S10地区司令基地作戦記録   作:[SPEC]

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今回もクッソ長い。勢いってのはこえぇなぁ。
上手く伝わるといいなぁ(願望)


1-6

ブリッツ達がメインルームを制圧、爆破したその直後。

一体どこに隠れていたのか。建物の影からリッパーとヴェスピドの群れが、WA2000と一○○式に向かって迫り来る。その数16体。

爆発を感知した近くの鉄血兵が、現場確認でやって来たのだろう。

 

だが確認だけならば数体で事足りる。こうして大量にやってきたのは、おそらく何処で爆発があったのかを理解し、敵襲と判断。内部に敵がいると想定しての応援。

つまり、現場確認兼敵性勢力の排除。

 

中々どうして。鉄血のミドルレンジモデルとしては的確な判断を下すではないか。

監視塔からスコープ越しに、先陣を切るリッパーを見るWA2000は感心する。

 

だがしかし惜しいかな。そこまで判断出来て敵部隊の展開が済んでいると考えが至らない辺り、やはりミドルレンジモデルに過ぎないと言うことか。

 

とはいえ、このままでは今だ屋内に居座っているブリッツ達が室内戦に陥る。そうなるとまともな援護が出来なくなってしまう。ここらで食い止める必要がある。

 

「一○○式、見えてるわね。アイツらをブリッツ達の下に行かせるわけにはいかないわ。合図したら切り込んで」

 

『その言葉を待ってました!』

 

通信機に飛び込んでくる一○○式の嬉々とした応答に、WA2000は頼もしいやら呆れるやら。何とも複雑な気持ちに苦笑するばかりだ。監視塔制圧してから今までの間、ずっと待機で退屈していたのだろう。

しかしスコープ越しに敵を見る右目は決して緩みはなく。

 

いざ建物に潜入しようとドアに手を掛けるリッパーに向かって発砲。頭部に一発、コアに一発。確実に仕留める。

仲間がやられた事で確認部隊の動きが止まり、警戒態勢。腰を落として周囲を見渡す(クリアリング)

 

「優秀ね。バーカ」

 

更に一発。二発。三発。四発。五発。

 

ヴェスピドの頭が弾け。リッパーのコアが砕かれ。ワンショットワンキルを地で行き、16体いたのに、瞬く間に1/3がやられた。

 

「今よ。切り込んで」

 

静かに。しかし冷たく厳かに。空になったマガジンを引き抜きながらに告げる。

 

その瞬間。確認部隊のすぐ近くの地面から、まるで湧き出てきたかのように一○○式が現れる。

 

WA2000の熱光学迷彩マントを身に纏い、地面に伏せて隠れていたのだ。

自分を隠してくれていたマントを脱ぎ捨て、特製の8mmホローポイント弾を連射。ライフルに比べて威力は弱いが、これだけの近距離ならば当たれば有効だ。

 

突如現れた一○○式に対応する間もなく、機関短銃が鉄血兵を打倒していく。

しかし、3体ほど倒した辺りで弾倉が空になる。当然発砲が出来なくなる。

 

好機と見た鉄血兵は一○○式に銃口を向ける。が、銃撃が出来なかった。

 

何故なら、一○○式が銃が容易には使えないほどの至近距離に潜り込んでいたから。

懐に飛び込まれたヴェスピド。こういう時どうすればいいのか、咄嗟の判断が出来なかった。

 

────刹那、機関短銃の先端に取り付けられた銃剣、I.O.P社製高周波ブレードが閃く。宛ら居合い切りよろしく。銃のストックを右手に持って刀のように振るい、ヴェスピドの頭部が切り落とされた。

 

噴水の如く切断面から噴き出す人工血液とオイルが、一○○式の黒いセーラー服と左頬を汚す。

返す刀で、左隣のリッパーを袈裟に一閃。胴体のコアごと切り裂き前方へと蹴飛ばし健在の敵へと押し付け、2体のヴェスピドの体勢を崩させた。

真後ろへと回り背後から射殺しようとリッパーが動いたのを即座に知覚。木製ストックで銃の側面を叩き射線を逸らす。直後リッパーの銃口から一発のエネルギー弾が放たれ、それが近寄ろうとした別のリッパーのコアを撃ち抜いた。そのまま胴体を強く突いて後退させる。

 

間合いが開いた所で新しい弾倉を叩き込み。後退させたリッパーに弾丸を食らわせる。

 

