振るう刃は友の為に   作:Zakki

21 / 21
2週間以上投稿サボってすんませんした!
そしてまた投稿が遅れると思います!


因みにですが皆さんコミケには参加しましたか?
私は全日制覇しました!チョーシンドかったですがいろいろいいものが買えてよかったと思ってます!


第20話 違い

善逸はきよ、なほ、すみの三人に体を揉みほぐされる中、激痛が走っても幸せそうに笑っていた。

硬くなった体を半場力技でほぐされれば目じりに涙が溜まるほど痛いはずなのだが一切顔を歪ませない善逸に重富と伊之助は生唾を飲んだ。

 

 

(アイツ…やる奴だぜ。俺でも涙が出るくらい痛いってのに笑ってやがる)

 

(コイツはホントに女が絡むとやべぇな…)

 

 

さらに善逸は薬湯ぶっかけ反射訓練でアオイに勝ち、

 

 

「俺は女の子にお茶をぶっかけたりしないぜ」

 

 

とカッコつけてみせた。…が、善逸の下心を知っている少女たちの目は厳しいものだった。

全身訓練の鬼ごっこでも勝ち星をあげたが、どさくさに紛れてアオイに抱きつき逆にボコボコされた。

 

 

伊之助も善逸の影響と元々の負けず嫌いで反射訓練でアオイに勝ち、全身訓練でもアオイに勝利した。若干…いや結構荒いやり方で

 

 

しかし炭治郎だけは負けが続き薬湯でずぶ濡れになった。

 

 

 

ただ、善逸と伊之助が順調だったのはここまでだった。

両者共にカナヲには勝てなかった。誰も彼女の湯のみを押さえることは出来ないし捕まえることができない。

 

 

「んじゃ、次は俺な」

 

 

重富は長机の前に座りアオイと向かい合う。

 

 

「ってことでよろしくなアオイ」

 

「えぇ、よろしくお願いします」

 

 

そう言って重富はアオイに笑いかけアオイもそれに微笑んで返した。湯のみに意識を向け準備を整えるときよが横に立ち片手をあげる。

 

 

「それでは、初め!」

 

 

きよの声に合わせて重富とアオイが一斉に湯のみに手を伸ばす。相手が湯のみを手に取り持ち上げる前に上から押さえ、逆の手で別の湯のみに手を伸ばす。そしてまた相手が取った湯のみを押さえる。

その攻防が数秒間続き過ぎた後、重富が手に取った湯のみがアオイの手を抜けて机を離れる。

 

 

「っ!?」

 

 

自身の負けを確信したアオイは咄嗟に目を閉じる。重富はそのまま湯のみをアオイの顔目がけて薬湯をかける。

 

ことはなく、湯のみをアオイの頭にそっと置いた。薬湯をかけられると思っていたアオイは呆気に取られる。

 

 

「これで、俺の勝ちだよな?」

 

「えぇ、流石ですね」

 

 

アオイは普段見せない笑顔を重富へ向けて肯定した。湯のみの乗った机を脇に寄せて次は全身訓練に移る。

 

 

きよの掛け声で始まった全身訓練も数秒で重富はアオイを捉えた。

 

 

ここまでは重富も善逸や伊之助と同じく順調だった。

 

 

(ん〜勝てっかなぁ…)

 

 

正直、自信がない…と重富は内心でぼやく。炭治郎はともかく善逸や伊之助より強い自信があった重富だがカナヲが相手となるとわからない。

 

カナヲは重富よりも現役の柱との鍛錬を多くこなしており、明らかに同期の中でも一線を画している。

 

 

重富は背筋に緊張が走りながらも机を挟んでカナヲと向かい合う。

 

 

「では、始め!」

 

「「…………ッ!!」」

 

 

緊張した空気の中アオイの掛け声で開始された。

カナヲはアオイとは比にならないほど早く、動きに無駄がなかった。

一瞬でも気を緩めれば負けると重富は開始直後に確信した。

 

 

(速い!でも、追いつけないほどじゃない!)

 

 

重富は自身の集中を極限まで研ぎ澄ませ、かつ一秒でも相手より長く維持し続ける。全集中の負担が大きく肺にのしかかり痛みに苦しみつつも重富とカナヲの攻防は善逸と伊之助の時の攻防より大幅に長引いていた。

 

 

 

全集中の呼吸の維持が限界に達しようとした時、湯のみの底が机を離れた。相手が湯のみを持ち上げられる前に上から遮るこの訓練においてそれは相手の防御をすり抜けたという事だ。

 

 

そして机を離れた湯のみを持っているのは重富だ。

 

 

「おぉぉ!」

 

「えぇっ!?嘘だろ!?」

 

「ナヌゥゥゥッ!?」

 

 

炭治郎、善逸、伊之助がそれぞれ驚愕の声を上げる。

 

 

「よっしゃっ……」

 

 

パッリィィン!

