鬼滅の雨   作:ほにゃー

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無惨の血

べんっと音が上下左右に捻じれた空間に響く。

 

そして、そこに一体の鬼が現れた。

 

その鬼の左目には下陸と、十二鬼月の下弦の鬼である証の数字があった。

 

琵琶を弾いてる鬼と思われる女は、続けて四回琵琶を鳴らす。

 

そして、新たに四人の鬼が現れる。

 

その鬼たちの左目にも、下陸と同じように下弦の鬼を示す数字があった。

 

(下弦の鬼のみ集められてる?こんな事初めてだぞ。下弦の伍はまだ来てないのか?)

 

下弦の陸は辺りを見渡していると、琵琶女がまた琵琶を鳴らした。

 

すると、今度は一ヶ所に集められ、五人の下弦を見下ろすかのように立つ一人の女に視線が集まった。

 

「頭を垂れて蹲え。平伏せよ」

 

その言葉に、下弦の鬼たちは一斉にひれ伏した。

 

その女は、鬼舞辻無惨。

 

姿も気配も、以前と違っていたがそれはまさしく無惨だった。

 

下弦の鬼ですら、分からない程の凄まじい精度の擬態だった。

 

「も、申し訳ございません。お姿も気配も異なっていらしたので……」

 

「誰が喋って良いと言った?」

 

下弦の肆が気づかなかったことを謝罪しようと口を開くが、無惨はそれを良しとせず、言葉のみで黙らせる。

 

「貴様らのくだらぬ意志で喋るな。私に聞かれた事のみを答えよ」

 

無惨はそう言い、続きを離した。

 

「下弦の伍、累が殺された」

 

その言葉に、下弦の鬼たちは驚いた。

 

下弦の伍とは言え、累は十二鬼月の一人。

 

那田蜘蛛山を拠点に、自らが集めた家族と呼ぶ鬼たちと多くの鬼殺隊の剣士を殺した累がやられた。

 

そのことに少なからず動揺が走った。

 

「私が問いたいのは何故下弦は弱いのかだ。十二鬼月に数えられたからと言ってそれで終わりではない。そこから始まりだ。より人を喰い、より強くなる。私の役に立つための始まり。ここ百年あまり、上弦の顔触れは変わらない。鬼狩りの柱どもを葬って来たのも上弦の鬼たちが常だ。が、下弦はどうだ?何度入れ替わった?」

 

(そんなこと俺たちに言われても………!)

 

下弦の陸は心の中で思わずそう呟く。

 

「そんなこと俺たちに言われても?何だ?言ってみろ」

 

だが、無惨はそんな下弦の陸の心を読み、問い質す。

 

(思考が読めるのか!?まずい!)

 

「なにがまずい?言ってみろ」

 

だが、下弦の陸は答えることができず、無惨に恐怖していた。

 

それが琴線に触れた無惨は見せしめと言わんばかりに、下弦の陸を殺した。

 

続いて、柱と遭遇したら逃亡しようと考えていた下弦の肆は、無惨にそのことを見抜かれ、それを思わず否定してしまい、殺された。

 

下弦の参は無惨が恐ろしくなり逃げ出そうとしたが、気が付くと首だけになっており殺されていた。

 

「十二鬼月は上弦のみで良いと思ってる。下弦の鬼は解体する」

 

そう言い、無惨は下弦の参の頸を床に放る。

 

これで残ったのは下弦の壱と下弦の弐のみとなった。

 

「最期に言い残すことはあるか?」

 

「お待ちください!」

 

すると口を開いたのは下弦の弐だった。

 

(愚かだなぁ。大人しく殺されればいいのに。無惨様直々に手を下してくださるんだ。これ以上にない幸福なのに)

 

下弦の壱は、命乞いをするであろう下弦の弐を見てそう思った。

 

だが、下弦の弐が次に口から発したのは命乞いではなかった。

 

「貴方様が、そう仰るならその通りにいたします!ですが!その前に、私はどうしても殺したい者が居ます!私を殺すならば、その者を殺してからにしてください!」

 

「貴様、こともあろうに個人的な私怨の為に、私の決定を否定するか?」

 

「ええ、否定しましょう!このままでは死ぬに死に切れません!あの剣士は、この私に屈辱を与えた!なら、奴にもそれ相応以上の屈辱を!恐怖を与えねば気が済みません!」

 

この時点で、無惨は既に下弦の弐の言葉を聞くに値しないと判断し、殺そうとしていた。

 

「私の計画を邪魔し、私を卑怯者と罵った!あの、透明の刀を持った、雨の呼吸の使い手を!」

 

だが、その瞬間、無惨の手が止まった。

 

「貴様………今何と言った?」

 

「………え?」

 

透明(・・)の刀を持った、雨の呼吸(・・・・)の使い手だと…………!」

 

無惨の表情は、誰からも分かる様に怒りの表情に塗りつぶされていた。

 

「いいだろう。お前のことを生かしてやることにする。その剣士を殺してこい。そして」

 

次の瞬間、無惨から出てきた針が下弦の弐の首に刺さる。

 

「ぐっ……!あがっ……!」

 

「私の血を分けてやろう。順応できれば更なる強さを手に入れるだろう。その剣士を殺したら、更に血を分けてやる」

 

べんっという音と共に、下弦の弐は下に現れた襖から下へと落ちる。

 

そして、先程までいた森の中にと落ちた。

 

「ふ……ふぐぅ……!あ、有難き幸せ……!必ずや……殺して見せましょう………!」

 




原作と違い、血を貰って生き延びた下弦の弐

彼の活躍、ご期待ください

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