新訳・とある時王のハイスクール   作:海神アグル

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episode10

ゲーム終了後。

 

転移した後、凛さんはすぐにディケイドのオーロラを通って人間界に帰っていき、俺はとある医療施設に来ていた。

 

施設の廊下を歩き、とある病室の前で一度立ち止まる。

 

部屋にいる人の名前を確認してドアをノックする。

 

『どーぞ』

 

部屋の中から気だるげな声が聞こえてくる。

 

俺はドアを開けて中に入った。

 

部屋の壁や天井は白色で窓からは紫色の空が見えた。

 

ベッドの脇には小さな棚がある。

 

その上にはバナナ。

 

これは差し入れか?

 

「よう、匙。具合はどうよ?」

 

「もう最悪。体のあちこちが痛ぇよ」

 

そう、部屋にいたのは匙だ。

 

体中を包帯でグルグルに巻かれて、点滴を打っている。

 

うーん、包帯の白色ってここまでくると痛々しいな……。

 

「俺の必殺技を二度も受けたんだ。そりゃ、そうなるさ。……にしても無茶をしたもんだな。自分の命を力に変換するなんてよ」

 

「まぁな。そうでもしないと俺はお前と戦うことができなかった。いや、それでもお前に手も足もでなかったよ……」

 

下を向き、ため息をつく匙。

 

「それは……仕方ないんじゃないか?」

 

俺がそう言うと匙は首を横に振った。

 

「それじゃあダメなんだよ……。俺は会長に絶対勝つって約束したんだ。絶対に勝って勝利に導くってさ……。それなのに結局、俺は何もできなかった……」

 

そう言うと匙は拳を強く握る。

 

血が滲むほど強く。

 

「悔しいか?」

 

「ああっ!悔しいよ!当然だろ!」

 

「そうか……」

 

俺はそこで一旦息を吐く。

 

そして、匙の眼を見て言った。

 

「だったら、その気持ちを忘れるな。その気持ちを持ち続ける限り、お前はまだまだ強くなれるよ。お前はまだ弱い。これからも負けることもある。それは当然だ。世界には強い奴なんていくらでもいるんだからな。だけどな、負けてもそれを次の糧にすればいい。そうすればいずれ勝てる」

 

「………流石、会長から聞いたけど、一年先までの未来の出来事を経験してる奴は言うことが違うな」

 

「そうか?いや、そうかもな」

 

俺と匙は軽く笑った。

 

でも、匙の眼には灯が灯っていた。

 

ゲームの前の時よりもさらに強い灯が。

 

どうやら、気合いを入れ直したみたいだ。

 

「ほっほっほ。男同士の友情……良いもんじゃのう」

 

「「っ!?」」

 

この声は!?

 

見るとそこには、しわくちゃの爺さんがいた。

 

オーディンの爺さんじゃねぇか!

 

匙が訊ねる。

 

「爺さん、誰だ?」

 

それに俺が答える。

 

「あの爺はオーディン。北欧の主神だよ」

 

「お、オーディン!?」

 

匙は目を見開いた。

 

まぁ驚くのも無理はない。

 

なんせ相手は北欧の主神なんだからな。

 

「ほう……ワシの事を知っとるとは、流石ジオウじゃな」

 

「もうオーディン様!今から魔王様達との会合でしょう!?」

 

その後に、スーツを着た銀髪のお姉さん、ロスヴァイセが現れた。

 

久しぶりだな、生きてる彼女を見るのも。

 

相変わらず綺麗だ。

 

「わかっとるわい。全く口煩くてなぁ……」

 

「何ですって!?」

 

「何でもありましぇん」

 

うわ、白々しい!

 

「まぁ、また会えるじゃろうて。じゃあの仮面ライダージオウ、ヴリトラの主よ」

 

そう言って、オーディンとロスヴァイセは去って行った。

 

「……お前、やっぱ凄いよな。北欧の神様引き連れて来るもん」

 

「止めてくれ……」

 

もう面倒事は真っ平だ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

八月後半。

 

俺達グレモリー眷属とレイヴェルは、本邸前の駅で冥界とのお別れの時を迎えようとしていた。

 

「それでは、イッセー君。また、会える日を楽しみにしているよ。いつでも気兼ねなく来てくれ。君のご両親にもよろしく言っておいてもらえるかな?」

 

大勢の使用人を後ろに待機させて、リアスの父、ジオティクスさんがそう言ってくれる。

 

「はい。伝えておきます」

 

次はヴェネラナさんが言う。

 

「イッセーさん、人間界ではリアスの事、よろしくお願いしますわね。娘はちょっと我が儘なところがあるものだから、心配で」

 

「お、お母様!? な、何を仰るのですか!」

 

リアスは顔を真っ赤にしていた。

 

うーん、可愛いなリアス!

 

「もちろんです」

 

俺は頷いた。

 

リアスは俺の大切な恋人だ。

 

今度こそ、絶対に守り抜く。

 

「リアス、残りの夏休み、手紙くらいは送りなさい」

 

サーゼクス様がミリキャスを抱えながら言う。

 

そのすぐ後ろにはグレイフィアさんが待機していた。

 

「はい、お兄様。ミリキャスも元気にね」

 

「うん、リアス姉さま!」

 

こうして俺達は冥界をグレモリー家の電車で旅立った。

 

因みにこの道中、小猫ちゃんが猫耳出して、俺の膝の上に終始乗っていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

そしてようやく到着。

 

すると、ホームに降りた俺達の前に突如人影が!

