後悔はしてない!!!!
『いいかい、君は君だよ? そりゃまあ別の人物というか人外?になってるから仕方ないけどだけど、その中身は君自身なんだ。 誰かが言ってたけど "自分は自分にしかなれない" ってね。 だからさ、君はいつか君になればいいんだよ姿かたちが違う生き物でも根っこは君なんだからさ』
朧気な記憶の中、ただずっと心の中に留まり続ける。 そんな言葉が思い起こされる・・・
〇
星々が輝く夜空の下、ライダージャケットを着込んだ青年が夜の街を見下ろしていた。
「今日はなしか……」
そう呟き、屋上の縁から片足をおろし背中を向けようとするとどこからともなくコーカサスオオカブトを思わせる金色の機械的な昆虫が飛んできた。
「来たか」
それを見ると青年は下ろそうとしていた足を戻し、そこから飛び降りる。
常人ならば着地した瞬間にひき肉となるはずだが、青年は特に変わった様子もなく着地した。
それといつの間にか彼の傍には金色を基調としながら落ち着いたデザインのバイクが止まっており、ヘルメットを被るとそれに乗る。
そして少し走り出すと遠くから警報の音が鳴り響いた。
「やはりお前より遅いな ”コーカサス”」
そう呟きつつ、青年は片手をバイクのグリップから外し横へ掲げる。
すると黄金の光が手元に。
彼は一拍置くと───
「変身」
『HENSHIN』
瞬間、彼の体を閃光が包む。
光を掻き消すようにバイクが飛び出すと、その座席には先程の青年の姿はない。
──頭部は三本の短いツノと昆虫の複眼を模したナニカ
──肩から足にかけて銀色の鎧になっているが、右肩の方は大きくナニカを包むようなショルダーアーマー
──そして、腰には先程の光が
「さて、やるとするか」
呟き、その視線の先にあるのはカラフルなマスコットの姿かたちをする存在たち。
しかし、実態は触れるだけで人間を殺す災厄 "ノイズ"
その群れに対して、恐れることなくバイクのアクセルを握りさらに加速させ突っ込んでいく。
「キャストオフ」
その途中ベルトに装着された ”コーカサスゼクター”
その3本あるうちの上2本のゼクターホーンを弾く。
これにより全身の装甲の隙間にプラズマが走り僅かに浮き上がると、残った中央の角を真横へとたおす。
『CAST OFF』
ゼクターから電子音が流れ、全身の装甲がノイズたちに向け弾き飛び何体かをを巻き込んで灰化させる。
『CHANGE BEATLE!』
先程までの重装甲とは打って変わった軽装へと変わる。
重々しかった銀の装甲は全て排され、代わりに動きやすい黄金のプロテクターとなり。
右肩のショルダーアーマーは鋭いスパイクアーマーに。
頭部には顎を起点に巨大なツノがせせりあがり、装着されると3つにわかれ一際強くコンパウンドアイが発光し周囲へ衝撃波を放つ。
更に、それに連動しバイクのアーマー部分もすべてパージする。
前輪部分のタイヤが中心から2つに別れ、三本の長大なブレードがせせり出す。
コーカサスエクステンダーはマスクドモードから戦闘形態のエクスモードへの変形を完了させる。
そして、三本のヒヒイロノカネ製のエクスアンカーにタキオン粒子が収束させプラズマを放つ。
その一撃必殺の突進は悉く行く手を阻むノイズを灰塵へと還し、かなりの距離を進んだところでようやく止まりその席から戦士はゆっくりと降りた。
「さあ、
ぼそりとマスクの下でつぶやいた言葉は戦場の音に掻き消され、戦士はその奥底に秘めた力を開放させる。
○
煤や火の粉が舞う戦場の跡地に一つの影が現れる。
「……また、か」
剣や刀を思わせるプロテクターを纏い、蒼い少女は目の前の光景を見て呟く。
「こちら ”風鳴翼” ノイズは確認できませんが煤と戦った後の痕跡。それと同様のタイヤ痕から恐らく ”彼” の仕業かと思います」
少女は周囲の確認のため歩きながらインカムに向け報告し出す。
『こちら本部、了解だ翼。後始末は一課のまかせて至急帰投してくれ』
「了解しました」
通信を切り、最後に翼と呼ばれた少女は目の前の惨状を見渡して呟く。
「貴方は一体何者なの?」
○
ある戦士の話をしよう。
いわく、彼は突如としてその姿を現し、通常兵器のきかないノイズを倒す。
いわく、彼が現れる前は必ず黄金の光がどこからともなく表れる。
いわく、一瞬だけ目を閉じたときには煤しかその場には残っていない。
いわく、彼は必ずバイクに乗ってくる。
いわく、彼は誰にも素顔を見せずマスクをつけている。
さまざまな話から、人々は彼に対し畏敬の念を込めこう呼んだ三本角の黄金の戦士 ”仮面ライダー” と……
感想とかアドバイス、批評を待ってます。本当に