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「守る、ねぇ?未だに氷川さんのことほっといてる奴の口からそんな言葉が出るなんてなぁ?」
「は……?」
なんでこいつらがそのことを知ってんだ。
そうは思った、でも反抗なんて全くできない。
俺はついさっきまで、燐子と一緒にいれれば他のことなんてどうでもいい。少なからずこう思ってしまった。
「なんで……」
「その反応、やっぱ図星なんだなぁ?急に弱っちくなりやがってよ!!」
そう言いながら一人が俺の腹を蹴り上げる。足の激痛から、立ち上がることもできずただもがき続ける。
「あがっ……」
「そうか!痛くて声も出ないか!ざまぁみやがれ。あの女、ちょっと優しくしただけですぐに話すからなぁ、楽だったぜ。」
優しい人を漬け込んで騙すなんて、とんだクソ野郎だ。絶対に許さない。許したくなんてないのに、こんな時に体が動かない。
「じゃあ、白金ちゃんもこれで……ね?」
「いや……離してっ」
「やめ「バチバチバチ!」……は?」
俺の耳には、嫌という程体を貫くような電撃の音が聞こえた。
目の前には動かなくなった俺の幼馴染。
「ははははは!!なんだよ!守りたかったんじゃねぇの?」
「ふざけるな!!!」
足は動かないままだが、必死にだけを伸ばして最後まで元気だったやつの足首を思いっきり引っ掻く。
文字通り、爪痕を残すようにしっかりと。
「はなせっ!くっそ!いってぇな!まぁいいわ、せいぜいそこで一生もがいてろ」
そいつはそう言いながら俺の頭を蹴飛ばして逃げるようにして去って行った。
俺の意識も瞬く間に去って行ってしまった。
昨日起きたことは事実だと痛いほど知らされたのは、俺が学校に来てからのことだった。
俺は学校に来てすぐ、燐子の様子を確認しに行った。
昨日は、なんとか燐子を背負って家まで送って行ったが、体が心配で、様子を見にいくことにしたのだ。
クラスを見渡してみると、燐子は居ない。
それと同時に聞こえてきた燐子のクラスメイトの言葉
「白金さん、夜道で襲われたんだって」
自分が身をもって経験したことだから、現実だってしっかり分かっていたはずなのに
それを聞いた俺は、完全に別の感情を抱いていた。
燐子を守れなかったことへの後悔、自己嫌悪、もちろんそれもある。
だがそれよりも強く心を支配し始めた感情は
俺たちを襲ってきた奴らへの憎悪の感情だった。
相手が今どこにいるかすらも分からないのに、ただひたすら復讐をする事だけが頭に浮かんだ。
朝の出来事から頭の中は復讐の事で全て埋め尽くされてしまった。
早速今日にでも潰してやりたい気持ちはあるが、非情な現実を突きつけられた分、現実的に考えなければならない。
相手が複数で来ることが分かっているので、普通に考えてまた一人で立ち向かっていくのはありえない。
そんな中で浮かんだ考えを話すために、今教室で龍樹を待っている。
「おまたせー、待った?」
「いや、大丈夫」
そんな事を考えていたら、等の本人が来た。
手っ取り早く物事を片付けたいので、すぐに昨日起きたこと、俺がどう思っているかを話した。
「なるほどな……話の流れ的に俺が復讐を手伝えばいいんだな?」
「あぁ、巻き込むようでごめんな」
「全然大丈夫やで。ところで相手の名前とかは分かってんのか?」
「……分かってない」
「そんなもんだと思ったわ、そんじゃあそっから探すかな」
「本当に悪りぃな」
「だから気にすんなって。謝ったって何も始まらないだろ?」
俺が守り抜くと決意した事だけど、別に人の力を少し借りても大丈夫だよな。一人じゃできなかったのだから。
「じゃあまずは行動あるのみだな。和士、お前は白金さんの家に行って様子を見てきた方がいい。俺はそいつらを探してみるから」
「そうか、そうだな。ありがとな」
そうしてから、龍樹と別れて燐子の家に向かうことにした。
本当にびっくりした。
昨日は暗い中だったしそんな余裕も無かったから良くは見てなかったけど、家の大きさが半端じゃない。インターホンを押すのも戸惑ってしまう。
「まぁ……押さないと始まらないよな」
