S10地区司令基地作戦記録   作:[SPEC]

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最終回(仮)です。
連載開始から約2年。ノンプロットでここまでのんびり突っ走ってきました。

今回最長14613文字になります。ゆっくりしていってね!


FRONT LINE

『戦術人形の最大の利点って、何だと思う?』

 

R12地区奪還から一週間が過ぎた正午時。グリフィンが管理、運営している病院の屋上。晴れ晴れとした青が広がる爽やかな快晴の下で、ブリッツは不意にそんな質問を投げ掛けられた。

 

投げ掛けたのは、かの16LABの主席研究員であるペルシカリアであり、ブリッツのPDAには相も変わらず目元に隈を作った不健康そうで気だるげな空気を纏った顔が表示されている。

 

平日の日中だというのに、16LABの主席研究員から、暇をもて余した入院患者風情の自分が、何でかような質問をされたのか。と、ブリッツは肌に浮いた玉の汗が重力によって滴り落ちていくのを感じ取りながら思う。

 

しかしブリッツの元々の真面目な気性が、この質問に対する回答を思考させる。

 

ちなみに現在、ブリッツは親指二本のみで逆立ちし、5歩進んでは腕立て。5歩進んでは腕立てを繰り返し、最終的にはこの屋上をグルリと一周するという武道家のような鍛練方を実施している。

怪我もまだ治っていないのだが、「とりあえず動ける」まで回復したと勝手に判断し今回の体力錬成を決行した。

大腿部の亀裂骨折も、内臓の損傷も。肺に空いた穴も塞いだだけで治ったわけではなく、深く息を吸い込みすぎればまた穴が空く可能性もあるが、ブリッツは「まあその時になったらその時で」と気楽に考えていた。

 

典型的な無酸素運動によって脳に酸素が回らない状況下。なら切り上げればいいのだが、「一度始めたのなら最後までキッチリと」という彼の実直な性格が、それを許さなかった。

 

『ああちなみに、他の指揮官やスタッフにも聞いてみたんだけど、大体が「人間の代わりに戦えること」って答えだったよ』

 

言外に「君には違う答えを言ってもらうよ」と告げられた。早々に切り上げられるよう、当たり障りの無いものとして似たような回答で行こうとした矢先の事だった。用意した回答を先回りされ封じられ、別の回答を求められてしまった以上、ブリッツには彼女に付き合って話をする以外の選択肢が消え失せた。

 

荒くなってきた息を整えるよう一度深めに呼吸する。

 

「強いて言うならば、コストですね」

 

『へぇ』

 

興味深い、とでも言う代わりに感銘を溢す。

 

『戦術人形、というより自律人形は安く無いと思うのだけど。確かに人形の稼働データの提供をしてもらう代わりに、I.O.Pはグリフィンに人形を安く提供しているから、コストが良いと言えるかもだけど』

 

「ではこちらからも質問を。博士は正規軍特殊部隊の人間兵士一人を鍛え上げるのに、どれだけの費用と時間が必要かご存知ですか」

 

質問していた相手からの突然の質問に、ペルシカは考え込む素振りを見せる。尤も、両手が塞がっているブリッツはその様子を窺い知ることはなかったが。

 

『んー・・・特殊部隊、というより軍の訓練自体結構長期的にやってるイメージだから・・・大体5万ドルで一ヶ月くらいかしら』

 

「惜しいですね。正解は最低で50万ドル。期間は短くとも半年です」

 

『惜しいの?それって』

 

懐疑的な視線を送るペルシカであったが、ブリッツはそれを見ることはなく(見たとしても気にせず)、話を続ける。

 

「これは自分が所属していた部隊での話ですが、部隊へ配属されるための選抜過程である基礎錬成訓練を受ける前に、選抜試験を合格しないといけません。早い話が体力テストと職業適性試験です。

統計上、ここを通過できるのは100人中1人だけだそうです。そこから更に基礎錬成訓練を受け、三週間の初歩教育の後に厳しい体力訓練を四週間受け、最後に極寒の雪原を重たい装備を持って何日も歩き、走り、匍匐前進し、寝る間も惜しんでゴールを目指します」

 

『・・・聞いてるだけで吐きそう』

 

「まだあります。その後には陸上訓練。銃器や爆発物の取り扱いに精密射撃、近接戦闘、各種車両操舵、長距離偵察、ロッククライミング、隠密潜入などなど。それを乗り越えても空挺降下訓練が待ち受けてます。それら全てを受け、能力が十分であると判断されてようやく一人前の部隊員として()()()の評価をもらえます」

 

『うわぁ・・・』

 

ひどくゲンナリとした様子の声がPDAから聞こえてくる。今挙げたことをみっちり半年間かけて遂行するのだ。戦闘訓練だとか体力錬成だとか、そういった事と縁遠いペルシカからすれば、受けること自体信じられないレベルの話であろう。

 

