王を目指す一夏と苦労人ウォズ   作:ワタリ3@活動停止中

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鈴が倒れたまんまだといけないと思って急ピッチで仕上げました


第七話 怒りのドラゴン 後編

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____四日前

 

 

 

「私に関係無いわ。しのごの言わずに変わりなさいよ!」

 

 

鈴は純子をどかし、美香を突き飛ばした。

 

「う!」

「美香!!」

 

美香は思いっきり地面に尻餅を付き、怯える目で鈴を見る。

 

「ヒョロっちいわね、もっと筋肉つけなさい筋肉。そんな貧弱じゃあ日本代表なんて無理ね。

現代表候補生の私が言うんだから確かよ。」

 

「なっ!なんですって・・・あんたいい加減に!!」

「強い人が代表になった方がいいんじゃない?貴女達もデザート券が手に入るし、私は試合に出れる。

ウェンウェンな関係ってヤツ。」

 

おそらくWIN-WINと言いたいのだろうが

今は突っ込んでいる場合ではない。

 

「あなたね!!」

 

それを聞いた純子が今にも殴りかかりそうな剣幕で鈴に向かっていく。

 

「鈴!」

 

しかし、その間に一人の男が割って入った。

 

「い、一夏!?」

 

「お、織斑君?」

 

その人は先ほどまで第二アリーナにいた筈の織斑一夏だった。

正確には未来の織斑一夏だ。

ウォズのタイムマジーンで過去へ飛び、アナザー甲龍が生まれる前の時間に鈴を止めるべく、そして()()()()()()()を救うべく降り立った。

 

「何やってんだよ…鈴!」

 

一夏は鈴に強い眼差しを向ける。

その瞳は姉の織斑千冬に瓜二つ、鈴は少したじろぐ。

 

「あ、あんたには関係ないでしょ!」

「いいや、関係あるさ…今のお前、最低だぞ!」

「何ですって!!」

 

鈴は顔を真っ赤にさせ一夏に詰め寄る・・・しかし、一夏はひるむことなく彼女の瞳をじっと見た。

 

「三条さんにはな、お姉さんが居たんだ…日本の代表候補生で優秀な選手だった…けど、不治の病で亡くなられた。」

 

「「!?」」

「な・・・なんで。」

 

一夏以外の三人が驚く。

 

「彼女は亡くなる前にお姉さんと約束したんだ、姉の代わりに自分が

日本代表になるって。そして今日までずっと努力を積み重ねてた。」

 

「…何でその事を。」

 

「ごめん三条さん、未来の貴方に聞いた。」

 

タイムマジーンで過去に行く前の三日間、鈴の墓参り以外にも一夏は怪人化によってダメージを負っていた彼女にもお見舞いに行っていた。

その時、三条美香自身から、なぜ代表を目指しているかその理由を聞かされていた。

 

「??」

 

過去の三条美香は当然、一夏の言っている意味がわからなく、頭にハテナを浮かべる。

 

「お前も努力家だから彼女の気持ちがわかるはずだ!彼女には彼女の夢があるのに…お前それを強引に奪おうとしているんだ!」

 

「……。」

 

「目を覚ましてくれ・・・お前が俺と戦いたいのは分かっている。相手ならいつでもしてやる。だけど、人の気持ちを簡単に無視して無理やり夢を奪うのはやめろ!そんなの俺の知っている『鳳鈴音』じゃない!」

 

一夏の声が当たりに響く。

鈴は始めてみる一夏の表情に驚きながらも自分の愚行を思い返す。

 

「……!」

 

「ウォズ、三条さんを。」

 

一夏は近くに待機していたウォズに三条美香の保護を任せる。

これによって、三条美香がアナザーISになることなくなった。

 

「さぁ、こちらに。」

「うん…行こ、純子ちゃん」

「あ、うん。」

 

三人が去り、その空間にしばらく沈黙が流れる。

数分たち鈴がポツリと呟く。

 

 

「何なのよ…。」

 

一言・・・その一言でまるでせき止められていた川の様に次々と言葉が出る。

 

「人の気持ち人の気持ちって…私の気待ちなんて全然分かってないくせに!偉そうに言わないで!」

 

鈴の頬に涙が伝う。

 

「あんたなんか・・・あんたなんか!!」

 

衝撃砲を部分展開しようと、ISを呼び出そうとするが。

 

「鈴!」

 

鈴は一夏によって抱きしめられる。

 

「い、一夏!?」

 

急なことに驚く鈴。

一夏は彼女を落ち着かせるようにそっと頭を撫でる。

 

「分かっているよ…ごめんな、鈴。」

 

三日間ずっと悔やんでいた、後悔していた。

そして考え続けた・・・鈴のあの時の言葉の意味。

過去に降り立ち一夏はようやく鈴に謝ることができた。

 

「え?」

 

「そうだな、俺も人の事は言えない。後から分かったんだ…前の約束の意味。俺の勘違いじゃなかったら…」

 

好きって意味だったんだろ?

