ダンジョンで神様狩ってはダメですか? 作:乾パン
ロキと共に部屋等の確認の後。
「で、昼からどないすんや?」
「う~ん、ギルド行くかな。あと武器も整備しないとだしな」
「うん? そういやリベリオンどうしたんや?」
「折れた」
「はぁ!!??」
ロキの記憶の限りあの剣が刃こぼれすらしていたという記憶がない。深層に行って帰ってきたのにもかかわらずだ。
それが折れたというのだから驚きだろう。
「問題はない。ちゃんと治ったというべきか……まぁ持ってはいるから」
「……?まぁそれならええわ。夕方までには帰っていや~予定では今日帰って来るはずやからな」
「了解。行くか、スイカ」
「わかった」
ロキやは「気をつけぇや~」と手を振り、トオルはそれに振り返らず手を振った。
視点トオル
スイカと俺はふらりと店を見て回りながらギルドへと向かっていた。因みにスイカは朝のこともありフードで顔を隠している。
ただそれでも視線は集まり……と言うか覚えのある鬱陶しい視線を感じ俺はバベルを見る。
「どうした?」
「うん? あぁ鬱陶しい視線を感じてな。相変わらず覗き趣味は健在のようだ」
めんどいなと考えながらスイカを引き連れギルドへと入っていった。
ギルドは賑わっており、ダンジョンの報告をするもの。魔石等を売却し、何やら話しているもの。
まぁ簡単にいうと多種多様の用事を行う者達であふれかえっていた。
俺はひとまず真っすぐと隅で片づけをしているエルフのもとに向かい、声をかけた。
「ちょっと、今大丈夫か?」
「はい? ちょっと待ってくださ……い……ね?」
受付嬢のエルフの女性は笑顔で振り返ると何やら驚いたように途切れ途切れの言葉で振り返り、
「……えっトオル君!? あなたいつ帰ってきたの!?」
身を乗り出し声を荒げる女性に俺はまぁまぁと落ち着かせる。
彼女はアノンと言い、俺の担当アドバイザーでもある。20程度の見た目だが2人の子持ちさんで2人目に関しては抱っこもさせてもらったことがある。
エルフとしては節度ある肌の接触に関してなら気にしてないらしく、来た当初はよく頭を撫でられることがあった。
「取りあえず帰還の報告書を出しにね。あと新しい団員の登録に」
「わかったわ。少し待ってね」
アノンさんは奥へ向かうと書類を持って戻ってきた。俺はそれに簡単にだが状況を記入。あと残りの資料を見て絶句。スイカはエンブレムを見せた後、記入していく。
「これでいい?」
「……うん、大丈夫よ。けどLV5なのね。講習はいらないかな?」
スイカのLVを見て他ファミリアからの改宗と分かったのだろう。しかしダンジョン初心者なので教えてもらった方がいいことは多い。
「いや、頼んでいいすか? こいつダンジョン自体は初めてなんで」
「わかったわ。じゃあついてきて」
「わかりました。トオルはどうするの?」
「う~ん、時間かかるだろうし武器の点検に行ってるよ」
「わかった、迎えに来てね。道まだ覚えてないから」
「はいはい」
俺はギルドから出て行こうとすると横を「エイナさん、大好きー!!」と叫んで出ていく白髪の少年がいた。
「……何というか、根性あるな」
エイナと言えば前来た時聞いたが、かなり人気がある受付らしい。おまけにこんな人の多いとこで叫ぶとは……
俺は少年に心の中で黙祷をささげ、ギルドを出た。
因みに、スイカはずっと顔をフードで隠していたのだが、講習の時に外して少し問題が発生したらしい。
うん、アノンさんでも魅了されかけたか?
そこはヘファイストス・ファミリアの工房の一つ。
灼熱のような窯を前に一人の女性がいた。周りには多種の武器が並び、そのすべてが彼女の作品だ。
「しかし1年経つというのに、相変わらずの腕で感心する」
名を椿・コルブランド。
ヘファイストス・ファミリア団長であり、今点検しているレッドクイーンの制作者でもある。
「
「そうかまぁ他のメンテナンス入れたらどんくらいだ?」
「う~んこのイクシードが難しいからな、一週間で終わらせよう」
「悪いな」
「なに、わしもいい経験だ。まぁおそらく二度と作れんと言うのは残念じゃが」
トオルの家の地下にはリベリオン、閻魔刀……そしてエボニー&アイボリー、ブルーローズはあった。
しかしなぜだかレッドクイーンはなかった。おまけにほかの重火器もだ。
そこでトオルは考えた。そうだ、作ればいいんだと。まさにぶっ飛んだ考えである。
その過程でヘイファトス、そして椿と出会う。
最初は難色を示された。あまりにも内容がぶっ飛んでいたし、トオルは鍛冶など知らないド素人。そんな青年が持ってきた案で果たして武器が作れるのかと。
しかしいざ確認してみれば理論上可能であり、扱えるかは別として第一級武器より威力の劣るという不壊武器の常識を壊せるかもしれないものだった。
……だがここで問題が発生した。それはイクシード……俗にいう推進剤の問題。これがなければこの武器は成り立たない。
しかも使い捨てではコスト、おまけにほぼ1回きりの物になってしまう。
トオルは悩んだ。そして悩んだ結果、自身を転生させた神に……
「いや、君の一族魔具作れるようしてたじゃん」
と言う呆れたような啓示を頂いた。そう言えば色々と入るポーチとかあったけどあれ魔具だったのかよ!! と叫んだトオルは間違っていたのだろうか?
取りあえずそのようなご都合主義により、トオルは魔力を取り込み、一定量貯まるとエネルギーとして放出する魔具を苦悩の末制作。
その結果、不壊武器でありながら第一級武器の威力を超えるが、とてもまともには振り回すことすらできない武器が完成した。
その異常さはイクシードをチャージした状態だとあのガレスすら振り回されるというじゃじゃ馬具合。
「惜しいなぁ。ほぼ壊れない魔剣と言ってもいいのだが……このイクシードに関してはわしでは作れんし」
「作らねぇぞ。あまりいいものでもないし」
とてもじゃないが一般の冒険者では怪我するのは目に見えている。何より周りを巻き込む可能性も高く、この理由からトオルはコヨーテなどほかの重火器の作成をあきらめた。
と言うよりも世界の抑止力と言うべきか、デビルブレイカーなど制作がどうやってもできないものがあった。
「わかっておる……あんなじゃじゃ馬使えるのは主くらいだ。ただいいきっかけにはなると思ったんだがな……」
「じゃあせいぜい研究してくれ。一応長期で出ることは今のところはなさそうだからな」
「おう、ただしちゃんと一週間後には来るんだぞ? 期限を守れん職人とは思われたくない」
「わかってるよ。椿の腕は信用してるからな」
トオルはそう言うとひらひらと手を振り帰って行った。椿はそれを見送ると上着を脱ぎ、さらし姿となる。
そして台の上に置かれている槌を選び取り、
「ふむ、ならアヤツの期待を超えてみるかな」
レッドクイーンを手に取り作業を開始した。
「ふむみんなは今日帰りか……なら飯でも作ってやるか」
トオルは遠征帰りの団員達を思い浮かべ、市場へと向かっていった。
ケモミミ、狐耳少女は好きですか?
-
はい、大好きです!!
-
まぁ、好きかな……
-
どちらとも
-
微妙
-
悪い、苦手なんだ