ノルマとして定めていた屋上一周をやりきり、ブリッツは新体操の転回のようにして逆立ちから起き上がる。

負荷をかけた状態から解放され、全身に疲労感が溶け込んで消えていくような感覚を覚える。

そよ風が肌を撫で、火照った体を心地よく冷ましてくれる。

 

「部隊員を一人育成するのにかかる費用は最低でも50万。更に高度な教育、訓練を受ければ更に費用はかかります。一人に200万ドルほど掛かっているって話も聞きます。

それに対して、戦術人形はその十分の一以下。期間も最長で2ヶ月前後で実戦投入可能。おまけに、破壊されてもほぼ同程度の能力のまま再度投入出来る。軍上層部としては、優秀な兵士を都合よく使い捨て出来、かつ補填も容易な戦力というわけです。よほどのことがない限り、戦術人形の需要は無くならないでしょう」

 

つまり、I.O.P社のこれからも安泰ということです。屋上の柵に掛けていたタオルで汗を拭い、そのすぐ下に置いてあったスポーツドリンクを一口飲んでから、ブリッツはそう締め括った。

 

胡蝶事件以降、まだ鉄血工造が企業として機能しI.O.P社とシェアを二分していた時代は終わり、今ではI.O.P社一強となった現在。戦術人形を始めとする無人兵器の需要は今なお増加傾向にある。各国正規軍のみならず、グリフィンのように戦術人形を起用するPMCや警備会社。企業ではなく、一個人の私兵として戦術人形を使う存在や、甚だしい事に、テロリストも戦術人形を使用しているという情報すらある。

もちろん人間を主軸として編成された軍の部隊やPMCも存在するが、それも今や少数派になろうとしている。

 

地域紛争といった小規模な戦闘から、国同士の大規模な戦争にまで戦術人形は投入され、更により高度に発達した無人兵器の台頭によって人間の血は一切流れない、無血のクリーンな戦争が出来上がった。

逆にそれは、人的損失や政治的、軍事的なリスクやハードルを大幅に下げる事に繋がり、戦争勃発の引き金が軽くなってしまった。

 

戦争が起きれば兵器の需要はより高まる。兵器が普及すればより戦争の規模も広がっていく。

誰も何も言わないが、最早現代において戦争はビジネスと成り果てている。言ってしまえば、今のグリフィンと鉄血との戦争もある一面で見ればビジネスの現場と何ら変わりはない。

グリフィンに属し指揮官としてその渦中にいるブリッツは言葉にこそしなかったが、それをひしひしと感じていた。

 

この世界は戦争で成り立っていると。

戦術人形は、それを根底から支えている大きな要素だと。

 

「あー!やっと見つけた!ちょっとブリッツさん!」

 

突如、張り上げた若い女性の声が屋上に木霊した。見れば、屋上と屋内を隔てる勝手口に看護師が立っている。ブリッツの担当看護師だ。

ブリッツがその場で姿勢を正して直立する。その態度は上官と接する時のそれである。

 

「安静にって言ったじゃないですか!勝手に出歩かないでください!運動もしないで下さい!」

 

「はっ、申し訳ありません。直ちに病室に戻ります」

 

「もう勝手なことはしないで下さいね!」

 

看護師は踵を返して屋上から去っていった。おそらく他に仕事があるのだろう。去り際の歩くスピードが普段の3割増しで早かった。

姿が見えなくなったことを確認し、ブリッツは肩の力を抜いて小さく息をついた。

 

『怒られちゃったわね』

 

「仕方ないことです。丁度いいので、これでお開きとしましょう」

 

『そうね。私もそろそろ仕事に戻らないといけないし。ああそうそう。忘れるところだった』

 

「何でしょう」

 

『まだ先の話だろうけど、退院のお祝いを用意してるから。早く現場に復帰するようにね』

 

「お祝いですか。嬉しいですね。楽しみにしています」

 

『じゃあ、またね』

 

プツンと、通信が切れた。

 

「お祝い、ね。さて、何が出てくるやら」

 

あのペルシカリアが用意したというお祝いの中身。期待と不安を織り混ぜながら、ブリッツは看護師の言う通りに自分に与えられた病室へと歩を進めた。

 

 

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───

 

民間軍事会社グリフィン&クルーガーは、大規模な演習場を保有している。

荒廃し、人類に見捨てられたゴーストタウンと、その周辺の更地や山岳地帯。それら一帯をグリフィンが戦術人形の訓練用の演習場として所有、管理している。その広さは約9000ヘクタールに及ぶ。

 

市街地戦や屋内戦。平原での銃撃戦や山岳地帯での対ゲリラ戦などなど、様々なシチュエーションを想定した訓練が行われる。

また、演習場の一角には設備の整った施設もあり、そこでは指揮モジュールを使った指揮官自身の訓練も行える。

 

なお、広報や他のPMCへの示威行為の目的で戦術人形を用いた模擬戦や、昨今導入された重装部隊による実弾射撃演習などといった、グリフィンが保有する戦力を公開するイベントもここで行われている。

