東京喰種:re Le mat   作:瀬本製作所 小説部

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こんにちは、瀬本さんです。




今作は東京喰種:re cinderellaの外伝ですが、東京喰種:re cinderellaを読んでなくても読めるように書いていきます。

東京喰種:re cinderellaと主な違いとして


1:東京喰種:re cinderellaに出ているメインキャラクターは出ません(もしかしたら名前だけ出るかも)。

2:東京喰種:re cinderellaはアイドルマスターシンデレラガールズに対し、こちらはアイドルマスターシャイニーカラーズ 要素があります。

などが挙げられます。


東京喰種:re cinderellaの外伝ということで、もしかしたら今後の展開のヒントが見れるかもしれません。


長くなりましたが、どうぞよろしくお願いします。





My hidden heart

あれから東京の街は変わった

 

 

 

 

 

 

かつては高層ビルが立ち並び、多くの人が歩き、夜も輝き続ける大都会

 

 

 

 

 

 

そのまま一度も崩れることなく大きくなると思われた

 

 

 

 

 

 

しかし、突如東京の街に現れた“竜”によって街が破壊され、混乱を生じさせた

 

 

 

 

 

 

建物が壊され、多くの死傷者を出したこの動乱は戦時中の東京以来の被害を生み出した

 

 

 

 

 

 

動乱から翌年

 

 

 

 

 

 

竜によって破壊された東京は徐々に復興が進んでいった

 

 

 

 

 

 

それは人間の手だけではなく、敵であった喰種も協力しあって復興を進めていた

 

 

 

 

 

 

東京は今、喰種と人間が共生する場所となりつつあった

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

東京都13区

 

 

夜の暗闇に反するように輝く街。昼も夜も賑わうこの街は若者がよく歩き、空が暗さを反抗するように輝く街の光。夜はまだまだ始まったばかりだった。

 

(今日ははんべーもいないからつまんないですね)

 

夜の街中に黒髪のショートカットに赤いヘアピンをし、少女と間違えてしまうほどの中性的な男性が夜の13区に歩いていた。どこか不満そうに丸いキャンディーを口に入れながら、小柄な体に合わない銀色の大きなアタッシュケースを肩手でふらつくように歩いていた。

 

 

 

彼の名は鈴屋什造(すずやじゅうぞう)

 

 

 

彼はただの若者ではなく、東京保安委員会(TSC)の保安官だ。

以前は喰種対策局(CCG)の特等捜査官なのだったが、竜の動乱後喰種対策局(CCG)は解体され東京保安委員会(TSC)が発足したことにより最高位である『竜将』となった。什造が特等保安官ではなく『竜将』になったのは実績と実力が他の保安官に比べ物にならないほど功績を挙げていた。まだ年が26にも関わらずここまで功績を上げるのは天才に等しい存在だ。

 

(全くはんべーはなにしたんですかねー??)

 

いつもなら什造の部下である阿原半兵衛(あばらはんべえ)がいるのだが、途中13区支部からなぜか呼び出しがあったため什造の元から離れてしまった。什造はせっかく自分を構ってくれる半兵衛がいないため、舐めていた飴を無くした口を少し膨らませながら街夜のを歩いていた。退屈そうに街の中を歩いていると....

 

(ん?)

 

退屈そうに歩いていた鈴屋の横に制服を着た高校生がふらりと通った。

 

「.....」

 

その少女は補導されることに恐れを知らずにどこかおぼつかない顔でゆらゆらと夜の街を歩いていた。

 

(...こんな時間に、夜遊びですか)

 

13区はかつては喰種が多く存在し、喰種による事件があとが絶えない危険な場所であったが、鈴屋什造率いる鈴屋班によって完塞が達成された。しかしそれは竜による動乱が起こる前のことである。竜の動乱よりは街が破壊されその後はの復旧が進んでいるのだが、災害の混乱によって喰種だけではなく人間によって起こされた犯罪が少々目立つようになった。それで13区内に所属する保安官の活動は喰種対策や喰種に対して捜査をするのだが、ここ最近では警察と同様街のパトロールや未成年者に注意を促すことなどの警察に任していた仕事も一つになり以前より仕事は増えている。什造はやれやれとため息をした後、什造の横を通り過ぎた少女に近づいた。

 

「そこのあなた、あぶないですよー?」

 

什造はその少女に男性とは連想しにくい声で呼びかけると少女はピタリと足を止めた。

 

「...何か用ですかぁ?」

 

