人間、妖精、巨人、女神、魔神。
ブリタニアの地で繁栄を極め、君臨せし五大種族。
しかし、ブリタニアは多種多様の種族が住み着いている地。
オーク、吸血鬼、人狼族。その総数は数知れず。
その中には、半永久的な不死性を誇る故に繁栄することがなかった龍陀族も含まれていた。



最近の原作を読んで、「アーサーは?」と疑問に思い、妄想が暴走したFate狂いの作者が書いた作品です。


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展開の都合上、キャメロットはアーサーが建国した新興国ではありません。




試す価値がある転生

 嘆かわしい。

 

『殺せぇ!!奴らを殺せぇ!!!』

『魔神族に制裁を!!我らこそ正義なり!!』

『〈光の聖痕〉に勝利を!!!』

 

 嘆かわしい、嘆かわしい。

 哀れ過ぎて、馬鹿々々しくて、嘆かわしい。

 

『遂に成し遂げたんだね』

『この聖戦は既に我らが勝利したも同然』

『ああ、これでブリタニアの魔力は我らの物』

 

 何故、優しさと正義の心を保ったまま、そこまで残虐で醜悪になれる?

 どうしてそうまで生きたがる?

 

『他に手段はないのか!?』

『理解しているだろ!?もう、棺を使うしか』

『しかし、それではマエルの復讐が!?』

 

 醜く戦い、卑しく騙し、自らの本性を忘れさせるかのように「素晴らしい勝利」で酔っている。

 限りある命だから行うのか、大切な存在(同族)がいるから躊躇しないのか。

 ―――――――分からない、理解できない。

 我が魔力『未知数』を使っても、答えが出ない。

 千里先の未来をも見通し、不可能を可能にする我が魔力でさえ、我に答えたる理由を返さない。

 

『素晴らしい、これが赤色の魔神!?』

『ヘンドリクセン聖騎士長、これをどう使うおつもりで?』

『そんなもの、決まっているだろう』

 

 再び、聖戦が始まる。

 封印されし魔神族の血脈。

 それが人間の手によって、人間の国で脈々と数を増やす未来が訪れる。

 ―――――――しかし、それは我と何ら関係ない。

 人間が引き金を引き。

 妖精族、巨人族、女神族。

 ありとあらゆる種族を巻き込み、聖戦という魔神族との闘いの歴史が繰り返されるだけだ。

 このブリタニアの地が、我が住めない不毛の地になろうと、新たな新天地を探せばいい。

 

 ―――――――だからといえ、不理解をそのままにしていいのだろうか?

 知ろとせず、理解できないと拒み、奴らと同様に酔いで盲目となったままこの地を離れるのか。

 

 否だ。奴らと同じ轍を踏み、同類になるのだけは断じて否だ。

 

 我が魔力『未知数』に働きかける。

 我の取れる手段、その中で現在の我が抱く不理解を知り得る手段は何か。

 未曾有の大災害が再び起こると確定している未来から、我が求める答えを知り得るのに何ができる。

 

 返答が来る。意思なき魔力が、我に回答を淡々と返す。

 

 それは無茶な解決方法だ。

 我はこのブリタニアの地にて唯一の龍陀族、その方法を取るということは自らの手で我が種を絶滅させるということを意味している。

 

 しかしながら、それしか取れる手段がないのなら。

 

 

 ◆

 

 

「話には聴いていたが、これは凄まじいな」

 

 キャメロット付近にある深い森。

 そこに一人の女性、上空に無数のルーン文字が刻まれた球体状の神器を浮かせている、このブリタニア一番の実力者を誇る魔術師マーリン。彼女は注意深く辺りに目配せしながら、森奥へと足を進めている。彼女が此処に居る理由は単純、この地で莫大な魔力の爆発が起きたからだ。その爆発の原因を調査する協力要請をキャメロットから受けた、親善関係にあるリオネス王国からの調査員。それが、マーリンだ。

 ―――単なる自然災害だったなら、わざわざ彼女本人が訪れることはない。

 自らの研究室に籠り、実験を繰り返す方がもっと有意義な時間を過ごせると考えるのがマーリンだ。そんな彼女に現地へと足を運ばせた理由は単純明快、件の爆発現場に言い伝えられている伝承と状況証拠からだ。

 近隣住民たちの話によれば、この森林は古くからドラゴンが根城にして住み着いていると伝承で語られる。それを近隣住民本人たちは信じていなかったが、それを裏付けるようにこの森の地だけ周辺とは桁違いの魔力が流れ出ている。謎の生物の発見、恰好な実験動物を確保できる絶好の機会。

 勿論、ただの状況証拠。偶然、この森だけが遥か昔と変わらない豊潤な魔力が溢れ出しているのかもしれない。

 とはいえそれはそれでいい。爆発の捜査という、合法的な免罪符のある捜査許可があるのだから、魔力が濃い謎を解明するのも有意義な研究となる。

 つまり、濃厚な魔力が溢れる地を捜査できるという時点で彼女にとって損とならない。

 

「……この辺りの筈だが」

 

 爆発によって森林の地からでなく、空気中に異常なまでの魔力が漂っている。

 その濃度を神器「明星アルダン」により計測し、マーリンは件の爆発が起きた中心地を探り当てようとしている。

 そして、彼女は目的の爆発地に辿り着く。

 

「ほう、これは興味深い」

 

 含みある笑みを浮かべ、マーリンは爆発地へと好奇心旺盛な視線を送る。

 そこに居たのは、一人の少女。閉ざされた双眼、生気を感じさせないほどに色白な肌に、白みを帯びたきめ細かな金髪。どことなく人形に似た、人間離れした印象を与える人間が眠っていた。

 




プーサーでない理由?
作者がアルトリア〈オルタ〉好きだからです。

続かない。(断言)


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