一夏は呟く。

 

「……あ。」

 

少し引き離したところで、一夏の瞳にも涙が浮かんでいることに気づく。

そして理解する、彼は自分のことを想って叱っているのだと。

 

「ごめん、気づけなくて…人の気持ちが分からない王様なんて笑っちゃうよな。でも、自分の思い通りにならないからあれこれ構わず攻撃するのは、悪者と同じことだ。鈴・・・お前は違うだろ?」

 

「ご、ごめんなさい…一夏・・・私。」

 

そして鈴は後悔する、自分の愚行で他人を、愛する人を傷つけたことに。

 

「俺もごめんな…鈴」

 

指で鈴の涙をそっと拭う一夏。

そしてニカっと微笑みを浮かべ、鈴にいう。

 

「・・・後で三条さんにも謝ろうな。」

 

「・・・うん。」

 

一夏は鈴から離れ、三条美香の元へ行こうとするが・・・

 

 

 

 

世界にノイズが走る。時間が止まったのだ。

 

 

「な・・・なんだ」

 

 

 

体が動かない、まるで金縛りにあっているような感覚だ。

そして、彼の前に一人の少女が現れる。

 

タイムジャッカーのリアスだ。

 

『あーあー、何してくれてんの?』

 

「お前は・・・。」

 

少女は一夏に向かって手をかざす。

 

「ぐぁ!!」

 

「一夏!?」

 

時が動き出し、一夏は謎の力によって吹き飛ばされ、近くの樹木に体を強く打ち付ける。

 

「あなた一体!・・・うっ」

 

鈴は、目の前に現れた少女に対してかなり警戒をするが、またもや謎の力によって深い眠りにつく。

 

「り、鈴!!お前・・鈴に何をし・・・た!?」

 

痛む体を抑えながら立ち上がり一夏は目の前の少女を睨みつける。

 

『大丈夫だよー、ただ寝かしただけだよ?あーあ、せっかくいい契約者を見つけたのに、台無しにしてくれちゃってさー』

 

「契約者って・・・まさかお前がウォズの言ってた!」

 

『そう、タイムジャッカー『リアス』だよー。』

 

リアスはよろしくーと両手を振る。

 

「お前が・・・お前の目的はなんだ!」

 

『うーん、君を倒すことと新たな王の創造だよ。』

 

「俺を・・・殺すのか?」

 

『いやいやー私が貴方を倒しても意味がないよ!

アナザーISが君を倒さないと王の力を継承することできないんだよねー、面倒なことに。』

 

「我が魔王!」

 

二人を寮に送り届けていたウォズが異変を察知し、一夏の元へ行く。

そして目の前のタイムジャッカーリアスの存在に気付き、盾になるように一夏の前に立つ。

 

『ウォズかー、やってくれたね君?過去改変は禁忌だよ?』

 

「タイムジャッカーリアス・・・君が言うかね、そのセリフ?」

 

『まぁいいや、計画変更。』

 

リアスは側に生えている木に向かって右手を伸ばす。

すると何かの力が働き、掃除機みたいに木の陰に隠れていた者が引き寄せられ、ある一人の女子生徒がリアスに捕まる。

 

「きゃぁ!?」

 

「な!?君はさっきの。」

 

捕まったのは三条美香の友達、村上純子だった。

純子は美香と共に寮へ帰宅していたが、一夏と鈴の様子が気になりこっそりと木の影から二人を見ていたのだ。

リアスはアナザーウォッチを彼女の腹部に当て、『甲龍アナザーウォッチ』を生成、そして強引に彼女をアナザーISへと変異させる。

 

『甲龍…。』

 

『今ここで織斑一夏を抹殺することにするよ。』

 

タイムジャッカーリアスはその場を去り、後のことをアナザー甲龍に任せる。

 

『ぐっるるるるぁぁぁあああああ!!』

 

アナザー甲龍は雄叫びを上げ、ウォズと一夏に襲いかかろうとするが、近くで意識を失っていた鈴の存在に気づく。

まずいと、一夏は白式を呼び出そうとするが、それをウォズが止める。

 

