あなたは今日から1年以内に死ぬでしょう。   作:伝説の白髪

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何度か投稿して、消して、また投稿です。
今回は消さないよう努力します。




努力しますって言葉は、空っぽだよね。


死の宣告をされました [2XXX/3/2]

本当に何もしてこなかった人生だった。

余命宣告をされてから替える途中、歩きながらそう思った。

起承転結でこれまでを語るには、あまりにも中身がなさすぎたようだ。

今日で20歳になるが、特にやりたいことも、なりたいものもない。

 

周りを見ると、親子の歩行者が目に入る。笑いながら手を繋いで、何かを話しながら私とすれ違った。

ただただ周りに流されて、自分からは何もしてこなかった。

でも死のうだなんて思ったこともないし、生きたくないなんて思ったこともない。

 

ただ、死んでもよかった。

 

他人に迷惑をかけずにだったら、死んでもいいやと思っていた。

 

左を見ると、高いビルが見えた。まだ夕方だからか、当然のように窓からは光が溢れている。

私のような人間が一人死んだところで、誰かに不幸が訪れるわけでもないし、迷惑をかけることもないだろうから。

私はおそらく、私自身を"生きていても替えの効くもの"だと思っている。

 

でも、生きていてもいい。

 

私一人死んだところで誰かが幸福になるわけでもない。

私には"価値"が無いのだ。金ならば金銭という"役割"があって、ゴミならば捨てられる"役割"があるだろう。

私は何者でも無いのかもしれない。だって、世界には何事にも役割があって、普通、誰もがそれを持っている。

私にはそれが無い。ただ生きているだけだ。

 

だからこの宣告は私にとって良いものだったのかもしれない。

私は建物の窓に映る私を見た。空っぽだった。

何者でも無い私は、これからもずっと何かをすることも、何かになることも決して無いだろうからだ。

 

なぜなら、今まで私は何もしてこなかったからだ。これから何かを出来ると言うには、説得力があまりに無さすぎる。

 

 

*

 

 

「お前が過ごした時間は誰のものだ? お前だけのものでは無いだろう!?」

 

私は帰宅するために駅に向かっていた時、すれ違った男に腕を掴まれた。お互いに顔を向き合わせると、男がとても不機嫌なことがすぐわかった。

 

腕を掴まれたまま駅の近くの人気がないところに連れて行かれ、そして怒鳴られた。

私は困惑していた。男が私に説教する理由など思い当たらないからだ。

私は男に尋ねた。

 

「お前が、今にも死にそうな顔をしていたからだ」

 

今時、そんな理由で他人の厄介ごとに頭を突っ込む人は少ないと思う。

人間は面倒ごとを嫌う。普通の人間は安定を好む。もちろん私と男が顔見知りなら話は違うと思うが。

もちろんこの男と私は面識がない。それどころか私には知り合いが一人としていないことを自覚している。少なくとも、私は覚えていない。

 

「おい、聞いてんのか」

 

頭を両手で挟むようにして私の視線を下から元に戻す。男の目には怒り、疑問といった感情が読み取れた。

男のさっき言った言葉を思い出す。確かに私はこれまでの時間全てを無駄にしてきた。しかし、それは誰のものでもないと断言できる。なぜなら私は今まで誰とも関係を築いたことがないからだ。恋人、友人、家族、いずれにせよ、私には誰かとそういった関係になったという記憶はない。

 

「・・・お前には、記憶がないということか?」

 

男は表情を少し緩めると、ゆっくりと両手を下ろし、無表情で聞いてきた。

 

それは違う。私はこれまで一人で生きてきただけだ。誰にも頼れず、助けられず、いや、助けられる努力もしなかったから。流石に幼少期の頃の記憶はないが、記憶に違和感などを感じないため、記憶喪失のような病気にはなっていないだろう。

 

それに、勘違いされているようだが、私は死ぬつもりなど毛頭ないのだ。ただいつも通り帰宅をしようとしていただけで。

 

男は私の目を見ている。私の両目は前髪でほぼ隠れているけれど、しっかりと目はあっていた。

男は口を開いた。

 

「お前、何か仕事をしているのか?」

 

首を横に振る。私は何もしていない。

 

「・・・金はどうやって手に入れている」

 

私が普通じゃない方法で金を入手していると思ったのだろう。

私は男に唯一の所持品であるカードを見せる。カードには私の顔と、数字が載っている。このカードが、私の財布替わりになっている。

 

私の最初の記憶は4歳の時だ。部屋でぽつんと一人で立っていて、目の前にある唯一の家具であるテーブルの上にはこのカードが置いてあった。以来、私の部屋と私の中身は何も変わっていない。変わっているのは、世界と、私の外見だけだ。

 

「ウィーウェル 、これがお前の名前か?」

 

私はゆっくりと頷く。カードには写真と数字と、その"ウィーウェル "という文字だけが載っている。つまり、私の名前は"ウィーウェル "なのだろう。

 

