五等分のやり直し   作:カズめぐ

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第二十六話 冬休み最後の夜(1)

 

 

中野家に帰ってみると、リビングには誰もいなかった。

 

「二乃。あいつらどこ行ったんだ。」

 

「多分、それぞれ自分の部屋で宿題をやってるんじゃないかしら?」

 

「終わってると思うか?」

 

「微妙ね。」

 

二乃は、渋い表情でそう言う。

心配になった俺は、それぞれの部屋を訪ねてみることにした。

ちなみに、二乃は夕飯の準備をしている。

俺は、まず五月の部屋のドアをノックをした。

すると、

 

「入っていいですよ」

 

と、返事が返ってきたので、俺は五月の部屋に入った。

 

「五月。宿題は終わったか?」

 

「あと、一ページで終わります。」

 

「そうか。それならよかった。頑張れよ。」

 

俺はそう言うと、ほかの人の確認をするため五月の部屋を出ようとしたが五月に呼び止められてしまった。

 

「宿題でわからないところがあったので、聞いてもいいですか?」

 

「あぁ。いいぞ。」

 

まっとうな理由だったので俺は快諾した。

 

「ありがとうございます。」

 

「で、どこが分からないんだ?」

 

「この小説の問題なんですが。」

 

俺は、五月が指さした場所を読む。

 

「これは、夏目漱石のこころか?」

 

「はい。それで、この私がKに対して一緒の人を好きなのを黙っていたことに対してあなたはどう思いますかという問題ですが、上杉君はどう思いますか?」

 

俺は正直、そんな問題に見覚えがなかったが、とてもまじめに聞いているのでちゃんと答えることにした。

 

「まあ、隠してること自体そこまで問題はないが、この後の行動がまずいよな。Kに黙って、その人のことを嫁に貰ってしまってるからな。」

 

「ですよね。やはり、行動に出るからには黙っていてはだめですよね。」

 

五月は何か思うところがあるみたいで、少し下を向いてしまった。

俺は、気になったがとりあえず他の人の部屋に確認しに行かなくてはならなかったので、五月に確認をとった。

 

「五月。もう大丈夫か?」

 

「はい。引き留めてしまいすいませんでした。」

 

「気にすんな。」

 

俺はそう言い、部屋を出ようとしたが、また引き留められた。

 

「上杉君。」

 

「なんだ?」

 

俺が振り返ったら突然五月に唇を奪われたのである。

 

「なっ…。お前…。」

 

俺は、なぜキスされたのか全く分からなかった。

目の前には顔を真っ赤にさせた五月がいる。

 

「おっ、教えてくれたお礼です…。」

 

五月は今にも、消え入りそうな声でそうつぶやく。

 

「お礼??」

 

俺がそう聞き返すと、五月に部屋から追い出されてしまった。

 

(一体何だったんだ…。)

 

俺は、状況が全く飲み込めず、フリーズしてしまった。

数分後、とりあえず今やるべきことをやろうと自分に言い聞かせ、四葉の部屋のドアをノックした。

しかし、返事がない。

どうやら、四葉は留守みたいだ。

俺は仕方なく、次に三玖の部屋のドアをノックした。

 

「だれ?」

 

中から、三玖の声がする。

 

「俺だ。」

 

「フータローなの?」

 

「あぁ。そうだ。」

 

「わかった。やっと、かまってくれるんだ。」

 

三玖はそう言うと突然ドアを開け、俺のことを部屋の中に引っ張りいれたのであった…。

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