 

 

誰もが重富の勝利を確信し、重富自身も歓喜をうたおうとした瞬間。何かが割れる音が響いた。

 

何事かと思うと次は重富の頭に液体がかかる。重富はゆっくりと湯のみを持っていた手のひらに目をやると……湯のみが跡形もなく割れていた。

 

 

「り、力み過ぎたーーー!」

 

 

重富、不覚をとる。湯のみをとることに意識を向けすぎて湯のみを握る力加減を間違えたのだ。

 

 

「な、何やってるんですか!」

 

「何やってって割ったんだよ!言っとけどわざとじゃないから!」

 

「ちょっとこっちに飛ばさないでください!臭います!」

 

「おいその言い方傷つくからやめろ!ちゃんと薬湯が臭いと言い治せ!」

 

 

その後、重富は結局勝てたとは言い難いということになった為、再挑戦となったのだが先程の一戦で回復した体力を使い切った重富は善逸、伊之助と同じく惨敗した。

 

 

 

 

〜*〜

 

 

 

紋逸(もんいつ)毬富(まりと)が来ても俺たちはずぶ濡れで一日を終えたな」

 

「改名しようかな。もう紋逸にさ」

 

「辛気臭くなるのやめない?辛さが増す」

 

 

完全に意気消沈している伊之助と善逸に重富が言った。

 

 

「同じ時に隊員になったハズなのにこの差はとういうことなんだろう?」

 

「あの子は継子だし小さい時から鍛錬してたらしいし違いを上げたらキリがないと思うぞ」

 

 

同期であるハズなのに全く歯が立たない。そんな状態が五日間続き善逸も伊之助もカナヲには勝てなかった。

重富は稀に健闘してみせるが勝てそうだが勝てないといった感じである。

 

 

 

更に負けに負け続けた伊之助は負け慣れていないので不貞腐れてへそを曲げた。善逸は善逸で早々に諦める態勢に入り、最終的には二人とも訓練場には来なくなった。

 

 

(まぁ気持ちはわかる)

 

 

女の子相手に負け続ければ不貞腐れたくもなるしへそも諦めたくもなる。重富は善逸と伊之助の気持ちを理解しながらウンウンと頷く。

 

 

「すみません、明日は連れて来ます…」

 

 

炭治郎は激昴するアオイにペコペコと頭を下げながら謝罪する。

 

 

「いいえ!あの二人にはもう構う必要はありません。貴方も来たくないなら来なくていいですからね」

 

 

辛辣な言葉をぶつけられた炭治郎はしょんぼりと肩を落とす。

 

 

「ま、まぁまぁとにかく俺たちも頑張ろうぜ!な?」

 

 

肩だけではなく気も落ち気味な炭治郎を重富は懸命に励まして訓練を開始する。……が何の成果もなく負け続けさらに十日経った。

 

 

「なぁ重富。俺たちはなんで勝てないんだろう?」

 

「炭治郎、それがわかってたら俺はカナヲに勝っている」

 

「そうだけど、一体あの子と何が違うのかな?」

 

「うーん…才能?」

 

「も、元も子もないこと言わないでくれ」

 

「しゃーないだろ。それしか思いつかなかったんだから」

 

「もっと別に何かあると思うんだ」

 

「もっと別にねぇ……」

 

 

二人はよく訓練でのことを思い出してみる。重富と炭治郎のカナヲとの違いはまず反射速度。傷が治り、万全な状態とて勝てるのは怪しい。

 

 

「あのう…炭治郎さん重富さん」

 

 

ふと、後ろから袖を掴まれる。後ろを振り返るときよ、なほ、すみが二人の袖を握っていた。

どうやら二人とも考えにふけり声をかけられていたのに気づかなかったらしい。

 

 

「ご、ごめん!どうした?」

 

 

炭治郎が慌てて聞くと三人はもじもじとしながらも手ぬぐいを差し出した。

 

 

「ありがとう!」

 

「悪いな、ありがとう」

 

「あの…お二人は全集中の呼吸を四六時中やっておられますか?」

 

「「ん?」」

 

 

手渡された手ぬぐいで濡れた髪を拭いているときよの言葉に重富と炭治郎は耳を疑った。

 

 

「朝も昼も夜も寝ている間もずっと全集中の呼吸をしていますか?」

 

「……やってないです。やったことないです…そんなことできるの!?」

 