 

────そんな演習場のキルハウスにて、ちょっとした珍事が起きていた。

 

荒廃した市街地を模したステージを、5体の戦術人形が編隊を組んで進行している。そのどれもがエリート人形であり、内訳はSMG二体にAR二体、HGが一体という機動力と火力のバランスが取れた構成だ。

だというのに、人形たちの表情は優れない。焦燥が手に取るようにわかる。

その一人、前衛を務めるSMG人形であるMP7は自身の半身を構えあちらこちらをクリアリングしながら部隊を先導する。

 

彼女が焦燥にかられている最大の要因は一つ。敵の姿が一向に見えないことだ。

影はおろか、痕跡すら見付けられない。キルハウスから姿を眩ませてしまったのではないかと思えるほどに。口内に放り込んだ塩気の強い飴の味も分からないほど、電脳に余裕がない。

 

隣を歩いているSMG人形のJS9も同様だ。自身を落ち着かせるためか、先程から何度も銃のグリップを握り直している。

後ろを警戒してくれるAR人形、Zas M21とT91も、いつ来るかわからない敵の攻撃に対して緊張の色を隠せていない。

 

相手はたった一体。それもI.O.P社のカタログ上ではローエンドモデルの人形一体だ。

だというのに、この模擬戦が始まってからずっと探しているが姿形を捉えることができずにいた。そうそう見逃すような身形はしていなかったのだが。

だからこそ部隊員は皆焦りを隠せなかった。ここまで隠れ仰せることが出来るのかと。

 

唯一冷静なのは、この部隊のリーダーであるHG人形のコンテンダーのみだ。

こういう時頼りになるのがHGの索敵能力だ。彼女もそれが分かっている。在るか無いかの僅かな痕跡すらも見逃すまいと常に意識を集中させている。

 

そして遂に見付けた。確かな痕跡。

 

それは道の真ん中にポツンと落ちていた一発の弾丸。.338ノルママグナム弾。この模擬戦の対戦相手である人形。LWMMGが使う規格の弾丸だ。これは先程までそこにはなかった物だ。

移動の時にでも落としたのか。自然と部隊員の足が止まり、その落ちている弾丸に意識を向ける。

 

───それこそが彼女の狙いだとも知らずに。

コンテンダーは数瞬ほど経って気付いた。これは罠だと。だがその数瞬は、あまりにも致命的な間であった。

 

「皆さん隠れ────」

 

意図に気付いて声を張り上げようとしたコンテンダーであったが、それは一発の重々しい銃声によって遮られた。次の瞬間には彼女は頭部を撃ち抜かれ、後ろへ仰け反って冷たい地面に倒れ伏した。

 

ツェナープロトコルを介してコンテンダーの撃破が通知される。

 

「コンタクト!」

 

MP7は声を上げて近くの建物の影に身を隠した。同時に他の3人も隠れた。その直後に先と同じ重々しく連続した銃声が通りの向こうから響き渡り、壁に着弾した模擬弾が不穏で耳障りな騒音をがなり立てる。

射撃地点はここから50メートル先にある5階建てビルの屋上。

 

MP7は自称ではあるが天才である。多少自身を過剰評価している節があるが、それでもそう自称するだけの能力はある。

そんな彼女の電脳が弾き出した最適解。

 

「Zas!T91!二人はここからアレが動かないよう釘付けにして!その間に私とJS9で二方向から接近して仕留める!」

 

『了解!』

 

他に案も思い浮かばなかったのだろう。MP7の提案に誰も異を唱えずすぐに了承の声が上がり、すぐに行動に移った。

 

ZasとT91は機関銃からの弾幕の間を狙って反撃。同時にSMG人形二体は建物の影に隠れながら移動する。今必要なのはとにかくスピードだ。機動力に特化したSMG人形なら50メートルという距離など有ってないに等しい。ビルの外壁にあるヘリや窓を伝っていけば、高低差もなんのそのだ。

 

すぐに敵が派手に銃撃をかましてくれているビルの屋上に手をかける。後は身を乗り出して攻撃すればいい。

 

「援護を」

 

『了解』

 

JS9と息を合わせ、MP7は今なお銃声鳴り響く屋上に乗り込んだ。が、()()()()()()()()()()。あったのは三脚に固定されワイヤーでトリガーを引いたままにされている中機関銃と、そこへ繋がる弾帯が延びた大きなアサルトパックが一つ置いてあるのみだ。

 

どういう事かと思案する。

その瞬間、視界が反転し地面に叩きつけられた。

気付いたらうつ伏せにされて地面に押し付けられ、右腕の関節を極められている。身動きが取れない。

 

「チャオ」

 

何が起きたのか。それを察する前に聞こえた声の直後、LWMMGのHK45TによってMP7の電脳がシャットダウンされた。

 

「MP7!」

 

