デート・ア・エグゼイド   作:紫姫・真

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これ迄のデート・ア・エグゼイドは


自宅へ帰った永夢と士道は一緒に暮らす十香と琴里と令音に七罪と四糸乃の事を伝えて二人の捜索をする事にした。しかし、永夢はそれを拒否して一人外へ向かおうとした時に士道に殴り飛ばさなくてしまう。当然、その現場見た琴里と十香は士道を止めにかかるが永夢は士道がやった事は間違いじゃないと言い二人を落ち着かせてから家を出ていってしまった。逃げたと思った士道は永夢無しで七罪と四糸乃を捜して霊力を封印しようと話していたが、琴里から第三機のゲーマドライバーを十香は受けった。だが肝心なガシャットが無い事に士道は疑問に思い聞いて見ると、どうやら永夢が所持している残り三本の変身用のガシャットの内のどれかを使わせるつもりだったから敢えて作らなかったと言った瞬間キレてしまい、再び荒れてしまう。十香との口喧嘩が始まり、流石にまずいと思った琴里は直ぐにその場を収めてから第四機目のゲーマドライバーとプロトマイティアクションXガシャットや十本の真っ黒いガシャット等を確認していた。その頃永夢は逃げ出しから十香の霊力を初めて封印した高台に着いたあと町並みを見ていた時に金髪の少女と出会う。その金髪の少女から七罪と四糸乃の事を言われて堪えきれなかった永夢も激怒したがビンタを食らい、更に自分のゲーマドライバーを没収されてしまう。一方で士道は神社で蒼い髪の少女と出会い直ぐに別れてしまうが、その少女こそが捜している人物だと知らないで帰してしまった!
さて、永夢は自分の心から答えを見つけ出す事が出来るのか⁉️七罪と仲直り出来るか⁉️


11話:七罪と仲直りのATTACK!?

SIDE:七罪

 

「永夢のバカバカ!何よ、私達との約束を忘れて!」

 

現在、私は永夢から離れた後、大人モードを解除して行く宛も無くトボトボと歩いていた。

 

イライラしながら永夢の悪口言ってはまた悪口を言っての繰り返しをして、この苛ついた気持ちをどうにかしたいと思った。

 

何度やってもイライラを収める事が出来ず、余計にイライラしてしまう。今日は最悪だと思いつつ唯ひたすらに歩く。

 

ある程度歩いて行く内に、やっとイライラが落ち着いてきてやっと冷静さを取り戻した私は今日の事を振り返った。

 

約束を忘れてしまった永夢に自分は激怒してあの場を去ってしまった事を。今思うと、私は自分自身が情けない奴だと思った。

 

わかってる、わかっているわよ。本当は…永夢も好きで約束を忘れているんじゃないくらい。でも、そんな永夢の気持ちを知ろうとせずに私はあんな酷い事を言ってしまった!

 

四糸乃以外の…初めての人間の友達を!私は彼奴に酷い言葉を浴びせて傷付けてしまった!永夢と関わっていく内に自分を嫌う様な事をしなくて済んだのも、素直になれずに周りの人達を傷付けてしまっていたのを一緒に改善してたのも全部彼奴のお陰だった。

 

改善したと言っても精々傷付けなくなったくらいで、他人には冷たい態度をとってしまうって話なだけで、そこまで酷くはない。

 

まあ、永夢と四糸乃の前では素直になれたから良いと思ってた。でも、私は永夢の約束を覚えていないと聞いた瞬間、我を忘れてしまい激怒をしてたった一人の人間の友達の永夢に酷い言葉を言った事に変わりがなかった。

 

たった一人の人間の友達の永夢を傷付けてしまった私は怖くなってしまった。永夢に嫌われたら、また最初の頃の自己嫌悪だった私自身に。

 

元々私は人との関わりが苦手で、更に自分が大嫌いだったから何時も一人でいる事が多かった。

 

永夢と初めて出会った時は…あれは一番荒れに荒れたわ。毎日の様にしつこく私に構ってくるし、四糸乃とちゃんと話しをして仲直りしようとか、あんたは私のお母さんかって思ったくらいよ。

 

だから何度も何度もしつこい永夢を追い出そうとして悪戯をしたり、ちょっかいをかけたりした。でも、それでも永夢は諦めずに私達の元に来ては説得や説教をしてくる。

 

飽きてしまった私は悪戯もちょっかいもしないで最終的には無視をした。それでも彼奴は私に関わろうとしてくるから聞いてみた。何で私達に構うのかっと…

 

