最弱少女のハンター生活   作:3DS大将

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三十四話 2回目の斬撃

「キャハハハハ!!!」

 

「チッ…」

 

黒いアンゼリカはドスファンゴの突進により発生した突風に吹っ飛ばされてしまう

 

「ヒャヒャヒャヒャッ!」

 

それを感じ、ドスファンゴは急旋回して黒いアンゼリカに向かって突進してきた

 

「・・・ッ!」

 

ドスファンゴが突進することをいち早く察知した黒いアンゼリカはすぐに回避に移行するものの、音速を超えたドスファンゴの突進により発生した風にまたも吹き飛ばされる

 

「・・・風が…邪魔」

 

素早く受け身をとる

 

「フヒヒヒ」

 

「・・・」

 

ドスファンゴは黒いアンゼリカを見つけると不適に笑い、再び後ろ足を地面に擦り始める

 

「・・・」

 

一回、二回と擦り、三回地面に擦った瞬間、黒いアンゼリカはすぐ左に向かって回避した

 

「ヒャッヒャーーー!!」

 

ドスファンゴは目に止まらない速さで突進してきた。しかし既に回避していた黒いアンゼリカにあたらず、そのまま前へ突っ切っていってしまった

 

「ぐっ…!」

 

黒いアンゼリカに強風が襲う

 

「うっとうしい…」

 

突風を受け続けた黒いアンゼリカは苛立ちを感じ始め、その感情に従うように刀にアンゼリカの血が付着した指をなぞる

 

「この際…右手は…捨てる」

 

 

 

 

 

 

「アンゼリカさぁぁぁぁん」

 

アルトは未だにアンゼリカを見つけることができず、広い岩場の中で彷徨い続けていた

 

「早く出てきてくださぁぁぁぁい!」

 

…ってできるならアンゼリカさんもそうしてるか

 

「もう!見つかりっこないよぉ!これぇ!」

 

多少半泣きになりつつもアンゼリカさんを探し続ける

 

「せめて…ここだよっ!って感じで返事してくれたら探しやすいのに…!」

 

(だからできるならアンゼリカさんもしてるってのに…)

 

自分の言った言葉に自分でツッコむ始末

 

不安と軽い絶望感でだんだんと精神的に余裕がなくなってきた

 

「うぅ…どこにいるの…」

 

落胆して座り込んでしまう

 

「こんな時にドスファンゴがきたら…いやいやクロゼリカさんならワンチャン倒してくれるかも…ん?でも私が助かっても…」

 

クロゼリカさんもアンゼリカさんの命を狙ってるわけだから…

 

「アンゼリカさん助からない!どうしよう!!どっちが勝っても絶望的なのあまり変わらないよ!」

 

完全に盲点だった。敵の敵は味方というけれどクロゼリカさんは元々敵だった。

 

今の状況は都合よく敵同士が潰しあってくれているだけだ

 

「落ち込んでら場合じゃない!早くアンゼリカさんを見つけないと!」

 

立ち上がり、再びアンゼリカの捜索を開始しようとした時

 

「キャーーーーハッハッハッハ!!」

 

「え?」

 

アルトの真横をドスファンゴが突っ切った。奇跡的に直撃を避けることができたが…

 

「ぎゃぁぁぁぁ!?風ぇぇぇぇ!!」

 

発生した強風にアルトは吹っ飛ばされ、ごろごろと転がってしまう

 

「今の…って!ドスファンゴ!?」

 

「ヒャーーーハハハハ!!」

 

「ひぃぃぃ!!噂してたら戻ってきたぁぁ!!」

 

アルトは腰を抜かしてしまい、そのまま地面に座り込んでしまった

 

「ヒヒヒヒッ!」

 

アルトの声に反応したのかドスファンゴは突進したところから戻ってきてアルトと対面する

 

「キャキャキャ!!」

 

「わぁぁぁ!!後戻りも速い!!」

 

ダメだやばい死ぬ!!