そこへ逆サイドからJS9が飛び出して銃を向けて発砲。同時にLWMMGは仕留めたばかりのMP7を抱えあげ即席の盾として利用。襲いかかる無数の9mmパラベラムは全てMP7のボディによって受け止められ、LWMMGには一切のダメージはない。

 

既に撃破されているとしても味方を撃ってしまった事にJS9は動揺し動きが一瞬止まる。

 

「はい失格」

 

その一瞬を見逃さずHK45Tをダブルタップ。胴体と頭部に命中し、JS9は仰向けに倒れた。

 

あと二人。

HK45Tをホルスターに仕舞うとLWMMGはMP7から銃と予備弾倉を一つ拝借。チャージングハンドルを引いて確実にチャンバーに弾丸を送る。スリングを使って腰にぶら下げる。

続いて三脚に固定し銃撃を続けていた中機関銃。トリガーを解放して銃撃を止め、三脚と銃を繋ぎ固定するピンを抜いて回収。連射によって磨耗したバレルを手早く交換し、アサルトパックから150連装ボックスマガジンへと切り替える。

 

そこに地上から無数の銃弾が飛んできた。屈んでなんとかやり過ごす。

自分を釘付けにしようと健気に攻撃していたZasとT91だ。二人の撃破を知って銃撃しながらこちらに進行してくる。高低差があるためそうそう当たることはないが、このまま接近されるのは都合が悪い。

 

入手したMP7で迎撃する。それに反応して二人はそれぞれコンクリートブロックや、放置された自動車の影に隠れてやり過ごす。

すると、Zasが牽制射撃を行い、その間にT91が前進。ある程度進んだらT91が牽制射撃を引き継ぎ、Zasを前進させる。そうやって少しずつ進行していく。

立て続けに3体やられて、多少なりとも慌てふためいてくれればよかったのだが、却って冷静になってしまったようだ。そうそう都合よくはいかないらしい。

 

それならそれでやりようはある。

 

リロードし、MP7で応戦する。

が、いくらファイアレートで勝っていようともこちらは小口径。一撃の重さはあちらに分があり、数の差もあって簡単に覆る。

 

やがてZasがLWMMGのいるビルと隣接しているビルに飛び込み、その間にT91が牽制射を継続。LWMMGはどうしてもT91の対応に回らなくてはならない。このままでは、屋上にまで上がってきたZasとT91とでクロスファイアを浴びせられる。そうなると些か厳しくなる。

 

ならば、この辺りが頃合いか。

 

MP7の機関部から弾切れを告げるように鳴った乾いた音を合図に、LWMMGはMP7を腰にぶら下げて中機関銃を持つ。

それからT91の攻撃が止んだ一瞬のタイミングで屋上から飛び降りた。着地し、衝撃を逃がすのと攻撃の回避の為にわざと派手に転がり、近くの自動車の陰に隠れる。案の定、T91はすぐに車の向こうにいるLWMMGに向かって銃撃してきた。

 

とはいえそれも長続きしない。実弾兵器なら常について回る問題。弾切れによるリロードタイム。

なんとか仕留めようと連射していたT91だったが、弾が切れればそれも出来なくなる。苦虫を噛み潰したように表情を歪めつつ、リロードする。

 

その隙を逃さずLWMMGは吶喊。同時にスリングからMP7を外してT91へと投げる。リロードを終えて銃口を向けると同時に放られたMP7がT91の銃身にぶつかり体勢が乱れる。走りながら中機関銃を発射。LWMMGにとっては棒立ちも同然のT91に、不安定な姿勢であっても命中させられる。それだけの訓練と実戦を繰り返してきた。

 

無惨にも、.338ノルマの餌食となったT91はその場に倒れた。

 

後一体。

すると、屋上に向かっていたが、T91がやられた事を知ったZasが戻ってきた。

なんと好都合か。あのまま屋上に行くと思っていた。T91を仕留めた後は追跡しようと思っていたが、わざわざこちらに出向いてくれた

振り返り、膝射姿勢で中機関銃を連射。Zasはすぐに近くの自動車の裏に隠れて何とか被弾を防いだ。

 

が、それに構わずLWMMGは銃撃を止めることもないままZasのいる車に向かって前進。応戦しようにも、Zasはその場を動けない。

 

Zasまであと3メートル、というところでLWMMGの弾が切れた。銃火が止む。

好機とばかりにZasが飛び出す。

 

そして、機関銃を捨てたLWMMGと眼前で鉢合わせた。

 

銃口を向けるが、それはLWMMGの右手で逆手に持ったナイフによって銃口が逸らされた。

 

Zasはこの時、LWMMGの双眸を見た。深く澄んだ青い瞳は、冷たく自分を捉えていた。

 

次の瞬間には、ナイフで押さえ込まれたままZas M21の弾倉が抜き取られ、コッキングレバーを引かれ薬室に残っていた一発も排出された。

攻撃能力の失った銃身を押さえ込まれ、ナイフが鋭く翻る。

逆手に握られたナイフはZasの首に触れた所でピタリと止まった。

 