「まってくれ、我が魔王。」

 

「ウォ・・・ウォズ!なんで! このままだと、鈴が!」

 

「今の状態の貴方に無理をさせるわけにはいかない。

それに過去で白式を展開すると色々と面倒なので、ここは私が。」

 

無許可でのIS展開が禁止されているのもあるが、

現在この時空には白式が二つ存在している状態、もし展開してしまうといろいろと混乱する事態を引き起こす可能性がある。

それを避ける為にISとは違う兵器を用いてアナザーISに挑む。

 

「ど、どうすんだよ?」

 

「甲龍ミライドウォッチをお借りします。」

 

「わかった。」

 

一夏はウォズに甲龍ミライドウォッチを手渡す。

ウォズはそれを腕のホルダーにつけ、そして入れ替えるようにもう一つのミライドウォッチを取りだしリューズを押す。

 

『ウォズ』

 

「う・・・ウォズ?」

 

自分の名前が入ったミライドウォッチ?という疑問を浮かべる一夏。

ウォズの腰に白式・超越に付いてた同型のドライバーの色違いが現れ、同じ要領でミライドウォッチを装填する。

 

『アクション!』

 

白式とは違ったリズムの待機音が流れ、ウォズの背後にスマートウォッチ型のヴィジョンが現れる。

ウォズは左腕を広げ、そしてそのまま勢い良くレバーをドライバーに押し込む。

 

 

 

「変身!」

 

 

 

 

『投影!フューチャータイム

スゴイ!ジダイ!ミライ!カメンライダーウォズ!ウォズ!!』

 

そして装着される見た事ないパワードスーツ。

 

「我が名は()()()ライダーウォズ…未来の創造者である!」

 

額に『カメン』というマークがついた頭部に銀色のアンダースーツ、そして全身に走る黄緑色のライン。

複眼は一夏の『IS』とは違いタイムマジーンと同じ『ライダー』の文字…その見た目はまさにスマートウォッチの擬人化。

 

以前、ウォズが言っていた専用機に当たるモノ・・・それが今ウォズが身にまとっているモノなのかと理解する一夏。

 

『ジカンデスピアー!カマシスギ!』

 

ウォズはジカンデスピアーを構えアナザー甲龍に斬りかかり、ターゲットを鈴から自分へと逸らす。

 

『がっぁああああ!!!』

 

アナザー甲龍は喚きながら衝撃砲を撃つがジカンデスピアーのツエモードで発生させたバリアによって防がれる。

ウォズはバリアを張りながら、タブレットPCを開き音声入力で文章を書く。

 

「『抗戦するアナザー甲龍だったが、ウォズのフューチャリング甲龍に手も足も出ないのであった。』」

 

タブレットを閉じ、一夏から預かった『甲龍ミライドウォッチ』を取り出しリューズを押す。

 

『甲龍』

 

そしてウォズミライドウォッチと入れ替えレバーを入れる。

 

『投影!フューチャータイム!甲・燃・龍!!フューチャリング甲龍!甲龍!!』

 

白式と同じ能力・・・ウォズの姿が変わる。

龍の様なツノが生え、ピンク色の装甲がまとわれる。

両肩のスマートウォッチ型の肩当『インストールショルダー』が衝撃砲へと変形し、複眼が『ライダー』から『甲龍』へと変化。

ウォズもまた中国の第三世代IS『甲龍』の姿を投影したのであった。

 

二つの衝撃砲を打ち、アナザー甲龍を怯ませる。

抗戦しようにもウォズのタブレットの効果で一切の攻撃を与えることができずアナザー甲龍はウォズが持つ青竜刀で翻弄されていくのであった。

そしてある一定のダメージを与えると、ウォズはレバーを引き、ウォッチのエネルギーを青竜刀に流し込む。

 

 

『ビヨンドザタイム!舞え舞え切り!!』

 

舞いながらアナザー甲龍を切りつけ、最後に両肩の衝撃砲でとどめを刺す。

 

『ぐぁぁぁあああああああああ!!』

 

アナザー甲龍は撃破され、元の姿『村上純子』に戻り、アナザーウォッチは体内から飛び出し消失する。

 

「す…すげぇ。」

「いえいえ、貴方ほどではない。」

 

苦戦することなく、アナザーISを倒したことに感心する一夏。

 

「うぅ・・・私は。」

 

「君はまっすぐ保健室に行くんだ。」

 

「え、あ・・・うん?あ、わかった。」

 

