S10地区司令基地作戦記録   作:[SPEC]

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ビンゴは揃わねぇし弾薬は3桁代で枯渇してるしどうなってんだよ俺の基地ぃ!(クソザコ指揮官並感)


インターミッション.01

鉄血が占拠していた軍事施設の強襲任務から数日。

あれからS10地区司令基地にはG&K本部からの任務通達は無く、基地周辺と担当する管轄区域の哨戒のみで、実に穏やかな日常を過ごしている。

 

S10地区の管轄区域内には居住区と工業区が隣り合うようにして展開している。

当然人が多く住むそこを防衛し、区内の治安を維持する。それがS10地区指令基地指揮官。ブリッツの主な仕事内容である。

 

管理区域内の内政自体はグリフィン本部から派遣された人間が行っている。そのため、ブリッツがやることと言えば先に告げた担当地区全体の防衛と居住区内の見回り。内部に潜伏しているとされるギャングやらマフィアやら危険なカルト教団。最近ではロボット人権団体や反戦団体といった不穏因子の監視及び撃滅である。

 

そういった事案を内政を担当してくれている本部の人間と連絡を取り合っていき、具体的にどう行動するかを決めていくと。

 

そしてもう一つが、基地の管理だ。

基地を運営していくのにもコストが掛かる。そのコスト管理をしていくのも、指揮官たるブリッツの仕事だ。

任務で使用される弾薬や食料(MRE)、損傷した人形の修復に使われる交換部品。

それらの収支管理はもちろん、所属する戦術人形の管理まで。

任務が終わればそれを書面にして報告しなければならない。

消費した弾薬と結果的に出た損害。それに伴った戦果の算出。

 

つまり、指揮官の仕事とはデスクワークが主である。

しかしブリッツは根っからの兵士。戦果報告ならともかく、その他のデスクワークというのはお世辞にも得手とは言い難かった。

 

それでもなんとか今日までやってこれたのも、所属する人間と人形のスタッフのサポートや、"ナビゲーター"の存在が大きい。彼女たちがいなければ、この基地はその機能を果たしきる事無く崩壊していただろう。

 

そんなブリッツだが、基地の運営において唯一の得手があった。

 

それが戦術人形の訓練。軍人としての経験と技術は、人類に代わって戦う戦術人形の訓練にも役に立っていた。

 

実働部隊である第一部隊や第二部隊はもちろん。基地の防衛を担当するMGと大口径のRFを中心に編成された第三部隊に所属する人形全て、ブリッツによる訓練を受けている。

 

とはいえ、人間と違い身体能力の面では人形の方が遥かに優れている。故に肉体を苛めぬく過酷なトレーニングはあまり意味を為さない。過酷なトレーニングには精神面の鍛練や、同じ辛苦を味わう仲間がいることで連帯感が形成され、仲間同士で強い絆で結ばれる。そんな名目もあるが、人形のメンタルモデルは意外と繊細で、下手をすれば兵士として使い物になら無くなる可能性がある。

 

なので、基本的に戦術人形の訓練は効率的な部隊の展開やクリアリング。戦術、戦略面の教育といった、知識と経験を積ませることが主になる。

 

その中で色濃くブリッツの教えを身に着けているのが、副官であるLWMMGだ。

基地の創設時から所属する彼女は、それだけ長い時間ブリッツと共に過ごしてきている。現在は副官であると同時に第三部隊の隊長として基地の防衛に徹してはいるが、まだ所属する人形が少なかった頃はブリッツと共に前線に赴き戦ってきた。

 

そして現在、他の人形に技術を教えるまでに成長。今日も予定通りに、新人(ブーツ)たちの訓練をブリッツと共に行っている。

 

基地の中にはシューティングレンジやキルハウス。VRトレーニングといった訓練施設が存在している。

キルハウスには防弾性の高いセパレートを遮蔽物にして並べた物。

居住区内を想定してそれっぽく小さなビルが立ち並び、自動車やトラックを遮蔽物とした市街地戦闘が出来るもの。

セパレートを使ってコースを作り、敵を模したターゲットを銃かナイフで倒していきながらゴールを目指し、その時間を競ったりと種類が幾つかあり、基地の近くに点在する廃墟と化したショッピングモールだった建造物も、後々大規模な訓練施設として再利用する計画も進んでいる。

