白燐に煌めく光の下で   作:柏コア

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71件ものお気に入り、本当にありがとうございます!!
本当にこんなに多くの方に登録していただいて感動しております…
ここまで頑張って書こうと思えるのも、本当に読者の皆様のおかげです!
ジブンは小説家として確かな憧れがいるので、その人にも響かせる事ができるような小説を書きたいと思っています!
これからも、よろしくお願いします!






第6話 いつも通りへの一歩を

 

 

 

 

 

保健室を出て、二人で教室に帰るために歩いている。

燐子の体育の時の怪我は捻挫だったらしく、「またおんぶしようか?」と少し調子に乗りながら言ってみたら「流石にそんなに弱くないよ……」と苦笑いしながら断られたので彼女が楽なペースに合わせて俺もゆっくり歩いてる。

 

今、自分自身ここまで予想外な上に自分にとって好都合なことになって、驚きが全然治らない、逆にここまで上手く行き過ぎて今後何か大きな事が降ってこないか不安の気持ちの方が大きい。

でも、予想外なほどにずっとずっと強くなったと感じる燐子には、安心に似たものを感じる

 

いまだってそうだ、俺たちは何も話していないのに、話さなければという使命感にもかられないし、逆にこの静寂が心地良くさえ感じてしまった。

でも自分の性格からしてあんまり静かなのは好きじゃないから、ほんの少しだけ気になってたことを聞いてみた

 

 

「ねぇ燐子、そういえば、俺が保健室入った時いなかったけど、どこ行ってたの?」

 

こっちは単なる質問をしただけなはずなんだが……

 

 

「えぇっ!?あっ、えっとそれは……」

 

ありえないくらい動揺している。さっきまで俺すら守ってくれるんじゃないかと思えるほど強く思えたから、今の燐子は獲物に目をつけられた小動物のように怯えてとても弱っちく見えた

 

 

「え?そんなに聞いちゃマズイことだった?」

 

単純にこんな動揺にこっちまで驚いてしまって、動揺しながら聞いてみた

 

 

「あの時は……その……トイレに行ってただけで……」

 

「へっ?」

 

そのことを話すためだけにここまで動揺してたのかと、こっちが拍子抜けしてしまって、つい変な声が出てしまった。

しかし彼女の顔は赤く染まるばかりで、こっちが悪い事をしたような気分になってしまった。いや、実際しちゃったのかな?

 

 

「あー、そうなのか、なんか悪かったな、燐子」

 

正直、自分でもなんで謝ってるか分からないまま、言葉にしていた

 

 

「だ、大丈夫だよ……和士くんは何も悪くないから……」

 

そんな怯えながら言われても、説得力のかけらもないじゃないか

 

と、そんな謎な会話をしているうちに、自分たちの階についていたみたいで

 

 

「じゃ、じゃあ私こっちだから……じゃあね、今日はありがとう」

 

「おう、こっちこそ今日はありがとうな」

 

 

昼休みにしてはとても静かに感じる廊下で、俺たちは別れた。

 

 

「今日の午後の授業は調子乗っていくか」

 

上手くいったことで、気分が良い俺は、そんなことを呟きながら教室に戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった。

こう思ったのももう3回目。今回に関しては「どうして」なんて言わなくても原因は嫌というほどハッキリしている。だが、今までとは緊張感が格段に違う。

 

 

「この時期からサボり始めるなんて驚きです。品崎さんはもっと真面目な方だと思っていました」

 

今は放課後、前には呆れたような顔で話す氷川さん、そして言葉を叩きつけられている。

なんでこうなったかというと遡ること2時間前

 

 

 

 

俺は昼休みのこともあってるんるんした気持ちで教室に入った。

そこに広がっていた光景には目を疑った。

 

真面目に授業を受ける生徒

 

黒板にひたすら何かを綴っている先生

 

そして

 

授業開始から30分ほど経過した時間を指している時計

 

その全ての視線を一つに集めてしまった。

 

 

状況を整理すると、保健室にいた間にとっくに昼休みは終わっていて、俺が燐子と話していた時に静かだなと感じた廊下の雰囲気は正しかったようだ。

 

 

つまり、何も言わずに30分授業に出ていなかったことになる

 