最初は変な事を言ってくるんだと、少なくとも私はそう思った。そしたら彼奴からは意外な言葉が返ってきたのだ。

 

『折角友達同士なのに、お互いに気持ちを分かり合えないまま一緒にいたって、そんなのつまらないよ。それは友達じゃなく、唯の他人でしかない。本当の友達とは、お互いの気持ちを知りどんなときでも笑い合える関係でないと駄目なんだ。時には笑い合い、時にはお互いの悩み事や困った事を打ち明けて相談し合える、そんな友達関係だと思うんだ。あと、七罪ちゃんは自己嫌悪し過ぎだから余計にほっとけなかった。出来ればそれを取り除いてから、ちゃんとした友達関係に僕もなれたら良いなと思ったんだよ。四糸乃ちゃんは上手く人前では話せないみたいだし、僕が一緒に克服出来る様に手伝うよ』

 

『…罪で良い』

 

『え?』

 

『七罪で良いって言ってんのよ、ばか…』

 

『私は…四糸乃で…良いです…』

 

『わかったよ、二人共!僕は五河永夢、宜しくね。七罪、四糸乃!』

 

あの時の言葉は今も覚えている。私はそんな彼奴だから最初限りは仕方なく付き合ってやった。何時しか彼奴の前や四糸乃の前だけは素直になれた。自分を嫌う事もしなくなった。

 

四糸乃は私と彼奴の前だけはオドオドする事無く声は小さいけどある程度は普通に話せる様になった。人見知りも大分落ち着いてきてはいた。殆どよしのんに頼ってばかりだったのも自分で喋れる様にもなった。

 

今の私達でいられるのは彼奴が、永夢が居てくれたからこそ変われる事が出来た。私と四糸乃はそんなある日、永夢に将来の事聞いてみた。

 

すると永夢からは『ドクターになって人を笑顔にさせる為になる』と聞いて少し興味を示した。

 

正直言って、人間社会なんてよくわからない私と四糸乃は永夢から色々と教わり、何時しか私達自身もドクターの道を歩んでみようかなと思える様になっていた。

 

荒れていた頃に言われてたら絶対にあっそとか言って、吐き捨てていた。でも、今だからわかるんだ。永夢が此処まで必死に医学を学んで、誰かの為になろうとする姿に引かれた私達は、自分にも誰かの為に役立てれたらと思い永夢にお願いをして、医学の勉強を始めた。

 

でも、それも長くは持たなかった。私達を追って来た彼奴(・・)が来る事を。

 

最初は襲ってくる回数が少なかったから大して問題なかったけど、次第に回数が増して永夢に会える日が少なくなり、結局は別れないと駄目だと決断をした。

 

別れるのは寂しいし嫌だ。でも、そうでもしないと永夢にも危険が及んでしまうと考えたら、それこそ駄目だと思い覚悟を決めた。

 

少々嘘を混ぜて言う事になるけど、やむおえなかった。

 

『永夢、私達は旅に出ようと思うから、暫くは会えないわ。だから、それまではしっかりと医学を勉強をして今よりも詳しくなってなさいよね。“次に会えたら、私達と医療チームを組む”。 これは次に会ってから、共にドクター目指す為に言っているんだからね。私達三人で、最初からチームを組んで、一緒にドクターを目指して頑張る。でしょ、四糸乃?』

 

『うん。七罪ちゃんと一生懸命考えた約束です。だから離れていても忘れないでください!ねっ、よしのん』

 

『そうなんだよ~永夢君~。四糸乃とイチャつくチャン…ッムギュ』

 

『もう、よしのんてっば!』

 

『はいはい、遊んでないでそろそろ行くわよ四糸乃、よしのん』

 

『『はい!(はーい)』』

 

『またね永夢!』

 

『永夢さん、お元気で!』

 

『じゃあね~永夢君~!』

 

あれが最後に永夢に言った言葉で、数年間“彼奴”から逃げる為にわざと『旅に出る』と嘘を言って別れた。

 

それも永夢には迷惑をかけたくもなかったし、私達の厄介事に巻き込みたくなかった。そう思って罪悪感を持ちつつも今に至る感じだ。

 

そりゃあ、私達も永夢に会えない間はいつ会えても良い様に医学の勉強を独自でやってはいたわよ。殆どわからない漢字とかが出てきたりしたけど、永夢に予め難しい漢字を教えて貰ったりしたお陰で簡単に問題が解けたりしたしね。

