ノリで男体化させて、黒曜終了までをざっくりまとめた短編です。細部もろもろ違うけど、男体化させた弊害だから仕方ないよね。タグは見てね。

 せっかくなので、長編とはまるっきり違う書き方にしています。(くだけた一人称)
 おまけというか、箸休めというか、まとめとして読み流してくだされば。

 

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もうひとつの活動日誌

 ――その頃の俺は、とてつもなく不機嫌で、とてつもなく苛立っていた。

 わかりやすく一言でいうと、反抗期まっしぐらだったってだけだが、なにも俺は理由もなく拗らせていたわけではない。

 

「突然だが、転勤の都合で引っ越すことになった。というわけでお前も転校だ。異論は認めない」

「マジかよ」

 

 とまあ、そんな流れがあった。

 ちなみに俺は猛抗議して、暴れるわ叫ぶわ立てこもるわと抵抗の限りを尽くしたのだが、大人相手に成長期入り口前にいる中学生男子が勝てるわけもなく、引きずられるようにして車に押しこまれた。両親はげっそりと深いため息をついてた。

 

 そんなこともあって、俺は自分の殻に引きこもった。新しい学校で馴染むことを拒み、ぼっちを選んだ。両親は放置を選んだ。俺はさらに荒んだ。

 

 しかしそんな、灰色どころか黒くなるの確定な俺の歴史は、わずか二か月後に軌道修正されることとなった。

 

「君、僕の眠りを邪魔したらどうなるか知ってるかい? 咬み殺すよ」

「マジかよ」

 

 屋上に入ってわずか三秒で命の危機である。この学校どうなってんだ?

 このときは転校生だからってことで見逃してもらえたけど、その後もこの雲雀恭弥とはエンカウントを繰り返すのである。

 

「ぼっちつらと思って屋上前の階段に座ってたらまた出てきたでござる。この人もサボりかよ」

「昨日の今日でまた来るとか学習能力ないの?」

「いや、ここ屋上じゃないですよね?」

「君、結構いい根性してるね」

 

 ちなみにこの人は風紀委員長だそうだが、この学校の風紀委員は学校どころか、この町全体を牛耳る不良集団であるらしい。いや、中学生に牛耳られる町ってなに。

 

「街歩いてたら迷子になったでござる。ちょうど風紀委員いるし、この人たちについてけば学校には行けるじゃん。よし、んじゃあこっそりと尾行を――」

「そこでなにしてるの。あ、ちなみに僕はさっきから君の後ろにいたんだけど」

「マジかよ……」

 

 そして突如始まる並盛町観光。

 いくさきざきでいろんなひとにあたまをさげられていたのをみて、やっぱりひばりせんぱいはやばいひとなんだなあとおもいました。でも、さいごにたべためろんぱんはおいしかったです!

 

「階段で先輩とぶつかった怖い。これかつあげじゃね?」

「なにこの後輩、超生意気じゃん。これはボコですわ」

「そこ、なにをしている」

「あ、ここは雲雀先輩じゃないんだ」

 

 運よく風紀委員に助けられたものの――

 

「ちょっといいよな?」

「デスヨネー」

 

 放課後に体育館裏に連行され、絶体絶命。多勢に無勢な状況でボコボコ&ビシャビシャである。

 

「楽しそうだね。僕も群れの尻尾掴めて気分がいいよ。

 ところで君も懲りないね。何回僕の前に出てくるつもりなんだい?」

「今日は先輩のほうから来ましたけどね!」

「ところで、なにか僕に頼みごとがあるんじゃない? ちなみにこのままだと逆恨みでまたボコボコにされると思うけど?」

「え、じゃあ――」

「なに? 風紀委員に入りたい?」

「言ってないっすけど。全然言ってなかったすけど、着替えたいんでその話場所変えて詳しく」

 

 そんなわけで風紀委員になりましたとさ。ちなみに本編だとここまでで約三万字だが、この短編はこの文でちょうど千三百字である。いくらなんでも省略し過ぎだ。

 

 とまあ、そんな感じで俺の風紀委員ライフが始まり、それはつまり一般生徒としての死を意味するのだが――

 

「風紀委員軒並みこっわ。同じ中学生とか嘘だろ」

「まずは遅刻者の取り締まりだ。お前は初めてだから見学してろ」

「意外と優しい」

 