 

「あ…アンゼリカさん…!」

 

「キャハハハハ!」

 

早く逃げないとと思っても足が動かない。でも絶望を感じる今の状況に光が差し込んできた

 

…物理的な方で

 

「…これは?」

 

光の元の方は視線をやると

 

「ん!?」

 

赤い斬撃が地面をえぐりながら猛スピードでこっちに向かってきていた

 

「うわっ!ちょちょちょちょ!!」

 

アルトは急いで横に避難して赤い斬撃をかわす。アルトを横切った斬撃はそのまま直進していき

 

「キャーーーーー!!!」

 

ドスファンゴに直撃し、悲鳴のような鳴き声を上げて大爆発を起こし、その衝撃でドスファンゴの巨体を7mぐらいまで吹っ飛ばした

 

「わぁぁぁぁ!!や…やったぁ!」

 

斬撃があたった衝撃でアルトも吹っ飛ばされた。しかしドスファンゴに命中した喜びが、今の状況の理解を流すのだった

 

「ついにあのドスファンゴも倒れ…たぁっ!?」

 

アルトは地面に落ち、そのままゴロゴロと転がり、岩に頭をぶつけた

 

「い〜たぁ〜っ!!」

 

頭を抑えてその場でバタつく。大きな声を上げる余裕もない痛みが頭のてっぺんから身体は流れた

 

「痛い痛い〜!でも嬉しい!…でもいたーーい!!それでも嬉しい!」

 

前後で言葉が逆転する。

 

そんな見るに耐えない私の姿を岩の上で冷たい視線で私を見てる人がいた

 

「・・・」

 

「わっ!クロゼリカさん!」

 

私が頭をぶつけた岩の上で右手を抑えながらクロゼリカさんは立っていた。

 

「・・・」

 

クロゼリカさんの視線の先には斬撃の爆発で煙だらけになった風景があった

 

「・・・」

 

「すごい威力…アンゼリカさんが動けなくなるわけだよ…ってそれよりも!」

 

ドスファンゴやっつけれて嬉しいけどそれ以前に死にかけたのを今思い出した

 

「私が斬撃の範囲内にいるのにあんなのぶっ放すのやめてくださいよ!」

 

私はクロゼリカさんのいる岩に登って抗議する

 

「…あんたを助けた」

 

「私にあたるところでしたよ!」

 

「お礼は報酬で……いたっ!」

 

黒いアンゼリカはいきなり右手を抑えて地面に膝をつく

 

「…ちょっ!大丈夫ですか!?」

さっき文句を言っていた時と雰囲気が変わり、アルトは焦って黒いアンゼリカの元に駆け寄る

 

「なんともない…離れて」

 

そう言って黒いアンゼリカはアルトを突き放す

 

「ぐっ!」

 

しかし突然の痛みが黒いアンゼリカを襲った

 

「なんともなくないじゃないですか!…あ!そもそもクロゼリカさんってアンゼリカさんと戦った時に斬撃をしていたんじゃありませんでしたっけ!?」

 

「……それが何か」

 

何かって…あの斬撃の二回目は身体の負担的にやばいよ

 

「見たまんまですよ!斬撃で手を痛めてるじゃないですか!…早く手当てしないと…」

 

アルトは膝をつく黒いアンゼリカの身体を支えて、ポケットを漁る

 

「あんた…私を助ける気?」

 

「助けるって…うーん…さっきは何の理由もなくクロゼリカさんには助けられましたし…恩返しですかね」

 

「お人好し…それとも単なるバカ…」

 

「そ…そこまで言います?クロゼリカさんだって私を助けたんですからお互い単なるバカってことになりますね」

 

「…私は違う」

 

クロゼリカはキッパリと言う

 

「じゃあなんで…」

 

「ただの気まぐれ」

 

・・・

 

・・・

 

そんだけかーーーい!!