 

それともう1つ、私達は永夢にずっと隠していた事があった。そう、自分達が精霊だと言う事を。永夢に激怒した後、自分が精霊だと言う証拠の1つでもある天使を使った。〔贋造魔女(ハニエル)〕を召喚してあの場から去った。

 

でも永夢を見る感じだと特に驚いていなかったし、あの五河士道に至っては精霊の存在を知っている様だし問題無いかなと思った。

 

「はぁ…」

 

どうすれば良いのかわからず、溜め息を吐きながらトボトボと歩いて行った。

 

もっとも、その方角が高台で永夢にもう一度会うと思ってもいなかった。

 

 

 

SIDE:永夢

 

嘆いてから約二時間もこの高台に長居してしまった。今はもう泣いていないから良いけど、結局あの金髪の少女から出された課題が解けなかった。

 

僕が何の為にドクターの道を選んだのか、何故僕が精霊達を救おうとしたのかも。

 

考えてもその答えがなかなか見つからずに時間をダラダラと過ごしてしまった。もう夕方で本当なら家に帰らないといけないけど、今の状態で帰った所でまた士道に言われるのも目に見えているから余計に帰れない。

 

ずっと考え込んでいると不意に後ろから声をかけられた。

 

「言った通り、来たわよ。まあ、落ち着いているみたいだから良いけど。今も荒れていたらどうしようかと思った」

 

やっぱり来ていたんだね、金髪の少女は。そう思っていると座り込んでいる僕の前に立ち、僕の目線に合わせてしゃがんでくる。

 

「それで、答えは見つけたの?」

 

「全然見つからないよ。どれだけ探そうと、思い浮かぶのは同じ事しか思いつかなかった。でもそれが答えになるとも思わないしね」

 

そう、僕が思い浮かぶのは一度交通事故にあって、生と死の(はざま)をさ迷っていた時に恭太郎さんに助けられたから、今度は僕自身がドクターになって誰かを助けようと思った事くらいだ。

 

精霊達を救おうと思ったのは、空間震は精霊達の意志とは関係無しに発生されて、その度に町への被害を出して現界をしたためにASTから人類の敵だと認識されていると言う事と、人間に被害を出すきが無い精霊達にそんな理不尽な理由で命を狙うのは間違っていると思った。

 

そう思っていると金髪の少女は『そっか』と言ってから僕の両肩に手を乗せてから顔を近づけてきた。

 

ちょっと…顔近いんだけど…。心の中で呟きながらも僕は金髪の少女を顔を見て話を聞いた。

 

「なら、永夢が思い浮かんだ事を言ってみて。それが答えになっているかは私が決めるから」

 

「君がそう言うならわかったよ。取り敢えず思い浮かんだのは先ずドクターになろうとしたきっかけは僕がまだ八歳の頃に交通事故にあって、死ぬ事対しての恐怖を抱いていた時に恭太郎さんに助けられたから、今度は僕自身がドクターとなって苦しんでいる人々を救う番だって思った。次に精霊達を救う方は、妹から初めて空間震の正体を聞いて、あれは精霊達の意志とは関係無しに発生すると知ってそれを勝手にASTが人類の敵と判断し、命を狙い出したと聞いてほっとけなかった。精霊達も、この世界で産まれた以上、失ってはならない“命”だと思ったからだよ」

 

金髪の少女に僕が思い浮かんだ事をそのまま伝えた。

 

「そう、それがあんたの見つけ出した答え…ね。なら、これが最後、あんたに問わせてもらうわ」

 

僕の口から思い浮かんだ事を聞いた金髪の少女は、僕に最後の問いをしてきた。

 

「永夢、あんたは颯太がバグスターウイルスに感染してほっといたら消滅すると知った時、何て思ったの?十香がこの世界に対して絶望をしているとわかった時どう思ったの?」

颯太って…あの子の事か!僕があの子の担当になった事をどうしてこの()は知っているんだろう?あの日は初めてポッピーいや、まだ明日那さんと出会ってから颯太君からバグスターウイルスに感染して、バグスターユニオンに変貌した所とその真実を聞かされて倒す決心がつき、初めてエグゼイドに変身した日の事を。

 

それに、何で十香の事も…ッ!そうか、そういう事だったんだ!僕は今迄気づけないでいた事に、やっと気づいた。

 