 そして俺は、俺を遅刻者と勘違いしていろいろと助言をくれる、お人好しな同級生と遭遇した。

 え? 今は男なんだから学ラン着ててバレるだろって? じゃあ、暑かったから脱いだ。

 

 そんでなんか逆に俺がその同級生助けて教室に戻った。

 風紀委員になった俺にみんな恐々としていて、ああ、これはますますぼっち極めるなと思っていたものの――

 

「相沢君、授業の最初いなかったからノート困るよね? 私の貸そうか?」

「救いの女神かよ……」

 

 クラスのアイドル笹川京子に助けられたものの、黒川花が睨みを利かせていたので、礼儀正しく受け取るだけにとどめた。大丈夫。舞い上がってない、大丈夫。

 

「なあ、相沢。風紀委員入ったんならあいつどうにかしてくれよ、獄寺」

「獄寺君はかっこいいからいいじゃん! 頭いいし運動もできるし!」

「イケメン無罪……。まあ、軽く注意だけしてみようか」

 

 引くに引けなくなって俺はクラスの不良、獄寺隼人と相対することとなる。

 

「えっと……獄寺って前から態度悪いよな」

「ああん?」

「間違えた! 授業中すっごく柄悪いよなって言いたかった!」

「なんでてめえにそんなこと言われなきゃなんねえんだ? 喧嘩売ってんのか? ヒバリ連れてこいや!」

「うえええ……」

 

 しかし、そこで活躍するのが朝の伏線である。

 

「相沢君、ちょっといい?」

「これのどこがちょっといいように見えるんですかねえ!?」

「十代目!?」

 

 朝の同級生は沢田綱吉で、獄寺は沢田に頭が上がらなかった。そのせいで獄寺から土下座を食らい、おまけに沢田の命の恩人扱いされるという珍事である。同級生からの畏怖の視線が痛い。

 

「これで終わりかと思ったらヒバリさんと見回り!? 聞いてないんだけど!?」

「口を慎めぃ!」

「いったあ!? 脳天グーパンはえぐい!」

 

 そして当たり前のように不良に絡まれる俺。この町、治安最悪じゃね?

 

「弱い奴が入ったら狙い撃ちするだろうってのは合ってましたけど、一日目でこんな来ます? そして全部蹴散らすヒバリさんヤバくないです?」

「面白いくらい釣れたね。これから君は一人で回るといいよ」

「やめてください死んでしまいます」

 

 着信履歴が病院で埋まる中学生ってどうなんだろう……。

 

「あっれ、腕章がない!? え、これ俺死亡フラグじゃね? とうとうヒバリさんに咬み殺される!?」

「なにかあったのか? 力になるぜ?」

「山本ー!」

 

 クラス一の人気者、山本武に協力してもらったものの、発見ならず。変な占い師や赤ん坊に絡まれながらも隠れていたが、ヒバリさんに見つかって絶体絶命の大ピンチ。

 しかしヒバリさんからの制裁はなく、命拾いしたと思ったのも束の間、他メンバーに囲まれて結局満身創痍である。アイアンクロー、マジでヤバい。

 あっ、でも腕章は班長が見つけてくれた! 外に落ちてたって言ってたわりには汚れてないけど、なんでだろう! なんでもいいや!

 

 

 

 そして夏休み。夏祭り会場でのショバ代集めである。

 いや、委員会のやる仕事じゃないから! なんてツッコミはもはや野暮なので、粛々と業務に取りかかる。

 なんか一日目で売り上げをひったくる泥棒が出たらしく、取り締まる側の俺たちとしては気合を入れねばならぬ場面ではあるが、気合の入り方が抗争前のヤクザみたいで怖い。これ、犯人捕まったら東京湾潜水体験ツアーへの片道切符不可避なのでは?

