Spring Rain -Return- 作:月夜るな
1日位で圧倒的に全員が多いということに驚きました()
少し頑張ってみます!
投稿の方は不定期になりますが生暖かい目で見てやってくれると幸いです。
今回は明石と春雨のおはなしです。
白露姉さんとの突然の演習のあと、当初の予定通り工廠の方へ艤装を取りに向かっていた。ただ、違う点とすれば白露姉さんがいないという事かな。
どうも、あの演習で疲れたみたいで・・・本当は一緒に行きたかったみたいだけど疲労には勝てなかったようで部屋に戻って行った。
私は私で少し疲労感はあるけど、クタクタと言うまでではないので工廠に向かっているところである。
そんな道中に、私を知っている艦娘と遭遇したのだがその子達は私が以前の春雨の記憶を持っているということは知らないので軽く挨拶をしただけだった。
これについては歓迎会のときに公にするつもりなのだが。そうそう、司令官も言っていたやつなのだが、近々私の歓迎会なるものをしてくれるということを白露姉さんからも聞いた。
結局、歓迎会という名前にするようで当然だが司令官の許可も下りているみたい。なので、その時が全て言える絶好のチャンスだ。
「ここが工廠かな?」
そんなこんなで教えて貰った通りに歩いてお目当ての場所にたどり着いたようだ。でっかく”工廠”って書いてあるし、多分間違いないと思う。
「こんにちは・・・明石さんいますか?」
ずっしりと重みのある扉をゆっくり開けながら中へ入っていく。そこには鎮守府跡でも見たような工廠があった。当然こっちの方が綺麗だけど。
「ここにいますよ~」
と、少し離れた場所に明石さんの姿を捉えた。そこに向かって進んでいき、私の艤装について切り出そうとしたのだが・・・。
「あ! 貴女が漂流艦の春雨ですよね!」
何故かテンションの高い明石さん。明石さんには結構お世話になっていた。艤装の整備とか、改装とか色々とね。でも、明石さんもさっきすれ違った艦娘たち同様、私が前の記憶を持っていることは知らないだろう。
「えっと・・・はい」
「春雨の艤装なんですけど、これ凄いですね!」
「ええまあ・・・」
「あ、ごめんなさい。・・・わたしはこの鎮守府所属の工作艦、明石です。よろしくおねがいしますね。提督からお話を聞いています」
少し気圧されてることに気づいたのか、明石さんは一旦コホンと咳払いをしてから自己紹介をしてくれる。うん、知ってますよ・・・ずっとお世話になっていましたし。
ただ、明石さんには前もって伝えておくべきなのだろうか?
「白露型駆逐艦五番艦の春雨です、はい」
確証をもたせる記憶はあるから信じてはくれると思うけれど・・・んー。
「提督が言ってましたけど・・・本当にそっくりですね」
どうしようかと考えていると 明石さんがそんなことを言ってくる。そしてその表情言わずもがな。・・・よし、決めた。
「あの、明石さん。お話があります」
「え?」
昔、明石さんにお世話になった時の記憶を掘り出して混ぜ込ませながら話す。明石さんには予め知っておいてほしいから。
・・・だから嘘は付きたくなかった、それだけだ。
※ ※ ※ ※
「こんな感じです」
一通り、説明をした所で一息つく。最初はかなり驚いていたけど、混ぜ込ませた実話エピソードの効果が強かったのか司令官と白露姉さん同様、すんなり信じてくれた。
「そっか・・・そんな事があるんですね」
打ち明けた所で明石さんが私の方を何処か懐かしく見てくる。そう言えば明石さんも最初からずっとこの鎮守府に居た気がする。
「あくまで記憶をもらっただけなので私自身は理論上は別個体です」
「理論上、はね。でも、今までこんな事例は見たことないわね・・・」
ふと何かを考え始める明石さん。やはり私のこの現象は前代未聞のことだそうな。私自身も理解しきってないのでそれはそうだろうとは思うけれども。
「やっぱりそうなんですか?」
「ええ。記憶が引き継がれるというのは本来あり得ないことですし」
これは既に何回か言われていることなので分かっている。春雨になった当初は全く知りもしなかったが・・・情報源がなかったんだから仕方がない。
「それはともかくとして春雨、おかえりなさい。別の個体なんてこれからは気安く言わないほうが良いですよ。それはもう皆知っていること。それでも記憶を引き継いでいる貴女は嘗ての春雨ということ。事例はないけど実際今貴女に起きてるわけだからね」
同じでも別の個体というのは言われた通り、全員がもう知っていること。私のさり気なく言ったこの言葉が傷をつける可能性もある・・・ということなのだろう。
明石さんの言う通り、別は別でも記憶を引き継いでいるということ。それはもう偽物ではなく本物。それに託してくれた春雨の合意の上であるし・・・少し軽はずみだったかもしれない。
