鬼滅の雨   作:ほにゃー

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無意識領域

下弦の壱、魘夢

 

この鬼の血鬼術は、相手を眠らせ、意のままの夢を見せるものだ。

 

魘夢はこの力を使い、辛い現実から逃避したい人々を「幸せな夢を見せてあげる」と甘言で籠絡しては、眠らせた相手の夢の中に送り込み、精神の核と呼ばれる核を破壊させ、その核の持ち主を廃人にさせる。

 

辰二たちは、魘夢の血が混ぜられたインクが付いた切符に車掌が切符を切る際につけた痕によって術が発動する遠隔術によって眠らされた。

 

そして、眠ってしまった辰二たちは、魘夢の手駒になった人と腕を縄で繋がれ、夢の中に入られていた。

 

だが、辰二たちはそれに気づかず、幸せな夢を見ていた。

 

辰二の夢の中に入ったのは、とある少女だった。

 

その少女は幼いころに家族を失っていた。

 

家族を失い、親戚中をたらい回しにされ、邪魔者のような扱いを受けていた。

 

精神的に疲れ果てていた少女の前に、魘夢は現れ、永遠に醒めない夢の中で家族と幸せに暮らせる夢を見せると言われ、少女はその話に乗った。

 

そして、少女は、今幸せそうに父と藤の花の世話をしている辰二を見ていた。

 

(幸せそう……きっとあの人も家族を………私も、もうすぐ会えるんだ。母さんと父さん、兄さんと弟、妹たちに!)

 

魘夢から渡された錐を握りしめ、走り出す。

 

そして、少女は夢の壁へと着き、錐を壁に突き刺す。

 

夢の壁の外には無意識の領域があり、そこにある精神の核を破壊することで、その持ち主は廃人となる。

 

壁を錐で裂くようにして無意識領域へ入る。

 

そこは曇った空が広がり、雨が降り続く無意識領域だった。

 

足元には水が張り巡らされていて、無意識領域全体が巨大な水だまりなのではと思うぐらい大きかった。

 

(雨が降ってる………変だな……いつもなら、雨なんて嫌なのにこの雨…………嫌いじゃない…………)

 

少女はそんなことを思いながらも、無意識領域内にある精神の核を探すために動き回る。

 

(あった!)

 

少女が見つけた核は透明だった。

 

(なんだろう……凄く綺麗……壊すのが勿体ないぐらい………)

 

そんなことを思い、少女はその想いを振り払うかのように頭を振る。

 

(早く壊さないと!壊せば、私も夢が!幸せな夢が!)

 

「おやおや、珍しいお客様だ。歓迎したい所だけど、雨で濡れてしまってるね」

 

その時、背後から優しい男の声が聞こえた。

 

振り向くと、そこには平安貴族と言った感じの服装を纏い、雨傘を差した男が居た。

 

「どうぞ。女性を雨で濡らすのは、本意ではありませんから」

 

男は少女に近づき、傘の中に居れる。

 

少女は、その男性が何処か、自分が壊そうとしていた精神の核の持ち主の少年、辰二と似ていると思った………………

 


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