新訳・とある時王のハイスクール   作:海神アグル

17 / 190




episode5

目を開けると、俺達がいたのは部室だった。

 

やはり前世と同じく、駒王学園のレプリカであるここが舞台らしい。

 

ニ「何?転移の失敗なの?」

 

訝しげにニコさんが言う。

 

そっか、ニコさんは初めてだから、そう思って当然か。

 

多分俺が知らないだけで、絵里さんや蒼輔もそう思ってたのかもな。

 

「ニコさん、実は····」

 

俺はニコさんにここがゲームの舞台である事を教えていると、どこからかアナウンスが流れた。

 

『皆様、この度、フェニックス家とグレモリー家の試合に置いて、審判役を任せられましたグレモリー家の使用人、グレイフィアと申します』

 

やはり前世と同じく、グレイフィアさんが審判らしい。

 

『この度のレーティングゲームの会場として、リアス・グレモリー様方の通う、駒王学園の校舎を元にしたレプリカを異空間に用意させていただきました』

 

にしても本当に細かいところまで作り込まれてるな。

 

部室の窓から外を見ると本当に校舎まである。

 

駒王学園全体を再現する悪魔の技術には感服だ。

 

ただ、やっぱり空だけは違う。

 

見慣れた夜空ではなく、空一面が緑色のオーロラのような物に覆われた不思議な光景が広がっている。

 

『両陣営、転移された先が「本陣」でございます。リアス様の本陣は旧校舎オカルト研究部部室。ライザー様の本陣は新校舎生徒会室。兵士ポーンの方はプロモーションを行う際、相手本陣の周囲まで赴いてください』

 

部室から生徒会室まではそこそこに距離がある。

 

俺達と遭遇することを考えると相手の兵士のプロモーションは大体は防げそうだ。

 

『開始のお時間となりました。なお、ゲームの制限時間は人間界の夜明けまでとなります。それでは、ゲームスタートです』

 

キーンコーンカーンコーンと、学園のチャイムが鳴る。

 

今のが開始の合図だ。

 

こうして、俺にとっては何度目かの、リアス達にとって初のレーティングゲームが開幕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

簡単な作戦会議が開かれ、メンバーのそれぞれの配置について説明された。

 

それとこのゲームのシステムについて補足説明された。

 

一定以上のダメージを食らい、その戦闘で再起不能と判断された場合、リタイアとなって戦闘フィールドから医療設備の整ったところへ強制的に転送されるらしい。

 

つまり、よほどの攻撃でない限りは死ぬことは無いという安全なシステムであるということだ。

 

「イッセー、小猫、そしてニコさん。指示通りに頼むわね」

 

俺と小猫ちゃん、ニコさんの目的地は体育館。

 

一応そこを重要拠点にするつもりだ。

 

「さて、敵は不死身のフェニックス家の中でも有望視されている才児ライザー・フェニックスよ。さあ、消し飛ばしてあげましょう!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

ニコさん以外の全員でそう返事をして、それぞれの場所へと駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は体育館の演壇の裏側にいる。

 

コートには既に敵が待ち構えている。

 

こっちを見ているってことは俺達に気がついているみたいだな。

 

「ちょっと、どうすんのよ?」

 

「イッセー先輩」

 

「隠れてても仕方ないし、姿を見せますか」

 

そう言って、俺達は堂々と壇上に立つ。

 

コートには女性悪魔が4人。

 

チャイナドレスを来たお姉さんと、棍を持ったあの時の少女と、双子らしき小柄な娘達。

 

確か、チャイナドレスのお姉さんが戦車で、他の3人は兵士だった気がする。

 

すると、チャイナドレスのお姉さんが話しかけてきた。

 

「こちらが声をかける前に出てくるなんてね。随分潔いじゃない」

 

「まぁね。そっちも気が付いている以上、隠れてても時間の無駄だし」

 

「そう。ならさっさと始めましょうか」

 

「ふっふっふっ♪ その威勢の良さ、嫌いじゃないわ!」

 