「すみません。軽はずみだったかもしれません。あと・・・ただいま」
「今後は気をつけたほうが良いですよ。・・・改めておかえりなさい、春雨」
はじめましてではなく、おかえりなさい、である。それが何を意味するか・・・それが分からないほど私は愚かではない。だからこそ、これからは言葉の選びにも気をつけたいと思う。
「さて、少し変な空気にしちゃいましたけど、話戻しますか」
「ですね」
話が逸れてしまっていたので、それを明石さん共々軌道修正をし、話を戻す。本来の目的はここに来て艤装を返したもらうためだったし。
「明石さん。艤装のメンテナンスありがとうございます。司令官から聞きました。倒れた私に燃料を補給してくれたんですよね」
「まあね・・・だって提督ったら青い顔して慌てて駆け込んできたんですもの。これは最初見ただけでただ事じゃないっていうのはすぐ分かりました」
司令官も姉さんたちみたいに慌てて駆け込んできたんだ・・・何か不躾かもしれないけど、嬉しかった。そこまで心配してくれてたということが。
「結果的には疲労と燃料切れだったから良かったけどね」
「すみません・・・ありがとうございました」
「提督から聞きましたよ。林檎だけで過ごしてたって」
「・・・」
ジト目で見てくる明石さん。真面目に本当のことなので反論の余地が無いのでしゅんとしてしまう。
「でも良かったです。また彼女たちの目の前で春雨を失うなんて最悪なことが起きなくて」
「なんか本当に謝りきれないです・・・」
「仕方がないっていうのは分かってますから安心してください。・・・話戻しますが、艤装については特に何の問題もなかったからすぐ返せますよ。最終点検はしますけどね」
仕方がないっていうのは分かってくれたみたいで安心はできる。鎮守府跡には燃料は愚か資材すらなかったから補給なんて全く出来なかったのである。
「魚雷ともう一つの主砲も大丈夫でした?」
「ええ、問題ないです。ただ、全体に言えることですが少しだけ傷もついていたのでそこは修理しておきました」
まあ、2回だけ被害はそこまでなかったけど被弾してたし傷はつくか。それを直してくれたらしいのでここは素直に感謝をする。
それから明石さんが私の艤装の最終点検を始め、待つこと30分。30分間は暇かな、と思っていたけど明石さんが点検しているところを観察しているとつい見入ってしまい・・・いつの間にか時間が経っていた。
「これでOKかな。念の為春雨も確認もしてくれます?」
そう言われたので戻ってきた艤装を軽くチェックする。あとは、あの時出したみたいなウィンドウを開いてチェックする。
────
スロット1:5inch単装砲 Mk.30改+GFCS Mk.37
残弾:150発
スロット2:5inch単装砲 Mk.30改+GFCS Mk.37
残弾:150発
スロット3:試製61cm六連装(酸素)魚雷
残弾:60本
スロット4:-装備できません-
自艦状態:異常なし
装備状態:異常なし
────
適当に艤装を見ている感じにウィンドウを開いてみると何か構成が変わっており、分かりやすい? 感じになっていた。・・・あれ何か以前見たときよりパワーアップしてない?
「どうかしました?」
「いえ、何でも無いです。えっと問題なさそうです、ありがとうございます!」
「それは良かった。最新のものだったからちょっと不安だったんですけど・・・問題ないみたいで安心しました」
あ、そうか。今更だけどこの装備はこの世界でいうと最新式か。作れた鎮守府はまだ少ないとされているみたいだし、仕方がないことか。
で、一つ気になるのがさっきのウィンドウなのだが、もしかしたら明石さんがアップグレードしたのかと思ったけど違うみたい。
どうもこのウィンドウは見えていないようで特に反応は見せていないのだ。ってことはこのウィンドウは私だけなのだろうか。
いやでも自分にしか見えない物なら存在自体は知っているけど見えないから何も言わないということかな? んー・・・まあいいか。
「それでなんですけど!」
「は、はい!?」
いきなり大きな声で言ってきたのビクッとする。
「その艤装について色々教えてもらえませんか!」
はい、冒頭に戻りました。逃げられそうになく、その後私は明石さんに散々質問攻めにされたそうな・・・。明石さんちょっと怖いです、はい。
・・・何か明石の性格が不安定なのは自分のせいです、何か申し訳ない。
出来る限りはキャラクター崩壊は避けたいですが。
回想説明を省いてますが、気にしたら負けです(オイ
春雨(主人公)とのエピソードが欲しい姉妹艦は?
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全員!