「颯太君がバグスターに存在を乗っ取られて消滅すると聞いた時、絶望したよ。何の罪も無いあの子が何で消えなければならないかって。でもポッピーが、明日那さんが、ゲーマドライバーとガシャットを使えば彼を助ける事が出来るってわかった瞬間、僕は思った。『こんな幼い子供の未来を奪われてはならない。僕が颯太君を助けるんだ』って思った。十香の顔からこの世界に絶望しているとわかった時、母親に裏切られて捨てられてしまった時の士道と重ねてしまったんだ。彼女も、この世界に絶望していると。だから助けてやりたい、そして同じこの世界で産まれた者として知ってほしい。この世界には、まだまだ救いがあると、笑顔が満ち溢れているんだって伝えたかった。君はその事を僕に思い出させる為にわざとゲーマドライバーを取ったりしたんだよね?」

 

「…」

 

僕がこれ迄の事件で感じ取った事を言い切ると金髪の少女は無言になるが、後から笑い声を漏らす。

 

「フフ、そうね。正解よ、永夢。あんたにその時の感情を忘れてほしくなかったの。だからゲーマドライバーを没収をしたのよ。だから返すわ」

 

そう言うと金髪の少女はピンクの鞄からゲーマドライバーを取り出して僕に差し出す。僕は彼女から差し出されたゲーマドライバーを受け取り、お礼を言う。

 

「ありがとう、君のお陰で漸く目が覚めた気がするよ。えっと…」

 

何て呼べば良いかわからないでいると彼女から名乗ってくれた。

 

「…里よ」

 

「え?」

 

「私の名前は万由里(・・・)。ごめんなさい、ちゃんとした自己紹介も無しに話しを進めてしまって」

 

「良いよ、そのお陰で僕は大切な事を思い出させてくれたんだから。まあ、何で僕の名前を知っているのかは気になるけどね」

 

金髪の少女…万由里ちゃんに自分の名前を教えてもらい僕もきちんとした紹介をしないと思った。

 

「一応、改めて名乗るね。僕の名前は五河永夢、ドクターを目指して勉強をしている来禅高校の三年生さ。宜しくね、万由里ちゃん」

 

握手をする為に手を出したけど呼び名に訂正を入れられてしまった。

 

「呼び捨てで良いわ、どうせ名前で呼ばれるのはあんたくらいだしね。それに…あんたには伝えておかないといけない話しもあるし」

 

「話しをしないといけない事?」

 

万由里ちゃん…じゃない万由里から僕に伝えておかないといけない話しがあると言われて気になってしまった。

 

「実は、何故あんたが七罪と四糸乃との約束を忘れているのかっと言うと…正確には記憶を消されている(・・・・・・・・・)のよ。あの子達との約束も含めて、精霊達と関わった記憶を…。それも、ある精霊の手によってね」

 

「ッ!僕の記憶が…消されてる…?それも…精霊に…?」

 

「そうよ、あんたはその精霊によって、これ迄出会ってきた他の精霊達に関わる記憶を消されているの」

 

僕の記憶がその万由里が言う精霊によって、僕の記憶が消されていると聞かされて困惑してしまった。救おうとしている精霊に、僕は記憶の一部でもある精霊に関わる記憶(・・・・・・・・)だけを消されていると知って思った。

 

ふざけるなと。

 

それに万由里の話しを聞く限り、僕は既に他の精霊達と出会っていると聞かされた時、一瞬だけ疑問に思えた事があった。

 

それは…何故、僕だけが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っと。

 

普通なら可笑しいと思うのが当たり前だ。でも正直言って、精霊らしい人物達と関わった覚えがない。確かに七罪は魔女ッ子の格好をしているし、四糸乃はうさみみが付いた緑色のファンタジーなレインコートを着ているくらいしか思ってなかったけど…まさか精霊だとは思わなかったのは事実だった。

 

もしかすると、万由里の話しが本当なら僕は七罪と四糸乃以外にも既に出会っているかもしれない。その可能性は十分高いと考えた。

 

「万由里、君に聞きたい事がある。もしかして、僕は既に七罪と四糸乃以外にも他の精霊達と出会っているの?」

 

「ええ、そうよ。あんたは既に七罪と四糸乃以外にも、他の精霊達と出会っているわ。出会っている精霊は〔ナイトメア〕、〔ベルセルク〕、〔ディーヴァ〕。まあ誰かまでは言えないけど…。あんたが十香の霊力を封印した事で、少しずつでけど、記憶が取り戻している筈よ」

