鬼滅の雨   作:ほにゃー

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蝶屋敷での再会

「でしたら竈門君と打鉄君は、私の蝶屋敷でお預かり致しましょう」

 

これから柱合会議と言うのが始まろうとした時、蝶の髪飾りをした柱の人がそう言った。

 

「竈門君は怪我してますし、打鉄君も前の任務での怪我が癒え切れてないと聞いてますし、丁度いいでしょう。連れて行ってください!」

 

「前失礼します!」

 

すると、隠の人が勢いよく現れ、俺と炭治郎を掴み出ていこうとする。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!その傷だらけの人に頭突きさせてもらいたいです!」

 

だが、炭治郎は屋敷の柱にしがみ付き、傷だらけの人に頭突きしようとしていた。

 

「禰豆子を刺した分だけ頭突きさせてください!頭突きなら隊律違反にはならないはず!」

 

「黙れ!早く剥がせ!」

 

隠の人が二人掛かりで炭治郎を離そうとする。

 

その時、小柄な少年の柱の人が、庭石を数個拾い、そして、躊躇わず炭治郎に向けて投げつけた。

 

「炭治郎!?」

 

俺は咄嗟に炭治郎の間に入り、飛んできた石を受け止める。

 

投げられた三個のうち二個は掴めたが、一個は掴み取れず体で止めた。

 

俺が石を止めてことに、その少年の柱は少し驚いた表情をしていた。

 

「会議の邪魔をして申し訳ありません!でも、炭治郎は人間です!口で言ってもらえばわかるので、次からは口で言ってください!それと炭治郎!今から大事な会議が始まるんだ!お前の我儘でソレを遮るな!」

 

そう言い、炭治郎は柱から剥がし、背中に背負う。

 

「では、打鉄辰二と竈門炭治郎、両名は下がらせてもらいます!失礼しました!」

 

頭を下げてその場を離れ、隠の人の案内で蝶屋敷へと向かう。

 

「炭治郎、妹を刺されて怒る気持ちは分かるが、状況を考えろ。あの場で駄々こねたら色々台無しだろ。下手したらお前と禰豆子の二人が危ない目に合うんだぞ」

 

炭治郎を背負いつつ、俺は炭治郎に説教をする。

 

「う、うん………ごめん」

 

「俺のことはいいよ。謝るなら、そっちだ。隠の人、滅茶苦茶怯えてたんだぞ」

 

「そうだよ!どれだけ怖かったか!」

 

「俺漏らすかと思ったんだぞ!」

 

「絶対許さないからな!」

 

「絶対許さねぇ!」

 

「謝れ!謝れよ!謝れ!」

 

「す……すみません」

 

二人の隠から怒られ、炭治郎は謝る。

 

そんなことをしてる内に、蝶屋敷へと着く。

 

「ごめんくださいませー………ごめんくださいませー」

 

「全然誰も出て来ねぇわ」

 

屋敷の入り口で声を掛けるも誰からも返事がなかった。

 

「勝手に上がるのもなぁ……」

 

「裏行ってみるか?」

 

仕方なく、裏手へと向かい人を探すことにする。

 

「炭治郎、大丈夫か?」

 

「ごめん、ほんとにもう体中痛くて痛くて……」

 

「もう少しの辛抱だ。耐えろよ」

 

背中の炭治郎を元気付け、裏に行くと誰かがいた。

 

あの子は、確か那田蜘蛛山で俺が戦った子だ。

 

「あの方はえっと、そうだ。継子の方だ」

 

「ツグコ?ツグコってなんですか?」

 

「継子ってのは柱の弟子だよ。次期柱候補や柱の控えらしい」

 

「そんな簡単な物じゃねぇぞ。相当才能があって優秀じゃないと選ばれない。それも女の子なのにすげぇよな」

 

そうだったのか?

 

継子って優秀じゃないとだめなのか………

 

俺はどちらかって言うと叩き上げって感じだよな。

 

まぁ、アレぐらい過酷な修行じゃないと下弦の弐と対峙した時はもう死んでだだろうな。

 

「確か名前は、栗花落カナヲ様だ。すみませーん」

 

隠の人が彼女、カナヲに近寄り声を掛ける。

 

「胡蝶様の申し付けで参りました。お屋敷に上がってもよろしいですか?」

 

隠の人がカナヲに尋ねると、カナヲはただニコニコと笑うだけだった。

 

「あの……よろしいですか?」

 

隠の人が再び尋ねるが、やはりカナヲは笑うだけだった。

 

「よろしいですかね……?」

 

もう一度尋ねるが、やはりカナヲは笑うだけだった。

 

「どなたですか!!」

 

すると背後から誰かが大声て声を掛けてきた。

 

「いえ、あの……!」

 

隠の人は驚き、すぐに言い出せずにいた。

 

「すみません。胡蝶様の申し付けで来ました。怪我人がいるので屋敷の中に入りたいんですが」

 

代わりに俺が事情を説明する。

 

「分かりました、怪我人ですね。こちらへどうぞ」

 

俺達に声を掛けてきた少女はそう言って屋敷へと向かう。

 

