弦巻家の彼は普通になりたい!   作:オオル

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どうも!お久しぶりです!前回の話は完全に本編とは関係ないので!勘違いしないでくださいね!

それではどうぞ!


弦巻シンと沙綾の思い

 あれから数日がたった。あの日の後学校に登校してみるとクラスのみんなから声をかけられた。

 

 まさか自分のことを心配してくれてたなんてことをしれて嬉しかった。だってそうそうないだろ?クラスのみんなが心配してくれるようなことなんてさ

 

 まあでも

 

「みんなー!迷惑かけてしまったわね!」

「でももーう大丈夫!あたしは平気よ!」

 

 と、こころが教室に入った瞬間にそんなことを言ったからこころを含め俺も言われた気しかしないけどな!

 

 と、まあ学校生活を順調に送れております。

 

 そして約束(デート)の件だけど今週末にパスパレのライブがあるためそれが終わってからにしようって話が上がったためそうすることにした。

 

 やっぱり単独ライブとなると準備が忙しいようだ、彩も千聖先輩もイヴも学校に来ていなかった。

 

 大和先輩も日菜さんも学校に行かず準備をしているんだろう。

 

 そしてライブまでの平日に特に話すようなことは起きずすぐにライブ当日がやってきた。

 

「……やば、凄い人数だな」

「こ、これは凄いね」

 

 都内のライブ会場に着くのはいいが会場の入口には長蛇の列ができていた。

 

「いやーさすがパスパレ、人気すぎだろ」

「こんななかクラス分のチケット確保するなんてイヴは一体何をしたんだろうね」

「何をって普通にくださいってお願いしたんじゃないのか?」

 

 他にどうやって手に入れる方法があるんだよおたえさん

 

「……アイドルだよ?」

「おう」

「枕営業…とか?」

「それは冗談でも言うなよ!?」

「はーい」

 

 イヴがそんなことするわけないだろ!あとそう言うことは言っちゃいけないだろ、ただでさえ千聖先輩は…ってやめとこうか

 

「他のみんなは?」

「ん?私とシン君がデートするって言ったらみんなどっか行ったよ」

「いらん嘘をつくなー!」

 

 前にも好きじゃないって言った覚えがあるが何を聞いてたんだよこいつは!

 

「って普通に後ろにいるじゃねーか!」

「だってシン君が興奮して1人だけ早く行くから着いてきてあげたんだよ」

「…………それは、すまん」

 

 だってライブだぞ!あのテレビで見てたパスパレが生で見れるんだぞ!?

 

 いやみんな学校で会ったり見かけたりはするけどさ!このなんだ?パスパレのライブ衣装を纏った所を生で見たりするのは初めて…ではなかったー!

 

 そう言えば夏休み海行った時たまたまライブしてたな、思い出したよ

 

 でもでも!今回は規模も違うし!衣装だって違う!楽しみにして何が悪いんだよ!?

 

「シン君はパスパレと私どっちが好き?」

「もちろんパスパレだな!」

「えー私じゃないの?」

「お前ちょっと黙れよ!?」

 

 なぜにおたえのことを好きにならないといけないんだよ!?何度も言ってるが好きなんて1度も言ったことないぞ!?

 

 これからパスパレのライブが始まる。嫌なこととか考えてることとか全部捨ててこのライブを楽しもうと思ってる人は少なからず沢山いるはずだ。

 

 もちろん俺もその1人だ。だけど…

 

「♪」

「?シン君電話来てるよ」

「あっ!いっけねー電源消してなかったな」

 

 携帯を取り出して画面を見てみると

 

「……千聖先輩?からだ」

 

 一体俺に何用だ?なんか手伝って欲しいことでもあるのかな?だったら頼ってもらって嬉しいな!