 

 まあ俺は戦力外の新入りなので、ショバ代回収先の先回りを言い渡されたけどね。その最中に働かされてる同級生と会って、チョコバナナ割引してもらったけどね。公民館の壁に穴開けるって、なにやってんだよ山本。

 

 そんでショバ代の回収してたら、店番をしているはずの沢田が金庫を持った子供を追いかけて――あ、これ知ってる。フラグ回収ってやつだ。

 察しのいい俺はすぐさま班長に相談し、班長の指示に従ってヒバリさんに連絡を入れて事態を報告する。今すぐ社会に出されても申し分ないレベルの迅速な報連相である。

 

 そこからは、とくに語るべき話もなく。

 売り上げを取り返そうとした沢田たちは乱闘に巻き込まれて、風紀委員の領域で好き勝手やった連中は全員病院送りになって、風紀委員たちは望外な臨時収入を得て、俺は祭りの花火を二日連続で見逃したというだけである。

 

 こっそり楽しみにしてたんだけどね! ちょっとくらい夏っぽい思い出作りたかっただけなんだけどね! 夏のあいだの俺の着信履歴見る!? 病院と警察署で埋まってんだぞ!? 引くわ!

 でも、ヒバリさんがエンガワ好きなのちょっと意外だった。渋いわ、あの人。

 

 

 

「高校生カップルが不良に襲われる事件が多発してるから、君、囮役やってくれない?」

「とうとう直球で囮役ですか」

 

 選ばれた理由は聞かなくてもわかる。だってほかの風紀委員、襲う側の人間だもん。さすがに捕食者狙う馬鹿はいねえだろ。

 

「でも彼女役どうするんですか? 風紀委員に女子生徒いないですよ、この世界線だと」

「そこで俺の出番だ」

「おっと赤ん坊! そして三人組!」

「赤ん坊以外はお引き取り願おうか。その三人が囮やってくれるのなら別にいいけど」

「だそうだ、入っていいぞ」

「いやだよ! しれっと受け入れるなよ!」

 

 しかし沢田は応接室に入室するのである。現実は非常だ。

 

「あれ、でも、結局男ばっかじゃん。どうすんの、リボーン君」

「……チラッ」

「ああ、沢田を女子にするのか。頑張れよ、沢田」

「嘘だろ!? 正史よりひどいじゃん!」

 

 俺が男なんだから、沢田が女装するしか道がない。諦めてほしい。

 

「諦められるわけないだろ!? 待って、本当にそれだけは――」

「心配すんな、ちゃんとスペシャリストも呼んである」

「呼ばれているわ」

「うっわ、超美人」

「うぐああああ」

「ねえ、僕はいったいなんの茶番を見せられてるの?」

 

 獄寺の姉であるビアンキの手で、沢田は無事、女の子になりました。うん、化粧って怖いね。

 ところで、女装した同級生と遊園地デートさせられる俺も、なかなかに地獄じゃね? 拒否権ないけど。だれかに見つかったら人生終わりだけど。

 

「そんな……まさかツナさんに女装趣味があって、そのうえ彼氏さんまでいらっしゃるなんて……! ハルというものがありながらあああ!」

 

 おっと、沢田の人生が終了した。これはひどい。あまりにもひどい。公開処刑にもほどがある。いや、俺にも飛び火してるけれど。

 ここは計画台無しにされたヒバリさんが、空気読まずに二人を正座させたおかげでなんとかなったけど、それがなかったら、俺たちもう駄目だったと思う。トラウマ的な意味で。

 

 そんなこんなで仕切り直して動物園。

 ハルっていう女の子も手伝ってくれるっていうからお願いしたけど、まさかの沢田以外拒否のガチ勢。そろそろかわいそうになっていたのもあって、沢田には男の子に戻ってもらった。

 そんで俺は、ヒバリさんと二人きりでの巡回が決定した。これはこれで別の地獄である。男二人で動物園ってなに? いや、女装した同級生と二人きりで遊園地っていうのはガチのヤバさがあったけど! こっちは別のヤバさを感じる!

 おまけに行き先は爬虫類館。も、盛り上がらねー。

 

「蛇って、自分の体を定規にして獲物が食べられるかどうか見極めるらしいですよ。尻尾の方とか、どうやって確認するんですかね」

「さあ」

 

 うん、死ぬほど盛り上がらなかった。盛り上がっても怖いけど。

 いや、爬虫類館の近くにふれあい広場とかあったけどさ。ふれあい広場に男二人はキツいだろ! 爬虫類館よりふれあい広場がいいですとか、ヒバリさんに言えるかよ! 爬虫類みたいな視線で射抜かれるわ!