一○○式の奇襲が始まって僅か4秒足らず。この時点で7体。残りはあと3体。

 

機能停止した仲間を押し付けられ、体勢を崩していたヴェスピドが立て直して銃口を一○○式に向ける。丁度後ろを取る形となり、ヴェスピドからすれば絶好の銃撃チャンス。

 

それを拒む形でリロードを終えたWA2000がヴェスピドを撃ち抜く。

残る一体だけとなったリッパー。仲間が居なくなり同士討ちのリスクが無くなったことで銃を乱射して牽制しようと試みる。が、それより早く一○○式が役目を終えた空の弾倉をリッパーの顔面に投げ、ぶつけた。

バイザーに命中し一瞬だけ意識が逸れる。そこを逃さず、一○○式は低い姿勢から一気に肉薄。槍を突くように、銃剣を胴体のコアに突き立て、真横にかっ捌く。人工血液とオイルが吹き出した所で、ダメ押しの一閃。首と胴体が別れた。

 

オールクリア。辺り一面にどす黒い液体による水溜まりが出来上がる。

 

一仕事終えた。そんな風に、銃剣に付着した血やオイルを振り落とし、一○○式は小さく息をついた。

 

「ワルサーさん。援護ありがとうございます」

 

『全くよ。今度和菓子作ってよね。甘いやつ』

 

「フフ、はい喜んで」

 

小休止といった空気が通信機を通じて流れる。

 

直後、WA2000が発砲。どうやら正面ゲート方面で戦闘している仲間の援護射撃をしたようだ。

通信機にはOTs-12とSV-98の茶化した台詞も聞こえた。

 

どうやら正面ゲートの戦闘も落ち着いたようだ。

 

大好きな至近距離の戦闘も出来たし、何より仲間が誰も傷つかずに済んだ。それが一○○式にとって一番嬉しい戦果であった。

満足だ。胸中に広がる充足感に、一○○式は自然と顔を綻ばせた。

 

しかし、現実とは非情なものらしい。途端に通信機が騒がしくなった。

同時に、一○○式の紅い瞳も現状を捉えた。

 

先の確認部隊よりも多い鉄血兵があちらこちらから現れる。優に倍以上はいる。

 

『ちょっと!またわらわら出てきたわよ!?どこにいたのよ!』

 

通信機からWA2000の怒号が聞こえる。殲滅しきったと思ったところに予期せぬ増援。ブリーフィングで想定されていた敵戦力を上回っている。WA2000でなくともそう叫んでしまうのも致し方ない。

 

そんな状況下で、一○○式の胸中に過ったのは悲壮でも。ましてや絶望でもない。

 

「ああ・・・弾が無くなっていく・・・。またライトさんに怒られちゃう・・・」

 

それは現状を乗り切った後に訪れるであろう憂鬱であった。

自身の損傷や戦闘不能に陥る可能性も不安も、一切考えていない。必ず乗り切れるという揺るぎ無い精神。やり遂げるという確固たる意思。そして、こういうシチュエーションは今回が初めてではないという、経験から生まれる自信が、一○○式という戦術人形(兵士)を突き動かす。

 

包囲を構築していく鉄血兵の動きを見渡す。

 

「指揮官。使わせていただきます」

 

腰に収めていたオールスチールトマホークを取り出し、左手に持つ。

右手に銃剣を、左手に斧を。歪な二刀流が完成する。

紅い双眸が妖しく煌めき、敵の集団を見ていた。

 

首に巻かれた赤いマフラーを口元を覆い隠すように整え直す。

 

────銃剣の始まりは、最前線を進む仲間達を護るため、軽機関銃に着剣装置を取り付けた事に端を発している。

一○○式(彼女)もその流れを汲まれ、着剣装置が付いている。

 

現代の素材と技術を使用(つか)って、当時とは比較になら無いほど剣としての性能は底上げされたが、その本質までは変わらない。

この銃と剣は、仲間を護るために存在している。

 

無力で誰も護れなかったあの時の。昔の自分はもういない。

今度こそ護ってみせる。幾度となく固めた決意を改めて、銃と斧を握り直す。

 

「一○○式!行きます!」

 

敵に真っ正面から切り込んでいく。

 

