まあ、そんなことは置いておいて、やっと第一話です。遅くなってすみません。
【】は音を表現するための擬音を入れています。それとひらがな・振り仮名多めです。
『――カくん』
『―タカくん』
声がきこえる。俺の名前を呼ぶ声。
どこか聞き覚えのある、女の人の声。
とても
でも、思い出せない。
知っているはずなのに、大好きなのに、わからない。
自分でもキモイと思うけど、どうしても
もし、この声の主があの人だとするならば、目の前にあの人がいるかもしれない。
案外普通に、あの人の友達になっていたりするのかもしれない。
もし、目を開けてあの人が目の前にいたら。
神さま、俺がひとつの恋物語の主人公になることを、許してくれますか。
♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢
【パチっ】
目を開けると、そこは
「ん?」
ここは、、、病院?
あー、えっと、、こういうときは、、、、、そうそう、
俺が覚えていることは――、車の前に人がいて、父さんが急ブレーキをふんで、そのあとは、目が熱くて、、そうだ、目にはしがささったんだ。
そう思い出して、はしがささったはずのはずの右目をさわる。
「…
わりばしがささったであろう右目には、眼帯がついていた。
時計を見ると、12時前。俺が今いる部屋には4つのベットがあり、俺は部屋の入り口から見て左奥のベットに寝ていた。部屋には俺以外誰もいない。なんか
とりあえず起き上がろうと右ひじをたてたときに手にチクり、と少しの痛みを感じる。
87って普通なのかな。
え、つーか父さんたちは!?事故にあって意識ない人を一人にするかね普通?!起きたとき
・・・・・・・・っ!!
「はーーーーーーっっ!ダメだ、めんどくさいっ!」
こういうときは一番最初に家族の心配をするもんだろうが。何やってんだ、俺。
「ああ、もう、疲れた。・・・寝よう、もう寝る!」
俺しかいない病室の中で、誰に言うでもなくただ口に出し、ガバッと
「イタッ」
いきおいよくしたせいか針がささってる右手の
そんなことを思いつつ目をつぶるのだった。
♦
そのあと
いはく、車にぶつかった人は重症だが死んでおらず、家族は全員かすり傷ひとつなく無事、俺は、
その説明の後、昼飯がきたのだが、なんだか食欲がでず、一口も口につけなかった。
「あれ?たべてないんですか?」
「あ、はい。起きたばかりで食欲がわかなくて…」
「食欲がないのはわかりますが、食べないと元気になりませんよ?」
「ああ、すいません…。」
少し申し訳なかったが、体調もあまり良くないし、戻してしまうともっと申し訳ないと思い、結局昼飯は食べなかった。
♦♢
【ガラガラ】
病室の扉が開き、とても
「あ、兄さん、起きたんだ。」
「
「あ、タカ、大丈夫?」
「姉さん。体調だったら、とくに問題ないよ。」
【ガラガラ】
さらに病室の扉が開き、同じく見慣れた2人が入ってくる。
「お、
「ああ、父さんもやる?目にはしぶっさしてあげようか?」
「
そこで姉さんが口を
「あ、あのさ、タカ、ごめん。。。。」
突然あやまってきた。たぶん、目のことだと思う。
「いいよべつに。手術で治ったんだろ?」
「まあ、傷はあさいほうだったらしいし。それに、あの
「え...?」
姉さんを
「ありがとー
「は?兄さんの傷がどれだけ浅かろうと姉さんが兄さんの目を傷つけて手術までさせたことに変わりはないから。手術費と入院費くらい自分のお
あれ、
「まあ僕ももっとぐしゃっといった気がしたんだけど、その深さでも気絶する人はだいぶ少ないらしいけどね。」
「
「はあ?言葉にされなきゃわかんない?痛みに弱すぎるってことだよ。あの程度で気絶とかマジで大げさすぎるんだけど。バカかよ分かれよこのくらい虫でも理解できるだろ」
「………」
やばい、なにこれめっちゃ
ていうか
まー、それにしても、ほんとに少し目が傷ついただけなんてなあ。
その
俺も明日の朝退院らしい。
♦
-男子トイレ-
【ジャーーーー】
「それにしても、眼帯、か。」