 いたたまれなさを感じながらイグアナを観察していたら、沢田たちのもとに不良が現れたという報告が入った。もう少し早く現れてほしかったけど、よしとしておこう。

 

 それで、上半身裸の沢田はなにがしたいんだ。情緒不安定か。

 

「いや、勝手にこうなったっていうか……気付いたらこうなってるっていうか」

「そんな、いきなり露出狂宣言されても……。俺、そこまでお前と打ち解けてないし……」

「そうじゃなくて!」

 

 まあ、そんな感じで夏休みの活動は終了した。

 わりと濃い思い出がたくさんできたと思ったけれど、思い出というものはすぐさま塗り替えられていくものなのである。雨は降っていない。

 

「本当に?」

 

 雨は降ってねえって言ってんだろっ!

 

 

 

 黒曜生による、並中生襲撃事件が発生した。

 風紀委員の中でも筋金入りの武闘派ばかりが襲われて、ブチ切れたヒバリさんが逆に襲撃しに行ってから、数日後。いかにも怪しげな黒曜生が俺の前に現れた。

 

「雲雀恭弥に会いに来たのですが」

「いねえよ、帰れ」

 

 とはさすがに言わなかったけれど。

 いても会わないほうがいいと思いますよ。委員長、すごく機嫌が悪いので。と、遠回しにお断りしたはずだ。

 いや、校門前で俺を待ってた時点で怪しさMaxだったし、その整った顔立ちで女子にキャーキャー言われてたのが個人的に気に食わなかった。

 お前、騒がれんの期待してただろ。だからわざわざ、校門なんて目立つところで俺を待ってたんだろ。そんないけ好かないイケメンに慈悲などはない。

 

 用件聞いても、僕が来たとだけ伝えてくださいとか意味不明だし。名前聞いても、貴方はもう知っているでしょうとか、もはや不気味だし。……いや、こいつの名前が骸だってわかってたことが一番不気味だったけど。待てよ、こいつ、もしかして襲撃事件の黒幕なのでは?

 

「っていうか、なんで俺の傘持ってたんだ!?」

 

 わからないことばかりで混乱しつつも、ヒバリさんにはちゃんと報告を入れた。

 そして雲雀さんは応接室から飛び降りた。窓は出入り口じゃないんですけどね!

 

 そんなことがあったから、風紀員総出で六道骸とやらの捜索が始まった。また並中生を襲う可能性もあったし、わざわざ委員長に挨拶しに来たのなら、なにかやらかすつもりなのではと疑うのは妥当である。

 しかし六道骸とやらの消息はつかめず、俺は普通の委員会活動に勤しみ――

 

「おはようございます」

「うっそだろ、おい……」

 

 早朝の通学路で再会を果たすのであった。

 お前から来るんかい! と心中で突っ込んだ俺は悪くない。

 

「そんなに驚きますか? また会う機会もあるかもしれないと言っておいたでしょう」

「言われてないけど……!?」

「おっと……それはあのときに言った言葉でしたね。失礼」

「あのときってなに!? え、会ったことあんの俺たち!? どこで!?」

「まあ、そんなことはさておきまして」

「さておけるか!」

 

 さておかれたけど。

 そのうえ、頼まれて応接室まで案内したのに、勝手にヒバリさんとバトり始められたけど。備品壊すわ、室内荒らすわ、やりたい放題なんだけど。

 ちなみに勝者はヒバードである。勝者は、ヒバード。

 

「で、なにしに来たの?」

「いえ、とくに用事は。暇だったので様子を見に来ただけですよ」

 

 用件ないんかい!

 

「あ、彼に傘を返すついででした。それだけなのに周囲をうろうろされて迷惑だったので、話をつけに」

 

 俺のせいかい!

 ……え、これって俺のせいだったの? 俺にそんな影響力あるの?

 

 とにかく、そんな感じで二人の邂逅は終わった。俺としてはそのあとの後片付けがメインだったけど、とにかく終わった。いやー、無事に済んでよかった。備品無事じゃなかったけど、これで終わるなら安いものだ。

 

「お前、この前の! なんれ俺たちの前に!」

 

 って思うじゃん? 終わんないんですよ、不思議と!

 

 並盛で黒曜生に会うなんて珍しいなー、三人とも変わった格好してるなー、女の子なんか腹見せしてんじゃんとか眺めてたらこれですよ。言っとくけど、下心なんてなかったんだからな! 並中だったら一発アウトだなって思ってただけだからな!