馬鹿正直な吶喊。絶望的な状況に陥り自棄を起こした。美味しい獲物だ。鉄血兵達は誰もがそう判断していた。

全ての銃口が一○○式に向けられる。

即座に発砲。緑色のエネルギー弾による弾幕が形成される。

 

しかしそれが当たらない。弾幕の僅かな隙間を縫うようにして、体を捻り、飛んだり跳ねたり。避けていく。弾が体をすり抜けているのではと錯覚すら覚えるほどに無駄が無く。

 

そうして、一発の被弾も許さないまま、遂に敵の懐へと飛び込んだ。

 

一閃。銃剣が横薙ぎに振るわれ、リッパーの胴体が横に真っ二つにされる

間髪入れずに左手の斧が翻る。ヴェスピドの左足を切り落とす。バランスを崩して倒れるヴェスピドに銃弾を叩き込む。

ついでとばかりに近くにいる鉄血兵を撃ち抜いていく。

 

これで空間が出来た。空になった弾倉を交換しながら、脚に満身の力を込めて地面を蹴飛ばす。

地を這うかのような低姿勢での突進。からの急停止。その勢いを使ってトマホークを振るう。リッパーの首を飛ばす。

続けざま近寄ろうとしたヴェスピドに向かって一発発砲。ヘッドショットが決まるが、まだ動いていた。

たまにあるのだ。電脳を破壊しても動き続けることが。近付き、コアに銃剣を突き立てる。一瞬痙攣したように体をビクリと震わせて、それから動かなくなる。

引き抜き、振り返り、また一発だけ撃つ。リッパーのコアに当たる。今度は動くこと無くその場に倒れ伏した。

 

既に一○○式の全身は敵の返り血とオイルにまみれている。その周辺も、血とオイルが撒き散らされ、ドス黒い色に染まっていく。

 

WA2000も援護に加わる。一○○式の背後に回ろうと動く敵。間合いの外から撃とうとする敵。そういった人形を優先的に次々と狙撃していき、数を減らしていく。

 

数が多い。WA2000は苦悶に顔を歪ませる。明らかに弾が足りない。

 

一○○式も近接攻撃で弾の節約をしているが、限界がある。部隊の中では近接戦闘の鬼として知られている彼女ではあるが、いずれ物量に押し潰されてしまう。

 

「何やってるのよ向こうは・・・!」

 

一向にやってこない援軍に思わず毒づく。

ブリッツ達に何かしらのイレギュラーがあったのは確実。だがこのままでは多勢に無勢。

向こうにも都合があるのはわかるが、こちらにも都合があるのだ。

 

「まだなの?もう持たないわよこれ・・・!」

 

残弾数に心許なさを覚える。一人で携行できる弾薬数にも限界がある。その限界が差し迫っている。

 

その時だ。周囲の観察に使っていた左目の視界に、集団から離れて妙な動きを見せる敵、イェーガーの姿が入り込んだ。

すぐにそっちへスコープを向ける。ソイツが構えているのはいつものライフルではない。

代わりに肩に担いでいるのは携行対戦車砲。

滑腔式無反動砲AT-4。

 

なぜ鉄血がそのような物を持っているのか。何処から引っ張り出したものなのか。そんな些細な疑問を浮かべては瞬時に切り捨てた。

なぜならそれが、自分が今いる監視塔に向けられているのだから。

 

3階相当の高さ。着地にミスすれば脚部の駆動系に支障をきたす恐れがある。が、そうも言ってられない。

すぐにライフルを背中に背負って柵を乗り越え飛び降りる。

直後、対戦車榴弾が放たれる。榴弾は恐ろしい速度で飛来し、WA2000がいた場所に着弾。オレンジ色の閃光が膨らみ、轟音と共に爆炎が吹き出した。

 

間一髪爆発から逃れたWA2000は地面に着地。上手く衝撃を殺し、体の何処にも損傷を負わずに済んだ。

 

しかしホッとしてはいられない。

脱出を目敏く見ていた鉄血兵が何体か近付いていくる。その中にはAT-4をぶっ放したイェーガーもいる。

すぐに背負っていたライフルを構えて応戦する。仕返しも兼ねて監視塔を爆撃したイェーガーを真っ先に撃ち抜く。

 

二体三体とダウンさせ、新たな弾倉をバックパックから取りだし銃に叩き込む。

ここで恐れていた事態。今装填したマガジンが最後の一つ。残り6発。

 