 

今日はコースを使っての突入訓練で、たった今一人の戦術人形がターゲットを全て倒しゴールした。

 

「ステアーTMP!遅いぞ!」

 

「ヒィッ!ゴ、ゴメンナサイ・・・・・・!」

 

ブリッツの激にコースをクリアしたSMGの戦術人形。ステアーTMPはビクリと体を震わせ目に涙を浮かばせる。

グリフィンの制服ではなく、動きやすさ重視の使い込まれたグレーの戦闘服を着て、チェストリグを装着している。

右脚のレッグホルスターにはMk23が収まっている。

ある程度ではあるが戦闘準備を終えた姿は、制服とはまた違う威圧感が全身から滲み出している。

 

彼の手には見るからに頑丈な軍用タブレット端末があり、そこにはキルハウス内に設置されたカメラからの映像がリアルタイムで表示されている。もちろん録画も行っているため、後から見直すことも出来る。

それを見たブリッツが拡声器も用いずに、決して狭くはない訓練施設全体に響く程の声量で言い放つ。関係ない新入りの人形達も思わず反応して姿勢を正す。

 

ステアーTMPは先月、ブリッツ達が他地区の支援部隊として任務に当たっている際に、作戦区域にて保護した戦術人形だ。

元々所属していた部隊からはぐれ、一人戦場に取り残された人形の事をドロップと言い、そこから保護された人形も同様に呼称されている。I.O.P社との契約もあるのか、グリフィンでは発見した際は可能な限り保護するよう各地区の指揮官に通達している。

彼女もその、典型的なドロップである。

 

「クリアリングに時間をかけすぎだ!丁寧なのはお前の美徳ではあるが突入はスピードが肝心だ!今のお前なら後2秒は縮められる!5分後にもう一度だ!」

 

「! はいっ!」

 

震えが無くなり威勢のいい声で返すTMPに、ブリッツも表情こそ変えないが満足げに頷く。

来たばかりの頃に比べていい顔をするようになった。気弱な性格こそ変わりはしなかったが、だからこそ自信を付けようと努力をしている。彼はそれを好ましく思っていた。だからつい激を飛ばしてしまう。

 

「よし!次ィ!」

 

入れ替わって次の人形、USPコンパクトが「は、はい・・・・・・!」と震えた声で返事をし、コースの入り口に立つ。

彼女もまたドロップであり、TMPとほぼ同時期にこの基地にやってきた。

 

────このS10地区司令基地に所属する人形の殆どがドロップである。

稼働以来、グリフィン本部を経由してのI.O.P社に製造依頼をした事がない。

 

中には任務の報酬として本部から直々に配属を命じられた人形や、自ら志願してこの基地にやって来た人形もいるが、それでも全体の数%に満たない。

 

ドロップにも色々と種類がある。

先のような部隊からはぐれてしまった人形や、所属していた基地そのものを失ってしまって行き場を無くした人形。

酷いものでは、基地を鉄血に襲撃され、幸か不幸か生き残ってしまった人形。まともな訓練も受けぬまま戦場に追いやり囮として使い捨てられた人形もいる。

 

そんなドロップ人形を保護し、一端の兵士として鍛え上げているのがブリッツだ。そして一定のレベルまで鍛え上げた戦術人形に、ブリッツはある選択を人形に迫る。

 

『ここに残るか。それとも別の基地に転属するか』

 

この二択を迫られた人形の大半は後者を選ぶ。自信と実力をつけた人形が、より活躍できそうな基地に移って役に立ちたいと願うからだ。

 

その意思を汲み取り、ブリッツはヘリアントス上級代行官経由で各地の基地に育て上げた人形達を転属させているのだ。

今のところ、転属していった人形たちについて悪い話は聞いていない為、よく頑張っているのだと彼は信じている。

 

TMPやUSPも、いずれどこかの基地に転属して活躍してくれるだろう。そう信じて、彼は今日も彼女達の訓練に立ち会う。

 

「あ、あの・・・・・・指揮官。ちょっと、いいですか?」

 

聞くからに不安げで気弱な幼い声を、ブリッツの聴覚が拾い上げる。

視線を移せば、そこには声の通りに不安げに瞳を揺らして見上げているステアーTMPの姿。

 