「はい、おしまい」

 

朗らかに笑って、LWMMGはナイフを引っ込めた。同時に、キルハウス全体に耳をつんざくブザーが鳴り響く。

訓練終了を告げるブザーだ。

それを合図に撃破判定を貰っていた人形が次々に立ち上がる。

 

MP7は起き上がる際に「JS9ンンンンンン!」と怒りを露にし、JS9は「いやアレは仕方ないでしょう!?」と反論していた。

 

「・・・・・凄まじいな」

 

キルハウス全体を見下ろせるモニタールームにて、グリフィンの上級代行官であるヘリアントスが小さく溢した。

 

ダミーがいないとはいえ、5体のエリート人形を相手に一切の被弾無く、終始一方的に戦闘を進めていく。その手際と来たら、鮮やかなものだった。

しかもそれをやってのけたのが、I.O.P社のカタログ上ローエンドなモデルとして扱われているLWMMG一体だ。

 

「おお、終わったのね」

 

ヘリアンの後ろから覗き込むようにして、先程まで通話していたペルシカが、Zasを労っている様子のLWMMGを見る。

 

今回のこの模擬戦。彼女、ペルシカがヘリアンに持ちかけたものだった。

R12地区での作戦行動の記録を見たペルシカが、ローエンドでありながら部隊を率いて任務遂行に一役買っていることに関心を示したペルシカが、事実確認のために今回の模擬戦をヘリアンに頼み込んだ。

 

ヘリアンとしても、これまでのLWMMGの戦果にはいくつか思うところがあった為、すんなりと了承した。

 

「凄いわね彼女。確かにローエンドでも、訓練次第でエリート人形に近づけるし、その実例もある。でも、それを上回るなんて話は見たことも聞いたこともない。いやぁ、とんでもないわね」

 

モニタールームでは演習に参加した人形の評価として、作戦遂行能力を数値化する機材が設置されている。その機材が示した数値は9800相当。これはエリート人形に匹敵、もしくはそれ以上の数値である。

 

「そのLWMMGを鍛え上げた男と話していたんだろう。どんな様子だった」

 

「元気そうだったよ。看護師に怒られる程度には」

 

その一言に、ヘリアンは眉をひくつかせて「後で話をする必要がありそうだな」と小さく溢した。

 

それはさておき、と。掛けていたモノクルをかけ直し、ヘリアンはペルシカに視線を移す。

 

「彼女は、本当に純正なのだな?」

 

「間違いないわ。修復の際私も立ち会ったけど、特に法に触れるような改造もなにも無かった。つまり、これまでの戦果も今回のこの結果も、彼女が積み重ねてきた努力の結果であり彼が鍛え上げた結果でもある」

 

「理由はわかるか」

 

「おそらくは。彼女もそうなんだけど、S10地区基地所属の人形全員には、蓄積された戦闘データの中に異物のようなものが紛れ込んでた」

 

「異物?」

 

ヘリアンが怪訝そうな顔でペルシカを見る。

 

「普通ならあり得ない形のデータだから異物と表現したけど、その中身を調べてみたら、なんと彼。ブリッツ指揮官の戦闘データが紛れてた。多分、戦場で一緒に行動してる時にブリッツ指揮官の戦い方を見た人形が、それを自身の経験値として取り込んだんだろうね。その戦闘データがトータル経験値として作戦報告書に落とし込まれ、その報告書を使った人形はブリッツ指揮官の戦闘データを取り込み、大幅な作戦遂行能力の向上となった。それを考えれば、あのLWMMGが持つ戦力にも、まあ納得がいくかな。何せ彼と長い時間、訓練を積みと実戦を経験してきたのだから、その分戦闘経験値としての純度は高いよね」

 

興味深い。最後にそう締め括った。

 

戦術人形の運用については、まだ手探りの部分が多い。訓練もその一つだ。グリフィンが定める訓練方法は、かつての人間兵士に用いたやり方を、I.O.P社の技術者達からの意見を元にアレンジしたものだ。

とはいえ、やっていることと言えば基本的な射撃姿勢やツェナープロトコルを使った連携行動。キルハウスを使った模擬戦。それくらいの物である。

 

もし従来よりも効率的な訓練方法があるのならば、グリフィンとしてもI.O.P社としても是非とも知りたい。

 

だから────

 

「だからブリッツ指揮官には、グリフィン本部に移ってもらうかI.O.P(ウチ)に来て、人形の教導に専念してもらいたいのよね」

 

それを元に戦術人形の戦闘訓練を確立したい。技術者としてのペルシカリアの意見であった。

 

「無理だな。彼は必要な戦力だ」

 

後に控えた大規模反抗作戦において彼と彼の部隊は必要になる。上級代行官としてのヘリアントスの意見である。

 