 

〔ナイトメア〕、〔ベルセルク〕、〔ディーヴァ〕って…確か夢の中でも出てきた識別名だったね。それも、もう一人の“僕”から聞いたのと全く同じだ。

 

これは偶然なのか?だとしたら可笑しいにも程があるんじゃないのかとつくづく思った。

 

「それよりも万由里、僕の記憶を消した精霊って…」

 

「悪いけど、それは言えないわ。その精霊の事を話したら、あんたは…あんたじゃなくなってしまうから。だから、それだけは絶対に言えないし、これだけは言いたくない…ごめんなさい」

 

僕が一番聞きたかった事を彼女は申し訳なさそうな表情で頭を軽く下げてきた。いくら万由里でもこればかりは言いたくないと言っているみたいだし、これ以上の追求は止めた方が良いと思った。

 

「良いよ、君が僕の事を思っての事なら深く追求なんてしないから、安心して」

 

「永夢…」

 

大丈夫と万由里に伝えると、彼女は安心した様子で頭を上げる。

 

「あと、ずっと気になっていたけど…何時まで隠れているつもり?それで完全に隠れたつもりでも、私の前では無意味よ」

 

突然、万由里が草木がある階段がある所に向かって誰に向けて出てこいと言い始めた。

 

すると階段の陰から出てきた人物を見た瞬間、僕は目を見開いて驚き声を上げた。

 

「七罪じゃないか!何で君がこんな所に…確か僕が怒らせてしまって去って行ったから、もうこの町には居ないかと思ってしまったのに」

 

そう、階段の陰から現したのは七罪だったのだ。約束を忘れてしまっている僕に激怒した七罪が天使を使って去って行った筈なのにどうして…

 

「あの後私は余り霊力を使わない様にして、大人モードを解除して、行く当ても無くただ歩いていたら…気づいたら此所に来ていたのよ。そして永夢とそこの女が話しているのを聞いていた所に出くわしてしまったから…咄嗟に階段の陰に隠れてしまったわ。ごめん、勝手に盗み聞きする様な真似をして…」

 

偶々僕と万由里の話しを盗み聞きする形で聞いてしまった七罪は謝ってきた。

 

「良いよ、そんなの。約束を忘れたのに比べたら「良くない!!」…七罪?」

 

気にしていない事を言っている時に、七罪が叫んで中断させられてしまう。おまけに顔を下にして続けた。

 

「永夢はそれで良いかもしれないけど…私からすれば十分良くないわよ!そもそも、永夢が私達との約束を覚えていないのは、永夢自身が本気で忘れているんじゃなく精霊によって消されてんでしょ⁉️それを私は知りもしないで、あんなに謝ってきたあんたを酷い言葉を浴びせてしまったんだから!それに私達との約束だけじゃなく、他の精霊達との思い出の記憶も消されているんでしょ⁉️あの話しを聞いてしまったら流石の私でも黙ってられないわよ‼️」

 

自分達の約束以外にも他の精霊達との思い出の記憶を消されてしまったと聞いて、七罪はそれに対して激怒をしている。

 

仲間思いなのは七罪の良い所ではあるけど、仲間や友達が傷付いたりしたと知った彼女は過剰に反応する。これも忘れていたのは確かだけど、久しぶりに見た気がする。

 

「それに今私が一番許せないのは…私自身によ!永夢はその精霊によって記憶を消されているとも知らずに酷い言葉を言った私自身が許せない…!しかもあんたと四糸乃の前でなら素直になれるって思っていたのに…結局素直になれていない自分にも腹が立っていて…もう、どうやって償えばいいかわかんないわよ…!」

 

今の七罪の言葉を聞いて僕は思った。彼女は僕から去った後もずっと苦しんでいた悩んでいた事も。本当は心の中でわかっていても、なかなか口から言えず、行動も出来ずにいた最初の頃と同じだった。

 

そこに関しては僕も人の事は言えない。僕だって、七罪を捜すべきだったのを拒絶されるんじゃないのかって思ってしまって、捜しに行けなかったから…

 

僕は顔を下にしている七罪の頭にそっと手を乗せて言う。

 

「七罪…僕は気にしてないよ。君が去った後もずっと僕に酷い言葉を言ったのに対してどうやって謝れば良いかも悩んでくれていたんだよね?それに、僕もほぼ七罪と同じ感じでずっと此所で悩んでいたからわかるよ、その気持ち」

 

「永夢も…?」

 