自前の尻尾もペタリとしなだれている。

 

「どうした?」

 

「え、えっと・・・・・・お、お願いがあるんです」

 

「ほう?」

 

「あの、その・・・・・・失礼でなければ一度、見本を見せてもらいたいと思いまして・・・・・・」

 

TMPのお願いに、ブリッツは「ふむ」と思案げに唸る。

効率的な技術向上のためには、確かに見本があったほうが良いかもしれない。

 

ちょうど、近くに暇を持て余している適任者がいる。

 

「ヴェクター!手本を見せてやれ!」

 

近くの壁に寄りかかり訓練を眺めていたVectorに声をかける。今日も口には棒つきキャンディが居座っている。

そんなVectorは一瞬不快げに眉をひそめて、寄りかかっていた壁から離れる。その動作はどこか気だるそうだ。

 

そうしてブリッツの前に立ち

 

「ん」

 

自身の半身。装填済みのクリスヴェクターと予備弾倉2本を彼の胸元に押し付けた。反射的にそれを受け止める。

 

「どうせならあたしの記録超えて見せてよ。ね、ブリッツ指揮官?」

 

「ほぅ・・・・・・いいだろう」

 

アンニュイでありながらも挑発的な言い方で煽り、ブリッツもそれに敢えて乗っかる。

そろそろ後ろから威張るだけでなく、指揮官(上に立つ者)としての威厳と強さを見せておく必要がある。

兵士は追い詰められたり辛い時、指揮官の背中を見る。その指揮官が弱いところを見せては、部下は着いてこない。

指揮だけ出来ていれば良いわけではないのだ。

 

ちなみに、このキルハウスのコースレコード第1位はVectorである。

 

ちょうどその時、USPコンパクトが自己新記録を叩きだしコースをクリアした。

 

「USPコンパクト。大分早くなったな。いい感じだ。だが、まだまだ縮められる筈だ。────今から手本を見せてやる。よく見ておけ」

 

物静かで厳かな雰囲気に切り替わる。まるで実際に任務中であるかのような緊張感を纏った上官の姿に、思わず新入り二人は息を飲んだ。

押し付けられたVectorのセーフティを解除し薬室に初弾を装填。チェストリグに予備弾倉を差し込み準備完了。スタート地点に立つ。

 

「はい、よーいスタート」

 

なんとも気の抜けたVectorの合図と共に、ブリッツのタイムアタックが開始(はじ)まった。

 

 

 

同時刻。基地敷地内の屋外射撃訓練場。ここでは主にRFやMGといった高火力、高射程の人形が利用する場所である。

屋内と比較してもターゲットまでの距離は遠く、ドローンを使った動く標的を想定した訓練も出来る。

 

晴天が広がる本日。そこを利用するのは、2週間前に入ったばかりのMGの戦術人形たちである。スケジュールの関係上、今日から訓練が始まる。

その教官はもちろん同じくMGであり、副官であるLWMMGだ。

 

この基地に来て初めての訓練ということもあってか、新入り達の表情は緊張で若干強張っている。

軽機関銃から重機関銃まで様々な人形が同じ名を冠した半身を傍らにして、LWMMGと向かい合う。

ちなみにサポートとして、第三部隊に所属するM2HBも立ち会っている。

 

M2の表情には不安の色が滲んでいた。今日から訓練を受ける人形達にではなく、教官を務めるLWMMGに対してである。

 

射撃訓練場とは思えぬほどに静まり返った場に、教官(LWMMG)は空気が整ったとばかりに切り出した。

 

「ある国の言葉に、このような言葉がある」

 

一拍溜める。

 

「百発百中。私の大好きな言葉であり、私が目指す極致であり理想。そして皆さんには、この基地に所属する以上その極致を目指してもらう」

 

場がざわめいた。当然である。基本的に命中精度は二の次なMGに百発百中を目指せと告げられたのだから。MGの戦術人形間で流れる常識の完全否定も良いところだ。

M2は不安が的中したとばかりに眉をひそめる。なぜなら彼女もここに拾われたばかりの頃、この教官に全く同じことを言われたからだ。

 

コイツマジで言ってるのか?そんな空気が流れ始めるなかでも、LWMMGは構う事無く言の葉を紡ぐ。

 