LWMMGを始めとする高い作戦遂行能力を有した多目的戦闘群は、既にグリフィンが保有する主戦力の一つにまで力をつけている。その部隊の指揮官が前線から離れれば士気の低下は当然として、最悪瓦解しかねない。

強力な部隊を束ねるには、同等以上に強力な指揮官が必要だ。だから外せない。

 

ペルシカもそれを分かっていたのだろう。特に言い返すこともせず、ただ小さく肩を竦めてみせるに留めた。

 

なので、もう一つの提案をする事にした。

 

「なら代わり、というとアレだけど。コレの許可くれないかしら」

 

ペルシカがヘリアンに差し出したのは、バインダーに挟まれた一枚の紙きれ。

それを見たヘリアンは眉をひそめた。

 

「LWMMGの、強化改修案・・・?」

 

「そう。あのLWMMGを、記念すべきMOD化第一号にする」

 

それはまるで壮大なイタズラを計画している時の子供のような、とてもとても愉快そうな笑顔だったと。ペルシカの笑顔を見たヘリアントスは後にそう溢していたという。

 

 

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R12地区奪還から一月半後。

ブリッツは退院を果たした。医師も驚く、文字通り驚異的な速度で回復したブリッツは、すぐにS10地区基地に戻らなかった。

 

新ソ連軍が管理している軍人墓地。

様々な作戦に従事し勇ましく最後まで使命を持って戦った兵士達が。第三次大戦で獅子奮迅の活躍を見せ、最後は散っていった英霊達が眠る場所である。

 

綺麗に整列された墓標の中を、グリフィンの制服を着たブリッツは進む。

 

目的の墓標を見つけ、立ち止まる。乱れていない身形を整え、その墓標の前で姿勢を正し敬礼した。

 

この墓標の下には誰もいない。が、魂はここに眠っている。

その魂。第74特殊戦術機動実行中隊のデルタチームに属し、かつてブリッツと共に戦い、ブリッツを残し死んでしまった戦友達。

 

ざあ、と。風が吹いた。ブリッツの黒い髪を揺らし、グリフィンのコートの裾を翻させる。

 

まるで戦友達が出迎えてくれたようだと、ブリッツは感じた。何と言っているのだろうか。

「よく来たな」だろうか。「来るのが遅い」だろうか。どちらにせよ、彼らはこんな自分でも笑って出迎えてくれただろう。

そう思えるほどに、彼らと過ごした時間はブリッツにとって忘れがたい。

ジークという男からは近接戦闘技術を叩き込まれた。

ピアスという男からはマークスマンや長距離精密射撃の技術を仕込まれた。

フラッグマンという男からは、兵士として必要なものを教えられた。

 

ガキだった自分に、様々な事を教えてくれた。戦う以外の事も。

 

ジークが意外と料理好きで、付き合う内に自分の料理スキルが身に付いたのは傑作だった。

ピアスは厳つい見た目に反して甘いものに目がなくて、よくジークにスイーツをねだっていた。

フラッグマンは酒豪で、よくウォッカやウィスキーを飲まされた。

 

色々な思い出がまるで湧き水のように次から次に噴き出してくる。

 

その時、背後から一人歩み寄る。そして静かにブリッツの隣に立った。

大柄な男であった。ブリッツよりも若干だが大きく、新ソ連軍の軍服越しにも分かるほどに筋骨隆々とした体躯。

そして軍服以上に厳つい雰囲気を醸し出している顔つき。

ブリッツは彼を知っていた。

 

敬礼を解き、ブリッツは視線は向けずに意識だけを隣の男に向けた。

 

「・・・何の用だ。エゴール」

 

「・・・死者が墓参りにきていると聞いたのでな」

 

「そうかい」

 

ざあ、と。また風が吹く。

二人の沈黙を切り裂かんとするように。

 

ブリッツはその男、エゴールの軍服についた階級章を見遣る。

小さい星が4つ。大尉の階級章だ。

 

「まだ大尉やってるのか。いい加減、佐官に昇格したらどうだ」

 

「そういうお前も、何年下士官をやっていたと思う。下手に昇格すると配置換えされるから嫌だと、尉官の椅子を拒んできたお前にだけは言われたくはない」

 

ピタリと会話が止まる。

 

「フフッ」

 

「ハハッ」

 

暫しの沈黙の後、二人は堪えきれなくなったように吹き出し、笑い声を上げた。

 

「久しぶりだな、ブランク」

 

「ああ、久しぶりだ。エゴール」

 

互いに腕を軽くぶつけ合い、久々の再会を喜び会う。

 

新ソ連特殊作戦軍こと新ソ連特殊作戦司令部(KCCO)大尉のエゴールと、新ソ連陸軍第74特殊戦術機動実行中隊軍曹のブランクことブリッツは、かつて同じ戦場で共に戦い、同じ釜の飯を食べた戦友だ。

年の差や階級差はあれど、他に人がいないときはこうして気軽に話し合える間柄である。

 