どこかに7.62mm落ちてはいないか。なんてあり得るはずがない儚い願望は、己を仕留めに来た10体の鉄血兵の姿を見て瞬時に切り捨てた。

 

弾がないなら、無いなりに抵抗してやろう。

 

膝射状態で発砲。確実性を重視してヘッドショットではなく胴体のコアを狙っていく。

ワンショットワンキルで仕留めていくも、6体倒したところで弾切れ。敵はまだ4体残っている。更にその後ろからイェーガーの群れ。

それを見てWA2000は舌打ちを溢し、ライフルを背中に背負うように納め、腰にぶら下げたサイドアーム、.40S&W弾仕様のワルサーPPSをホルスターから抜く。その弾倉にはILM社製のホローポイント弾が収められている。

 

とはいえ、これは飽くまで緊急時に使う為のもの。装弾数は7発で予備弾倉も一つしかない。訓練しているとはいえ、ASSTの恩恵も無い。

つまりは悪足掻きにしかならない。

 

それでも

 

「諦めたくないのよ。最後までね!」

 

自分に言い聞かせ、奮い立たせる。

よく狙って、引き金を引く。

 

その時、背後から音が響いた。何かが抜けるようなそんな音だ。

その音の一端はWA2000の斜め上を通過し、打ち損じた残り4体の鉄血兵に直撃。まとめて仕留めた。間髪入れず、今度は連続した2つの銃声が響く。後から迫ってきていたイェーガーの群れに弾丸が飛び込んでいき、食らった者から次々に倒れていく。

 

やがて銃声の主は彼女の隣にやってきた。

 

「ワルサー」

 

呼び掛けに応じるように顔を向ける。そこにはいまだ銃口から硝煙が立ち上るHK417を構えたブリッツがいた。

その隣には416の姿も。

 

「使え」

 

一言だけ告げて、ブリッツは自身のバックパックからWA2000のマガジンを3つ差し出す。

 

「遅刻のお詫びのつもり?」

 

憮然とした物言いではあるが、その表情には僅かだが確かに喜色が滲んでいた。

PPSを仕舞いライフルの弾倉を換える。

 

進行方向上に敵影は無い。WA2000は走り出す。発揮できる出力の限界まで使って足を駆動させる。

監視塔を破壊されてから一○○式の援護が出来ていない。早く行って助けないといけない。

 

自分がスナイパーである事も忘れ、曲がり角から飛び出す。

 

「あつ!ワルサーさん!」

 

満面の笑みで。それでいて笑みに似つかわしくないほどの血塗れな姿で大きく手を振る一○○式が、そこにはいた。

 

見れば、一○○式の足元やその周辺には夥しい数の鉄血兵だった残骸。

そして、何故かドラグーンの二足歩行兵器に乗って楽しそうなRFB。右手に型式と同じ銃を持ち、左手にはMGL-140を持って肩に担ぐFAL。リロードしているVector。自分以外の第一部隊がそこに集結していた。

 

戦闘は終わり、つい先程までの騒がしさは消え失せ、夜らしい静寂がその場に流れている。

 

「ちょっと遅かったんじゃないの?ブリッツ指揮官?」

 

「そのようだな」

 

ニンマリと得意気な笑みを浮かべてFALに、ブリッツはこれといったリアクションを取らずに平然と返した。

 

そして、一番近くに転がっていたリッパーのうなじ。QRコードとシリアルナンバーを確認する。

 

「・・・・・・やっぱりか」

 

「なにがよ」

 

「ちょっとな」

 

ブリッツの呟きに反応したWA2000。しかしブリッツは詳細を話そうとせずに流す。

 

『指揮官。SV-98です。周辺のクリアリング終了。残党はありません。装甲車も、あまり無茶な運転をしなければ何とか走れそうです』

 

「了解した。なら後片付けだ。装甲車を裏手に回してくれ」

 

『了解しました』

 

─────その後、倒した鉄血兵の残骸を施設の中枢部に押し込め、仕掛けた爆薬で建物ごと処分。使える物資を放棄されていたコンテナに詰め込み、後日ヘリで回収出来るよう下準備をした後、部隊は作戦区域を後にした。

 

『皆さん。任務完了ご苦労様です。安全第一に帰還してください』

 

「帰るまでが任務ですね!」

 

「さあ、帰り道を探そう。銃弾は一回に一発だ」

 