「私たちの長所はRF並みに高い火力を連続で射撃出来ること。軽機関銃一丁でアサルトライフル10丁分の火力を誇ります。堅牢な装甲持ちの敵であっても、徹甲弾を使える私たちならば瞬きする間に皆殺しにできる。当たらなくとも、敵の頭を押さえ付けてその場に釘付けにすることも出来る。しかしそれは、その分弾薬の消費する速度が早いということ。つまり命中率を上げれば、それだけ弾薬コストを削減でき、無駄をなくせる。私は無駄が嫌いです」

 

いや理屈はわかるけどやっぱり無茶だろ。本当に大丈夫かコイツ。

そんな雰囲気が新入り達の間で流れ始める。

 

「ちなみにですが、私の後ろにいるM2HBさんは過去に約1200mの"狙撃"に成功しています」

 

やめろ、ここであたしを引き合いに出すな。そう言いたかったM2HBだが時既に遅し。新入り達からは驚愕と羨望の眼差しが向けられている。そんな目で見るんじゃない。

おそらく人間であれば、今ごろ胃の辺りに激痛がはしっていることだろう。

 

それにあれは狙って撃ったものではない。あれは本部からテロハントの任務が通達されたときの事。目標を達成し、作戦区域からの撤退の際。迎えのヘリが来るまでの間、時間を稼ぐ必要があった。それで牽制目的で撃ったら偶々有効打が当たってしまっただけなのだ。それがきっかけで、敵がスナイパーがいると思い込んで迂闊に攻めてこれなくなって、結果として撤退の時間を比較的穏やかに稼げた。

だがあくまでも偶然なのだ。あたかも狙って当てたかのように言わないでほしい。

 

そもそも12.7×99mm弾(.50BMG)を使う重機関銃で狙撃ってなんだ。丁寧に狙って当てるような代物ではないだろう。あの時はバラまいたら当たっただけであれは断じて狙撃ではない。────ちなみに彼女は知らないのだが、1982年に狙撃用スコープをつけて1km先の敵に狙撃を敢行したり、1967年では単発射撃で2500ヤード(約2300m)の狙撃に成功した記録が正式に残っている。ついでに付け加えるならば、その記録は35年間破られることはなかった。

 

ともかくとして、重機関銃で精密射撃はさすがに無茶振りが過ぎる。せめて効率的な制圧射撃のやり方から入った方が負担が少ない。

 

そう言えたらM2HBとしてはどれだけ気が楽だったことだろう。それを言えない理由は今目の前に立つ教官そのものにある。

 

「なるほど。出来るわけがない。皆さんはそう決めつけているわけだ」

 

ざわつく新入りMG人形達を見かねたLWMMGは、近くの射撃スペースの台に置かれた己の半身を持ち、初弾を装填した。

腰にポーチのように大型のお手製ベルト付きアンモボックスからは.338ノルママグナム弾が帯のように連なって銃の機関部まで伸びている。

 

それのストックを肩に当てて立射の体勢で。さながらアサルトライフルのような構え方で100m先のマンターゲットに照準を合わせる。

新入り達が呆気に取られているのも気にせずトリガーを引く。連続した重々しい銃声が閑静だった射撃訓練場に響く。

何発撃ったか。耳をつんざく銃声がパタリと止んだ。バイポッドを展開して台に銃を置き、腰のアンモボックスを外し、改めて新入り達に向き直った。

 

「M2さん。命中率は?」

 

M2の手元には軍用タブレット端末があり、ディスプレイには各レンジ毎の命中率が一目でわかるよう表示されている。当然、今のLWMMGの記録も手元に届いており、その記録にM2HBは苦笑いをこぼした。

 

「・・・・・・50発中47発命中で94%ね」

 

「3発も外しちゃったか。私もまだまだ甘いか」

 

ここはカッコ良く98%は叩きだしたかったなー何て事を呟きながら、LWMMGは顔だけを100m先の標的を見た。

もう何度目か。新入り達はどよめいた。

3発も外した?とんでもない。機関銃手としては不安定な立射姿勢で連射して3発しか外していないのだ。規格外の命中率である。

 

わざとらしい咳払いを一つして、LWMMGは言葉を紡ぎだした。

 

