もぐもぐフレンズ   作:スコープ

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おや、さばんなちほーに変わったフレンズが……


ぶっちゃけアラガミのフレンズ化ってタグに困る物である


さばんなちほー

「……うぁ?」

 

暖かくも、少しばかり鬱陶しい日差しの下で白っぽいモノがのそりと動く。

その動いたモノ自身は知らないが、動いたモノの姿はヒト、と呼ばれる生き物の少女に酷似している。しかし肩から胸掛けては白い鎧の様な物を装着しているが、背中と肋骨辺りまでは茶色い毛皮のマント、その下は黒い袖無しシャツとズボンと良く言えば個性的、正直に言うとアンバランスな服装をしていた。更に言えば腰の辺りから生えた先端が扇状で棘のある白い尻尾が特徴的だ。それに鎧の肩辺りには鋭い棘が有り、少なくとも普通のヒトの少女には見えない

 

「……う……う?」

 

どうやらその少女は寝惚けている様で目を擦って起き上がるが……

 

「……くぅー」

 

パタリと直ぐに寝てしまう。その時に土が顔に幾らか付くが、それをこの少女は全く気にしないでダラダラと寝て過ごしている。その顔は幸せそうで、見ている者が居るならついつい眺めてしまいそうだ

しかし、それはこの少女を狙わない友好的な生き物なら、の話である。逆に狙う側からすればこんな風に無防備に寝るこの少女は絶好の好機なのだ

そして、その好機を狙う生き物が近くにいた

 

「ーーーー」

 

目の様な物が一つだけある小さな青いその生き物……生き物?は、液体の様なその身体を原理は不明だが滑る様に動かし、その少女の近寄る

 

「ーーーー?」

 

寝ていて?

 

「ーーーー」

 

無防備に……

 

「ーーーー!」

 

腹を見せている!

それを確認し、これなら確実に捕らえられると思ったのか、喜ぶ様に動くと、身体を跳ねさせ、その少女に飛び掛かるーー

 

「ッ!?」

 

流石の白い少女も近づいて来た捕食者の殺意に気付き、寝転んだ姿勢から屈む様な姿勢にまで起き上がり、そのまま脚を勢い良く伸ばして横に跳躍ーー些か無理な姿勢だったのか跳んだ先で転ぶが、少なくとも敵の攻撃は回避した

 

「うぅ……?」

 

そして敵の襲撃によって寝惚けた頭も目覚め、今の状況を正しく把握する……

 

ーー燦々と照りつける太陽

 

ーー小麦色の草原

 

ーー目の前の青い襲撃者

 

ーー何故かある自分の前脚

 

……

 

「うあ?」

 

ナニコレ?

それがこの生き物が最初に思った事だった

今の自分の姿は兎も角、最後に居た場所と今いる場所が違い過ぎる様な気がする。と言うか丸っ切り違う

確か……もっと、空は曇ってたし、地面は硬くて不味かったし、こんな広い場所ではなく、縦長の食い残しが沢山有った筈だ

こんなに綺麗に食べられた様な場所では無かった筈

 

いや、そんな事より目の前の敵だ

そう思ってもう一度青い襲撃者を見ると、白い少女の脳裏にある一つの意思が働く

ーーこの星の害、滅せよ

それを感じ取った瞬間、白い少女は即座に前傾姿勢を取り、前脚はダランと脱力した状態となる(そもそも前脚は本来無かったので、力を入れる事に慣れていないのだ)

そして近付いてくるその青い敵目掛けて扇状の尻尾をサソリの様に構え、先端にある棘をーー

 

「がう!」

 

ーー放つ

原因は分からない物の、今の姿の前……元の姿より使って来た武器、尻尾の棘の発射による攻撃は、姿が変わった今でもその精度は失われずに、馬鹿正直に正面から近づいて来る青い外敵を穿つ。本人に狙ったつもりは無いのだろうが、その青い外敵の頭頂部にある一つの硬い部位、それを砕かれた結果青い外敵は弾け、小さな青い立方体となってバラバラになる。白い少女は突然弾けた事に驚いたが、外敵を倒した事を確信すると静かに前傾姿勢を解いた。元の姿では今の様な前傾姿勢だったのだが、前脚が新たに増えたせいで先程の姿勢だと腰の辺りに掛かる負荷が大きくなるのだ。なので本能に従い、最も楽な姿勢を取ろうとした結果、直立と言う形に落ち着く

 

「……うー」

 

外敵が消えた事で、冷静に周りを見れる様になる。やはりこの様な場所に来た覚えは無いし……と、頭を抱え始める。

実際問題、変な姿になって見知らぬ場所に居るとなるとどの様な者でも何をどうするべきか迷うだろう

しかし、白い少女は一つの結論に辿り着く

 

「がう!」

 

取り敢えず今まで通り色々食べて、指示が出たら従おう!と

そして取り敢えず近くにある物……草に顔を近付け、口に入れる。小麦色の草は草食動物しか食べなさそうだが、この白い少女は何の躊躇いもなくしゃがみ込んで草を食べたのだ

モシャモシャと口を動かしている少女は少しの間無表情で居たが、次に見せた顔は

 

「……うぅ〜」

 

顰めっ面だった。恐らく口に合わなかったのだろう。如何にも「マズイ」とでも言いたそうな表情で草を飲み込む。そして次に目をつけたのは少し離れた場所にある木。太い幹に独特の葉を持つそれはバオバブの木と呼ばれる物だ

