デュエライブ!サンシャイン!!〜振り子の担い手と輝きの少女達〜   作:ハルカ
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はい、禁止制限が発表されましたね。
しんどいです。
守護竜ヴァレットが完全に終わりました。一から組み直して、なんとかリゾネーター ヴァレットとして形にはなりましたが、ハリファイバーを入れる隙がなくてビックリです。
では、どうぞ。


第4話 転校生を捕まえろ! Aパート

ピアノがある。

 

デッキがある。

 

どちらも大切で、手放せないもの。

 

前者は子供の頃からずっと触れていて、弾くことが生き甲斐だった。共にある時は、心が弾んで、飛んでいるような気分になった。

 

後者はピアノの後に出会った。けれど、自分を構成するものの一つで、内に秘めた闘争心を満たしてくれた。

 

なのに、今は触れても心が動かない。冷たいまま、立ち止まっている。

どっちつかずで、何もない。

そんな自分が、堪らなく、嫌だった。

 

**************

 

早朝、学校の廊下。

千歌は再び梨子へと勧誘をしに来ていた。

 

「ごめんなさい」

「だからね、スクールアイドルっていうのは」

 

素気無く梨子は千歌の隣を通り過ぎる。もうこれで何回目か分からない。

しかし、千歌は決しては諦めない。

たとえ、食事中であっても。

 

「ごめんなさい」

「学校を救ったりもできて、すごく素敵で!」

 

体育の時間であっても。

 

「どぉしても作曲出来る人が必要でぇ!」

「ごめんなさぁい!」

「待って、あ、ちょっ、ぐぇ」

 

それがたとえ体育の時間であっても。

その最中に転んだとしても、千歌の意欲は、決して薄れはしないこのシツコさが、彼女の強さだった。

 

 

「ワン、トゥー、ワン、トゥー、ワン、トゥー、ワン、トゥー」

「千歌、少し早めて。曜さんは少し抑え気味に」

「うん!」

「了解であります!」

 

昼休みの中庭には様々な人が訪れるが、生徒の絶対数が少ないため、いつもどこかしらには空きがある。

その空きの中でステップの練習をしている千歌と曜の映像を、渡されたスマホで志貴は録画していた。

志貴は音楽は作れなければ詩もかけないが、リズム感だけなら二人よりもある。

それを買われてのポジションだ。

 

「それで、桜内さんへの勧誘はどんな感じなんだ?」

「うん、あと一歩、あと一押しって感じかな」

「ええ……それホントかなぁっと」

 

志貴が持っていたスマホを受け取り、曜が隣へと腰掛けてきた。

千歌は少し息が上がっているが、さすがは水泳部のホープ。そんな様子は微塵もない。

 

「うん、だって最初は!」

 

最初の梨子。

 

「ごめんなさい!」

 

申し訳なさそうな笑顔で、声もまだ明るく断っていた。

 

「だったのが、最近は!」

 

最近になっての梨子。

 

「…………ごめんなさい」

 

明らかに千歌をやっかんで顔をなるべく合わせないように努力しているように思えた。

 

「に、なってきたし!」

「嫌がってるようにしか、思えないんだけど……」

「千歌にその違いを分かれって言う方が酷だと思うぜ」

 

動画の確認をしている二人が頷いていると、千歌は自信満々に膨よかな旨を張った。

 

「大丈夫、いざとなったら」

 

そう言って取り出したのは「おんがく」と書かれた教科書。

高校のではなく小学校、下手をすれば幼稚園で使われるようなレベルだが、なぜか千歌は自信満々だ。

 

「なんとかするし!」

「お前の教科書に対する信頼度エグいな」

「そのうち教科書で世界征服とか企みそう」

「どんな征服だろうなそれ」

 

ケラケラと笑っている志貴と曜を見て、バカにされたと感じたのか千歌が面白いほど頬を膨らませる。

 

「むぅ、なんだよぉ! 千歌だって考えてるんだよぉ!」

「分かってる分かってる。千歌はやれる子だって分かってる」

「分かってないなコンニャロー!」

「分かるかコンチクショー!」

 

ベンチから立ち上がってじゃれ合っている二人の姿を見て、周りにいた生徒たちも微笑ましそうな雰囲気を醸し出す。

曜もそれは同様だ。

その瞳に、寂しそうな影を落としていなければだが。

 

「あ、そういえば曜ちゃん」

「…………」

 

未だじゃれ合った状態で千歌がベンチに座っている曜へと話しかけた。しかし、彼女の反応はない。ただ羨ましそうに二人を見ているだけだ。

 