「ちょっと失敗しちゃったけど、確かに百発百中(理想)の実現はかなり困難。だけど、限りなく近付くことはできる。皆は私よりも人形としての性能が良いから、頑張り次第でかなり近付くことができると思う」

 

これがM2HBが彼女に意見具申出来ない最大の要因。LWMMGはI.O.P社のカタログ上では比較的安価で手に入りやすいローエンドの戦術人形だ。そんな彼女が大言壮語を吐いても許されるのは、それに限りなく近いことが出来てしまうから。

彼女よりもカタログスペックでは上のM2HBでも、彼女にはまだ敵わない。

というより、戦力として彼女に敵う人形は現状この基地には存在しない。

 

「では皆さん。射撃訓練を始めましょう」

 

末恐ろしいスコアを叩き出した人形が浮かべる穏やかな笑み。そこから始まるを告げる訓練初日に、新入り達の背筋には氷のように冷たい何かを感じた。

 

 

 

 

 

それから数時間後。予定通りに訓練過程を終えて、指揮官のブリッツと副官のLWMMGは司令室へと赴き、本部から送られてきた少なくはない量の書類と格闘を始めていた。

 

「それで、どうだったんだ?新入り達(ブーツ)は」

 

訓練で使用した弾薬量やその際消耗した備品の補充に関する書類とにらめっこしながら、ブリッツが話題提供も兼ねて尋ねる。

LWMMGも、それに乗っかる。

 

「やっぱり命中精度に難があるかな。命中率が良くても50%下回ってたもの。でもスジはイイと思う」

 

「まだ初日だからな。そういえば、手本を見せてやったんだってな」

 

「言うよりやった方が説得力あるから。そっちも手本を見せたって聞いたけど」

 

「ああ、Vectorの記録塗り替えといた」

 

記録を更新してゴールした後、Vectorが無言でボスボスと腹をグーで叩いてきたが、些細なことである。地味に痛かったが些細なことである。

ちなみにだが今回の記録更新は一秒ちょっと速かったのだが、TMPとUSPの新入りが見学してたいた為、動きを分かりやすくしたためその分ロスがある。ブリッツなりに身に付けたやり方を駆使すれば、更なる記録更新が狙える。

 

とはいえ、あまりハードルを上げすぎると後を追うものが疲れてしまうので、少しだけの更新に留めておく。

 

『ところでお二方』

 

書類が広がる机の上に置かれた小型のスピーカーから飛び出してくる若い女性。"ナビゲーター"からの落ち着いた雰囲気のお声がけに、二人は反射的に空気を震わせるスピーカーに視線をやる。

 

『明日、会議に出向くことを忘れてませんよね』

 

「ああ、だからこうして仕事を余分にやっている」

 

『結構です。どうやら明日は、ヘリアンさんも直接出席するようですね』

 

「それは珍しいわね。あの人、合コン以外で姿を見せることってないのに」

 

「ライト、それ本人に絶対言うなよ」

 

しれっとLWMMGから吐き出される毒に一応上官として釘を差しておく。

とんでもない風評被害を受けた、遥か遠くの本部にいる件の上級代行官がくしゃみを溢したのは偶然か否か。

 

ともかくとして、2週間ほど前からブリッツはS10地区の指揮官として会議に来るよう、本部から通達を受けている。余程の事がない限り会議には出席しなければならない。

出席するのは構わない。やらなければならないからだ。

 

ただ、何故かあまり良い予感がしなかった。

何か面倒事。厄介事が起きるような。そんな無根拠な直感。

そして彼の経験上。グリフィンに務める以前から、こういう予感が外れたことはあまりない。

 

「全く、面倒だな」

 

製作途中の書類に視線を落としながら、ブリッツは小さく独りごちた。

 

 

 




サブタイは休憩なのにこいつら休憩してないっていう。

今回でわかる通り自分はLWMMG推し。作中での能力面ではかなり依怙贔屓した設定。ゲームでも実際レアリティ詐欺だし、ま多少はね?
スキン実装はよ。Modもはよ。他のドルフロ二次創作もライトちゃんの出番増やしてくれよな~頼むよ~。

ついでに評価とか感想とか誤字脱字報告とか欲しい。気軽にどうぞどうぞ

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