 

「もしもし、どうしましたか?」

 

 元気な声でそう言うが帰ってきた返事は俺がまったく想像もしていなかった声だった。

 

「……よー久しぶりだな、弦巻シン」

「ッ!……は?」

 

 シンのかなり低い声が口から出ていた。

 

「貧乏人は亡くなったが大丈夫なのかよ、なあ」

「綺羅!てめぇ!千聖……先輩に何をした!」

 

 ここで千聖先輩なんて大きな声で呼べない。だってここにいるのはみんなパスパレのファンの人達だ。

 

「何をってちょっとかっさらってきただけだろ?」

「……お前自分が何してるのか分かってるのか…!」

「いいねその声!ああーお前の表情が見れないのが辛いぜ」

「お前頭おかしいだろ」

 

 千聖先輩が拐われた?何やってんだよイベントスタッフ!なんでこうも簡単に!

 

 まさかアイクか!あいつがスタッフをねじ伏せて、いやでもそんな感じは周りのスタッフを見てわかる。

 

 もしそんなことが起きてたら平然な顔して仕事なんてしてられないだろ

 

「……白鷺千聖だけだと思ってるだろ?」

「ッ!お前まさか!」

「あっはは!全員集合ーなんちゃってな」

「ッ!」

 

 シンが握ている携帯のガラスケースが割れてしまった。怒りを抑えきれず握っていた携帯を無意識のうちに強く握りすぎていたようだ。

 

「何が目的だ」

「俺さお前のこと嫌いなんだよ」

「安心しろ俺も嫌いだ」

「……お前のあの絶望した顔は最高だったよ!ふはは!」

「ッ!」

 

 俺の絶望した顔は最高だった?あーはいはいそうですか、そんなのどうでもいいよ

 

「みんなは何処にいるんだよ」

「おいおい話は最後まで聞こうぜ?」

「……問題、でーれん」

 

「ここで白鷺千聖達を犯したらお前…どんな表情になる?あの時と同じ顔になるよなー!」

「…………やめろ」

「だがな?アイクがどうしてもお前と戦いたいって言うもんだからチャンスをやるよ」

 

 俺と戦い?違うだろ、ただ殺したいだけだろこの殺人鬼が、それにチャンス?なんだよそれ

 

「今から30分だけ待ってやるよ、それまでに俺達が何処にいるか探し出すんだな!ふはは!」

 

ッー、ッー、ッー

 

 電話が切れた後シンはその場からすぐに動き出した。

 

「ちょ、シン君?」

「……おたえ、悪いけどちょっと急用ができた」

 

 それだけおたえに言いシンは走り出した。

 

「ライブは1時間後に始まるからー!それまでに戻ってくるんだよー!」

「……ああ、必ず戻ってくるよ、みんなで!」

「?」

 

 みんなが並んでいる中シンだけ会場とは逆方向に向かって走っていた。当然他の人達をからは不思議そうな目線で見られる。

 

 そんな中彼女は見つけた。

 

「ッ!シン!」

 

 沙綾はシンに話しかけてもシンは止まることなくて沙綾の隣を走りすぎて行った。

 

「あの顔」

 

 沙綾にとってシンの怒った顔を見るのは初めてだった。だから…余計に心配になった。

 

「ごめん香澄!用事思い出した」

「え!?さ、沙綾ー!」

 

 沙綾は列から出てシンの後を追いかけた。だけど沙綾の足がシンの速さに勝るわけがない。それでも沙綾はシンの追いつくために走り出した。

 

 

 

 今から30分でみんなのいる場所を見つけ出すなんて不可能に近い!走ってても間に合わないし…スケボーはどっか行ったし!

 

「……クソ!」

 

 どうやって探し出せばいいのかわからない!時間だって限られているのに…!

 

「もう頼るしかないのか?」

 

 黒服のみんなに頼れば見つかるかもしれない。だけどそれは俺一人で見つけ出したことにはならないだろ

 

「……いやそんなの関係ないだろ!」

 

 自分のプライドとかクソ喰らえだ!俺のプライドを捨ててみんなが助かるのならそれに越したことなんてないんだよ!

