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母さんに幼馴染である燐子のことを話していなかったので、今の夕飯の時間を使って話してみようかと急に思った
ちなみに父さんも母さんも俺と燐子の間に何があったのかは知っているし、今は父さんは出張で出かけている
何があったか知っているからこそ、少し深刻な話になるかなとおもい話し始めた
「母さん、白金燐子って覚えてる?」
「うん、覚えてるよ、小学校の頃凄い遊んでたでしょ?母さん同士も仲は良かったのよ。それに、そんなこと急にどうしたの?二度と思い出したく無いってあんなに言ってたじゃない」
「それは今は大丈夫なんだけどさ、その燐子が花咲川学園にいたんだよ。信じられないかもしれないけど、東京に転勤って言ってたし本当っぽいんだよ」
と、普通の人なら絶対疑うようなことを母さんに言ってみると
「あら!良かったじゃない!和士はまだ燐子ちゃんのこと好きなの?」
「ブフォーーー!」
あんまりにも予想外すぎる答えが飛んできたので反射的に味噌汁を吹き出してしまった
「汚いわね、そんなびっくりするようなこと言ったかしら?」
「十分言ったよ…そもそも好きなんて母さんに言ったこと無いけど…」
「でもその言い回しと吹き方的に、図星じゃないの?」
「息子をからかうのは良くないぞ母さん、じゃあご馳走様」
「もうっ、またごまかして、ちゃんと食器水につけときなさいよー」
「うーーい」
うちの母さんは本当に基本は優しい人なのだが、今日みたいに意味不明な発言を急にしてくる、そこだけは17年間息子をやっていても慣れない所で、毎回吹き出してしまう。
それに今回は久しぶりだったのと、あながち否定ができない内容だったので、今も少し動揺している
「今日は早く寝よっと、」
ーーーーーーーーーーーーーー」
入学してもう一ヶ月、俺はもう授業に飽き始めている
黒板に書かれている写さなければいけない所を最低限写した後に、とくにすることもなく、外を眺めていた。
花咲川、と言う名前がすっかり似合わなくなるぐらいに緑色に染まり始めている、俺が4階の校舎から桜の木を見下すように見下ろしてるように、緑に茂った葉たちも、地面に力尽きて落ちている桜の花びらを見下すように見下ろしている。そんな食物連鎖に似たものを俺らしくないが感じている
そんな風に詩人みたいなことを考えていると、ふと体育の風景が目に入った
別のクラスの人たちが、リレーをやっているみたいだ、[クラスの団結力を強めるため]とか言って体育で急にリレーをやり出すのは本当にどうかと思う
「あっ」
授業中につい声が出てしまった。
クラスメイトにはそこまで気付かれていないが、なんでそんな声が出たかというと、バトンの繋ぎの所で女子が最大に、こけてしまっていた
まてよ…
「おいおい…燐子じゃねぇか」
遠目からでも分かる昔の幼馴染、白金燐子、運動は苦手だと言っているがそこまでボロボロすぎるというわけでもないのだが、ピアノの時の器用な運指などとは違って、とにかく運動になると不器用で鈍臭いのだ。
今は四時間目、この前決意したのだから昼休み、一度かけで保健室に行ってみよう、そう思った
他人の不幸を利用するようで悪いが、今の俺はそこまで冷静でなかった
その日の残りの授業は、意外にも早く感じられた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
保健室まであと少し、とても心が重い
自分で決意できたことにも自分自身驚いているし、それを行動に移せたこともとても驚いている。
だが今みたいにいざやるって時になると怯えて逃げることばかり考えてしまうのは前の自分と変わってない
変わらない日常を取り戻すための準備は整い過ぎている、奇跡的に本人が同じ学校にいること、彼女が俺の事を覚えていたこと、あと足りないのは自分が変わっていくことだけ。
それが出来ずに今まで後悔している
あの時だってそうだったんだ。
戸惑うばかりですぐに謝罪をしなかった
俺の間違った発言を自分で否定しようとしなかった
掴もうとした最高に美しく輝くような宝石を自ら手放した後悔を背負って、ここまで奇跡的に揃えてくれた宝を持ち腐れにしないように
少しの未来の自分に決意を託して扉に手を掛けた
ーーーーーーーーーーーーー燐子サイド
今は体育の授業をやっている、四時間目
の、はずなのに、学んでることは違うはずなのに
頭に入ってくることと頭の中で考え続けていることは全く違っている
あの時の彼の反応、彼自身も私に既視感を覚えている。
そして、分かっていて関われていないのだろう
でも私の心は後悔が大部分を占拠している中、少しの嬉しさも存在している
二度と会うことは無いから。と言って突き放してしまった彼が、まだ私のことを覚えていてくれたのだから
彼は相手が私だと分かっても、二度も助けてくれるほど昔からの優しさは変わっていなかったのだから
もう一度、楽しかった彼との日常に戻れるのかもと、思えたのだから
くよくよして悩み続けても仕方がない。と思い、今やっている授業に集中しようと思って、決意を確かにすると、もうすぐ私のリレーの番だった。
「苦手だけど…やるしかないよね…決意したんだもん…」
そう心の中で言い聞かせて走り始めた
心の中でも、実際の中でも走り始めたばかりの私を身体中や、周りの生徒が応援してくれている
いつもより足取りが軽い、決意した後で良い走り出しだと思った
が、
普段そこまで走らない自分がそこまで上手く行くわけでもなく、
バトンパスの所で足を捻って転んでしまった
その時、ふと小学五年生の運動会を思い出した
私が和士くんと一緒に出れる、最後の学校行事になるはずだった行事だ。
自分はやっぱり運動会が苦手で、徒競走のゴールの時に転んでしまった
その瞬間、観客席で男子生徒は待っていろ、と言われたはずなのにすぐそばに和士くんがいた
膝を擦りむいただけなのに、私を背負って保健室まで運んでくれたあの時を思い出した
恥ずかしかったけど、普段の彼からは想像できない優しさに、感動したのを覚えている
「こんな時も…和士くんなら助けてくれるのかな…」
別に命に関わることじゃないのに、昔のことを思い出して今は無いものをねだってしまった
クラスメイトの保健委員の人が、すぐに保健室まで連れていってくれてとても助かった。
優しいクラスメイト、奇跡的に転校してきたかつての幼馴染、そして、彼が私を覚えていていてくれたこと
掴もうとした最高に美しく輝くような宝石を自ら手放した後悔を背負って、ここまで奇跡的に揃えてくれた宝を持ち腐れにしないように
少しの未来の自分に、決意を託して頑張ろうと思った
だが、現実的は非情にも、足の状態がかなり悪いようで、保健室で休んでいるように、先生に促されたので、従うほかなかった。
すれ違うか、すれ違わぬか
高評価をくれた方たちをこの場を借りて紹介させていただきます
評価9をつけてくださったジャンヌ・オルタさん!!
評価9をつけてくださったジベレリンさん!!
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