「曜ちゃ〜ん?」

「……あ、えっ、なに?」

「うん、衣装とかどうなったのかなって……大丈夫?」

「え、大丈夫大丈夫、ちょっとボーッとしただけだから! で、衣装だよね。教室にスケッチしたやつ置いてあるから、戻ろうよ」

「う、うん」

 

背中を向けて歩いていく曜へとついていくが、そこに何かの違和感を覚えた。

 

「ね、ねえ志貴くん、曜ちゃんどうかしたのかな?」

「…………やっぱりそういうのは敏感だよなぁ」

「え、なんか言った?」

「さぁね、まあ、大丈夫だろ」

 

千歌の頭を掻きむしった志貴は、曜の後ろをついていく。

何かを含んだような言葉に引っかかりを覚えながら、千歌もその後ろについていく。

 

この引っかかりが、いつか歪みを生んでしまうことになるのは、また別の話。

 

「どう?」

「おお……凄いね……でも衣装というより制服に近いような……」

「うん、これは制服だな」

 

スケッチブックに描いてあったのは、車掌の 格好をして笛を吹いた千歌の姿。

絵の完成度もさることながら、可愛らしい千歌とマッチしているが、しかしながらアイドルとはいえない。

 

「スカートとかないの?」

「あるよ?」

 

そう言いながらノリノリでスケッチブックを捲ると、出てきたのは婦警さんの格好をした千歌のイラスト。

こちらもまた可愛らしいがらやはりアイドルではない。

 

「上手いんだけどな……曜さんの趣味全開なだけで……」

「じゃあ、ほい!」

「武器持っちゃったよ」

 

新たに出てきたのは自衛隊、というよりサバイバルゲームの格好をした千歌。機関銃を構えた姿は、可愛いというより勇ましいが似合っている。

 

「それじゃあ、ほい!」

「わぁ、すごい!」

「おお、そうだよな、アイドルってこんなんだよな」

 

最後に曜が出してきたのは黄色いノースリーブにフリルのついたスカートの衣装を着た千歌のイラスト。

キラキラとしていて、王道のアイドルと言った様子だ。

 

「でも、こんなの曜さん一人で作れるのか?」

「うん、多分だけど大丈夫!」

「まぁ、キツかったら俺も手伝うし、あとは本当に……作曲だな……」

 

志貴が座っているのは曜の前の席。そして、その右斜め前に梨子の席がある。

そこに視線を曜と共に送っているが、そこには誰もいない。

 

「よーし、挫けてるわけにはいかない!」

「どこ行くんだ千歌」

「生徒会長に、もう一回話してみる!」

 

走り出す千歌。

自信と、勇気と希望に満ち溢れた彼女を志貴は止めることはない。

 

「お断りしますわ!」

 

だが、全て上手くいくとも限らない。

 

「こっちも!?」

「この人いつも断ってんな……」

「五人、必要だと言ったはずです。それに、作曲はどうしたのですか?」

 

書類をトントンと指で叩き、千歌を睨みつける。確かに、書類に書かれている名前と、ここにいるスクールアイドル部のメンバー数は一致する。

どこからともなく助っ人が現れるわけでもない。

 

「それは……いずれ……きっと……可能性は無限大!」

「…………」

「で、でも、最初は三人だったんですよね『u's(ユーズ)』も」

 

そう千歌が言った時、ダイヤと志貴が固まった。片方は怒りで、もう片方は驚愕でだ。

 

「知りませんか? 第二回ラブライブ優勝、音ノ木坂学院『u's』!」

 

千歌が言い終わるや否や、ダイヤが大きく音を立てて立ち上がった。

肩を震わせ、拳を握っているダイヤは、絞り出すように声を発する。

 

「それはもしかして……『μ’s(ミューズ)』のことを言っているのではないですわよね?」

 

そこで千歌は気がつく。

どこかで、彼女が尊敬して憧れているアイドルが、『u's』ではないと。

 

「あ……もしかしてあれって、『μ’s』って読むの」

「バカチカ……」

 

志貴が呟いた時にはもう遅い。

振り返り、大きく息を吸ったダイヤが、もしかしたら学校全体に響くのでは無いかというレベルで叫んだ

 

「おだまらっしゃあああああい!!!!」

 

**************

 

「前途多難すぎるよ〜」

「アレは千歌が悪いぞ。まさか『μ’s』を読めてないとは思わなかった」

「私が英語苦手なの知ってたでしょ〜!」

「憧れの対象なんだから読めてると思ったんだよ」

「あはは……生徒会長、すごく怒ってたもんね」

 