俺は隠の人にお礼を言い、炭治郎と禰豆子の入った箱を預かった。

 

屋敷の中に入ると、少女(名前はアオイ)は病室に案内してくれるとのことで、後に付いて行くと聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「五回!?一日に五回飲むの!?三ヶ月間飲み続けるの!?これ飲んだら飯食えないよ!すげぇ苦いんだけど!?辛いんだけど!?ていうか、薬飲むだけで俺の手と足治るの!?ほんと!?」

 

「お、落ち着いてください!」

 

「もっと説明して!一回でも飲み損ねたらどうなるの!?ねぇ!?」

 

この情けない大声聞き覚えがある。

 

「また騒いでる!静かになさってください!説明は何度もしたでしょ!いい加減にしないと縛りますからね!」

 

アオイの説教が聞こえる病室を覗き込むと、そこには善逸が居た。

 

「「善逸!?」」

 

「ギャーッ!?」

 

「大丈夫か!?怪我したのか!?山に入って来てくれたんだな……!」

 

「お前、その怪我どうしたんだよ!?まさか、十二鬼月と戦ったんじゃないよな!?」

 

「た、炭治郎……それに、辰二…………うわああああああ!!聞いてくれよ二人ともーー!変な蜘蛛に刺されるし毒で凄い痛かったんだよーー!さっきからあの女の子にガミガミ怒られるし!てか、辰二どうしてここに!?なんで炭治郎背負ってんの!?」

 

またしても大声で叫ぶ善逸に、アオイが睨みつける。

 

すると善逸は情けない短い声を上げて静かになる。

 

「伊之助は?村田さんは見なかったか?」

 

「そうだ、伊之助は無事なのか?」

 

「辰二、伊之助と知り合いだったのか?村田って人は知らないけど、伊之助なら隣にいるよ」

 

そう言って、善逸が指さす方を見るとそこには大人しく布団に入ってる伊之助がいた。

 

「ほんとだ!思いっきりいた!気づかなかった!伊之助!無事でよかった……!ごめんな、助けに行けなくて……!」

 

炭治郎は俺の背中から滑るように降りて、善逸の布団を乗り越えるようにした伊之助に話しかける。

 

「伊之助!お前も無事だったか!本当に良かった………」

 

俺も伊之助が無事だったことに安堵し、思わず大声を出してしまった。

 

「………イイヨ、気ニシナイデ」

 

俺が聞いたのは、聞き覚えのある伊之助の声ではなく、そして、伊之助が言う様な言葉でない言葉を言った。

 

誰だ………?

 

「なんか喉が潰れてるらしいよ」

 

「「えええええ!!?」」

 

「詳しいことはよく分かんないけど、首をガッとやられたらしくて、そんで最後に自分で大声出したのがトドメだったみたいで喉がえらいことになったみたい。なんか落ち込んでるけど、すごい丸くなってめちゃくちゃ面白いんだよな、ウェッヒヒッ!」

 

善逸がよく分からん気持ちの悪い笑い方をしていると、炭治郎の布団の用意が終わり、炭治郎を布団に寝かせた。

 

そして、三人の状態はと言うと―――――――

 

炭治郎 顔面及び腕・足に切創 擦過傷多数 全身筋肉痛 肉離れ 下顎打撲

 

伊之助 喉頭及び声帯の圧挫傷

 

善逸 一番重傷で鬼の右腕右足の蜘蛛化による縮み・痺れ 左腕の痙攣

 

おまけに禰豆子 寝不足

 

以上となった。

 

俺も肋骨の骨折があったが、癒え始めている段階で、ヒビの方は問題なく、折れた肋骨も次期に治るとのことだった。

 

その後は、禰豆子は寝まくり、炭治郎は痛みに耐えまくり、善逸は騒ぎまくって、伊之助は落ち込みまくり、その伊之助を炭治郎と善逸が両側から励ましまくる。

 

そんな日常を送った。

 

俺も療養しながら三人の世話をしたり、手が空いてる時は禰豆子に話掛けてみたり鍛錬したりとして過ごした。

 

「よし!今日の素振りは終了っと」

 

蝶屋敷に来て数日が経った。

 

日課の素振りを終え、四人の所に戻ろうとした時、何処からか声が聞こえた。

 

「ダメですよ、神明さん!まだ怪我の方は癒えてませんし!」

 

「いや、でも、そろそろ訓練しないと体の方が………」

 

「しのぶ様からも言われてるじゃないですか!神明さんは重傷だから、完全に治るまでは絶対に安静って!」

 

「だけど、足の骨折もある程度治ったし素振りぐらい」

 

「ダメったらダメです!」

 

この声はなほちゃんだったかな?

 

蝶屋敷で怪我人の面倒を見てくれている三人の少女の内の一人の顔を思い浮かべ、俺はその部屋を覗く。

 

「なほちゃん?どうしたの?」

 

「あ、辰二さん!」

 

「あ、お前!」

 

部屋にはなほちゃん以外にもう一人いた。

 

その人を俺は知っていた。

 

「先輩!」

 

下弦の弐と遭遇したあの夜、俺が守れた先輩隊士だった。

 


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