらったアルファベットの書かれた青いプラのカードあるでしょ。そのアルファベットに対応するゲートの前に集合する。時間までにゲート前にいなかったら失格だとさ」
「ヴィランの特徴は?」
「四種類で、0から4ポイント。0ポイントは後半に出てくるお邪魔虫、らしい。10分後開始、制限時間も10分間、受験した人の中で上位四十名が合格する。ていうか、入試要項に全部書いてあるじゃん。見てないの?」
説明し終えてか、そのことに思い至り、すこし響香は火神を睨見ながら聞いた。
「見てないし、持ってきてもないよ」
「会ってそこまで時間経ってないけど、アンタがアホの部類に入ることは解ったわ……。はぁ、んで、アンタはどこ?」
そう言って、響香は自分のカードを見せる。
「ウチは『C』だけど」
「僕は『H』さ」
「は?」
演習場は『A~G』なのに、『H』という存在しない演習場が自分の会場だと言った火神をいぶかしげに見る響香。
「ナニソレ、『H』なんてないけど?」
「事情があってね、別のところで受けなきゃいけないんだ」
「ふーん……」
響香は何か聞きたそうにしていたが、聞ことはしなかった。
「ま、『H』がどこか知らないけど、いいや。合格したら、その事情、教えてよ。できる範囲で良いけど」
「解った、合格したらね」
「それじゃ、ウチはもう行くから、アンタもさっさと行きなよ。試験ガンバ」
「ありがとう、響ちゃんも頑張って」
響香はヒラヒラと手を振りながら、説明会場から出て行った。
「……めんどいけど、頑張るかぁ」
火神も椅子から立ち上がり、説明会場をあとにする。通常の演習場と反対の方向に歩いて行くと、コロッセオのような円形の建造物と、その扉、そして一人の男が立っているのが見えた。
「よぉ火神。調子はどうだ?」
「やぁ我が従兄弟。調子はサイアク。でもそれは肉体的な話で、精神的には上々」
「そりゃあ良かったな」
黒い服に包帯のような布を首に巻き付けていて、ボサボサの髪に無精髭を生やした彼は相澤消太、個性《抹消》。ヒーロー名、イレイザーヘッド。彼は火神の従兄弟である。相澤の父親と火神の父親が兄弟なのだ。
「すぐ始めるぞ。内容は解っているな」
「もちろん」
「なら良い、10秒後に開ける」
言うことを言い終えた相澤は扉の開閉係にトランシーバーで合図を出す。
「10秒後に開けろ」
『……了解』
「火神、よい受難を」
「はーい」
相澤は火神に一声かけ、演習場をカメラを通して見れるモニタリングルームに戻っていった。
「さっさと終わらせよーっと」
扉がゆっくりと開いていく。扉の周りには誰も居ない。火神は一人で受けるのだ。
『……ハイスタァトォ!!』
急にがなり立てるスピーカーにに向きもしないで、火神は緊張など微塵もせず、ちょっとコンビニ行ってくる、くらいの足取りで扉の中へと入っていく。
『ほんとにダイジョブなんすかぁ?コイツは』
モニタリングルームに、監督役のマイクの通信が入る。火神が一人で受けることについて、椅子に座ったネズミ、根津校長に聞くためだ。
「大丈夫だよ。むしろ一般入試に混ぜちゃダメさ!個性詳細も経歴も見ただろう?良くも悪くも、彼は特別さ!」
『そりゃ、そうですけどねぇ……。試験内での特別措置をとる必要があるって言われてもどうも想像出来なくて』
マイクの疑問に、部屋にいる教師の大半が頷いて同意を示した。それに答えようと校長が口を開いたが、答えたのは校長ではなかった。
「もっともな意見だが、心配無用だ。あいつは強い」
相澤だった。普段全くといっていい程褒めない相澤がはっきり『強い』と言いきったことに、マイクや、相澤と交流がある教師は目を見開いた。
『オイオイオイオイ、マジかイレイザーヘッド!お前がキッパリ言い切るって、相当なことじゃぁねえか!』
「うるさいぞマイク。やり方こそ褒められたもんじゃないが、控えめに見ても、あいつは既に日本中のヒーロー達と比べても戦闘能力が高い。それに加え周辺への配慮、非戦闘員保護の手際なども下手なヒーローよりも信用できる。法律が邪魔しているが、筆記試験の勉強をさせれば今すぐにでもヒーロー免許を取れる」
『……お前、ホンモノ?』
驚きすぎておかしくなったマイクはほっといて、相澤はモニターを指差す。
「1ポイント50体、2ポイント40体、3ポイント30体、全体の2/3を倒すと出てくる
モニターを見るよう促されて、相澤の指先のモニター、演習場『H』のモニターを見ると・・・。
「このとおり、すべて行動不能にできる」
〈All destroyed〉
同時に出てきた0ポイント2体の真ん中まで跳躍し、そのまま空中で
『ハァァン!?ウソだろ、まだ3分だぞ!?全破壊ィィ?いくらなんでも早くねぇか!?』
「……いやいや、ビックリだよ。ここまでとは思わなかった。ねぇ、オールマイト?君もそうだろう?」
「はい。まさかここまで速く、正確で、圧倒的だとは……」
相澤を除き、オールマイトでさえ驚愕した。入試用とは言え、ロボットは弱くない。なのに120体を3分で片付け、0ポイントを一瞬で撃破するとは、今の弱体化したオールマイトでは、絶対できる!とは言いきれない偉業だ。
「しかも、コレで全力ではないと……」
「そう、紫賀クンの個性《転化》は、言ってしまえば吸血鬼。日中、とくに太陽に当たっていると弱体化する。身体能力はもちろん、再生や、血を操ること、身体の形状を変化させることもやりにくくなってるだろうね」
火神が日光が嫌いな理由はそれだ。自分の身体に悪影響があるから当たりたくないのだ。
「イレイザーヘッド、この子どうやって全部倒したの?0ポイントの間に行くまで、スタート地点から動いてないけど……」
ミッドナイトが巻き戻して見ていて、気づいた点を相澤に聞いた。
「……靴を履いてるか?」
「靴?はいて……ないわねこの子」
何当たり前のことを、と言おうとしたミッドナイトだが、履いていないことに気づいた。
「なら、素足でそこらへんの石を踏んで、そこから血の網を地面に張り巡らせたんだろう。ロボットが街中に張り巡らされた血を踏めば、瞬時にそれが伝わって、あいつはそこに血の槍を打ち立てる。そうやって索敵と攻撃を同時にやったんだ。3分間は、演習場全体に血の網が張られるのにかかった時間だ」
「なるほど……その要領で0ポイントも位置を事前に知ることができて、出てきた瞬間の一番無防備なところを大技で狙えたっていうことね」
ミッドナイトだけでなく、ここにいる全員が感嘆の息をもらした。
『ところでその《大技》の変な色の炎、ありゃなんだ?』
「本来回復に使うエネルギーを燃料にして、
『ウッヒョー、個性カンケーねぇじゃん!器用だねぇ……ン?なんで俺の名前罵倒みたいに使われ……』
「それじゃ、彼は予定どうり、『特別待遇』で
「了解しました」
「任せてください!教えること、あるかなぁ……」