――――――あるところに、一羽の鳩がいた。
彼はある人に仕えていた。彼は占星が得意だった。だから彼は、仕えていた主から星と星座の運行を任せられていた。
あるとき彼は、主が愛していた者達に占星術を教えた。彼もまた、主と同じようにその者達を愛していたから。
◆◇◆◇◆◇◆
「コカビエル、僕の聖魔剣であなたを滅ぼす!――もう誰も失うわけにはいかないんだ!」
そう言葉を放ったのは、容姿端麗な金髪の青年。その手にはまるで聖と魔を体現したかのような剣が握られている。
「ふむ、聖剣と聖魔剣の同時攻撃か。なかなか面白い見世物ではないか。さぁ来るがいい!私を倒すのだろう!?」
その言葉へと返したのは若い男の姿をした堕天使―――コカビエル。くせ毛なのかくるくるとした黒髪。しかし、その
青年―――木場祐斗は、聖剣デュランダルを持つ女性―――ゼノヴィア・クァルタに合わせるようにして斬りかかった。
だがコカビエルは光の剣を作り出し、二人の剣を難無く往なしていた。
「そこ!」
コカビエルの後方から小柄な白髪の少女(これでも高校1年生である)―――搭城小猫は『
「甘い。殺気が漏れ出ているぞ?」
コカビエルは身体を横に倒してそれを避け、その背にある5対10枚の烏の様な翼を
「小猫ちゃん!」
「それ、余所見は死ぬぞ!」
「があッ!」
仲間に一瞬だが注意が向いた祐斗は聖魔剣を盾にするが、コカビエルの音速を超える強烈な蹴撃に成す術も無く砕け散り、その強靭な蹴りは勢いが衰える事も無く祐斗を蹴り飛ばす。ゼノヴィアも剣を振るうが、コカビエルの曲芸師の様な動きに翻弄されて一撃を受けてしまい、衝撃で弾き飛ばされる。
「興覚めだ。魔王の妹の眷属と、デュランダルの使い手だと思って
――――――勝てない
そんな言葉が脳裏をよぎった。圧倒的な実力差。どこか心の底で慢心があったのだろう。『
ところが、コカビエルは自分達よりも遥か上の次元にいるではないか。見くびっていた。コカビエルと言う存在を。
「嗚呼、失望したよ」
その言葉の棘が心に刺さり、そして先程魔方陣に消えた筋肉質の初老の男―――バルパー・ガリレイが仕掛けていった、この駒王町を破壊する術式によって焦りが生まれる。
「クソッ、あのムキムキジジイ…!」
祐斗と同じ事を考えていたのか、そう悪態を吐くのは『
それは先程消えた祐斗の復讐の対象であるバルパーに向けて放ったのだろう。
駒王町を破壊する術式を仕掛け、5つの聖剣を統合し、一誠と小猫を同時に相手取りながら自らの聖剣への愛を語るだけ語り、その挙句には祐斗の聖魔剣を見て何やらぶつぶつと呟きながら魔方陣でどこかに消えたのだから、一誠達の嫌悪の対象になるのも頷ける。
「…しかし、仕えるべき主を亡くしてまで、お前たち神の信者と悪魔はよく戦う」
「………どういう事?」
突然放たれたコカビエルの謎の言葉に対して、紅髪の『
「ああ、すまない。お前たちの様な下の者たちまでは
2000年前のあの戦争で死んだのはルシファー、ベルゼブブ、レヴィアタン、アスモデウスの四大魔王だけではない。
「「「「「「「ッ!?」」」」」」」
その場に驚愕が走った。
聖書の神が死んだだと?あり得ない。何を言っているのだあいつは。
そして、その心を読んだかのようなタイミングでコカビエルは決定打となる言葉を放った。
「私は実際に、父の死の瞬間を目にしたぞ?虚偽だと?違う、断じて違う。占星の堕天使の名に誓ってもいい」
衝撃だった。悪魔であるグレモリーとその眷属でさえそうなのに、神の信徒である、或いは信徒であった彼女らが茫然自失するのは当然のように思えた。
「最早その様子では戦うことも難しいか。これでは闘争も楽しめんな」
惜しいことをした、と少し後悔をするコカビエル。だがどちらにせよ雑魚では楽しめるものも楽しめないか、と結論づけ、当初の目的を果たすべく、リアスらを俯瞰する。
「では麗しい魔王の妹、貴女にはサーゼクスの怒りを買う餌になってもらおうか。世界に別れを告げるがいい。安心しろ、痛みを感じる暇すら与えんよ」
そう言ってコカビエルは手を星空に翳した。星の運行が止まり、停滞する。星だ。綺羅星が1つ、この駒王学園に向かって堕ちてきている。抗う術はない。例えあったとしても、その光景に抗う気力すら奪われるのだから。
レヴィアタンの魔王の妹であるソーナ・シトリーとその眷属が今なお必死に維持する結界を意図も容易く破り砕いて、星が堕ちる。
その日、星が降った日、地図から駒王の名が消えた。
それを知った2人の魔王は怒りに狂い、大戦の狼煙は上がり始める。かの堕天使の計画は一つ先に進んだ。
唐突に思いつきノリで執筆。
気がついたらバッドエンドルートみたいになってて草。
30分ほどで書いたためガバガバで文章構成もゴミですがどうか許してください。