 

 こないだアギトさんと連絡先を交換したため電話をかける。

 

「シン!電話かけてくると思ってたぜ」

「?そんなことよりパスパレが!」

「ああわかってる!クソが、あいつらスタッフ全員買収してやがった…!」

「パスパレが拐われたのは知ってる、こっちで調べてるからお前は今から送る場所に向かってくれ」

 

 ちょ、ちょっと待ってくれ!話が読めない!

 

「とりあえず何処にいるのか探してくれんだよな?」

「ああ、必ず見つけ出すから待っとけ」

「だったら話がある!あと28分以内に見つけないと千聖先輩達が」

「日菜がどうした」

「……犯される」

 

 アギトさんは日菜さんのことを妹と呼ぶほど推している。そんな推しメンが犯されるなんて聞けば

 

「……正義の野郎、また懲りずに日菜に手を出すのかよ!」

 

 言ってる意味がわからないがとにかくアギトさんが珍しく切れていることだけはわかった。

 

「お前はとりあえず絞った場所に行ってくれ、スケボーなら何とかなる」

「……それが無くしたんだよ!」

「は?お前無くしてないだろ」

 

 またまた何を言ってるのかわからない。もうさっきから何言ってるかわかんないんだけど

 

「お前のスケボーなら……の家にあるだろ?」

「……は?なんで?」

「なんでってGPS埋め込んでるから場所ぐらいわかるっての」

「てかわざと置いてんじゃないのか?シンジと弟仲良いだろ?」

 

 し、知らない!なんで、どうして

 

「……沙綾が俺のスケボー持ってんだよ」

「とりあえず回収できるならしとけ、俺達は時間までに必ず見つけ出す!」

「ッ!あ、ああ!頼んだ」

 

 考えること数秒、その間シンは動いていなかった。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 走り続けていた沙綾はシンの姿を捉えることができた。だから

 

「シン!」

 

 と大声で叫んだ。

 

「ッ!沙綾?」

「……や、やっと追いついたよ」

 

 肩を揺らし息を切らした沙綾が俺に話しかけてきた。

 

「シン?急に走ってどこ行くの?ライブ始まるよ?」

「……………………」

「……シン?」

「ッ!ご、ごめん」

「?」

 

 沙綾がどうしてここにやってきたのわからなかったから考えてみたが…まさかスケボーのことを話に来た?

 

 そもそもスケボーの件についても別に盗んだりしたわけじゃない。

 

 そうだよ、拾っててくれたんだ。後で俺に渡すために1度家で保管しているだけだ、そうに違いない。

 

「……シン?」

「ッ!…………なあ、沙綾」

 

 だけど…!

 

「俺のスケボー、返してくれないか?」

 

 こう聞いて素直に返すと言えば好意的にスケボーを拾って保管していたってわかる。でもここで別の反応をしたら…調べるためにあえて俺はこう聞いたんだ。

 

 さあ、どう出る

 

「……そっか、シン知ってたんだね」

「あ、あれだろ?俺がなくしたから探して見つけてくれたんだよな!」

「なかなか返すタイミングなくて返せなかっただけなんだよな!」

「……………………」

「……なんか答えてくれよ」

 

 沙綾はずっと下を向いたまま応えようとしなかった。だけど急に俺にこう聞いてきた。

 

「シンはスケボーを返してもらって何をするの?」

「ッ!」

 

 そんなのは決まっている。

 

「……みんなを助けに行く」

「みんなって?」

「……パスパレだよ」

 

 俺は沙綾に今の状況を全て話した。パスパレが拐われて助けに行かないといけないと言うことを

 

「だから沙綾!俺は助けに行かないといけない!スケボー…返してもらってもいいか?」

「…………嫌だ」

「ッ!なんでさ!」

「だってシンは今から危ないところに行こうとしてるんだよ!?」

「ッ!」

「わかっててスケボーなんて渡せない!」

 

 渡せないって!それは違うだろ!