その少女はのろのろと振り向き、ゆっくりとした口調で嫌そうな目つきで什造を見る。紫色をしたふわふわとしたツインテールをした髪に、制服にパンクのファションをした少女で美しいを顔をしていた。普通の人が彼女を見たら不真面目な女子高校生だと認識するだろう。

 

「こんな時間に歩くのはダメですよー」

 

「....?」

 

什造が少女に注意するとその少女は鈴屋の言葉に目を細めた。まるでこの人は何を言っているの?と。

 

「....なんでそんなこと言うんですかぁ?」

 

「ん?」

 

「そう言っているあなたも、そうじゃないですかぁ?」

 

その少女はどこか軽蔑するような笑いをいた。什造はその少女とほぼ同じ身長で、見た目から保安官とはわかりにくい容姿であったからだ。

 

「違うですよー、僕は立派な大人ですから大丈夫です」

 

「大人?そうは見えないですケドー?だったら、証明してくださいよー?」

 

「仕方ないですねー」

 

什造はめんどくさそうに言うと持っていたアタッシュケースを下ろしポケットに手に入れた。什造は保安官のため保安官手帳を所持している。それを少女に見せれば什造はただの人ではなく保安官だと証明される。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーしかし

 

 

 

 

 

 

「ありゃ?」

 

すると捜査官手帳を探していた什造はあることに気がついた。何度もポケットに手を入れても保安官手帳らしきものが見つからないのだ。何度もポケットを漁るが、それらしきものが見つからない。什造のポケットにあったのは携帯電話とくしゃくしゃになった一枚の1000円紙幣。

 

(あーそうでした...うっかり半兵衛に渡してましたね...)

 

什造はいつもお世話役でもある半兵衛に必要な所持品を渡しているため今は持っていない。半兵衛は今13区支部にいるため呼び出すのに時間がかかる。什造は下ろしていたアタッシュケースを持ち上げ、どうすれば自分が保安官だと証明できるか考えた。流石に什造が持っているアタッシュケースの中身を見せても理解葉されないだろうし、モラル上めんどくさいことになる

 

「おやおやぁ?見つからないのですかぁ?」

 

するとポケットを入れたままの什造を見た少女は目を細めどこか煽るように彼に声をかけた。その少女の顔を見た什造は「...なんですかー?」と聞くと...

 

「だったら、何か"甘いもの"でも食べに行かないですかぁ?」

 

「"甘いもの"?」

 

什造は少女の発言に疑問を抱き、一体なんだろうと更に聞こうとしたその時だった。

 

「ふふ〜ん♪それは着いてからのお楽しみですよー」

 

突然少女は什造の手を取り、什造にどこに行くのか告げられずに夜の街の奥に向かった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

什造が少女に連れてかれたのは街の中にあったファミリーレストランだった。そこは24時間営業しているため夜でもお店は開いている。

 

「へぇー、あなたは男なんですねー。高校生と見えなくもないですケドー?」

 

「よく言われますので、ぜんぜん気にしないです」

 

什造と少女はテーブル席でお互いが向き合う形で座っていた。店内は夜遅くということか他の客の姿が1、2人しかいないほどガラガラに空いていた。

 

「そういえばー、何で私のお誘いに乗ったのですかぁ?」

 

「僕もちょうど甘いものが欲しかったので」

 

本来ならば什造が足を止めてそのまま補導するべきなのだが、補導すべき立場である什造は自分を連れていかせた少女を補導することなく一緒にファミリーレストランに入っていた。普通ならば保安官と女学生が一緒に行く真似をしたら大問題になるが、什造の姿が中性的のおかげか周囲から怪しまれずに入店ができた。

 

「それにしても、夜の街を歩いて危ないじゃないですか?」

 

「危ない?別にいつもこうですケドー....てか、あなたの方がめちゃめちゃ怪しいですよー?」

 

「だから僕は東京保安委員会(TSC)の保安官です」

 

「本当にその保安官ですかぁ?」

 

 什造は東京保安委員会(TSC)内では多くの保安官に尊敬される人物なのだが、今は保安官として証明できるものはなく少女の視点から見る什造は女の子みたいな男性だ。什造が何度も少女に自分は保安官だと話していると、少女が「あ、きた」と言うと店員さんが一つのパフェが什造たちが座る席に向かっていた。そのパフェは什造が頼んだものだった。パフェを届けた店員さんは二人が座るテーブルのちょうど真ん中にパフェを置き、二人の元から去っていった。その瞬間、少女はスプーンを取り出しパフェを取ろうとすると、什造はそのパフェを素早く自分に元に下げた。