三人は放課後、バス停近くの防波堤に座り込んで話していた。天気も良く、雲ひとつない快晴だが、三人の心には霞がかかっていた。

 

許可を取りに行ったはずなのに余計にダイヤを怒らせてしまった。

あの後始まったのは、千歌の気持ちが本気かどうかを試すためのテストだった。

 

μ’sが最初に九人で歌った曲について。

 

第二回ラブライブ予選でμ’sがライバルであるA-RISEと一緒にステージに選んだ場所について。

 

μ’sがラブライブ決勝のアンコールで歌った曲、その冒頭でスキップしている4名は誰か。

 

などなどの問題を叩きつけられ、最後にはブッブー!! と大きなペケを押し付けられてしまった。

些細な弾みで全校中に放送されてしまったラブライブ検定だったが、完全なる千歌の敗北だった。

 

「じゃあ、やめる?」

「やめない!」

「となると、やっぱり桜内さんに頼むのが一番いいんじゃないか?」

「だよねぇ……」

 

グダリと石畳の上に寝っ転がる。

すると、その視界に見覚えのある人影を見つけた。

起き上がった千歌は手を振ってその人影の名を呼ぶ。

 

「おーい、花丸ちゃーん!」

「あ、こんにちは」

 

大声で声をかけられた少女、花丸が千歌に気がつくと、ペコリと頭を下げた。

その姿に微笑みながら、千歌は木の陰に隠れている誰かを忘れない。

 

「と、ルビィ」

「あれ、ルビィじゃねえか。何やってんだ?」

「ピギィ!」

 

千歌が声をかけるよりも先に志貴がルビィの名前を呼んだ。

それに驚いたのか、単純に恥ずかしがり屋さんなのかは分からないが、より一層ちぢこまってしまった。

 

「あれ、志貴くんルビィちゃんとも知り合いなの?」

「まあ、ダイヤさん経由でなっ、と」

 

道路に降りた志貴が、鞄から棒付きの飴を取り出し、千歌に目配せする。

飴をルビィの前でチラつかせると、ルビィは少しずつ木陰から出てくる。

取ろうとした直前に引く。それを繰り返し、ルビィが頬を膨らませながら道路に出てきた時にはもう遅い。

 

「捕まえた!」

「うゆっ!?」

 

出てきたルビィを抱きしめた千歌は、志貴から受け取った飴を呆けて空いた口に放り込んだ。

 

「し、志貴さぁん……」

「人見知り直せって言ったろ〜、っと、そっちの子は初めましてかな?」

「あ、はい。国木田花丸です。ルビィちゃんとは友達で」

「はいよろしく。俺は遊神志貴って言って、ここにいる千歌の……なんて言えばいいんだろうな」

 

初対面の花丸に自分のことをなんと説明しようか悩んでいると、付いてきた曜が少し考えて口を開いた。

 

「千歌ちゃん家の居候とか?」

「否定できないのが厳しい!」

「実際、志貴くん宿泊費とか払ってないからお客さんじゃないしね〜」

「追い討ちをかけるな千歌!」

 

騒いでいる三人が一年生の二人とともに騒いでいると、バスが来て一斉に乗り込んだ。

「スクールアイドル……ですか?」

「うん! すっごく楽しいよ、興味ない?」

 

乗るや否や、前の席に座った花丸とルビィに勧誘を開始する。

会ったその時はまともにできなかったが、このタイミングしか無いと思った。

 

「ルビィは……お姉ちゃんが……」

「お姉ちゃん?」

「ルビィは、ダイヤさんの妹だよ」

 

曜の隣にいた志貴が学ランのボタンを外しながら会話に入った。

春の日差しに当てられたせいで汗をかいてしまい、手で仰いでいると、曜がハンカチを出して渡してきた。

 

「なんでか嫌いそうだもんね、生徒会長」

 

何気なく曜が言ったことで、そこにいる全員が黙り込む。

その中で、志貴とルビィは別の思考をしていた。

あんなに熱意を持って『μ’s』を語れる人間が、スクールアイドルを毛嫌いする理由は一体なんなのか。その答えに、片方はすでに行き着いているが、何も言わずに押し黙ったままだ。

なぜならこれは、彼女たちが解決する問題だから。

 




はい、中途半端ですが、今回はここまで。
次回から少しずつオリジナル要素が入って行く予定ですので、よろしくおねがいします。
ご意見、ご指摘、ご感想、待ってます!


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