 

「沙綾は預かっててくれただけだろ!だったら返してもらってもいいだろ!」

「違う!」

「さ、沙綾?」

 

 沙綾は今までで一度も聞いたことがない声音で違うと言ってきた。そのため俺は少し以上に驚いて咄嗟に名前を呼んでしまった。

 

「私はシンのスケボーを預かってたんじゃないの」

「……もう二度とシンの元に帰らないように隠してたの」

「ッ!なんでそんなことを!」

「だって、だって…!」

 

 沙綾は泣きながら俺に叫ぶように言葉を述べた。

 

「シンはあのスケボーがあるから無茶をする!」

「確かにあのスケボーのおかげで純は助かったよ?」

「でも…!あの時シンはとても危ないことをしてたんだよ!?」

「そんなのは、わかってる!」

「全然わかってない!」

 

 一度思いをぶつけた沙綾は口を止めることなく俺に思いをぶつけてきた。

 

「みんなから聞いたよ、千聖先輩の件の時も無茶したって!」

「それは助けるために!」

「でも助けられなかったでしょ!?」

「ッ!」

 

 確かに沙綾の言う通りだ。俺は千聖先輩を助けられなかったさ

 

「やっぱりスケボーを回収してて正解だった、だってシンはこれからまた無茶しようとしてるから」

「無茶、だって?」

 

 確かに無茶かもしれない。あいつらの目的は俺であって千聖先輩達は俺を呼ぶための言わば餌だ。

 

 もちろんそれは罠でもある、みんなの所に行けば俺はアイクと戦うことになって勝つか負けるの究極の結末を迎えてしまうだろう。でも!

 

「……行かないとダメなんだ…!」

「俺が行かないとダメなんだよ!」

 

 他の誰でもない俺が行かないと解決しない問題なんだ。時間だってないのにまだ場所すら掴めていない!

 

「あのスケボーがあればまだ間に合うかもしれないんだよ!」

「……手を伸ばせば助けられる希望があるんだよ!」

「だから沙綾!スケボーを返してくれ!……頼む!」

 

 こうしている間にも千聖先輩達は何かされているのかもしれない!ここで時間を潰している暇なんて俺にはないんだよ!

 

「……嫌だよ…!」

「ッ!沙綾!」

「だってそこに行ったらシンがまた壊れちゃう」

「……私はシンがおかしくなった時何も出来なかった…!」

「他の人達は話しかけるのに私はなんて声をかければいいのかわからなくて何も出来なかった!」

「シンが苦しんでるのに何も出来なかった私ができること、それは!」

「シンがひどい目にあう前に止めることしか考えが浮かばない!」

「…………沙綾」

 

 でも俺は、それでも俺は助けに行かないといけない、だって

 

「正義の味方だから?」

「ッ!」

「もういいよ、シンは私達の正義の味方だよ、これ以上無理なんかしなくていいんだよ?」

「そうゆうことじゃないんだよ、俺が助けにいかないと!」

「そんなの行かなくていい!アイドルが拐われてるんでしょ?そんなの警察に任せればいいよ!」

「だけど俺は!」

 

 警察が行けばいいとかの話じゃないんだ。これは俺と綺羅達の戦いだ。横から警察が入ってきたところであいつらは止まるなんてことは無い。

 

 俺が直接成敗しないとあいつらは無関係の人を巻き込み俺に嫌がらせをしてくる!

 

「たとえ叶わない相手だったとしても正義の味方は立ち向かわないといけないだ」

「……どんなにボロボロになっても立ち続けないといけないんだよ」

「どんなにボロボロって…!私は嫌だよ!」

 

 確かに沙綾のことだからそう思うに違いない。でも…正義の味方になりたいと目指した以上悪には立ち向かわないといけないんだ。

 

「私はもう無理だよ」

「なにがさ」

「私は、もう!シンがこれ以上ひどい目にあうのは耐えられない!」

「自分の大好きな人がひどい目にあうのはもういやなの!」

「ッ!」

 

 自分の大好きな人?……そっか、沙綾も俺のことが好きだったのか、のに俺は沙綾の前で他の人達と仲良くして?

