ドン!!!と言う音と共に、俺は倒れ込む。そのまま教室に駆け入った倅屋は教室の扉を閉め切り、鍵をかける。
「……っ、んだよ…あれ……!!?」
「…何ですらないだろ。…まぁなんだ、助かった…有難う」
「……たまたま鉢合わせたしな。見知った顔がいたらそりゃ、助けんだろ」
倅屋はそう言うと、扉からゆっくり離れて近くの椅子に座った。俺も床から起き上がり、近くの椅子に座って落ち着く。
まず、状況整理をしよう
「……で、だ。まず、何があってああなってたんだ?」
「分かる範囲で言うなら……今朝、一旦家に帰ろうとしたらスマホの電波が圏外だし、ニュースにもなってねぇから気になって街中歩いてみたら、あの変な鳥に…」
そこまで言うと倅屋は小さく顔を顰める。そこから先は、逃げ続け、同様に不審に思い外を出歩いた俺とたまたま出会った、という訳なのだろう。
その結果、学校に逃げ込むことになったのだが
「……あの鳥は、何なんだ…?」
「…………俺、なんか…あの鳥、見覚えあるんだ」
倅屋はそう言うと、机に肘を着く。俺は倅屋を見て、その言葉の先を待つ。
「……あんな、シマエナガかと思ったら腹から口が割くようなやつ、普通ないぞ」
「…わからない、けど…けど、どこかで…」
倅屋はそう言って頭を抱える。俺はそんな倅屋から目を離し、辺りを見渡す。ここは学校の教室…なのは確かだが、それにしたって少し、違和感がある
七親【アイデアロール】:成功値45
1d100→83 失敗
「……倅屋」
「な、なんだ?」
「教室に何か、こう、違和感みたいなの感じないか?」
「違和感……?」
俺がそう促すと、倅屋は抱えてた頭を上げて、教室全体を見渡す
倅屋【アイデアロール】:成功値??
1d100→プラス補正により自動成功
「……あれ?…ここ、何処だ!?」
倅屋はそういうと、椅子から立ち上がり教室を見回して驚いた表情を見せる。俺は訳が分からず、立ち上がりながら倅屋に問いかける
「どこ、って、学校の教室だろう? 」
「違う!!うちの学校の教室じゃない!……こんなにボロくねぇし椅子もこんなに少なくない!」
倅屋にそう言われ、俺はふと気付く。
確かに昨日、ちらっと校舎を見た感じだと、多少年季はあれど、木造建ての校舎ではなかった記憶はある。あんなに見た目は大きい学校なら、大人数教室に構えても可笑しくないが、この教室はどう見ても十人程度しか机と椅子がない
「……俺達、昨日の学校に、逃げ込んだんだよな?」
「…その、はず…なんだけど」
俺達はようやく、あの鳥から逃れられたと言うのに、今度は安全だと思い込んでいたこの学校さえ、なにかが可笑しいと、歪んでいるという現実に気が付く。
俺達の心にはまだ、安堵は許されないようだった
倅屋、七親【SANチェック】:成功値??
1d100→88、58
双方失敗、1d3の減少
七親:47→44、倅屋:??→??
「……探索するか?」
「鳥の気配だけ、常に警戒しておこう」
俺がそう言うと、倅屋は当たり前だと言うように俺の後ろを着いて歩いてきた。
七親、倅屋【聞き耳ロール】:成功値??
1d100→43、84
双方失敗
「…わかるか?倅屋」
「……すまねぇ、耳は良い方なんだが…」
二人並んで教室の外に聞き耳を立てるも、二人とも聞こえたかどうかはわからない。仕方ないか、と考え俺は鍵をあけ、扉を開く。その先に続く廊下を見渡しても、あの鳥の姿はどこにもない。諦めてどこかに行ってくれたんだろうか
「……行くか」
「右行くか?左行くか?」
「適当だ、左」
来た道から戻らない方向へと俺が足を向けると、倅屋は後ろから歩いてくる。こうして見ると何かの、RPGゲームのように見えてくるが、実際の世界観は酷いものだ
「そう、いえば……七親さん、あんたのそれ、素か?」
ふと倅屋に思い出したように問われ、俺は顔だけ倅屋の方に向けて見る。倅屋は俺を見上げてじっと見ており、その様子からして返答を待っているようだった
「…慌ててると、敬語なんて忘れるもんだ」
「…そうか。まぁ、そのままで話してくれよ。俺はその方が話しやすいしさ」
倅屋はそう言うと、楽しそうに笑った。俺は倅屋から顔を逸らし、前を向いて歩みを進める。そうして数分歩いて、ふと俺は立ち止まり影に隠れる。倅屋も俺に倣って、俺に小声で話しかける
「ど、どうしたんだ?」
「この教室から今、話し声が聞こえた……人がいる」
俺はそう言うと、扉にそっと耳を当てる。倅屋も足音を立てぬように歩み寄り、聞き耳を立てる
七親、倅屋【聞き耳ロール】:成功値??