「そもそも全集中を常時続けるって発想がなかったな……」

 

「見る限りですが重富さんは既にできかけてます」

 

「えぇ!マジで?!」

 

「はい」

 

 

それから二人はきよの説明を聞く、全集中の呼吸を常にできるかできないかで天と地程の差が出ると言う。さらにそれができる者はカナヲを含め一部の鬼殺隊隊員と柱の人間だと伝え、最後に「頑張ってください」と重富たちに告げた。

 

 

 

 

 

翌日、炭治郎と重富は実際にきよたちから教わったことを実践してみることにした。

 

 

「全っ然できなーーい!!」

 

「呼吸を意識して続けようとするとこんなに辛いんだな…」

 

 

炭治郎は全集中の呼吸を長くできるようになる所から、通常より長くできるようになっている重富はさらに持続時間に長くする訓練を蝶屋敷の庭にて行っていた。

 

 

しかし、思った以上にキツくものの数分で炭治郎は膝をついてしまった。

 

 

「わァァ!?」

 

 

体中から汗を吹き出し瀕死の炭治郎が突如大声を上げた。

 

 

「ど、どうした炭治郎!」

 

「び、びびビックリしたーー!今一瞬耳から心臓が飛び出したかと思った!」

 

「落ち着け炭治郎!お前の心臓は飛び出してない!あとちなみに俺は口から心臓が出てくる気がする!」

 

 

全集中の呼吸で脈が早くなっているせいか妙なことを口走っている二人は何とか息を整える。

 

 

「全然ダメだな。重富より続かないしきっと肺が貧弱なんだ。もっと走り込みや息止めの訓練を続けないと」

 

「でもせっかく二人いるんだし全身訓練や組手もやってみよう」

 

「あぁ!」

 

 

それから訓練を再開してしばらく経つときよ、なほ、すみの三人が差し入れを持ってきた。

 

 

「「ひょうたんを吹く?」」

 

 

三人が差し入れに持ってきたおにぎりを頬張りながら重富と炭治郎の声が重なる。

 

 

「そうです。カナヲさんに稽古をつける時にしのぶ様はよくひょうたんを吹かせていました」

 

「へぇー音が鳴ったりするのかい?」

 

 

そう炭治郎が質問すると驚きの答えが返ってきた。

 

 

「いえ吹いてひょうたんを破裂させてました」

 

「へぇー」

 

「破裂かー」

 

 

 

 

((破裂…?))

 

 

 

ひょうたんは通常、水やお酒などを中に入れて持ち運ぶことなどが主な使い道である。決して吹いて破裂させる用途はない。

 

 

「このひょうたんは特殊で通常のものより硬いです。そのうえでだんだんとひょうたんを大きくしていったみたいで、今カナヲさんが破裂させているのはこのひょうたんです」

 

 

そう言って三人が出してみせたのは本人たちのちょうど座高の高さほどの特大のひょうたん。重富と炭治郎は気が遠くなりそなのをグッとこらえる。

 

 

「て、手始めに小さいひょうたんを試してもいい?」

 

「「「どうぞ!」」」

 

 

重富は確認を取ってから普通の大きさの手に取る。重富は息を整え集中し、空気を自身の中に溜めて一気にひょうたんの中へと吹き込む。

 

 

パキ…パァァァンッ!

 

 

するとひょうたんは内側から音を立てて割れた。

 

 

「「「「「おぉぉぉ!!!」」」」」

 

 

炭治郎や三人娘だけではなく割った本人の重富も拳を握って驚きと喜びが混じった声を上げる。

 

 

「初めてて割れるなんて凄いです!」

 

「すぐに割れるなんてビックリです!」

 

「重富さん流石です!」

 

 

きよ、なほ、すみがそれぞれ思い思いの言葉を掛ける。続いて重富は一回り大きいひょうたんに挑戦、破裂に成功する。

 

しかし、そこからはヒビは入るも破裂には至らず詰まってしまった。

 

 

重富と炭治郎の二人はその日からカナヲが割ったという特大のひょうたんを破裂させることを具体的な目標にして訓練に勤しんだ。

 

 




本来はコーナーをする所なんですが私の独り言にお付き合い下さい。

アニメの鬼滅の刃の19話見ました?

とんでもない神回でしたね!アニメ後半あたりからが特に!いやー涙と鳥肌がしばらくおさまりませんでした。

さすがと言わざるを得ません。映像のクオリティもさることながら挿入歌が良かった。まだ見てない方は直ぐに見ることをオススメします。既に見た方は私の独り言を聞いて共感して頂けたら幸いです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。