「お前が死んだと聞いたときは、何かの間違いだと思った。実際その通りだったな」

 

「運が良かったんだ」

 

「それで今やグリフィンの指揮官か・・・」

 

エゴールの表情に影が差した。

その理由も、ブリッツには何となくだが察しはついた。

 

「相変わらず、人形は嫌いか」

 

「お前は好きなのか?」

 

「嫌いじゃないよ。いい部下だなって思える程度には」

 

「俺はそうは思えん」

 

「残念だ」

 

ブリッツが肩を竦めて見せる。また沈黙が流れ始める。

ざあ、と。風が吹く。

 

「・・・ブランク」

 

仕切り直し。そんな雰囲気でエゴールが切り出した。

 

「軍に戻ってこい。俺がカーター将軍に口添えをしてやる。陸軍には戻してやれないが」

 

「KCCOになら入れると?」

 

「そうだ。お前の居場所は。いるべき場所はPMCではなく軍だ」

 

「俺は軍に殺された身なんだがな」

 

「確かにそれは軍の失態だ。だがそれをやった不届き者。グリゴリエヴィチ元中佐とその息の掛かった人間は既にこちらで処分した」

 

「だからチャラだとでも?早々に俺たちを切り捨てて、間違って生き残った俺は仲間も国籍も奪われたのに対し、たかだか数人シベリア送りにしてハイ手打ち。だから軍に戻ってこいと?」

 

ジロリとブリッツはエゴールに視線を向ける。怒りや恨みが混じった、どす黒い視線だ。

しかしエゴールもこの程度では狼狽えない。

 

「確かに許せないだろう。だがそれでも、俺はお前に戻ってきてほしいと思っている。俺はお前に助けられた。その恩は今でも忘れていない。だから返させてくれ」

 

真っ直ぐにエゴールはブリッツを見る。ブリッツもエゴールの人となりは知っている。

彼は仲間や部下を大切にしている。それを知っているエゴールの部下は彼に心酔しているし、なんなら彼のためなら死んでもいいと。殉職も辞さないと公言されているほどだ。

 

ブリッツもそんなエゴールを尊敬しているし、彼が差し伸べてくれた手を払うような真似はしたくはない。

 

だが今は、その手を取ることはできない。

 

「エゴール。俺はアンタに助けられた。その恩を忘れたことはない。だからアンタを助けた。それでも俺はアンタに恩を返しきれたとは考えていない。正直、戻ってきてくれって言われたときは嬉しかったよ。・・・だけどさ、ダメなんだ。今はダメなんだ。俺にはまだ、グリフィンでやることがある」

 

「やることだと?」

 

エゴールが怪訝に顔を歪める。

 

その時、ブリッツ達の上空に一機のヘリコプターがやってきた。ヘリは地上5メートルの位置でホバリングする。機体側面にはグリフィンのロゴが煌めいている。

そんなヘリから一本のロープが延び、先端が地上に触れた。

そのロープを伝って、一人降りてくる。

 

S10地区基地所属のFALだ。その様相は正しく完全武装。なにかあったことは明白であった。

 

「ブリッツ。緊急出撃(スクランブル)よ。一緒に来て」

 

「了解。行こう」

 

「ブランク!」

 

ロープの金具とズボンのベルトを繋ぎ、ヘリに引き上げてもらうその手前で、エゴールは声を張り上げブリッツを呼び止めた。

 

「悪いなエゴール!これが俺のやることだ!もしも!俺がやること全部終わらせた後!それでも俺を軍に戻したいのなら、俺はアンタに着いていく!約束する!」

 

「ブリッツ、そろそろ行くわよ」

 

「ああ、わかった」

 

ヘリがロープを巻き上げ始める。それに伴い、ブリッツとFALの体は宙に浮かび、やがてヘリへと搭乗するに至った。

 

搭乗を確認したヘリパイは速やかに出力を上げその場から素早く離脱した。

 

徐々に遠退いていくヘリの機影を見送りながら、エゴールは持っていた通信端末を起動。通信を繋げる。

 

「将軍。ブランクの件ですが、フラれてしまいました」

 

『そうか。だがその割りには嬉しそうだな、エゴール』

 

「ええ、まあ。残念ではありますが、ヤツが変わっていないことが分かりましたから」

 

ヘリは既に遠くへと消え去っていた。それでもエゴールは、ブリッツを乗せたヘリが飛んでいった方向を見続けた。

 

 

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ヘリの中には、ブリッツがいつも使っている装備一式が用意されていた。

新調されたスマートグラスにCNT防弾戦闘服にタクティカルベスト。

16.5インチモデルのHK417A2に、アンダーバレルにはフォアグリップ。レシーバー上部にはホロサイトと3倍率ブースターによるハイブリットサイト。MP7A1とコンペンセイター仕様のMk23ソーコムピストル。それぞれの予備弾倉。手榴弾が3つ。