 

 今までたくさん我慢させてきたってことかよ…!

 

「お願いだから…もう、どこにも行かないでよ」

「………………あ」

 

 沙綾は俺に抱きついてきた。それは言葉通りどこにも行って欲しくないように

 

 抱きついてきた沙綾は震えていて、本当に怯えているようだった。

 

 これほど俺に対して心配しているのにここで俺が無理やり引き剥がしてパスパレの所に向かったとしても沙綾はそれを許さないだろう

 

 でも、俺は

 

「……ごめん沙綾」

 

 俺は沙綾はから離れて目を見て話す。

 

「ッ!どおして!なんでそこまでして助けようとするの!?」

「今回は今までとは違うんでしょ!本当に死ぬかもしれないんでしょ!」

「ああ」

「だったらなんで行くの!」

 

 そんな理由はひとつしかない、だって俺は

 

「正義の味方、だからな」

「ッ!……もう何を言っても聞いてくれないの?」

「私は帰ってくるかもわからないシンのことをずっと待っとかないといけないの…?」

「何言ってんだよ沙綾」

 

 そう言うと沙綾は驚いたように反応する。そりゃ急に否定されるようなことを言い出そうとすると驚くさ、でもそうじゃないんだ。

 

「俺はみんなの正義の味方、つまり沙綾の正義の味方でもある」

「……俺はお前を守るために絶対戻ってくる」

「ッ!」

「返事は必ずする、だから…」

 

 沙綾のこれ以上辛い顔は見たくない、いや原因は俺だけどさ?原因が俺ってことだからこそ心にダメージってのが大きいんだよ

 

「笑え沙綾!何度も言うがお前は笑顔が似合う可愛い子だからな!」

「……うん!うん…!」

 

 無理矢理感があるけど…そこはごめん

 

「スケボーは純とかにあげとけ!俺は走って行くからさ」

「……じゃあ助けてくる」

 

 そう言い出し沙綾に背を向けてその場から立ち去ろうとした時

 

「シン!」

「?」

「いってらっしゃい」

 

 沙綾はとても不安がっているはずだ。でもそんな中沙綾は笑顔でそう言ってくれた。これはもう戻ってこないとダメだな

 

「おう!」

 

 シンは答えると後ろを振り向くことなく走り出したのであった。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「後5分ってところか、弦巻シンは来るのかぁ?」

 

 廃ビルの中にてアイクが綺羅にそう問うた。

 

 その廃ビルは簡単に崩れそうで来月取り壊しが決まっているビルだ。

 

 そんな中に綺羅が入ると思わないが…何があってここに決めたのかは綺羅本人しか知らない。

 

「知らんな俺に聞くな、そこの女共ならわかるんじゃないか?」

 

 綺羅の視線の先には腕と足を縛られたパスパレのみんながいた。

 

「こんなことしてタダで済むとは思わないことね」

「おいおい固いこと言うなよ白鷺千聖ぉ」

「あなたとなんて喋る気ないわ」

『……………………』

 

 他のメンバーは千聖とアイクの間で何があったのかを知ってるため話に入ってこようとしなかった。

 

「……シン君、助けに来てよ」

 

 今にも泣きそうな彩が小声で言うと

 

「大丈夫です彩さん、師匠は必ず来てくれます」

「でも後数分で来ないとジブン達は」

「考えても意味ないでしょ?それにシン君だけじゃなくてスタッフの人達も探してるはずだよ」

 

 日菜の話は普通のスタッフ共だったらの話だ。しかしスタッフは全員買収されている。そんなことを知らずにパスパレのファンはライブ会場で彼女達を待ってると思うと複雑な気持ちにさせられる。

 