 

「ま、まぁいいや、殺す楽しみが増えたとかサイコ的な理由じゃなくて良かった…ハハ」

 

私を助けた理由そんな深くなかった…

 

「あ、やばい」

 

アルトはポケットから1枚の絆創膏を取り出した

 

「こ…これで治るかな?」

 

「絶対無理」

 

苦笑いを浮かべるアルトはそれでも絆創膏を黒いアンゼリカの手首に貼った

 

「まぁまぁ、そう言わずに!」

 

「…効果は望めない」

 

「そんな嫌な顔しないでくださいよ」

 

「なんで貼ったの…」

 

「そりゃあおまじないですよ」

 

「おまじない?」

 

黒いアンゼリカは目を細めて聞く

 

「そうです、こうやるんですよ」

 

「???」

 

「見ててください…」

 

アルトはニッコリと笑い、絆創膏を貼った手首に手をかざした

 

「痛いの痛いの飛んでけ〜♬」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

アルトがおまじないの言葉を言った瞬間、黒いアンゼリカは黙り込んだ

 

「それだけ?」

 

「はい、これだけです」

 

「・・・」

 

そして無口になりながら手首に貼ってある絆創膏に手を出した

 

「・・・剥がす」

 

「え?ちょっとたんまぁぁぁあ!!」

 

絆創膏をガリガリ剥がそうとするクロゼリカさんの左手を抑える

 

「手首に違和感…治療できないなら剥がす」

 

「剥がさないで!それ人気シリーズ限定版の最後の1枚なんですよ!」

 

「人気シリーズ…?」

 

「知らないんですか?今結構流行ってるやつですよ?」

 

子供達の間で!

 

「今…流行ってる…」

 

黒いアンゼリカは貼られた絆創膏をじっと見つめる

 

絆創膏にはデフォルメ化されたリオレイアのキャラクターが描かれていた。吹き出しに「絶対治る」と書かれている。

 

しかしリオレイアのキャラの絵柄はお世辞にもいいとは言えず、顔の適当さと翼の部分がガタガタで見てる側としては妙に腹が立つデザインだった

 

「・・・なんでこんなもんが流行るの…」

 

「こんなもん!?」

まぁ子供受けだから仕方ないけど

 

「絶対治るは商売文句…」

 

クロゼリカさんはボソッと言った。でもその後…

 

「こんなもん買う奴は頭がでかいだけの社畜、人を疑わない世界の金づるども、判断能力が毛虫以下の薄っぺらい頭をした低脳な愚民、善悪の区別がつかない頭に花しか育てないクソ人間…後先を考えずに目先のことばかりに気を取られ、揚げ足と金をとられる鴨…とりあえず物は買う貴族、富裕層…死ぬほどダサいキャラクターデザインに気をとられ、損している事に気がつかないバカなクソガキ共…財布を気にせず、衝動買いばかりする脳なし…あとアンゼリ…」

 

「ストープ!ストープ!!」

 

変なエンジンがかかったのか口数が少なかったクロゼリカさんがものすごくゴミを見るような目で絆創膏を見つめながら暗い顔で次々とキツイ発言を繰り返した

 

「いきなり何言ってるんですか!?そんな喋る人じゃなかっでしょう!!」

 

「…!!!」

 

黒いアンゼリカは目が覚めたように目を通常より強く開いた。そして赤くなった顔をアルトの視線から逸らす

 

「・・・」

 

(あ、今のちょっと可愛かったかも)

 

「……?」

 

言葉を失っていた黒いアンゼリカは突然の疑問が蘇り、思った事を口にした

 

「アンゼリカは?」

 

「…それはぁ」

 

これ言って大丈夫かな?

 

「実は地面に埋まっちゃ…」

 

 

ーーヒヒヒヒ

 

 

「…なに笑ってんの」

 

質問に対する答えに笑い声が聞こえ、黒いアンゼリカはアルトを睨みつける

 

「わ、私じゃないです!」

 

(え…笑い声?)

