新訳・とある時王のハイスクール   作:海神アグル

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せ「どうも!優木せつ菜です!」

歩「上原歩夢です。というかせつ菜ちゃん。前章に結構出てたよね?」

せ「そういう歩夢さんは久しぶりの登場ですね」

歩「まぁ、ゼロワンとしての登場が限られてるからね」

せ「まだ歩夢さんはいい方ですよ。私なんかもう出番がここだけなんですよ? しかも一回あるか無いかの確率!!」

歩「あ……なんかごめん」

こ「まぁまぁ落ち着いて、せつ菜ちゃん」

ニ「出番が今章で一番多いあんたに言われても皮肉にしかならないわよ?」

こ「ちゅん!?」

せ「それでは!」

歩「どうぞ!」





episode2

虹ヶ咲学園の教室で、氷城冬麻は放課後の雰囲気の心地よさに浸っていた。

 

ようやく入院という退屈な時間を抜け出し、普通の生活が出来るレベルにまで回復した。

 

普通の生活と言うと当たり前のように感じるものだが、あの死闘を潜り抜け、今も五体満足でいるからこそ、この平和で普通な日々が当たり前に享受されるものではないと分かる。

 

「いや~……今日も平和ですな~。このままこの平和が続けばいいのに」

 

冬麻は頬杖をつきながらそう言うが、昔からこういう台詞はフラグ回収に繋がる訳で。

 

「冬麻ちゃ~~ん♪」

 

「げっ……この声は……」

 

冬麻は心底嫌そうな顔を浮かべると、ゆっくりと声が聞こえた方向に目を向ける。

 

そこにいたのは、人妻のようなアンニュイな顔立ちと紫のショートボブ、グラマラスボディが特徴の美少女だった。

 

彼女の名前は『坂巻 千鶴子(さかまき ちづこ)』。

 

三年生で冬麻の1つ上の先輩に当たる。

 

そして風紀委員の1人なのだが、校内では挨拶と称して、あらゆる生徒に無差別に抱き付くという非常に迷惑な抱き付き魔となっている。

 

彼女の言い分曰く、「秩序を保つには愛が必要」らしい。

 

しかも彼女、何故か冬麻に対してのみ、抱き付くだけにとどまらず、頬にキスまで付けてくるのだ。

 

これもあって、思春期男子高校生の氷城冬麻は千鶴子が少し苦手だった。

 

「何の用っすか? 坂巻先輩」

 

「もう、千鶴子って呼んで?」

 

「あー……千鶴子先輩?」

 

「はい、よろしい♪」

 

どこのバカップルだよリア充爆発しろ的なヤジを飛ばされても文句言えない程、超至近距離でイチャイチャする2人。

 

と言うか、千鶴子が一方的に冬麻にイチャイチャしてるだけなのだが。

 

「ご褒美にチューしてあげますわ」

 

「いや遠慮します」

 

「恥ずかしがらなくても大丈夫なのですよ? 冬麻ちゃん」

 

「いやその問題の前に俺達付き合ってないでしょ? そういう関係の前に、こういう事をするのは氷城さん的にいかがなものかと問うているのでせうよ」

 

「愛の前にそんな壁は無意味ですわ」

 

「あ、ダメだこの先輩。頭のネジが何本か緩んでやがる」

 

その後も2人は頬にキスしたいさせないという、第3者が聞いたら心底くだらないと思う問答を3分程続けた後、最終的に千鶴子が折れる事で本題に入った。

 

「それで? 先輩の用件は何っすか?」

 

「実はね冬麻ちゃん。私と一緒に、とある国に行ってほしいのですわ」

 

「先輩と一緒に? それってどこの国っすか?」

 

その問いに千鶴子は無言で踵を返し、冬麻から数歩離れてから、再び冬麻の方に振り向いて言った。

 

 

 

「エルフと人が共存する国、シャドウバース」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

緋村一誠はオカルト研究部の部室で首を傾げていた。

 

いや、一誠だけじゃない。

 

リアスや絵里達も、目の前のテーブルに置かれた招待状に首を傾げていた。

 

「先生、これなんすか?」

 

「見りゃ分かんだろ。招待状だ」

 

「アザゼル、それは誰でも分かるわ。イッセーが聞いてるのはこの招待状の意味よ」

 

一誠の問いにアザゼルは完結に答え、それにリアスがジト目で補足した。

 

アザゼルは招待状を手に取り、パタパタと振りながら説明する。

 

「こいつはエルフと人間が共存する国、『シャドウバース』からの招待状だ。ここに住まうエルフ達は北欧神話のエルフ達とは違って、和平に無関心だったが、ここに来て和平の席に着こうとしてる。これはその招待状だ」

 

「へぇー……で、誰が行くんです?やっぱり全員でですか?」

 

一誠がそう訊ねる。

 

こうやってわざわざ駒王学園のオカルト研究部に送りつけてくるという事は、グレモリー眷属に出向けと言ってるようなもの。

 