「うん。僕もこの高台で七罪を捜しに行って謝ろうと最初は思ってしまっていたんだ。でも、時々思ってしまうんだ。『仮に捜しに行って、七罪を見つけて謝ったとしても、また拒絶されるんじゃないのか?』って思うと…正直言って怖かった」

 

彼女に僕が抱いていた拒絶されると言う恐怖があったと伝えると、七罪はあんたもかと言いたそうな表情をしていた。

 

「まさか永夢も私と同じ様に悩んでいたのね。以外だわ」

 

「まあね、自分でも恥ずかしいと思ってはいるよ。でも、それ以前に嬉しかったのは、七罪が僕にどうやって謝れば良いかを考えていてくれた事が嬉しかったんだ。…ありがとう、七罪」

 

必死になって僕に謝ろうと考えた七罪にお礼の言葉を言うと、顔を上げて僕を見た。その時の彼女の表情が今にも泣きそうだった事だ。

 

「永夢、ごめんなさい…!あんたや四糸乃の前なら素直になれると確信してたのに…!結局私は…素直になれなかった…!私達が精霊だと隠していたのも…ごめんなさい…!」

 

「七罪、僕も君達との約束を忘れてごめんね。でも、これからは僕も君達ときちんと向き合うよ。友達としてではなく、医療チームの“仲間”として。だから、思いきって泣いて良いよ、七罪」

 

「永夢…うわああああああ!」

 

泣いて良いよと僕が言ったら七罪は直ぐに腰に抱きついて大泣きをした。その姿は、子供が漸く母親を見つけてすがり付いている様な…そんな感じがした。

 

「ごめん…なざい…ごめん…なざい…ごめ…んなさい…!!」

 

何度もごめんなさいと言いながら、七罪は暫く泣き続けた。

 

漸く泣くのを止めて僕から離れた後、落ち着いた時に万由里はハンカチを出して七罪に渡す。

 

「良く頑張ったわね、偉いよ、七罪」

 

「グスッ…あ、ありがとう…。えっと…」

 

急にハンカチを渡された七罪は戸惑いながらも受け取り、万由里にお礼を言う。

 

「万由里よ、これから宜しくね、七罪」

 

「うん、私は七罪…ハンカチありがとう、万由里(・・・)

 

初めて出会ったにしてももう二人は名前で呼び合える関係になっているなんて、良かったと思った。受け取ったハンカチで涙を拭き取ると七罪はそれを畳んで万由里に返した。

 

僕も無事に七罪と仲直りが出来て、…本当に良かった。

 

「見つけましたよ、〔ウィッチ〕。それと宝生永夢(・・・・)

 

刹那、上空から別の少女の声が聞こえた。直ぐに僕達は上空を見る。

 

「「「ッ‼️」」」

 

「フフフ」

 

上空には特殊なワイヤリングスーツと身体の所々には機械の鎧を身に纏い、背中には見たことが無いCRーユニットが装備されていた。

 

「君は誰なの?まさか、AST!?」

 

「AST?違います…が、貴方に名乗る必要もありません。どうせ死ぬのだから」

 

「ッ⁉️」

 

それを聞いて僕は彼女はASTよりも危険だと思い警戒する。

 

そして、彼女の周りには人形の機械が五六体程飛んでいる。あの少女と周りの機械達は危険だと僕の直感がそう告げている。しかも彼女は僕の本当の名前を知ってるみたいだけどそれどころじゃない!

 

直ぐに七罪と万由里の前に立ち、ゲーマドライバーを取り出しながら叫ぶ。

 

「二人共、下がって!」

 

「永夢、あんたそれ持ってたの⁉️」

 

「え?七罪、ゲーマドライバーの事知ってるの?」

 

万由里から返してもらったゲーマドライバーを見て七罪は驚く。そうすると彼女も『成る程ね』と言い懐に手を入れる。

 

「知ってるも何も、私も持っているわよ、ゲーマドライバーは」

 

そう言うと七罪は懐に手を入れた手を抜くとその手にはゲーマドライバー(・・・・・・・・)が握られていた。

 

「何で七罪がゲーマドライバーを⁉️まさか、ガシャットも⁉️」

 

僕の驚き様に七罪はにやけて、一度ふと笑う。そしてゲーマドライバーを腰に当てて装着を完了すると、ポケットから一本のガシャットを取り出す。

 

「そのガシャットは!」

 

