急に思いついたので書きました。
5月4日の朝。
俺は重たいまぶたを擦りながら布団から起き上がる。
昨日は一花から衝撃的なことを聞いたため、全然眠れなかったのだ。
顔を洗いに行くために立ち上がった俺は家に誰もいないことに気づく。
親父は仕事なのだろうが、らいははどうしたのだろう。
友達と遊んでいるのだろうか。
そんな事を考えても答えなど出ないので、俺は顔を洗い、勉強を始めることにした。
今日は、一日中予定がないので勉強に集中することが出来る。
俺は余計なことを考えたくないため、ひたすら勉強に打ち込んだ。
……
12時のチャイムがなり、俺は勉強を始めてから3時間以上経ってることに気付いた。
その間、一切休憩していないので相当集中していたのだろう。
そんな事を考えていると、突然、家のドアが開いた。
「ただいまー!」
「お邪魔します。」
俺は声が2つしたことに気付き、玄関に目を向ける。
なんとそこにはらいはだけではなく、五月までいたのである。
「なんで、五月が…?」
「らいはちゃんに誘われたので…。」
「今日は五月さんと遊ぶ約束をしてたの!それで、お昼ご飯を私が作るから家に来てもらったの!」
「なるほど…。」
俺は納得していないが納得する。
心の整理が着くまでは、あまり五つ子に会いたくなかったが仕方ない。
特に五月ならまだマシだろう。
いや、全然マシではないな。
先日、告白されたばっかりであった…。
少しこの場に居辛く感じたので、俺は出かけることにした。
「らいは。少し出かけてくるな。」
「ダメ!!お兄ちゃんはここで五月さんのお相手してて!」
「なんでだ??」
「私、買い忘れたものがあってそれを買いに行かなきゃ行かないの。」
「それこそ俺が行くべきなんじゃ?」
「お兄ちゃん。いいから、座っててね。」
らいはは笑顔だけど、めちゃくちゃ怖い顔をしていた。
よく分からないが、ここは大人しく従っておこう…。
「わかった…。気をつけて行ってこいよ。」
「うん!行ってきます!」
こうして、らいはは買い物に出かけた。
取り残された俺と五月はどちらも言葉を発することなくお互いに沈黙を守っている。
数分がたち、この空気に耐えられなくなったのかようやく五月が口を開いた。
「昨日は何をしていたのですか?」
「えっ、昨日か…?」
昨日は…。
「昨日は少し出かけてたな。」
「どこにですか??」
「えーっと、近所のデパートだ。」
「嘘は良くないですよ。」
なぜ、嘘だと分かるんだ…?
それに目がめちゃくちゃ怖い。
「ところで、そんな事を聞いてどうするんだ…?」
俺はなんとか話を逸らさせようと頑張る。
しかし、五月は全く動じなかった。
「上杉君。真剣に向き合ってくれるのでしょう?」
「…。昨日は一花の家に行っていた。」
「なぜ、最初、嘘をついたのですか?」
「分からない…。後ろめたかったのかもしれない。」
「そうですか。やはり事実だったのですね。」
五月は、はぁーっとため息を吐く。
「ところで、なんで俺が一花の家に行ったことを知ってたんだ…?」
「昨日の夜に五つ子のラインで一花が上杉君とお家デートをしたと言ったんですよ。」
「あいつ…。」
そもそも、お家デートというような雰囲気では全くなかったのだが…。
「で、お前はそれを確認して何がしたかったんだ?」
俺は五月がこのことを聞いてきた意図がわからず直接聞いてみる。
「不公平だと思うんですよ。」
五月はボソリと言う。
「どういうことだ…?」
「私も上杉君とデートがしたいです。私だって上杉君のことが好きなんですよ。」
五月は自分のセリフが恥ずかしかったのか顔が真っ赤だ。
「それを言うために、今日ここに来たのか?」
「いいえ、これはついでです。」
「ついでなのか…。」
「ついでですが本気です。してくれると言ってくれるまで、私はここを動きません。」
どうやら、デートがしたいというのは本気みたいだ。
顔が真剣である。
五月は1度決めたことは意地でも通そうとするので、承諾する以外の道はないだろう。
「わかった。いつすればいいんだ。」
「明日です。」
「いや、明日って…。」
「はい。明日は私たちの誕生日です。ですが、誕生日会は夜にやるので昼間は私とデートしてください。」
「いや、しかし…。」
「少しくらい私がいい思いしたっていいじゃないですか。結局、遊園地にだって一緒に行ってくれてませんし。」
「それは確かにそうだな…。」
「それでは、明日は9時に駅前に集合でいいですね。」
「わかった…。この事ってほかの姉妹には…?」
「もちろん自慢します。」
五月はなぜか勝ち誇った顔をしている。
告白以来、枷が外れたのだろうか。
すごく、堂々としている。
「そうか…。わかった…。程々にしろよ…。」
こうして、俺は五月と遊園地にデートに行くことになったのであった。
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