アナザーISになってから直ぐウォズに倒されたおかげで彼女は精神汚染を免れ軽傷で済んだ。

意識が朦朧としながらもウォズの言うことを聞き入れ、のろのろと保健室へと歩き出す。

念のためタブレットPCに彼女が保健室へ行き着くように記入し、そのまま変身を解きながら一夏の方を向く。

 

「過去改変は成功した・・・では、現代に戻りましょう我が魔王。怪我の手当てをしなければ。」

 

「あぁ、ちょっと待っててくれ。」

 

一夏は体に鞭を入れながら立ち上がり、地面に倒れていた鈴をベンチに寝かせる。そして風を引かない様に自分の上着をかけ、そっと呟く。

 

「また未来でな・・・鈴。」

 

 

 

一夏は待機していたタイムマジーンに乗り込み、過去を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去改変を試みた結果、鳳鈴音の死ぬ未来は回避された。

現代に戻った一夏達は改変された四日間の出来事をウォズのタブレットを用いって整理した。

アナザー甲龍の襲撃はなくなり、大会は予定通りに開催された。

三条美香の見事な戦術で一度はピンチに陥った一夏であったが特訓の成果が生かされ三条美香を打つことに成功、勝利を手にしたのであった。

優勝は織斑一夏ではあったが三条美香の戦術はある企業に評価され、美香は後にその企業と契約を果たし、2年に上がると同時に専用機を授与することを約束された。

その後クラスメイトが優勝商品であるデザート券を使い三日三晩、『織斑一夏くん優勝おめでとうパーティー』という名の

ケーキバイキングを楽しみ、その最終日に過去から戻って来たと確認をする。

 

「鈴は・・・助かったのか?」

 

鈴の安否を心配する一夏。

改変を行ったがイマイチ実感がわかない。

 

ウォズは鈴の未来の経歴を見て、死ぬ運命がないかどうか調べる。

 

「怪しい部分があるが、死ぬ運命は避けられたようだ。」

 

「そうか・・・よかったのか?」

 

怪しい部分というのが気になるが、一応は運命を打破することはできた様だった。

 

「えぇ、まさか運命を変えるとは・・・まったく貴方という人は恐ろしい、それでこそ魔王だ。」

 

「(コンコン)一夏・・・いる?」

 

ドアのノック音と共に鈴の声が聞こえる。

鈴の声を聞いたことで彼女が生きているとようやく実感がわいた一夏は急いで、扉を開き、鈴の顔を見た。

 

「鈴・・・だよな?」

 

そこにいたのは正しく親友の『鳳鈴音』だった。

 

「え、そうだけど・・・どうしたの?」

 

「いや、なんでもない。」

 

生きている・・・一夏は自然と笑みがこぼれた。

 

「少し話せる?」

「あ、あぁ・・・。」

 

「私は席を外そう…何かあったら呼んでくれ。」

 

ウォズは空気を読み()()()()()向かう、二人きりとなった一夏と鈴はベットに座わり話をする。

 

「大丈夫だったか?」

「うん、ちゃんと三条さんに謝ってきた。」

「いや、そうじゃ・・・いや、それもそうだ。」

 

一夏はタイムジャッカーとアナザーISに襲われた時のことを聞きたかったがそれも重要なことだ。

 

「許してもらえたか?」

「なんとか、ね。」

 

鈴は少しため息をつく。

 

「私、ダメね・・・いっつも感情が先走っちゃう。」

「はは、昔からそうだもんな、でも、それが鈴のいいところだと思うぜ?」

「どこがよ?」

「何でもかんでもガツンと物を言えて、バカだけど努力家で。」

「バカってなによ!バカって!」

 

「ははは、ごめんごめん。」

「もう、バカ。」

 

中学時代から続いているやり取りに懐かしさを覚えながら、あることを思い出す。

 

「私、嫌なヤツだったわよね・・・昔、私をいじめていたあいつらと同じ。」

 

中学時代、中国から来た転校生と言うことでいじめの対象になっていた鈴。

自分をいじめていた子も先日の自分のように他人の気持ちを考えないで罵詈雑言を浴びせてきた。

その窮地を助けてくれたのはたった一人・・・織斑一夏だった。

一夏はいじめが嫌いだった・・・だから、自分がいじめっ子のと同じ存在になってしまったことに後悔を覚える。

 

「いや、鈴は彼奴らとは違う・・・しっかり謝れたじゃねーか。」

 

しかし、違うと一夏は力強く言う。

あの時のいじめっ子と決定的に違うところ、それは自分から謝罪ができたことだ。

その言葉に鈴の気持ちが少し晴れる。

 