「日菜さんやけに冷静っすね」

「んーよくわからないけど助かる気しかしないんだよねー」

「ねえねえおじさん、シン君に恨みがあるならあたし達利用しなくてもよくない?」

「……貴様は昔と何も変わらんな」

「…………どゆうこと?それ」

 

 綺羅は顔を片手で隠したかと思うと綺羅ではなくアイクが声を荒らげだした。

 

「おぉーい!こねじゃねーかぁ!」

「ふん、後2分か、もう間に合わないだろ、好きにしろアイク」

 

 あと2分で登場!なんてことは起きずアイクはパスパレのみんなの所へ行く

 

「白鷺千聖ぉまたお前が相手とはなぁ」

「あら?処女ではない私から襲うなんてよっぽど私のことが気に入ったのね」

「なわけねーだろ、てめぇのあの時の声と顔が忘れれねーからまたやるんだろうがぁ」

『ッ!』

 

 流石のパスパレのみんなもそこまでの話は知らない。その言葉を聞いた時一同は何も言葉が出なかった。

 

「…………ふふ」

「あ?」

「ふふふ!ふふ!あはは!あっははは!」

「千聖ちゃん!?」

「ちょ!大丈夫っすか!?」

 

 千聖は大声で笑い出した。いきなり大声で笑い出すもんだからみんなが心配するのは当然だ。

 

「ふふ、久しぶりにお腹を抱えて笑えたわ、お腹は抱えてないけど」

「……何が言いたい?」

「わからないの?なら頭まで筋肉になっているあなたにわかりやすく教えてあげるわ」

「……私は女優よ?感じてる演技の一つや二つぐらいこなしてみせるのよ…!」

「ッ!」

「あなたのよりシンの方が大きくて立派で気持ちよかったわ♪」

 

 女優の千聖が言ってはいけない言葉だがアイクを挑発させるには持ってこいだ。

 

「てめぇは殺す、じゃなあな」

 

 と千聖に己の拳を振りかざそうとした時

 

「へー俺っていつの間にか千聖先輩で卒業してたんすね」

『ッ!』

「…………そうよ、違うかしら?」

「全く記憶ないですねーったくいい思い出だと思うんですどねー」

「ええ!?シン君と千聖ちゃんほ、本当なの!?」

「本当よ」

「嘘だから大丈夫だぞー彩」

 

 急に現れたシンに対してみんなは驚いていた。彩に関しては別件で焦っていたが誤解だとしれてホッとしたがすぐに自分の状況に気づくアワアワしていた。

 

「まさか本当に来るとはな?お前一人か?」

「そうに決まってるだろ、ほら俺が来たんだからみんなを解放しろ!」

「勝手にしろ」

 

 勝手にしろ、なんて言うからみんなの縄を木刀で切り解放させる。

 

「よお弦巻シン!ここに来たってことはやるんだよなぁ!?」

「ああ、やってやる!やってやるぞー!」

「あ?」

 

 シンは縄を切るために出した木刀をしまいこう言い出した。

 

「よーしっ!お前ら逃げるぞ!」

『へ!?』

「ほら走れ!捕まったら犯されちまうぞ!」

 

 ビルの最上階、から逃げるとなれば階段を駆け下らないといけない。

 

「逃がすわけねーだろ弦巻シン!ここまでやったんだぁ!正々堂々戦いやがれぇ!」

「ちょいろいろあるんだよ!察せ!」

「待ちやがれぇぇぇええ!」

「どうせなら女の子に追いかけられたい人生だったぁぁぁああ!」

 

 生と死をかけた鬼子ごっこ、そしてアイクとシンの戦いは始まるのか、シンの人生を大きく左右する戦いが今、始まる。

 




時間がなくてあまり詳しく書けなかった。次回でシンが戦ってない理由など説明しますのでお待ちを!

そして次回でアイクとの決着はつきます。ちょっと残酷な描写があるかもですがお許しを、そう簡単に終わる相手ではないので!

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