ニコさんのルナドーパントめいた言葉を切っ掛けに相手は戦闘体制に入る。

 

「イッセー先輩とニコさんは兵士をお願いします。私は戦車を倒します」

 

「はいはい、分かったわよ」

 

「気を付けてな、小猫ちゃん」

 

「大丈夫です。イッセー先輩に鍛えてもらいましたから」

 

俺達三人はお互いの相手と対峙する。

 

俺とニコさんの目の前には兵士が3人。

 

少女は棍を構える。

 

そして、双子はチェーンソーをニコニコ顔で取り出す。

 

ドル、ドルルルルル!!

 

「解体しまーす♪」

 

「バラバラバラバラ!!」

 

双子は無邪気な声でそう言いながら突っ込んでくるので、俺とニコさんは横に転がって回避しつつドライバーを装着する。

 

《ジクウドライバー!》

 

《ドライバー・オン!プリーズ》

 

俺の腰にはジクウドライバーが巻かれ、ニコさんの腰には『ウィザードライバー』が現れる。

 

俺はジオウライドウォッチをドライバー右スロットに装着、ロックを外して独特な待機音を響かせて変身ポーズを取る。

 

「変身!!」

 

そして左手でドライバーを回す。

 

《ライダータイム!カメーンライダー!ジオウ…!》

 

《ジカンギレード!! ケン!!》

 

俺はジオウになると、ジカンギレードを召喚する。

 

 

ニコさんはベルトの左右のハンドルを操作して中央の手の形を左手の向きに変える。

 

《シャバドゥビタッチヘンシ~ン‼ シャバドゥビタッチヘンシ~ン‼》

 

「うっさ!?」

 

「ちょっと‼ その音何とかしてよッ‼‼」

 

双子が耳を塞いでそう言う。

 

うんまぁ、煩いよね。

 

「仕様だから諦めなさい。私はもう諦めたから…」

 

どこか遠くを見るような目をするニコさん。

 

なんだろう·······これどっかで見た光景だな。

 

あ、そうだ!

 

こことは違う異世界にいる善子さんとやりあった時に見た光景だ!

 

元気かなぁ·····向こうの俺やヴァーリ、千歌さん達。

 

ニコさんは左中指に赤い宝石の付いた指輪を填め、バイザーみたいなのを下ろす。

 

「変身‼」

 

そしてそれをベルトに翳した。

 

《フレイム・プリーズ!ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》

 

それから左手を横に伸ばし、描かれた魔法陣を潜ると、その姿を『仮面ライダーウィザード』へと変えた。

 

(BGM:イッツショータイム)

 

 

「さあ、ショータイムよ」

 

《コネクト・プリーズ》

 

更に小さな魔法陣から銀色の武器『ウィザーソードガン』を取り出してソードモードで構える。

 

「こしゃくな!」

 

そう言ったのは棍を持った少女···確かミラだったか?

 

ミラはウィザードに棍を突き出して真っ直ぐ向かっていくが、ウィザードはそれをソードガンで受け止める。

 

そして上に弾いて腹に蹴りを見舞う。

 

「そりゃ!」

 

「ぐっ!?」

 

後退するミラにウィザードはソードガンを右上から左下へ、そこから返す軌道で斬り上げ、最後に体を横にして回転しつつの振り下ろしを繰り出す。

 

「はぁァァ!!」

 

「ぐっ···!? つ、強い!?」

 

ミラはニコさんの強さに驚愕するが、すぐに大きく飛び退いて棍を構え直す。

 

それを見たウィザードは「はい無駄~」と言いながらベルトを操作。

 

《ルパッチマジックタッチゴー!バインド・プリーズ》

 

右中指に填めた指輪をドライバーに翳すと、ミラの周りに4つの魔方陣が現れ、そこから4つの鎖が伸びてミラを拘束する。

 

「しまった!」

 

まんまと再び捕まった事にミラは慌てて鎖を千切ろうとするが、ますます鎖は絡まっていく。

 

