ワイも他の先駆者ニキたちの作品に感想とか叩きつけたいんだけど、上手く文章に出来なくて悲しい
鉄血工造製固定砲台ジュピター。
元は正規軍が開発した要塞砲の一種で、そのデータを鉄血が盗み出し開発した。
全長にして約30メートル。現在の鉄血としては珍しい実弾兵器であり、電磁流体力学によるMHD発電を利用した独自のコイルガンを主砲に使っている。
従来の工学兵器では大気で減衰したり霧散してしまうような長距離であっても、実弾ならば山なりの曲射弾道を駆使して長い有効射程を有する。砲弾が大きく加害範囲も広く、威力も高い。
有効射程距離は半径50km。だが、
同時に、至近距離ではコイルガンが撃てないという弱点もある。だが、懐に入り込んだ敵には20mm機関砲で対処。隙はない。
アイギスやマンティコアと同じ分厚い装甲板も使っているため、生半可な銃火器では破壊は不可能。おまけに周辺には警護役の敵も複数確認されている。
────今回の任務は、そんな大型兵器を歩兵戦力のみで破壊する任務だ。
現在時刻0506。U02地区ポイントB3の山中にて。
陽も昇らず薄暗く、視界の利かない吹雪の中を前進する一つの部隊があった。
「俺の背中から離れるなよ」
部隊の先頭に立って前進する男、ブリッツは自身の後ろに追従する戦友達に警告する。
防寒装備に身を包み、手にはいつものHK417A2。アンダーバレルにはM320グレネードランチャー。サイドアームにはMP7をチョイス。今回は隠密任務ではないため、サプレッサーといった類いはない。それにこの吹雪や積雪のおかげで、ある程度は音をくぐもらせてくれる。
なので、今回は交戦したら派手に銃撃戦をおっ始める考えだ。
「ブリッツこそ、道に迷わないでちょうだい」
すぐに言い返したのはFALだ。いつもは肌着にジャケットという出で立ちの彼女だが、今回は寒冷地での任務ということで白を基調にした
ブリッツも他の人形もこのECWCSを装備し、最高でマイナス50℃でも問題なく作戦行動を取れるよう設計されている。
現在気温マイナス26℃という極寒の山中においても、ブリッツたちは運動機能を損なうこと無く隊列を保ったまま、順調に前進を続けられる。
しかしながら、服装から誰が誰なのかを判断出来なくなってしまったが、持っている武器で判別は出来る。スマートグラスにも味方全員の位置情報は常時表示されているため問題は無い。
ただ、FALは今こそ何も言わないが作戦開始前まで「こんなセンスの無い服を着て戦場に行きたくないわね」と駄々をごねていたのは別の話だ。
まともに視界の利かない吹雪の中でも、ブリッツが先頭に立ってスマートグラスのマグネティックを使うことで視界を確保する。
ミニマップにも現在地と地形情報が表示されているため、道に迷うことはない。
今回の彼らの任務はジュピターの破壊だが、そうなった理由である敵前線基地は山の上部にある。
標高こそ高くはなく傾斜もきつくはないが、吹雪というコンディションが進行を妨げる。だが侵入者であるブリッツたちからすれば、この酷いコンディションも有利に働いてくれる。
視界が利かないから隠れてやり過ごすことも、不意打ちも出来る。おまけに足跡といった痕跡も消してくれる。
スカウトの訓練を受けているならこれでも安心できないが、相手はそんな訓練を受けていない人形だ。確実に有利なポジションにいる。
「AR小隊が来るまで後30分。それまでに終わらせよう。臨機応変にな」
「行き当たりばったりの間違いじゃないの?」
Vectorのツッコミに、ブリッツ以外の全員が吹き出して笑った。
ブリッツは小さくため息をつく。
「ああ面白いジョークだなVector。いいセンスしてるぞ」
「お互い様でしょ」
「コラコラ、早く行くよ。時間ないんだから」
ブリッツとVectorの軽口を制して、LWMMGは行動を促す。こういう時、部隊の尻を蹴飛ばすのがLWMMGの役目だ。
「そーだそーだ!早く帰ってゲームやりたいんだから!」
「早く終わらせようよ」
不純な理由でやる気を見せるRFBと、どうにもやる気を感じさせない口調でMG人形のM249SAWがそれに便乗する。
MGの二人はいざという時の為の保険だ。ただでさえ厄介なジュピターを、正面から破壊するのは分が悪い。
下手をすれば、主砲のコイルガン一発で全滅もあり得るのだ。ゲリラ的な一撃離脱。それも一発で仕留める必要がある。
ただ、分かっていても上手くいかない場合もある。そのため、火力に優れたMGで一気に破壊しようというのが、ブリッツの予備プランであった。
今回は全員にAP弾が支給されている。Vectorの45口径弾も例外無く。HGやSMG御用達のホローポイント弾は、硬い装甲相手には効果が薄い。
ジュピターの硬い外郭の事を考え、かつ敵と遭遇し戦闘が起きた場合も考えれば当然の備えだ。
VectorはILM社特製の45口径
『警告。付近にジュピターがいる可能性大』
しばらく敵前線基地へと進んだ先で、通信機にナビゲーターから連絡が入る。
全員が頭を低く、中腰の姿勢に切り替える。無数に生えた木々も使って、なるべく姿を無防備に晒さぬよう注意しつつ、互いの死角を庇いながら進む。
そして見付けた。ブリッツのスマートグラスに映る、ホワイトアウト寸前の吹雪の中でも分かるほどの存在感を放つ巨大なシルエット。ジュピターが、そこにはいた。