 

それはあのクソ野郎、ディオドラだった!

 

この野郎!

 

どの面下げてここに来やがった!?

 

ディオドラはアーシアに近づく。

 

「やぁ。アーシア」

 

「貴方は……?」

 

よーし、こうなったらあれをお見舞いしてやる。

 

俺は数歩後方に下がり、腰を落とす。

 

そしてジャンプ!

 

「この傷を見てくれれば分かると思う。僕はあの時、君に救われた悪魔だ」

 

ディオドラは露出狂みたく胸元の大きな傷跡を見せる。

 

俺はそんなディオドラに向かって空中でライダーキックの体勢になる。

 

「もしかして……ディオドラ?」

 

「あぁ。あの時は済まなかったね。会合の際に挨拶できれば良かったのだけれど………僕はずっと君にお礼を言いたかった。そして……」

 

奴はアーシアの手の甲にキスしようと、その手を取る。

 

「君と出会えたのはきっと運命だ。どうか僕の「食らいやがれぇぇぇぇ!!」…げぼあぁぁ!?」

 

『イッセー(さん/君/先輩)!!?』

 

奴がアーシアにプロポーズするタイミングを見計らって、奴の顔面にライダーキックを食らわした!

 

その威力にディオドラは顔面スライディングを決め、リアス達眷属は声を揃えて驚愕という名のツッコミを披露。

 

レイヴェルは親指を立ててくれて、ドライグからは『よくやった相棒』という称賛を頂いた。

 

 

一誠sideoff

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎side

 

 

東京都内某所の某喫茶店。

 

喫茶店内は優雅なティータイムを満喫するための客で殆どの席が埋まっている。

 

コーヒーや紅茶の香ばしい匂いが漂い、程よい空調温度と落ち着きのあるジャズ音楽によって、リラクゼーション効果が半端ではない。

 

そんな喫茶店のとある一席。

 

そこに3人の女性がいた。

 

一人は赤茶髪のショートヘアーで、顔立ちはどこか穂乃果に似ている。

 

もう一人は金髪セミロングで、その顔立ちはどこか絵里に似ている。

 

それもそのはず。

 

赤茶髪の女性は穂乃果の妹で【高坂 雪穂】と言い、金髪の女性は絵里の妹で【絢瀬 亜里沙】と言う名である。

 

現在は2人とも結婚しており、それぞれ【海東 雪穂】と【綺羅 亜里沙】に改名している。

 

最後の一人は茶髪セミロングで側頭部にシニヨンリボンを2つ着け、チャイナドレスを着た女性だ。

 

名前は【天青 華】。

 

何を隠そう、あの天青竜司の妹の一人である。

 

そんな3人だが、雪穂と華はのんびりコーヒーを味わい、亜里沙はグデーとテーブルに頬を預けていた。

 

「……士に会いたい……」

 

ボソッと亜里沙がそう呟いた。

 

それに雪穂がジト目で返す。

 

「それ何度目だと思ってるの?亜里沙」

 

「会いたい会いたい会いたーーーい!!」

 

遂には顔をガバッと上げ、駄々っ子のように両手をバンバンテーブルに叩きつけ、両足をばたつかせる亜里沙。

 

知ってる人から見れば、いい年した女性が何をしているんだかと思うような行動だった。

 

それを見た華は溜め息を吐いて、亜里沙の頭に軽いチョップをお見舞いする。

 

「ていっ」

 

「あうっ!? 何するの華!」

 

「亜里沙、他のお客さんに迷惑」

 

「うぅ~……」

 

正論を言われ、見るからに落ち込む亜里沙。

 

夫大好きの亜里沙にとって、夫の長期不在は堪えるものがあった。

 

その気持ちは、同じく夫が長期不在の雪穂にも、ブラコン妹の華にも分かるものがあったので、あまり強くは言えなかった。

 

そんな時、不意に華は背後に気配を感じた。

 

おもむろに振り返ると、そこには黒いズボンに黒いジャケット、その下にマゼンタのシャツを着た、首から2眼レフカメラを下げた男性が立っていた。

 

華はその男性を確認すると、口をニンマリ笑まして亜里沙に言う。

 

「噂をすればなんとやらだよ、亜里沙」

 

「ほぇ?」

 

華の言うことが分からず、そちらに振り向いた亜里沙。

 

直後に、その顔は喜びに変わる。

 

「士!」

 

対して雪穂は驚きを見せた。

 

「士君!?」

 

その反応に満足したのか、噂の渦中であった亜里沙の夫である男性【綺羅 士】は悪人のように笑い、3人に話しかける。

 

「久しぶりだな?雪穂、華。そしてただいま、亜里沙」

 

「士ぁぁぁぁ!!」

 

喜びのあまり亜里沙は士に勢いよく抱きつく。

 

「ぐっ!?」

 

体の細さがもやし並の士にとって、それは大きな衝撃になったが、何とか踏ん張って耐えると、亜里沙と雪穂に言う。

 

「単刀直入に言う。亜里沙、雪穂、お前達に手伝ってほしい事がある」

 

「「…………はい?」」

 

 

 




絵「まさか亜里沙に出番取られるとは……ガックシ」

希「気をしっかり持つんやエリチ!」

海「にしても懐かしいキャラクターが出ましたね」

穂「そうだね~。華ちゃんとか本当に久しぶりだよ~」

こ「私達μ'sが主軸だった物語以来だよね」

真「確かに」

凛「ではこの辺で!バイバイにゃ!」

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