七罪が取り出したガシャットは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

嘗て、南雲影成(なぐもかげなり)さんがまどかちゃんに仮想現実の中で学校生活を送らせて、仮初めの幸せを与えようとして、それを阻止しよと動く僕と飛彩さん、大我さん、貴利矢さん、黎斗さん、パラドに対抗する為に使っていた“ハリケーンニンジャガシャット”を握っているのだ。

 

何故七罪がゲーマドライバーとガシャットを持っているのか気になったけど、先ずは目の前の敵を倒すのが先決だと思い、僕もゲーマドライバーを装備する。

 

「やるわよ、永夢。初のチーム戦を!」

 

「うん、行くよ七罪!万由里は何処か安全な場所に逃げて!」

 

「わかったわ」

 

万由里は僕と七罪の背後から駆け足で逃げていった。七罪は僕の横に並び立つ。

 

無事に万由里が逃げたのを確認して、僕と七罪は各自ガシャットを構えて起動スイッチを押す。

 

《 MIGHTY ACTION X!》

 

《HURRICANE NINJA!》

 

俺に性格がチェンジし、戦闘態勢に入る。

 

「大変身!」

 

「変身!」

 

各ガシャットをゲーマドライバーに挿入すると同時にレバーを開いた。

 

〈〈ガシャット!ガッチャーン、LEVEL-UP!〉〉

 

投影されたマゼンタのパネルが僕に、七罪はオレンジ色の縁とディスプレイ部分が紺色のパネルと重なる。

 

《MIGHTY JUMP! MIGHTY KICK! MIGHTY MIGHTY ACTION X!》

 

《マキマキ 竜巻 HURRICANE NINJA♪》

 

エグゼイドに変身した俺と、“仮面ライダー風魔 ニンジャゲーマー”に変身した七罪はそれぞれ戦闘態勢に入り、何時でも反撃出来る様にした。

 

あと前々から思ってはいたけど、七罪が変身した時、一気に成人男性の大きさになるからビックリするな。

 

まあ、俺と士道も変身したら成人男性の大きさになるから今更だけど…。まあ良いか。

 

 

 

SIDE:琴里

 

「遂に動いたわね」

 

今、私は高台から離れた場所で永夢兄達の様子を見ていた。バイクゲーマの進む方向を割り出して、士道と十香が四糸乃を捜している間に来てみたらいつの間にか七罪らしき女の子と仲直りしていたんだから。

 

でも気になるのは永夢兄と七罪は誰と話しているのか(・・・・・・・・・)ね。私には見えていない(・・・・・・)けど、確かに二人には見えるのが気になってしまった。

 

そこにASTとは全く各が違う強さを持っているワイヤリングスーツを纏った少女が現れたのは驚いた。しかもあのCRーユニット…明らかに通常のとは訳が違う。

 

おまけに…彼女の周りにはこの私でさえ見た事が無い人形の機械達が一緒に現れたから少々驚いてしまった。

 

仕方ないと思い、懐に手を入れてゲーマドライバーを取り出して装着する。スカートのポケットからはプロトマイティアクションXガシャットを取り出して変身プロセスに入ろうとした。

 

『『『『『司令!』』』』』

 

「ッ!」

 

いきなりインカムからクルー達の声が一斉に聞こえてきた。ってインカム外すの忘れてた!

 

早過ぎた倦怠期(バッドマリッジ)川越恭次(かわごえきょうじ)

 

社長(シャチョサン )幹本雅臣(みきもとまさみ)

 

次元を越える者(ディメンション・ブレイカー)中津川 宗近(なかつがわむねちか)

 

保護観察処分(ディーブラヴ)箕輪 梢(みのわこずえ)

 

藁人形(ネイルノッカー)椎崎 雛子(しいざきひなこ)

 

どれも私にとってかけがえの無い、大切な家族同然のクルー達。そのみんながインカム越しでいきなり大声で呼ぶんだから驚いてしまったじゃない。

 

『司令、プロトガシャット(・・・・・・・・)を使って大丈夫ですか⁉️最悪の場合、死んでしまうかもしれないんですよ⁉️』

 

『プロトガシャットは永夢君が持つ正規版とは違って仕様者にとてつもない程の力を与える代わりに、副作用で司令の身体に悪影響を及ぼします!』

 

『お願いです司令、プロトガシャットを使っちゃ駄目です!』

 

『司令がやると言うのなら、自分が代わりにやります!』

 

『プロトガシャットを使うのを考え直してください!』

 

みんなの言葉から内緒で使おうとしていたプロトガシャットの事が話しに出てきたから何でと思った。

 

確かにみんなにはプロトガシャットの事は話してあるけど、まだ私自身が使う事は言っていないのに何故?