 

 

 

 

 

こんな事があって、風紀委員の氷川さんが逃してくれるわけもなく、今こうして指導を受けている。クラスメイトに

 

 

「だいたい、どうしてこんなことしたんですか。今までは人より真面目に受けているような印象でしたが」

 

完全に俺を問題児認定した氷川さんが次々言葉を飛ばしてくる

どうにかして誤解を解かねば

 

 

「待ってくれ氷川さん、これには誤解があって」

 

「授業を30分も放棄したのに誤解ですか?まぁ、何があったんですか?」

 

 

ここから俺は氷川さんに

 

四時間目に転んだ生徒が幼馴染だったこと

 

その人が心配で保健室に行っていたこと

 

それで帰ってきたら授業中だったこと

 

全てを話した

 

…だが

 

 

「本当にそんな理由で30分も遅れますか?まぁ、私は信じることにしますが、先生に頼まれたのもあって、場合によっては反省文を書かせることになってしまうので、一応相手の名前を聞いても大丈夫ですか?そちらの生徒にも話を聞きたいので」

 

「うん大丈夫だよ、B組の白金燐子って子で、それで「白金さん!?」……え?」

 

「もしかしてその反応……なんか接点あったりする?」

 

もしもの時のために、せめて今の心情を落ち着かせるために、お茶を飲もうと口に含んだ、その時

 

 

「同じバンドのキーボードです」

 

「ブハッ!!!」

 

流石に予想外すぎた。

燐子がバンド?本当に何があった。しかも氷川さんとか燐子とかそれらしくない人が同じバンドだなんてそのバンドはどうなってるんだ。

 

 

「大丈夫ですか品崎さん、それはそうと幼馴染だったんですか?白金さんと品崎さんは」

 

何事も無かったかのように話を続ける氷川さんには正直驚いた

俺も話を続けようと口を押さえていたハンカチを取って、話を続けた

 

 

「うん、そうなんだよね。昔、喧嘩したまま別れちゃって、再開できたのも本当に奇跡で、でも今日保健室で久しぶりに話して、ちゃんと昔のことも解決できたよ」

 

「そうなんですか、話していただき、ありがとうございます。今回のことは、上手く私が先生に話しておきますので大丈夫ですよ。それと、罰として残る掃除、私も手伝いますよ」

 

そうだ、そういえば俺はが30分遅れた授業は運悪く担任の英語の授業だったのだ。遅れた流れのままいつ決めたか分からない居残り掃除制度を言われ、残ることになったのだ。

 

 

「本当にありがとう氷川さん、バンドの方は大丈夫なの?」

 

「それは……"今は"ないので大丈夫ですよ。そんなことより、早く終わらせましょう」

 

 

 

 

 

掃除は氷川さんの手際の良さと的確な指示で五分程度で終わった。

本当に氷川さんには助けてもらってばっかりで頭が上がらない

 

 

「今日は本当にありがとう氷川さん、じゃあね!」

 

「いえいえ、二度目はありませんからしっかり緊張感を持って頑張ってくださいね、では」

 

 

そう挨拶して、氷川さんと別れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"今はないので"

その言葉に俺は少しでも違和感を感じただろうか

 

いいや、何も感じていない。彼女の表情を見れば分かったはずなのに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かに怯えているような彼女の表情。

彼女の変化に気付けていればよかったんだ。この時に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








お読みいただきありがとうございます!
ここで一つ蛇足ですが、原作だと、二年生の時点では紗夜と燐子は同じクラスなのですが、この"白燐に煌めく光の下で"では違うクラスという設定にさせていただいております。違和感を感じた方々、すみませんでした。
ご理解の程を、よろしくお願いします



この場を借りて高評価をつけてくださった方々を紹介させていただきます!

評価9という高評価をつけてくださった九条ユウキさん!!

評価9という高評価をつけてくださったビックルさん!!


評価8という高評価をつけてくださったなりまるさん!!

評価8という高評価をつけてくださったcepheidさん!!


本当にありがとうございます!!書いていく上で、高評価をつけてくださる方々がいると、本当に励みになります!
拙い文章で、まだまだ書き始めなので、これからどんどん成長して頑張っていくので、よろしくお願いします!

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