であればオカルト研究部全員で行くのだと一誠は思ったが、アザゼルは首を横に振って否定する。

 

「それがな、行けるのは四人だけなんだ」

 

リアスが「どうして?」と訊ねる。

 

「さぁな。向こうの意図は分かんねぇが、元々他の勢力と関わるのを極力避けてた国だ。大勢じゃなくて少数の方が好みなんだろ」

 

そう言ってアザゼルはリアスに招待状の紙を渡そうとするが、その紙を誰かが横からヒョイと横取りした。

 

取ったのは一誠ではない。

 

ましてや絵里や朱乃達でもない。

 

取ったのは全くの部外者だった。

 

その人物はここにいる全員が見覚えのある人物で、一誠とリアスが驚く。

 

「士さん!?」

 

「あなたは……あの時のピンクのライダー!!」

 

「ピンクじゃない!マゼンタだ!!」

 

リアスの間違いに人差し指を突きつけて訂正する士。

 

しかし重要な問題はそこじゃない。

 

どうしてここに士がいるのか、そしてどうやってここまで誰にも気付かれずに来たのか。

 

その疑問を木場、ゼノヴィア、イリナ、絵里が口に出す。

 

「一体いつの間に……」

 

「全然気付かなかった……」

 

「流石は世界の破壊者だわ……」

 

「って言うか士、どうしてあなたがここにいるのよ?」

 

「なぁに、簡単な話だ。シャドウバースが指名してきた四人を向こうに送る為だよ」

 

それに目敏く反応したのはアザゼル。

 

「待て。どうしてお前がその話を知っている?」

 

確かによくよく考えれば、この話は今来た話だ。

 

外部に漏らそうにも時間はなかった。

 

それなのに何故士がこの話を知っているのか。

 

考えられる答えは1つ。

 

それを士は自分から教えた。

 

「そんなものは決まってる。俺がシャドウバースの使者だからだ。だがそんな事よりマゼンタの話だ」

 

割りと驚愕ものの話を、アッサリとそんな事と言い捨て、士はマゼンタ云々という世界一どうでもいい話を展開する。

 

「ピンクというのは所謂イエローが多めのカラーだが、俺のは純度100%のマゼンタだ。もう一度言うぞ? ピンクじゃなくて、マ・ゼンタだ」

 

「しつこいわよ士。それよりあなたが使者ってどういう事よ?」

 

「そうだそうだ!士さん、説明プリーズ!」

 

絵里と一誠がそう言うと、士は語気を強くして一誠に釘を刺した。

 

「口を慎めジオウ!あのな、新人ってのはちゃんとな、敬語とか使うんだぞ?」

 

「それをあなたが言うの?」

 

絵里が目を細めて呟くも、士はスルーして一誠の頭を招待状でペチペチ叩きながら言う。

 

「そのふてぶてしさを何とかしろ。謙虚に!謙虚に、謙虚に、謙虚に行け!」

 

「だって俺王様だもん。もう新人じゃないもん。王様だもん」

 

「我が魔王になんて口の聞き方を……!」

 

一誠は頬を膨らまして文句を言い、レイヴェルは睨み付けるが、そのどちらも士は意に返さない。

 

それどころか尊大な態度でリアスと朱乃に指示する。

 

「おいリアス・グレモリー。それと姫島朱乃。お前ら2人はジオウの横に並べ」

 

「何で命令形なのよ……ピンクライダーの癖に」

 

「ピンクじゃなくてマゼンタだ!! 何度言ったら分かるんだ!?」

 

リアスの悪態をその地獄耳で拾った士は、リアスの頭を招待状でペチペチと叩く。

 

それにリアスはムカッと来るものがあったが、実力ではディケイドの士には勝てないので、グッと堪えた。

 

そんな親友を、朱乃は哀れそうに見ていた。

 

そして無情にもその隙に、士はオーロラカーテンを出して一誠、レイヴェル、リアス、朱乃にぶつけて、四人をシャドウバースへと転移させた。

 

当然、残された面々は「なっ!?」と驚き、絵里は士に掴みかかった。

 

「ちょっと士!どうしてあの子達だけを送ったのよ!?」

 

絵里は教師だ。

 

教師として生徒だけに問題を解決させるのは嫌なのか、士に剣呑な眼差しを向ける。

 

しかし士は冷静な態度で言う。

 

「仕方ないだろ。シャドウバースがアイツら四人を必要としたんだからな。それにそんな心配するな。保険はちゃんとつけてる。向こうには『幻想殺し』に龍騎がいる」

 

「まさか……冬麻君やことりまで……」

 

絵里はヨロヨロと士から後退すると、彼をキッと睨み付けた。

 

それは他の面々も同じだった。

 

だからこそ、全員の気持ちは1つになった。

 

 

 

 

 

 

『おのれディケイドォォォォォォ!!』

 

「何……!?」

 

 

 

 

 

 

部室中にディケイドへの敵意が響き渡り、この日初めて士は畏怖を感じた。

 

 

 

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