「おい、中暗いぜ?たいまつとかあるんだろうな」
「おっと、そうだったな……今明るくしてやるから待ってろ」
━━我は照らす界隈の灯火
クードが文字を書き右の手のひらを上に向けると炎が出る
「おっ、明るくなったぜ……」
「キリランシェロ、ここを抜けると“ラッツ遺跡”だ、依頼をしておきながら何だが、覚悟はいいのか?」
「………はあ?ハッ、今更だぜ……言ったろ、あの遺跡のことはチャイルドマンから聞いてるってな……やめる気はねえよ」
「キリランシェロ」
「それにオレは、依頼された仕事はどんなことがあろうと最後までやる主義なんでな、途中で投げ出したとなっちゃ、オレ自身を許せねぇよ」
「頼もしいな、全く」
2人のそんなやりとりの後、背後から声が響いた
『カ~ッコいい~!さっすがオーフェンね~!』
『大きな声出しちゃダメだよ!見つかっちゃうじゃないか!』
「ッチ、そのやかましい声は……」
コツコツと足音も近づき、姿を現したのは
クリーオウ、マジク、フェリスであった
「ハァ~やっぱてめえかクリーオウ……ったく、何でもかんでも首突っ込んで来やがって」
頭に手を置き、やれやれとため息を吐きそう言うオーフェン
「ムキー!何よ!何よ!アンタがコソコソコソコソするから悪いのよ!アタシだって心配なんだからね!」
「だあっ!うるせえ!余計なお世話だってんだよ!てめえに心配してもらうほどオレは落ちぶれちゃいねえっての!」
「あちゃ~また始まっちゃったか」
マジクもオーフェンと同じく頭に手を置きやれやれとため息を吐く
「おいコラそこのバカ弟子!何でクリーオウをここに連れて来たんだよ!」
「ヒィッ!違うんですよ!お師様!実は」
━━━━少し前
「うわー何ここ~ドラゴンが口開けてるみた~い」
「龍の口って言うのよ、この奥には何年も前から何人もの魔術士達が挑戦しても奥へ行けなかったという”ラッツ遺跡“というのがあるのよ」
「すごーい!ねえねえ!フェリス~!行きましょ~よ~」
「ええ、そのつもりよ……その前に……砕けよ!」
フェリスがバッと手を突き出すとマジクの隠れていた岩が粉々になった
「ヒィッ!」
「あー!マジク!何でアンタがこんなとこにいるのよ!」
「え?あの~え~っと、何でかなぁ~あははは」
「クリーオウ、多分彼は私達のこと付けてたみたいよ」
「も~こんな可愛い2人の女性の後を付けるなんて~」
クリーオウはマジクの側に近寄る
「ほんっとにアンタは~」
「ク、クリーオウ……近いよ顔」
ニコニコ笑顔でマジクに近寄ったクリーオウだが、次の瞬間
「この変態ストーカー!!」
「ブフェ!」
マジクにクリーオウ渾身のパンチがクリーンヒット
「あらまあ、お見事お見事 」
「えへへ、まあね~」
「あたたたた、お見事じゃないですよフェリスさん」
「あらそう?」
「フンッ!どーせアンタはオーフェンに言われてアタシを見張ってたんだろうけどもうそれもおしまいよ!だってこの中入るんだも~ん、行きましょフェリス」
「というわけなの、ごめんなさいねマジクくんっ」
フェリスは投げキッスをマジクにしてクリーオウと共に中に入る
「ああーっ!どーしよー!えーい!仕方ない!もうヤケだ!ボクも行くぞー」
━━━━「と言う訳なんです」
「チッ、仕方ねえ、しょーがねーから連れてってやるよ」
「え!?ホント!わーい」
「ただし!ちょっとでも足引っ張ったりギャーギャー騒いだりしやがったらソッコーつまみ出す!いいな!」
ビッとクリーオウに左手の人差し指を突きつけて釘を刺すオーフェン
「はいはい、わかったわよ、相変わらずやかましいんだからこの男は、だからモテないのよ」
「うるっせえ!ほっとけ」
「フェリス……君も来てたのか」
「フン、言い訳は後でたっぷり聞かせて貰うわよクード、今は先を急ぎましょ」
「ああ、そうだな」
クリーオウ達も駆けつけ半ば強引に同行したオーフェン達の遺跡探検は賑やかに開始されようとしていた