一部違うが、あの最後の作戦で使っていた一式に近い。

やはり自分はグリフィンの制服よりも、この戦闘服の方が着ていて落ち着く。

 

「ゲート、詳細を」

 

『S02地区の居住区に鉄血が侵入しました。中隊規模との情報ですが、現在当該地区担当指揮官と治安維持部隊が協力し事態の制圧に取りかかっていますが、状況は芳しくありません。住民は避難を始めていますが、人手が足りないようでそちらも滞っております』

 

ナビゲーターからの情報にブリッツは分かりやすく表情を渋らせる。

 

「このままだと大勢の民間人に被害が出るな。他のメンバーは」

 

「私以外の第一部隊と第二部隊。それとライトが出てくれてる」

 

FALが即座に答えてくれた。

 

「ライトか。入院中はずっと迷惑をかけっぱなしだったな」

 

「埋め合わせ、ちゃんと考えておきなさいよ」

 

「もちろんだ」

 

ブリッツが入院している間、LWMMGことライトは、一度も見舞いに来たりはしなかった。副官である彼女は元々ある責任感の強さから「ブリッツのいない間は私が何とかする」と大量のタスクをブリッツに変わって処理していた。

それを見舞いに来た人形から伝えられていたブリッツは、ライトに対して申し訳なさを感じると共に、立派になったと感動を覚えた。

 

そんな複雑な胸中を抱いている内に、ヘリはS02地区居住区に到着。中心部にある陸上競技場に構えられた臨時前線基地に着陸し、ブリッツとFALはすぐに地上へと降り立った。

 

競技場内は大変な賑わいであった。

民間人の負傷者や損傷した人形の応急処置。阿鼻叫喚一歩手前といった様相だ。

 

「指揮官!」

 

横から声をかけられる。振り返ればそこには第一第二部隊の面々が横一列に並び敬礼していた。すでに一仕事終えてきたのか。全員少しだが汚れがある。

ブリッツもすぐに答礼する。

 

全員を見渡すが、一人足りない。ライトがいない。

 

「おい、ライトはどうした。いるのだろう」

 

「こっちよ。ブリッツ」

 

今度は背後から、聞き馴染みのある声が聞こえた。

また振り返り、今度は驚き目を見開いた。

 

いつもの赤いジャケットにヘソ出しのシャツという出で立ちではなく。深い紺色のシャツ。浅葱色のネクタイ。髪型もハイツインからローツインに。

更には左腕と右足には外骨格が装着されている。

 

スリングで吊るされている銃も変貌している。機関部のみタンカラーに変更され、その上部にはトリジコンのACOG 6x48 MGOが。

 

ちょっと見ない間に様変わりした相棒の姿に、ブリッツは驚きを隠せない。

その様子に、ライトは不安そうに自身の格好を見る。

 

「へ、変かな?自分では結構気に入ってるんだけど・・・」

 

「・・・いや、よく似合ってる。見違えたな」

 

「! えへへ」

 

ブリッツの一言に、ライトは照れ臭そうに。しかし嬉しそうに笑った。

 

「あっ、そうだブリッツ」

 

「ん?」

 

すっと息を吸い込む。

 

「おかえり、ブリッツ」

 

「ああ。ただいま、ライト」

 

ずっと言いたかったこと。ずっと言えなかったことが言えた。

今この瞬間だけ、周りの喧騒も忘れていた。

 

しかしいつまでもそこに浸っている訳にもいかない。任務を遂行しなくては。

 

「さてと。それじゃあ兵士諸君。任務を遂行しよう。Are you ready?(覚悟はいいか?)

 

『Yes sir.』

 

 

────2061年。胡蝶事件から始まった鉄血工造と民間軍事企業グリフィン&クルーガーとの戦争は、長期化の一途を辿っていた。

やってはやられての繰り返し。グリフィンは、戦術人形同士によるこの終わりの見えない戦争に、疲弊していた。

 

そんな中で、自らが銃を握り懸命に戦う指揮官がいた。人形を教導し兵士として鍛え上げ、己自身が人形(兵士)と共に戦線に赴く。

終わりの見えない戦争を終わらせるため。かつての仲間を奪った相手に復讐するために。

 

兵士としての義務と使命を胸に抱いて。

 

「OK。殺しに行くぞ」

 

彼は今日も、人形(仲間)と共に戦場に赴き、戦い続ける。エンディングを迎えるその時まで。




ひとまず、ここで打ち切らせていただきます。
本編は本作品における基本設定をストーリー調にして詰め込んだ感じなので、今後は思い付いた小話や劇場版のようなスケール大きめの話が書ければいいなと思います。

人生初の二次創作で、かつ銃を始めとしたミリタリーの知識がない状態で始めた本作ですが、ここまで着いてきてくれた方々。感想や評価をしてくださった方々には感謝してもしきれません。それから誤字ばっかりしてごめんなさい。

また機会があれば読み返して頂いたり、次の更新を楽しみにしていただければ幸いです。

それでは、またいつか

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