 

『すまない琴里、どうやら副司令に聞かれていたらしくてね、皆にバラしてしまった様だ』

 

「なっ⁉️」

 

令音から神無月がみんなに私がプロトガシャットを使う事を言いふらしたのを聞いてはあ⁉️と思ってしまった。

 

「ちょっと神無月、みんなに私がプロトガシャットを使うのをバラしてんのよ!折角の計画が台無しじゃない!」

 

『申し訳ありません、司令。ですが、我々は司令がプロトガシャットで苦しむ姿を見たくないのです‼️その話を聞いてしまって…司令にもしもの事があれば我々は…‼️』

 

馬鹿だ。私の事を心配して必死になって止めようとしているみんなの気持ちを理解せずに一人で抱え込んでしまった私は、大馬鹿だ。

 

「大丈夫よ、みんな。私は死なないし、死ぬ気は最初からないから安心しなさい。フラクシナスにはちゃんと顔ぐらいは出すから」

 

『『『『『『司令~!』』』』』』

 

フフ、みんなありがとう。耐えてみせるわ、プロトガシャットの副作用に。そして…弱き自分自身に!

 

『司令、ご武運を』

 

「ええ、行ってくるわ、神無月。それともう1つ、神無月、あんた後で訓練所に来なさい。変身した姿でお仕置きだから」

 

結局、神無月にはお仕置きの刑にすると神無月に言ってしまう。当然、神無月はインカム越しで『司令!お慈悲を…お慈悲を…!』と叫び声がしたのは無視。

 

「さてっと、仕切り直して行きましょうか」

 

そう言うと、私はプロトマイティアクションXガシャットを構えて起動スイッチを押した。

 

《 MIGHTY ACTION X!》

 

「変身」

 

起動させたプロトマイティアクションXガシャットをゲーマドライバーに挿入した。

 

《ガシャット!》

 

私の周りにはキャラクターセレクトのパネルが現れて、その内のエグゼイドの黒いバージョンのキャラクターのパネルにタッチする。

 

≪Let’s GAME!≫

 

 

 

 

 

 

 

≪Meccha GAME!≫

 

 

 

 

 

 

 

≪Muccha GAME!≫

 

 

 

 

 

 

 

≪What’s Your NAME!?≫

 

黒いエグゼイドのパネル以外は弾け飛び、私は黒いエグゼイドのパネルと重なり、紫のエフェクトが身体に纏い始めた。

 

≪I’m a Kamen Rider≫

 

紫のエフェクトが消えると、私の姿は変わり、白いアーマーのずぐりむっくりな2頭身の姿に変身した。これが、私が変身した姿、“仮面ライダーゲンム アクションゲーマーLEVEL-1”。

 

目線も大幅に上がり、より見えやすくなった。

 

「さぁ、私達の戦争(デート)を始めましょう」

 

宣言した後、私はゲーマドライバーに内臓されているボイスチェンジャーを起動させてから自身の声を変える。電子音がかかった男の声に変わり、これなら誰だって私だって気づかない。

「それじゃあ…うん!…これで良いか』

 

そう思い、私は永夢兄達の所へと向かった。少々出遅れたけど、ピンチになっている永夢兄達を助けた後、私は口調も変えて敵に言い放った。

 

『お遊びはそこまでだ』

 

 




やっと永夢と七罪が仲直りしました!
そして七罪と琴里が仮面ライダーに変身しました!
七罪が風魔で琴里がゲンムとして乱入しますので次回もお楽しみにしてください!

感想、質問、提案、誤字報告の方をお願いします!
あと活動報告も出しましたので良かったら見て下さい。

あと現在、アンケートをとっていますので是非お願いします‼️締め切りはアンケート数が100になったら終了します!




次回、デート・ア・エグゼイド


「久々のLEVEL-5の力、見せてやる‼️」

「あれは…ゲン…」

「お前の相手は…この俺だ!」

「家族が死にかけているのに、喧嘩の事とか関係無いだろ!だから死なないでくれ…兄さん…!!」



第12話:GENMの乱入と士道の和解!

デート・ア・エグゼイドでトゥルーエンディング版を出そうかなと思います。

  • 是非ともやってほしい
  • やらなくても大丈夫!

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