しかし、私は名前の重要度を理解できていない。世界的に見ても名前というのは個人を特定するための立派なアイデンティティであり、同時に自己を証明することもできるのかもしれない。しかし、私は私一人で生きてきてしまったため、重要だとか、大切といった感覚をあまり持つことができない。猫が小判を金銭として大切にしないように、豚が真珠に価値を持たないように。

 

「お前はこれからどうするつもりだ?」

 

どうするつもりか。家に帰るだけだが。

 

「帰ったあとはどうするんだ」

 

何もしない。何もできない。私はこれまで、そうだったから。

 

「変えようとは思わないのか」

 

変えようと思ったこともないし、変えられると思ったこともない。

 

「それでいいのか」

 

どうでもいいと思っている。

今言ってみて気づいたが、私は結局、"諦めている"だけなのだろう。何かをすることも、生きることも、死ぬことも。私は一年後に死ぬから諦めている訳ではないのだろう。私は、"変わる"ことを諦めているのだろう。

私はこれからも、このカードを使って生きていくのだろう。そして、1年後に死ぬ。何もせず。何もできず。それでいいのかと問われたら、やはり、どうでもいいと思うのだろう。

 

「そうか、それならばなぜお前は」

 

 

 

泣いているんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え。

 

 

 

私は自分の頰に触れる。確かに、濡れている。

私はなぜ、泣いているのか。

私は、私自身の人生をどうでもいいと思っている。それは、確かだ。

だけど、なぜか涙が止まらない。

悲しくもなく、辛くもなく、ただただ、涙だけが流れ続ける。

 

「お前は・・・違うな、自分の心を理解できていない。

本当は、変わりたいんじゃないのか?」

   

 

 

体がゾワっとした。

そんなことはない、と私は否定できなかった。

体が軽くなったような感覚を瞬間、感じた。

今まで心が揺らぐことなど一度もなかったのに、生まれて初めて、私は何かが変わった気がした。

 

今まで"私"を言葉にしたことなど、一度もなかった。いつも一人でいたから。いつもあの部屋で、何もせずにいたから。

変われると思うことも、変わろうともしていなかった"私"は、こんなきっかけとも言えない、ただ言葉を発しただけで、変わろうとしているのか。

それとも、ただただ壊れただけなのか。

男の言うように、限界だったのかもしれない。

 

だけど、私は変われるのだろうか。そんなことを考えてしまっていいのか。私なんかが、希望を持っていいのか。

私は否定して欲しかった。その方が、楽だと分かりきっているから。

でも、もしも・・・

 

「変われるか、じゃないだろうが、変わるんだよ。お前は今、判断や決意一つで変わることができる。その可能性を持っている。つまり、変わるきっかけをお前は手にした。

もしも変われないようなら、それはその程度の決意ということだ。それでお前は、どうしたい?」

 

覚悟を持って、変わるか。

何もせずに、停滞するか。

 

 

 

私は、誰かの役に立ちたかった。

ふと、そんな気持ちを思い出した。

いつの間にか忘れてしまった想い。思い出せなかったもの。思い出そうとしなかったもの。

 

だけど、私が忘れなかったもの。

 

 

 

私は、誰かの役に立ちたい。

私は男の両目をしっかりと見た。

 

「ならば行動しろ、その決意、その想いを形にしろ。思っただけ、考えただけになるな。行動してこそ全てだ。結果を出せ、成功でも失敗でもいい。成功も失敗もしない中途半端なんてのは、一番ダメなんだ。必ず結果を出せ。そうすればお前はきっと、その気持ちに応えることができるのだろうよ」

 

私自身の気持ちに、私の行動を持って応える。そのためには、行動を起こす。結果を出す。

私は気持ちを固める。

私は、やる。

 

男は私を見てにっと笑った。何かを見つけたような目をしていた。

 

「自己紹介がまだだったなウィーウェル 。

俺の名前はベリー、この町で探偵をやっている」

 

男はわざとらしい咳払いをすると、私の目をしっかりと見ながら芯の通ったような表情をした。

 

「そこでだ、ウィーウェル 。お前

俺の職場に来ねえか?」

 

男はそう言いながらこちらに手を差し伸べた。

 

 

 

私は、男の手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

私は思う。私はこれから変われるのだろう。だけど、結局はまた、自分から行動せずに、受け身でしかなかったのだと。

確かに私は変わった。今までの何もしない私からは脱却したのだろう。この男についていくことで、それは形にできるのだろう。

 

でもそれは結局、私自身で私を変えたわけではないということだ。

大きく変われたと勘違いするのは、比較対象が最底辺だからだ。

でも私は、ほんの少し前進できたのだろう。それに、

 

変われる事が、何よりも嬉しい。




ブレブレ
描くの遅い
本編に入れてない
書くかわからない
日本語大丈夫なのか
内面の描写大丈夫じゃない

これは後悔なのか、反省なのか




感想や誤字脱字報告=作者の感謝
です

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