そのジュピターは上空へとその主砲を向けていた。おそらくこの地区に設置されたジュピターは、ほとんどが敵の航空戦力。ヘリやUAVを主な標的としているのだろう。いわば地対空砲とでも呼ぶべきか。
とはいえ、いざというときは地上にも砲撃が出来るだろう。仮に出来なくとも、防衛用の20mm機関砲が重低な音色を奏でてファンファーレよろしく開戦の狼煙を上げてくれるのだろう。
「ジュピター発見。周囲に敵はなし。これより、破壊活動に移る」
木の陰に隠れてクリアリング完了。ブリッツはバックパックからあるものを取り出す。
お手製のパイプ爆弾を短く、楕円状にしたような形をしたもの。一見すれば手榴弾のようにも見える。
HPMグレネード。
高出力マイクロ波を放出しあらゆる電子機器にダメージを与え、一時的に使用不可能にする特殊兵器だ。
グレネードという名称がついているが実際に爆発することはなく、内部の大容量コンデンサに蓄えられた電力を使って高出力プラズマ波を発生させる。有効範囲は狭く、電子機器を破壊するほどの威力は無いが、短時間なら機能を麻痺させることは出来る。
回収できれば、再使用可能という利点がある。
「全員待機。俺が行く」
HPMグレネードのスイッチを入れる。プラズマ波の発生は手榴弾と同じで起動から5秒後。
起動からきっちり3秒間を脳内でカウントダウンしてから投げる。
放物線を描いて、ジュピターに向かって飛んでいく。
対象のすぐ近くに落ちた瞬間HMPが起動。上空に向けられていた主砲は、まるで頭を垂れるように力なく地上に向いた。これでセンサーも無効化した。今なら感知されずに接近できる。
HPMの継続的な発生時間はおよそ10秒。その間に破壊ないしその準備を終わらせる必要がある。ブリッツは木の陰から飛び出し駆け寄る。同時にまたバックパックに手を突っ込む。
ジュピターのデータは予め本部から取り寄せている。MHD発電の動力炉は背面にある。メンテナンス性を考慮しての設計なのだろう。
とはいえ全くの無防備という訳でもない。動力炉を守る装甲板の厚さも把握済み。いくら7.62mm弾でも動力炉を破壊するには時間がかかる。
そこで使う道具の用意がある。バックパックからソフトボールを半分に切ったような形をした物を取り出す。
これは爆薬だ。ただし、ありきたりなC4ではない。
HNIWを原料にした高性能プラスチック爆薬。C4の約2倍の破壊力を誇り、量産出来る爆薬としては最高の威力を誇る。正規軍でも使われている実績ある爆弾だ。
そいつを動力炉のある部分に仕掛ける。
残り5秒。急いで元いた木の陰まで走る。
木の陰に滑り込むと同時にHMPがその効力を失った。ジュピターが再起動する。
「
起爆装置代わりのPDAをタップ。信管が作動し爆発。けたたましい爆発音とともに放たれた爆風と衝撃波がジュピターの装甲を貫き、動力炉に致命的なダメージを与え、砲台は再度沈黙。機能を停止した。
しかし安心はできない。
「全員警戒。敵が来るぞ」
今の爆発で、敵がこちらの存在に気付いただろう。様子を見にやって来るのは明白だ。
案の定、近くを哨戒していたであろう鉄血人形のリッパー5体が11時方向から駆け寄ってくる。
「コンタクト。リッパー5体」
地面に伏せていたM249が告げ、敵に銃口を向ける。
FALとRFBも伏せて、援護射撃の準備に入っている。
「合図したら撃て」
ブリッツもマグネティックで敵の動きと現在位置を確認する。スマートグラスには捉えた敵との距離が表示されている。残り30メートル。
「コンタクト。ヴェスピド5体。2時方向」
今度はVectorが敵を見つける。視線を向ければ、確かにヴェスピドが破壊され機能停止したジュピターに向かって駆け寄っている。
「ライト、狙え」
「オーキードーキー」
LWMMGが伏せたままヴェスピドに狙いをつける。ブリッツも、HK417を構える。Vectorはその他に敵影が無いか見張っている。
リッパーが20メートル。ヴェスピドが30メートルの位置にまで近付く。
「
ブリッツの一声がきっかけとなり、全員一斉射撃。
それをアサルトライフル持ちの3名で補助。撃ち漏らしを無くす。
完全な不意打ちというのもあって敵殲滅にものの10秒も掛からず、反撃も一切なかった。
「クリア」
M249が告げる。
「クリア」
LWMMGが告げる。
「クリア」
最後に周囲を見張っていたVectorが締め括る。制圧完了。
「よし、前進しよう。敵前線基地までのルートを確保してやらないとな。もう一仕事だ」
「了解。ARお騒がせ小隊を助けないとね」
FALの軽口に、部隊内で笑い声が溢れた。
部隊は敵を探しに山を更に登っていく。
たぶんミリタリーに自信ニキがこの作品見たら「何言ってんだコイツ」的な顔をするんだろうなって・・・。
ジュピターに関しては完全に妄想。ちょっと設計甘すぎるんとちゃう?って意見されそうだけど、寛大な心でお兄さんゆるして。色々設定練ってたけど途中でめんどうになったりしたけどゆるして。HNIWとかHMPグレとか出したかったからこうなったってのもあるけどゆるして
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