特殊な改造手術を受け、特殊な加工がされた特殊な鉱石を持ち、特殊な環境下で特殊な呪文を唱える事で初めて使える特殊な個性 作:重言 白
視点の彼女のプロフィール書いてなかった!
のでココで公開します。
名前:緑谷 引天 性別:女
個性:貪恣掌
容姿:母似、アマツ系の美少女
備考:この子視点なだけで、主人公ではありません
だって
あれから雄英の入試までの10カ月はあっという間に過ぎた。
私が雄英受験のためにやる気を出したことで、担任が狂喜乱舞したり。
突然やる気を出し始めた私に、母さんがどこかで頭を強く打ったか心配したり。
個性鍛錬の一環として、海浜公園に溜まりに溜まった不法投棄の山を片付けたりしていた。
私の個性には、より重たい物ほど動かしにくいという限界値が存在する。
コレは鍛える事で上限を上げる事ができる。
久しぶりに……本当に久しぶりに、全力で個性を使った気がする。
「ひっろいなぁ……」
去年までヒーローに興味もなければ、ヒーロー育成高校なんて関心すらなかった。
まさかこんなに敷地が広いとは思ってもみなかった。
東⚪︎ドームのような広さの講堂で、実技試験の説明を受ける。
要約すると、市街地を模した演習場の中で、10分間の間に仮想敵という名のロボットを破壊して、他の誰よりもポイントを稼ぐこと。
同中のアレとは別会場なあたり、協力とかはさせないようになっているようだ。
受験生の1人が0ポイントについて質問していたりしたが、そのあたりは割愛して。
「ハイ、スタートー!」
開始の合図と共に、誰よりも早く演習場の中に駆け込んだ。
「どうしたぁ!? 実戦じゃあカウントなんざねえんだよ! 走れ走れぇ! 賽は投げられてんぞ!?」
その言葉を聞いてようやく動き出した他の受験生達。
その間に私は既に10ポイントは稼いでいた。
「標的捕捉! ブッコロス!」
近くの壁を壊して現れた新たな仮想敵に掌を向け、出てきた壁の向こうに叩きつけて破壊する。
更に点の追加だ。
そして100ポイントを超えたあたり、試験開始から8分ちょっとが過ぎた頃。
THOOOM
ようやく姿を見せた0ポイント仮想敵。
それはビルを上回るほど巨大で、それに比例した力と頑丈さを兼ね備えた……まさしく圧倒的な脅威であり、対処のしようがないギミックといわざるおえないだろう。
__だからこそ。
「彼なら例えどれだけ強く、圧倒的で、相対することすら馬鹿馬鹿しくなるような相手であろうと! 決して逃げはしないだろうさ!」
そしてそんな彼に焦がれた私が、この程度の鉄屑から逃げるなんてありえない。
「吹、き、と、べええええ!」
全ての力を振り絞り、個性を発動する。
私の個性の上限を遥かに超えたその一撃は、確かに0ポイントの仮想敵を市街地の外まで吹っ飛ばした。
「……流石に疲れた」
この演習場にいる受験生が特別劣等生というわけでなければ、私の成績なら合格は確実だろう。
そう確信したので、残りの時間は瓦礫の下敷きにされた他の受験生達を救助にあてることにした。
流石にしばらくは軽くしか個性を使えなさそうだし、少し休ませてもらおう。
そんな行動をとっているうちに、試験は終わった。
筆記は完璧、実技も問題なし。
私は合格を確信したので、晴れやかな気持ちで帰宅した。
……そういえば、彼とは会えなかったな。
しかしまあ大丈夫だろう、私の勘がそう言っている。
☆☆☆☆☆
「実技総合成績出ました」
コレは入学試験の舞台裏。
雄英の教師であるヒーロー達が、今回の受験生に対して話し合う場である。
真ん中にある大きなディスプレイには、公表されていた敵ポイントと、審査制であり公表されていない隠し点数である救助ポイントを合わせた、実技試験の総合点数が大きく映し出され、他にもいくつかのハイライトシーンを映し出していた。
「今年は本当に豊作でしたな! まさか敵ポイントのみで100を超える受験生なんていつ以来だ? それも2人も!」
「救助ポイント0で3位まで行ったこの子も凄いけど、上2人が隔絶し過ぎているね」
「2位の子の個性は……なんて読むんだコレ?」
「『貪恣掌』って読むのさ!