ちょうどその時、東の空に太陽が上がっていた。

それから逃げるように。僅かに残った闇に紛れるようにして、部隊は消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後。

HK416はS10基地にて休息と補給。そして今回共に戦った部隊の皆から押し付けられた、インスタントコーヒーやクッキーといった手土産を持って、現在404小隊が潜んでいるセーフハウスにやって来ていた。

 

一瞥しただけではただの廃墟であるそこは、巧妙に隠された秘密の入り口を使って中に入れば、外見からは想像できないほどに設備の整った環境が広がっている。

 

その内の一室に、彼女はいる。灰色の長いサイドテールの髪に、左目に縦の線状の傷跡。404小隊隊長UMP45が。

 

「あら416。帰ってきてたのね」

 

椅子に腰かけて。いつも通り、とぼけたような態度に仮面のように張り付けた笑みを浮かべるUMP45に、416は若干の嫌悪と戻ってこれた事への安堵を覚える。丸一日、色々ありすぎた。疲労(キャッシュ)も溜まっている。今すぐにでも横になりたい気分だが、その前に聞いておきたい事がある。

 

「ブリッツ指揮官と知り合いなの?」

 

「うん?ああ、そうよ。昔、何度か仕事を手伝ってもらってね。優秀だったでしょ」

 

「兵士としては。指揮官としてはどうかしらね」

 

「んー、確かにね~」

 

ケラケラと胡散臭い笑いを織り混ぜながら話す45に、疲労の影響か416は先より強くなった嫌悪感から、聞かずに休めば良かったかと後悔を始める。

ため息を溢し、押し付けられた手土産を近くのテーブルに置いて、踵を返す。

 

「彼ね、グリフィンで指揮官になる前は正規軍にいたのよ。しかも、第三次大戦の開戦から休戦までの6年間を、大きな負傷もなく最前線(フロントライン)で戦い抜いた。ハッキリ言って、凄腕よ」

 

自分に割り当てられた部屋に戻ろうとした足を止め、45に向き直る。

 

「それが何でグリフィンの指揮官なんてやってるのよ」

 

「そこまでは知らない。というより、公式な記録がほとんど残ってないの。特に大戦の前後について、分からないことが多い。ただ、正規軍の名簿上ではKIAで処理されてる事と、グリフィンに入ってからの素性は確か。だから私も彼を利用してる」

 

「・・・・・・戦死した人間まで指揮官にするのね、グリフィンは」

 

「都合がいいでしょ。404Not found(存在しない)私たちにしてみればね」

 

それ以上、416は何も言わなかった。

あの男とは、長くは無いが決して短くもない時を過ごした。ましてや、戦場で肩を並べて共闘したのだ。

 

そんな男の正体がKIA判定を受けた元正規軍所属の兵士で、かつての大戦を戦い抜いた猛者で、グリフィンの指揮官をやっているという。

疲労からか、頭がよく回らない。いつもの完璧な軽口が出てこない。クールダウンが必要のようだ。

 

45もそれを察したのだろう。「まあ、機会があればまた会えるかもね」なんて、本当に思っているか怪しい一言で締め括り、さっさと自室の方へと引っ込んでいった。

 

「ブリッツ、か・・・・・・。敵として出会わないことを祈るわ」

 

誰もいなくなった室内で、416は小さく呟いた。

 

 

 

 

 




(伏線みたいなもの張ってるけど、これといって意味は)ないです。
通常戦役と同じ6パートで終わらせました。次が同じように6パートで終わるとは思えないけどね。
そしてちょっとだけ明らかになったブリッツ君の過去。これが後に活かされるかはワイの気分次第や。
ちなみにこの作品は明確な終わりは考えてません。話が思い付かなくなったらそこで終わり!閉廷!
でも思い付いたら短くとも投稿していく、といった感じです。
あと登場する人形はゲームで入手したヤツに限ります。少なくとも、S10基地では。

で、そのゲームの方では何とかAUGさんをお出迎えし、今はビンゴに励んでおります。全然揃わねぇなアレ!やっと2ラインだよ!(8/28現在)
必死こいて貯めたコイン使って11連回してもスキン来ねぇしよぉ!引き弱ぇなぁ!(血涙)

ところでIWSさんとかネゲヴさんとか一向に来てくれないんだけど、なんでなん?弾薬3桁になるまで回したのに全然来てくれない・・・・・・。わーちゃんは二人来てくれたのに

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