「次はこれね?」

 

ニコさんはそう言うと指輪を付け替え、ドライバーを動かして再び翳す。

 

《ルパッチマジックタッチゴー!ビッグ・プリーズ》

 

するとウィザードの前に魔方陣が現れ、そこにウィザードが右腕を突っ込むと、ミラの前に現れた魔方陣から巨大化したウィザードの右腕が出現。

 

ウィザードは容赦なくその右腕を振り下ろした。

 

「い、嫌ァァああああああああああ!!」

 

断末魔を上げてミラは潰され、地面とウィザードの掌が接触している所からリタイアの合図である光が漏れる。

 

『ライザーフェニックス様の「兵士」1名、リタイア』

 

「よくもミラを!」

 

「許さない!」

 

そう言って双子がチェーンソーを振り上げて向かって来る。

 

俺はそれを側転で避けて、ビルドのライドウォッチを手に取る。

 

「チェーンソーにはドリルだ!」

 

《ビルド!》

 

ビルドライドウォッチを起動すると左スロットに装填、素早く回す。

 

《アーマーターイム!ベストマッチ!ビ・ル・ドー!》

 

「なんか決まったー!」

 

俺はジオウ・ビルドアーマーに変わる。

 

「姿が変わったって!」

 

言って双子は同時にチェーンソーを振り下ろしてくるが、俺は右腕のドリルを回転させて受け止め、互いに火花を散らせる。

 

その隙に片方の腹に強烈な蹴りを入れ、後退させる。

 

「きゃっ!?」

 

もう片方には、未だ削り合ってるドリルを無理矢理振るってチェーンソーを弾き飛ばす。

 

「あっ」

 

飛んでいった武器に彼女が注意を向けてる間に、俺は高く飛び上がり、ジオウとビルドのボタンを押してドライバーを回す。

 

《フィニッシュターイム!ビルド!ボルテックターイムブレーク!!》

 

直後、双子を滅茶急カーブしたグラフが拘束して、俺はグラフの上に乗ってドリルを前に突き出して滑走。

 

本家ビルドが発生させていた数々の数式の代わりに「方てい式」「よくわからない式」「理解不能」「xとyがいっぱい」「1年生のときに習ったやつ」「おっπおっπ」など、もはや数式ですらないものを多数発生させ、それと共に俺は双子に突貫。

 

「おりゃああああああああ!」

 

「「きゃああああああああああ!!」」

 

双子をドリルで貫いて爆発を起こし、双子をリタイアさせた。

 

『ライザーフェニックス様の「兵士」2名、リタイア』

 

「よっと」

 

俺は着地すると、小猫ちゃんの方を見る。

 

どうやら小猫ちゃんの方も優勢らしく、戦車のチャイナお姉さんを地べたに這いつくばらせていた。

 

「ぐっ······うう·····」

 

「降参してください····」

 

更に立て続けにグレイフィアさんのアナウンスが聞こえた。

 

『ライザーフェニックス様の「兵士」三名、リタイア』

 

そして俺達に通信が入る。

 

『イッセー君、こっちは終わったよ』

 

木場だ。

 

やっぱり今のは木場がやったらしい。

 

「みたいだな。待ち合わせは運動場な。先に行っといてくれ。直ぐに行くよ」

 

『了解。先に行って待っておくよ』

 

木場との通信を終えた俺は、ウィザードと共に小猫ちゃんの所に行く。

 

「行くよ小猫ちゃん」

 

「はい」 

 

そして外に出ようとしたが、俺はあることを思い出して、ニコさんに話しかける。

 

「ニコさん、体育館を出て体育館を壊した後、ちょっとお願いがあるんです」

 

「何よ?」

 

「実は───なんで、お願いします」

 

「分かったわ」

 

これから起こる最悪を回避する為に、俺はニコさんにお願いをしてから、今度こそ体育館を後にした。

 

《ビッグ・プリーズ》

 

外に出ると、ニコさんが再びビッグの魔法で体育館を破壊。

 

ニ「ふぃ~」

 

『ライザー・フェニックス様の「戦車」1名、リタイア』

 

アナウンスが鳴り、先程のチャイナお姉さんがリタイアしたことが伝えられる。

 

「体育館も破壊できたし、木場のところに急ぐか」

 

「そうですね」

 

体育館を破壊したところで、作戦の第一段階は終わった。

 

そして、俺達が木場が待つ運動場に向かおうとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

ドォンッッ!!