「ふふ、ありがとう・・・それと、コレ」

 

鈴は手に持っていた袋を一夏に渡す。

 

「これは・・・。」

 

「あの時・・・なぜかベンチで寝ていた時にかけてあったヤツ・・・一夏のでしょ?」

 

中に入っていたのは先ほど一夏が鈴にかけた上着だった。

綺麗にアイロン掛けされている。

 

「あぁ」

 

「ありがとう、でもなんで起こしてくれなかったのよ!」

 

どうやらタイムジャッカーやアナザーISのことは覚えていないようだ。

 

「あ、いや、気持ちよさそうに寝てたから、つい」

 

一夏は下手なことは言えず、適当に誤魔化す。

 

「まぁいいわ・・・いい匂いだったし。」

「え?」

「な、なんでもない!」

 

思わず口が滑った鈴であった。

 

「そのさ、あの時、約束の意味がわかったって言ったじゃん。」

「そう・・・だな?」

 

鈴は顔を赤くする。

 

「その、へへへ、返事と・・とかは?」

 

「あー・・・。」

 

一夏は困っていた。

鈴は大切な親友だ。

一緒にいて愉快だし、鈴のことは好きだ。

ただしそれが恋愛感情なのか聞かれたら、わからないと答える。

長らく返答に困っていると、鈴がいきなり立ち上がる。

 

「・・・やっぱいい!」

「え?」

「断れて関係悪くさせたくないし・・・今のままでいい!!」

 

鈴はくるっと一回転し一夏を見つめ、彼の唇に人差し指を当て

 

 

 

「ただし覚悟しなさい!絶対に振り向かせてみせるから!いっぱいアピールしちゃうから!」

 

 

 

と笑顔でそう言った。

 

「・・・わかった。」

 

一夏もそれにつられて、笑顔になり部屋中に笑い声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この時代に来ていたのか・・・カッシーン。」

 

同時刻、ウォズは屋上である人物と会話していた。

 

「貴様、無駄な時間改変をしたようだな。」

 

ウォズの背後に立っているのは槍を持った金と黒の怪人・・・『カッシーン』

彼は未来からウォズがいるこの時代に来ていた。

 

「無駄ではない、我が魔王が望んだことだ。」

「お前の主人は魔王イチカ・・・過去の織斑一夏ではない。」

 

ウォズは振り返り、カッシーンを見る。

頭部にはカメンライダーウォズと同じ『カメン』の文字が入ったマークが小さく入っている。

これは魔王イチカの僕という証であり、彼はウォズの同僚に当たる存在だった。

 

「それで、私になにかようで?」

「来に食わん態度だ、まぁいい・・・我が魔王からお前に褒美だそうだ。」

 

カッシーンは紅いミライドウオッチを差し出す。

 

「これは・・・。」

「来るべき未来で必要になる・・・持っとけ。」

 

ウォズはそれを受け取り、ホルダーではなくタブレットPCにかざし、データ状でその中に保存する。

 

「要件は済んだのだろ?早く元の時代に戻ったらどうだ?」

「言われなくとも。」

 

カッシーンはウォズとは別のタイムマジーンで未来へ戻ろうとするが、少し足を止め前を向いたままウォズに話しかける。

 

「お前にもし不手際があったら私が後を引き継ぐ、せいぜい頑張るんだな。」

「私は常に我が魔王のために尽くしている、お前の出番はない。」

 

「だといいがな。」

 

そう言い残し、カッシーンは未来へと帰還した。

 

ウォズは星空を見上げ、現状を整理する。

 

_かくして、我が魔王の過去改変により鳳鈴音の死の運命を打破することに成功した。

しかし、この行為が今後の未来に良い結果を招くかどうかは不明だ。

どっちにしろ、二つ目のミライドウォッチは手に入った、着実に我が魔王は王への道を歩みだしている。

 

今後起こるであろう偽りの戦姫の事件・・・流れからするにこの事件にもアナザーISが関わってくるかもしれない。

我が魔王のためにも、真の歴史へと彼を導かなければならない・・・やることは山積みのようだ。




登場しましたカメンライダーウォズ!
誤字ではありませんよ!この話では仮面ではなくカメンと表記します!
最初は登場する予定はなかったけど、ジオウ見てたら出したくなっちゃってw
鈴が死んでいろいろお騒げせしましたが、もともと復活する予定でしたのでご安心を。

次はシャルとラウラ 
と言ってもあんまり進んでいないので、投稿まで時間はかかりそう・・・申し訳ないです。

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