1d100→9、90
七親のみ成功
「……そこそこ居るな」
「…ぜん、っぜん聞こえねぇ…」
「…どうする?入るか」
「……俺は入ってみて良いと思うぞ。なんか、あるかもしれねぁだろ…俺達と同じ境遇の奴がいる可能性だってある」
「それもそう、だな」
俺達は立ち上がり、教室の扉を見つめる。そうして、俺は静かに木製の扉にノックした。
ノックしても止まない、なにかの話し声。俺は構わず扉を流し、開いた
その先には、普通の教室があった。
その教室には何人かの制服を着た男女が椅子に座り、机に肘ついて頭を抱えたり突っ伏したり、またはぼうっと座ってどこかを見つめていたり。
黒板の前、教卓の前には一人のスーツを着込んだ男が椅子に座っており、教室の隅には、皺だらけの老婆がロッキングチェアに腰掛けている。どうやら話し声の正体は、その老婆のようで老婆は絶え間なく何か、ずっとぼそぼそと話し続けている
「……なんなんだ…」
俺が思わずそう呟くと、ふとスーツ姿の男が俺達の方を見て、読んでいた本を閉じて立ち上がり声を掛ける
「ああ、客が居たか。すまない、気付かなかった」
「いや、それは構わないが…それよりも、ここは何だ?…こいつらは、何だ?」
「…ここは端的に言えば、とある学校の中だ。ここは特殊でね……話そうとしたら長くなる。それに、俺はそれについて詳しくは言えない立場なんだ」
スーツ姿男はそう言うと、困ったように微笑む。
俺は思わずその言葉に顔を顰めて、男に問掛ける
「…お前、あの変な夢の主催者側か?」
「…そうとも言えなくはない、かな。まぁ解釈は好きにしてくれて構わない……俺はただの敵とかじゃなくて、君達の、助っ人みたいなものだから」
「じゃあこの変な現状の打開策を教えてくれ」
「それは俺の役割には無い。……すまない、俺の役割は、これから先行くべき場所を伝える事、だけなんだ」
「…その言い方だとさ、あんた以外に助っ人がいる、って事にならないか?」
倅屋がそう言うと、スーツ姿の男は頷く。
「俺以外にもこの街にはあと、二人ほど助っ人がいる。…まぁ約一名はちょっと、別件で手放せない用事があるらしいから、来れるのは……数日後じゃないかな」
「それいいのかよ……」
「仕方ない。決まり事みたいな所は、あるからね」
スーツ姿の男はそう言うと、困ったように肩を竦めて笑う。
ふと俺は、教室を見渡し、机に座り込んだままの生徒、と思わしき彼らを見て問いかける
「…聞けるかは知らんが、この、女子生徒男子生徒と思わしき彼らは、一体どうしたんだ?」
「"この場所"の影響だろうね。ゲーム参加者以外がこの学校に居ると、皆ああなってしまう……ここでこうなってしまった彼らはもう、元には戻らないよ」
そう言うと、スーツ姿の男は本に目を向けた。
倅屋はそんな男を見て、ふと思い出したように問いかけた
「……そういや、あんたはなんて名前なんだ?」
スーツ姿の男はそう聞かれると、ふと老婆の方を見てから少し考え込むように黙って、そしてすぐに答えた
「俺は、安室零。元、警官だよ」
七親視点
もうなんか書きたいところだけ書いて終わりたい気もするが頑張ります