 

 

 

 

 

 

俺達を爆撃が襲った。

 

やっぱりこうなるか。

 

でも。

 

「ふふふ………。狩りを終えて油断した獲物は一番狩りやすい。これは戦いの基本よ。こちらは多少の駒を犠牲····サクリファイスにしてもあなた達を狩れれば十分よ。駒を一つ失うだけでそちらには大打撃なのだから」

 

《ディフェンド・プリーズ》

 

「だとしたら甘いわね。私達はその先を行ってるわよ?」

 

ニコさんの声と共に巻き起こる煙と埃を炎の渦が払って、俺達は姿を現す。

 

「なっ!?」

 

向こうは相当驚いているな。

 

不意を突き、直撃を確信したのにも関わらず、俺もウィザードも小猫ちゃんも平然としているんだからな。

 

まぁ、こうなる事は既に予測済みの経験済み。

 

だからニコさんにお願いして、ウィザードの防御魔方陣で攻撃が当たる直前に防いで貰ったのだ。

 

俺はライザーの女王に言う。

 

「悪いな。こっちは全てを知っている」

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォンッッ!!

 

 

 

 

 

 

 

今度はライザーの女王を雷撃が襲った。

 

そして、黒焦げの状態で体から煙をあげながら落下してくる。

 

上空には巫女服姿の朱乃。

 

「ナイスタイミングです、朱乃さん」

 

「ええ。イッセー君の合図が良かったのですわ」

 

敵は俺達が最も油断すると思われるタイミングで仕掛けてくる。

 

俺はそれを知識として知っていたからこそ、それを利用させてもらった。

 

おかげでライザーの女王に大ダメージを与えることが出来た。

 

ただ、直前に不完全ながらも魔力障壁を張ったおかげで、リタイアにならずにすんだようだけど。

 

「あのタイミングで障壁を張れるとは思わなかったよ」

 

「くっ………よくもやってくれたわね………ッ」

 

地に伏せながら女王は睨んでくる。

 

すると、懐から一つの小瓶を取り出した。

 

まさかあれは!?

 

「あれは………フェニックスの涙!」

 

朱乃がそう呟いた。

 

やっぱりか。

 

女王が自身に中身を振り掛けると傷があっという間に消えていった。

 

ニ「何あれ!? ズルくない!?」

 

ごもっともです。

 

って言うか蒼輔の奴、前世でもライザーの女王はこれを使ったと思うが、よく勝てたな。

 

「あなた達、覚悟してもらうわよ。この私に恥をかかせたのだから」

 

女王は立ち上がって俺達に敵意を向けてくる。

 

すると、朱乃が俺達の前に降りてきた。

 

「予定通り、彼女の相手は私が引き受けます。イッセー君と小猫ちゃん、ニコさんは祐斗くんの救援へ向かってください。私も修行の成果を見せつけてやりますわ」

 

朱乃の体から金色のオーラが発せられる。

 

纏うオーラが修業前とは明らかに違う。

 

「了解。朱乃さん······いや朱乃、ここは任せます!」

 

そう言って、俺達三人は運動場に向かって走り出す。

 

「あらあら。ようやく一時でも呼び捨てにしてくれるなんて·······嬉しすぎて私、燃えちゃいますわ♪」

 

その直後に背後から激しい爆音と雷鳴が鳴り響いた。

 

『相棒、あれ狙ったろ?』

 

さぁ?

 

 

 


 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。