 

突然の笑い声にアルトはゾッとする。思い出したくもない記憶が蘇り、アルトの身体を震わせる

 

「わ…笑い声って…」

 

「・・・」

 

両方とも察しが早いのか、いつのまにかクロゼリカさんと同じ方向を見ていた。

 

「キキキキキキッ!イヒヒヒヒヒ!!」

 

「!!!!!ッ」

 

「……死に損ない」

 

例の笑い声からドスファンゴしか予想がなかった。案の定ドスファンゴだったけど今目の前にいるのは自慢の二本の角がキレイさっぱりなくなり、顔の表面は皮膚が丸見えになっていた。

 

そしてどす黒い息を吐き続けてなおも笑い続けている

 

「ギャーーー!!生きてるぅぅ!!」

 

「ヒャッヒャッヒャ!!」

 

すっかり腰を抜かした私は地面に尻餅をついてしまった。

 

でもクロゼリカさんはこの状況でもドスファンゴの真正面に立ち、刀を抜いた

 

「だ、大丈夫ですか!?あの斬撃くらってゲラゲラ笑い続けるモンスターが相手なんですよ!」

 

「…あの斬撃は血が乾いてたせいで…威力が弱まっただけ」

 

血の濃さで威力変わるんだ…

 

「1回目のやつなら…この豚を殺せる…」

 

「豚じゃないです!ドスファンゴです!」

 

「…そんな事より…アンゼリカはどこ?」

 

「え?」

 

「あいつの血じゃないと意味がない…」

 

「あ…」

 

あぁぁぁぁぁぁ!そうかぁぁぁ!!アンゼリカさんいないとドスファンゴ倒せないじゃん!!

 

「ていうより…さっきアンゼリカの手は借りない!って叫んでませんでしたっ…」

 

私の喉元に至近距離で刀がキランと光る

 

「アンゼリカの『手』は借りない…あいつの『血』を借りるだけ…勘違いしないで」

 

「・・・・!!」

 

要するに斬撃の素材だけもらうと…なるほど

 

「だから…約束する。今はアンゼリカを殺さない。早くアンゼリカを連れてきて」

 

「いや…それは…その」

 

任せられてる感があってアンゼリカさんの居場所…って言うよりどこに埋まってるのか分からないなんて言えない…

 

でも他にも問題はあった

 

「クロゼリカさんの…腕…」

 

「・・・?」

 

アルトは黒いアンゼリカの右手を指差す

 

「完全な威力じゃないにしても…もう既に2回斬撃放ってるのに腕の状態は大丈夫なんですか?最悪右手が吹っ飛ぶ可能性も…」

 

最後はとても言い辛く、言葉を濁してしまった

 

「…最初っから右手は捨てる気でいた」

 

「はい!?」

 

「あのクソ豚を殺せるなら…右手の1つや2つくらい…」

 

なんたる殺意!…これ褒めていいのかな?

 

「…そこにいると邪魔。どっか行って」

 

「あの〜非常に言いづらいんですけど…」

 

黒いアンゼリカはアルトに構わずドスファンゴに特攻していった

 

「私の話は無視かい!!」

 

いや…感情に浸ってる場合じゃない!早くアンゼリカさんを見つけないと…

 

「キャーーーーハッハッハッハ!」

 

「五月蝿い…」

 

ドスファンゴは足がようやく立ち、身体を起こせた瞬間に黒いアンゼリカはドスファンゴの目に刀をブッ刺した

 

「ギギギ…キキキキキキ!!」

 

「…ふん!」

 

刺した刀をそのまま横一線に斬り、ドスファンゴの目から大量に血が吹き出した

 

「…!」

 

ドスファンゴの血が黒いアンゼリカに降りかかる。予想もしていなかった大量の血に黒いアンゼリカは怯んだ

 

「ヒャヒャヒャヒャ!!」

 

「・・・」

 

それを見計らってドスファンゴは首を横に振り、角で攻撃しようとするが、角は既に二本ともなくなっており、空回りするだけだった

 

「ギギ…ギギ…」

 

「・・・」

 

黒いアンゼリカはドスファンゴを数回斬った後、距離をとる。

 

 

「汚い…」

 

ドスファンゴの血により黒いアンゼリカは血塗れになってしまった。黒いアンゼリカは不快そうに全身についた血を手で拭う

 

「ギギギ…ギィ…」

 

「デカイだけのただの家畜が…絶対殺す」

 

黒いアンゼリカは殺意を露わにしてドスファンゴに斬りかかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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