 

 とにかく、吹奏楽部でフルート吹いてそうな子と目があったら、軽音部でギター弾いてそうなやつと、軽音部でドラム高速で叩いてそうなやつに因縁をつけられ、気がついたら廃墟で骸と向かい合っていた。いや、なんで部活動で例えたのかは知らないけど。

 

「……」

 

 骸は頭を抱えていた。巷でよく聞く頭を痛めたポーズだったけれど、骸は本当に頭を痛めていた。

 うん、俺も誤解だと思ったし、女の子も誤解だって言ってたんだけどね。でも二人が幻術とか、本当に俺たちのことを覚えていないのかとか、記憶を消さなければとか、わりと痛々しいこと並び立てて俺を連れてきたのだから仕方ない。俺は悪くない。

 

「こうなったら仕方ありません。

 せっかくですから、僕たちの話を土産に聞いていってください」

「冥途の土産かな?」

 

 そして語られる並中生襲撃事件の真相――の前置きとして告げられた、骸たちが脱獄囚で、マフィアのボス候補である沢田綱吉を狙いに来たという前提がすごすぎて、もう考えるのをやめたよね。えっ、沢田ってそんな、え!?  ほんとに!? お前らの脳内設定じゃなくて!?

 

 言われてみれば黒服着た只者ではない赤ん坊とか、十代目と慕う子分的なやつとかいたし、囮デートのときもスパイグッズが充実して――っていうか未来のボスに女装させた俺大丈夫!? 報復されない!?

 

 なんてことぐるぐる考えているあいだにも、骸は話を進めていく。土産多いな。田舎のばーちゃんかなにかかお前は。

 

 話をまとめると、ボス候補が並中にいることは突き止めたものの、だれかまではわからなかったから、とりあえず強いやつ片っ端から倒してけばいずれ辿り着くだろっていうハイパー脳筋な考えで襲撃事件を起こしたらしい。

 なんて傍迷惑、かつ無謀な作戦だろう。うちには並盛最凶のヒバリさんがいるというのに。

 

 そして結局沢田に負けたって聞いたときには驚いたね。

 お前マジかと。沢田に負けるやつがマフィア滅ぼそうとしてんのかと。

 態度に出したら犬に首噛み千切られそうになったけど、同じ学年のやつなら、みんな同じ反応したと思う。全力で煽ったと思う。

 

 気まずくなったからトイレに行かせてもらおうとしたら、女の子が案内役としてついてきた。

 まあ、犬はアレだし、千種はめんどくさがるし、骸と二人きりとか、なにされるかわかったもんじゃないけどさ。クローム相手なら逃げるの簡単そうだけど、携帯電話没収されてたから逃げられなかった。買ったばっかの携帯電話なくしたら、もう買ってもらえないだろうし。

 

 そしたら、クロームが俺の抜けている記憶の話をしてくれた。なんでも、俺とクロームはこの前会ったばかりだったそうだ。骸が記憶消したらしいけど。

 大雨のなか、傘を持ってない女の子を家まで送ってあげようとするとか、その俺、いいやつすぎない? 欲しかった靴でも買えた?

 しかもクローム、すっごいキラキラした目で俺を見るんだけど。もしかして惚れた? 好きになっちゃった? とか思ったけど、記憶消すのに携わっていて拉致にも協力している時点でないな。

 

 そんな感じでテンションを上下させながら戻ったら、骸がトランプ切ってスタンバイしてた。マフィア潰しますとか言ってるやつが、お菓子賭けて大富豪とか平和か。

 

 で、キャッキャしてたらヒバリさんが俺を回収しに来た。バイクで。

 登場シーン滅茶苦茶かっこよかったけど、こっちはトランプで盛り上がってたところで……なんか……すみません。

 

 それで後ろ乗って廃墟から脱出したと思ったら、荒廃した町はずれ――と思いきや、なぜか荒廃してしまっている商店街に到着した。あれ、これ、まだ終わらないパターン?

 

 

 

 ってな感じで、まだまだ続きそうなところで筆をおこうと思う。

 腕疲れたし。右手の甲、真っ黒になってるし。

 ここまで書いて思ったけど、俺はやっぱり地味に走り回ってんのが性に合ってると思う。うん、巻き込まれない限りは大人しくしていたい。マジで。



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