 

「うぉ〜……」

 

その木の側にまで来た少女は大口を開けて木の幹に齧り付く。バリバリだとかガリガリと言った音を立てながら少女はバオバブの木を齧り続ける。暫くすると、齧った場所からジワリと何かが溢れて来る。少女は一瞬驚くが、それが「水」だと気付くと嬉しそうにそれを飲みながら木を齧り続ける。少女的にはこのバオバブの木と水が気に入った様だ

 

暫くするとバオバブの木は跡形もなく消え去り、地面に溢れた水が残る程度だった。少女は地面に落ちた枝の一つを手に持ち、オヤツ感覚で齧りながら次に食べる物を決めるためにあちこちを見渡す。どうやらバオバブの木を食べる過程で前脚……腕を上手く使うと食べ易いと思い、腕の使い方を学習したようだ。指を細かく動かすのは無理そうだが、物を握る程度なら余裕で出来る様だ

 

次も同じ物を食べようかな?それとも別の物にしようかな?

そう考えながらボーッと歩く少女。やがて、何やら高い場所がある事に気付く

……何か美味しいものあるかも

そう思った瞬間には走り出していた。流石に走るのは慣れ親しんだ前傾姿勢で、腕は脱力している為に背後に靡く様な形になっている

 

そしてそのままの勢いで坂を登り……

 

「うー、があ!」

 

その脚力を使って大ジャンプを行う。跳び上がった結果、眼下に見えるのは大きな池と、幾らかの草。それを確認した少女は空中で体勢を整え、池の側に着地する

 

「おー……」

 

目の前の水に目を輝かせる少女。先程の木に入っていた水よりずっと多い水に見惚れ、また水を飲もうと池を覗き込む形になる……そして、目の前に見えたのは普段のから見ていた同種と同じ身体では無く、以前は良く食べていた最優先の捕食対象、ヒトだとかニンゲンだとかゴッドイーターだとか自分達を読んでいた生き物の顔、突然現れたその顔に驚いて飛び上がりそうになるが、ふと落ち着いて見てみるとその水の中に居るソイツと自分の動きが似ている事に気付く。

……あ、これ自分だ!と気付くのに時間はかからなかった。物の数秒で自身の顔の変化と水面に映る自身を把握する学習能力には驚きだが、その自分の変化にそこまで驚きが無いのはやはり、元の姿では変化という物が当然だったからだろうか?

 

「……あら、貴女見ない顔ね。最近生まれた子なのかしら」

 

水に映る自分、という新しい物に気が向いて居ると正面から他の生き物の声が聞こえてくる

チラリとそちらを見ると自分と同じと思われる形をした生き物が居た。細部は異なる上に体色も違がうが、ヒトは同じ奴などそうそう居なかった為、そういうものかと受け入れたのか、特に疑問も見せずに目の前の相手……全体的に黒いヒトを見る

 

「私はカバ、貴女は?」

「くぁ、ば?かば?」

「そう、私はカバよ。この辺りで暮らしているの。その様子だとフレンズになったばかりなのね」

「カバ、くらす、このあたり……ふれんず」

 

その黒いヒトはカバと自分を呼称した。少女は薄々以前から思っていた疑問、ヒトの鳴き声は一つ一つが意味のある物である事を確信しながら彼女の言葉を噛み締める様に学ぶ以前からチラチラ聞いていたヒトの鳴き声から今回の言葉を組み合わせ、彼女が言った事を理解し、それに答えるのに最適な言葉を探す

 

「……わたし、あらがみ、の、オウガテイル?だと、おもう。さっき、おきた。ふれんず、ってなに?」

 

自分を指す言葉、ヒトが自分を見て言っていた言葉、それを補うのに必要そうな言葉に、最初の自分の行動に当てはまりそうな言葉、そして疑問に思った事を伝えるに必要な言葉を選択して話す

 

「フレンズって言うのは、動物や動物だった物にサンドスター……あの虹色の結晶の出てる山から時々出て来る物が当たると生まれるの。昨日の夜辺りに噴き出したからきっとその時に生まれたのね。貴女」

「……動物か、動物だったもの。サンドスター……そっか、ありがと、う?」

「ふふ、どういたしまして。それと、此処の掟は自分の力で生きる事、ご飯はジャパリまんをボスが配っているけど、それ以外の事は自分で出来る様にならないとダメよ?」

「ジャパリまん……分かった。頑張る」

 

少女は少しだけ水を飲んで立ち上がる。ご飯、即ち食べ物。ジャパリまん……食べて見たい。と、完全に食欲からの行動だ

そしてもう言葉をスムーズに話せる様になっている。実は内心、カバを食べようかと思っていたりするのだが、ジャパリまんなる食べ物の情報をくれたから、次も何か美味しい物の情報が貰えるかもしれない。と、完全な下心で見逃している

 

「ばいばーい、またね」

「ええ、また。あ、最後にこれを言って置かないとね……」

 

坂を降りて移動しようとするとカバに呼び止められる少女。振り返り首を傾げているとそれをクスクスと笑われ、余計に首が傾く。

そして、一つ咳払いをしたカバは満面の笑みでこう言い放つ

 

 

 

 

ようこそ、ジャパリパークへ





続き?まあ、気が乗ったらで

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