 

「あれれ?どうしちゃったんですかぁ?」

 

「僕のパフェを取らないでください」

 

什造は嫌そうな顔で少女を見た。

 

「えー、なんでくれないのですかぁ?」

 

「これは僕が頼んだものなので、それにあなたはなぜパフェを頼まないのですか?」

 

什造がそう聞くと少女はふふっと笑い。

 

「私、今お金持ってないんですよねぇ」

 

少女はそう言うとポケットから電車の定期券をテーブルに出し、これ以上持っているものがないと表現するように両手をパッと見せた。

 

「持ってないんですか?悪い子じゃないですかー」

 

「そうですよぉ、私、悪い子ですから」

 

少女はそう言うとふふっと笑った。

 

「それにしても、お兄さんは結構イジワルな人ですねぇ」

 

「お兄さんじゃないくて、ジューゾでいいですよー」

 

「じゅーぞですかぁ?面白い名前ですねぇ」

 

摩美々はふふっとからかっているような笑いをした。

 

「あなたの名前はなんですか?」

 

「私ですか?田中摩美々(たなかまみみ)っていいますー」

 

「マミミですか?」

 

「うん、だから、私に一口ぐらいくださいよー」

 

そういうと摩美々はスプーンを持ち、パフェをすくう準備をしていた。おそらく彼女は中々諦める気はないだろう。什造はそんな姿をした摩美々にため息を一つした後...

 

「まったく悪い子ですねえ」

 

什造はどこか諦めたかのようにパフェを少し前に出した。そうすると摩美々はふふっと満足そうに持っていたスプーンでパフェをひとすくいをし、口に頬張り「私、悪い子ですからぁ」と什造にどこかバカにするように笑った。

 

「なんでマミミは一人で歩いていたんですか?」

 

「ただの放浪ですよー?」

 

「危ないですよ?今13区は喰種だけでじゃなく、人間が起こした犯罪が増えているので早く帰ってください。特に喰種は危ないので"変な所"に行かないでくださいね?」

 

什造は摩美々に強い口調で注意をした。什造たちがいる13区は以前のような血の気の多い区ほどではないものの、危険な場所に戻りつつある。什造は長く喰種と戦ってきた為喰種に対しての危なさは知っている。

 

「......そうですかぁ」

 

什造の言葉を耳にした摩美々はふざけた様子をせず、落ち着いた様子で聞いていた。先ほどまでは什造に対して舐めた態度をしていたのだが、先ほどとは一変して大人しく聞いていた。

 

「まぁ、そんなに言うなら、じゅーぞに免じて、今日は帰ってあげますねー。さよーならぁ」

 

摩美々はそう言うと席から立ち上がり、お店から出ていった。お店の窓から見える摩美々は駅の方向へと向かっていた。

 

(...."変な子"もいるんですねー)

 

什造はそう考えるとパフェを口に頬張り始めた。パフェは摩美々に少し食べられたのだが、什造は残念な気持ちを抱かず『まぁ、いいか』とパフェをスプーンで口に入れた。普段の什造なら怒るべきところなのだが、摩美々に対しては自然と怒るという選択肢が浮かばなかった。什造は理由を考えず一人パフェを食べ続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーその時だった。

 

 

 

 

 

 

(ーーーっ!)

 

するとパフェを食べていた什造はピタリと手を止めた。ちょうど一人の男性客が什造が座る席を通り過ぎた時に何か"匂い"に気がついた。

 

(...今、"鉄の匂い"がしましたね...)

 

什造にとっては仕事で慣れた匂い。その匂いをしたら間違いなく"ヤツら"がいる証拠でもあり、どこかで人間(ヒト)を殺した証拠だ。その匂いをした主は摩美々が席を立ち上がった時に同じく立ち上がり、摩美々についていくようにお店から出ていった。

 

(...まさかですかねえ?)

 

什造は急いでパフェを口に入れ、アタッシュケースをガタガタと音を立てながら取り出し、ぼろぼろの千円札を机に置きすぐにお店から出ていった。おそらく什造の横を通り過ぎた男は摩美々をターゲットしていたと思われる。

 

(...まったく、マミミは駅に向かってないじゃないですか)

 

男の跡を辿ると駅に向かっておらず、薄暗い路地に向かっていた。おそらく摩美々はそこに向かったと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

什造は胸の奥にイライラとした感情を生み出し、男が向かった方向に急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一歩遅れてしまえば、彼女が殺されてしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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