「ええ、移動に個性を使っている様子はありませんでしたし、おそらく対象にのみ作用するタイプなんでしょう。もしくは、使うまでもなかったか」
「最後にアレを演習場の外へ吹き飛ばした後は、他の受験生の救助をしてたな」
「アレに立ち向かったのは過去にもいたけど……ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね。それも一回の試験で2人なんて、初めてだよ」
「思わずYEAH! って言っちゃったからなー」
「しかし1位の彼、個性が不明ってどういうことなんだろうね?」
「仮想敵はある程度脆く作っているが、無個性が武器を持った程度で壊せる程ではないぞ? 0ポイントなんて論外だ」
「しかし、彼が個性を使った様子は見られなかった。つまりアレは、彼の地力なのだろうね」
「それこそありえねえだろ! ただの竹光で、アレを両断するなんて個性でもなきゃありえねえ! 持ったものを硬化するとか斬れ味上げるとか、そういったなんらかの個性を隠し持ってるって事だろうぜ!」
「まあ僕らとしては、正式な手順を踏んで受験した学生を怪しいからなんて理由で不合格にはできないのさ! それに、ヒーローとしての道に導くのも僕らの役目さ!」
☆☆☆☆☆
受験から瞬く間に1週間が過ぎた。
そんな今日、ついに雄英から封筒が届いた。
ずっしりと重いので、多分合格だろう。
中に入っていたのは手のひら大の小さな機械だった。
『私が投影された!』
封筒から出されたら起動するように設定されていたのか、部屋の壁に派手なスーツを着こなしたオールマイトが映し出された。
『筆記は満点、実技も敵ポイントだけで112点。おめでとう、この時点で合格は確定だ! しかし我々が見ていたのはそれだけにあらず!』
『審査制の
合格は初めから分かっていた。
それよりも
「ふふ、私が2位。つまり誰かに負けたって事? アハ」
きっと彼なんだろうなぁ……
そんな事を真っ先に思うあたり、相当キテる気がする。
誰かに負けるなんて、小さな頃……兄さんに守られていた頃以来かしら。
適度に手を抜いても文武両道、そのどちらも首席を譲った事はなかったというのに。
あんなに本気で努力したつもりだったというのに、まだ上に居るという事が悔しくて、そしてそれ以上に嬉しくて。
__ああ。
「私は努力をしても! 本気を出しても良いんだ! アハ、あははは!」
母さんにうるさいと怒られるまで、笑いが止まらなかった。
おのれ母さんめ。
☆☆☆☆☆
そして春。
「引天、いってらっしゃい」
「いってきます」
私は今日から雄英に通う。
これまでの学校と比べて縮尺が大きくなっているのは、バリアフリーの一環だろうか?
彼と同じクラスで、アレとは違うクラスだと良いなぁ。
「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や、机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ、てめーどこ中だよ端役が!」
残念。
彼もいないようだし、運がないなーと思ったその時だった。
「すまない。通してもらっても構わないかな?」
後ろから聞こえたのはあの人の声で。
「……申し訳ないけど、現状誰かと共に生きるつもりはないんだ。他を当たってくれ」
フラれた!
ショック!
「……惚れた腫れたをしたいなら他所へ行け」
そんな風に私が打ちひしがれていると、いつの間にか彼の後ろに寝袋に入った草臥れた男が寝転がっていた。
「ここは……ヒーロー科だぞ」
寝袋の中からウィ○ー的な物を取り出し、ヒュゴっと飲んでいた。
……誰!?
「ハイ。静かになるまで10秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね」
そう言ってのそのそと寝袋から這い出してくる。
寝袋に入って過ごす方が……非合理的じゃないの?
「担任の相澤消太だ。よろしくね。早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」
……あれ? この後は入学式とガイダンスの予定では?
「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る時間ないよ」
ええ……
才能比較表(?)
・緑谷引天
愛染、甘粕、袋小路阿修羅並。
努力しなくても、本気じゃなくてもできてしまうという、天才ゆえの悲しみを背負った人達。
人生ってヤツを……楽しんじゃいけねえのさ。
とか
いつも耳の奥で聞こえる風のーーー音……
とか思っていたら、精神力だけで自分を上回る光の奴隷を見て箍を外してしまった。
・爆轟、轟
阿散井恋次並。
優秀ではあるが、サボっていると普通の努力でひっくり返るレベル。
ラスボスには勝てないイメージ。
・主人公
総統閣下並。
はっきり言って凡人。
気合と根性でありとあらゆる壁を乗り越えていく不条理の塊。
例え兎や鳥が全力疾走(飛行)していたとしても、気合と根性でガメラにメガ進化する亀には負けるよねっていう……
自分で書いててなんだが、頭おかしいとしか思えない。
追記!
貪恣掌ってどう読むか知ってる方はいらっしゃいませんか!?
どんししょうなのか、たんししょうなのか、ドンほしいままてのひらなのか……カタカナや漢字のルビが振られるようなキラキラネームなのか。
わからん!