そう言いながらインターホンを押す。インターホンの音すら他のものと変わらないのかもしれないけれど高級なように聞こえる。
そうしてると、中から見覚えのある女性が出てきた。
「はい〜。あらっ、もしかして」
「お久しぶりです。品崎和士です」
「こっちに来たって話は本当だったのね!それと、一つ話しがあるんだけど……」
「昨日の燐子のことですね。分かりました」
そういって家の中に入れてもらった。
中に入ってお母さんと話してみると、どうやらそこまで大きな異常は無いらしい。
ただ、話していても目線が合わなかったり死んだ魚の目をして生活しているようなので安静にする判断をしたようだ。
「そうなんですか……。それで今、燐子は」
「あの子なら二階の自室にいるわよ。和士君と話したら元気が出るかもね」
「なんすかそれ!でも、本当にそれならいいんですけどね」
「ふふふっ、まぁよろしくね。和士君」
そういった燐子のお母さんの言葉に押してもらって、燐子の自室へ向かう。
普通に考えれば、付き合ってもいないような女子の家にあがるなんてそうあることではない。でも自然とやましい気持ちなんてものは一ミリたりとも湧いてこなかった。今は燐子を闇の中から助ける。アイツらに復讐する。それが出来ればいいからだ。
コンコン。そうノックして部屋に入る。
部屋に入ると燐子は驚いたような、怯えているような目でこちらを見ている。
「燐子、大丈夫か?」
「うっ、うぅ……和士君……」
燐子はとても小さな声で、俺の名前を呼んだ。
怯えているように見えたのはきっと涙を堪えていたからだろう。
「もう大丈夫だぞ、燐子。安心し……「バリィィン!!」危ない!」
燐子を安心させようとしたその最中、外から丁度手で握れるような大きさの石が窓を突き破って飛んできた。
燐子は完全に怯えている。震えている振動が俺の体にまで伝わってくる。
「燐子……またいつか話そうな」
そう言ってすぐに部屋を飛び出した。
階段でお母さんともすれ違ったが「燐子のこと、お願いします!お邪魔しました!」とだけ言って家から飛び出した。小さな門を出て、すぐに犯人を捜す。逃げ足が速いようで、誰も見当たらない。
走り回ってでも捕まえてやろうと思い、走り出そうとしたら電話が来た。
「もしもし!」
「あぁ和士、アイツらがたむろしてる場所が分かったぞ。」
「そうか、今急いでるからまた!」
そう言って電話を切って走り出すと角から出てきた何者かにぶつかった。
「いてててて……って和士じゃねぇか!どうしたそんな急いで!」
「あぁ、流石にもう逃げられたか。それがな……」
俺は和士に今の燐子の様子とさっきの出来事を話した。
「さっき逃げたはずなんだけど、誰も見なかったか?」
「あぁ俺は誰も。多分アイツらの仕業だろうな。その分、明日復讐しに行くぞ」
ここまで人の事なのに真剣に考えてくれて熱くなれる人間が他に居るだろうか。居るんだろうが俺は龍樹が始めてだ。
「どうした和士?もう遅いし帰るぞ」
そう言って歩き出した龍樹に続いて俺もボーッとしながらついて行く。
「おぉっと、うわぁ!」
俺がボーッとして歩いていたせいで龍樹に足をかけて転ばせてしまった。
「わりぃ龍樹!大丈夫…………か」
目の前の光景に、完全に絶望した。
転んだ龍樹のバッグが開いていたみたいで、中身が地面に飛び散る。
その中からは俺たち学生では当たり前の教科書、電子辞書、ノートなどが入っていた。
訳ではなく
中から出てきたのはスタンガン、金髪のウィッグ、丁度手で握れそうな石が複数、カラーコンタクトなど、お世辞にも常識的とは思えないもの。
この時、嫌でも辻褄が合いすぎて分かってしまった。
すぐに駆けつけたはずの龍樹が犯人とすれ違わなかった。そんな事当たり前だ。
龍樹自身が、犯人なのだから……。
本当は信じたくない。龍樹は他人の為にも熱くなれるいい奴だって。
それでも見れば見る程確信してしまう。
もう迷わない、この時湧いたコイツへの憎悪を力にして
俺はコイツをユルナサイ
高評価をつけてくださった方をこの場を借りてご紹介させていただきます!
評価10という最高評価をつけくださった鐵銀さん!!
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