俺は、手を洗いながら目の前の
「たしか、金木は左目だったよな。」
じっと自分をみつめながら、『東京喰種』の主人公である『金木』を思い出す。
なんだか急に金木みたいだとおもってきた。
「いやまあ、金木ほど〈
そこでいったん
もしも金木みたいなんがいたら......そりゃあカワイソウだ。
♦
その後、食事がきたのだがいつのまにか寝てしまっていたようだ。
♦♢♦
「ん?ふあ~、、、、、。あ。」
目を開けるともう周りは明るく、朝だと言う事がわかる。
昨日の夜、いつのまにか寝てしまっていたらしい。となるともう二食抜いてしまったことになる。まあべつにたった2食抜いただけで死にゃあせんから大丈夫だろ。ゆーてお腹すいてないし。
【ガラガラ】
「あ、雨宮さん。昨日の夜も食べてないんですよね。」
「ああ、眠かったもので...」
「今日退院なんですよ?大丈夫なんですか?」
「まあ、家で食べますよ。」
そうか、今日退院か。なんだか入院した
そう思いつつも退院の準備をする。
♦♢
「ありがとうございました。」
「はい。お大事に。」
「暖傘君、ちゃんとご飯たべてくださいね。」
「はい」
まあ、食事をとってないのは本当にたまたまだから、大丈夫だとはおもうけど。、、、、、?
んー?‥‥‥あ、そうだ。違和感があると思ったら、昨日は
♦♢
【ガチャ】
「ふ~、ただいまー」
なんだか物すごく久しぶりな気がして思わず誰もいない家に向かってそんなことを言う。
【ガチャ】
「おかえりー!」
と、後ろから来た姉が言う。
「・・・」
「・・・フッ」
「・・・・・(なにコイツ)」
【ガチャ】
「はー、おなかすいたねえ。遅いけど、朝ごはんにしよっか。」
俺は退院の準備のせいで朝ごはんを食べていなかったのだが、みんなも食べていなかったとは。ああ、母さんが
そう思いながら朝食ができるのを待つ。
♦
白飯はもう
朝はたいていパンなのだが、今日は米だ。あまり腹がすいていないのが残念ではあるが、久しぶりの食事で楽しみなのだ。
ひととおり並べ終わり、みんなが食卓をかこむ。
「「「「「いただきまーす」」」」」
みんなで
『たしか、金木は左目だったよな。』
『金木みたいだ』
ふと、昨日トイレで思ったことを思い出す。
金木は、手術を受けてから病院食がまずく感じ、そこから変だと思い始めたんだったか。
俺は、手術から一度も食事をとらず、食欲もわいていない。
ぴた。と、白米を口に運ぼうとしていた手が止まる。
もし、これがまずかったら...
いや、待て、冷静に考えよう。まず角膜の移植手術を受けただけの俺の
だけど何だ、この
全てがこの一口で解決することなのに、なぜか脳が目の前のものを口に運ぶことを
それがまた俺の不安を
意を決して、米をくちにいれる。これで、全てが分かる。
「………」
口に入れてすぐに分かった。おいおい
「...嘘だろ。」
【ガタッ】
「俺、ちょっとトイレ。」
そういって、立ち上がる。
【バタン カチャ】
トイレに入り、カギをかける。
「最悪だ...。いや、なんで...」
たった一口の米。それすら俺には耐えがたいほどに
「おえぇ」
さっきは涙が出そうなのを必死にこらえていたうえに、もしかしてと
これは金木がオーバーリアクションと言われるのも無理はないかもしれない。
そしてそれは、これからの俺の食事が全て[人間]になるかもしれないと言う事を示しており、これから出会うであろう困難のことを考えると、口からはもうためいきしか出なかった。
気づけば目から涙も出ていた。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
振り仮名が多いのは作者が昔から漢字読むの苦手で分からない漢字があるたびにコピペして調べてたからです。すこしでも難しいなと思う漢字があったらガンガンルビ振っていこうと思っています。なのでどこかでミスして変な記号が入っているかもしれませんがその時は「作者はこんな字も難しいと思うほどのやつなのか」と思いつつ誤字報告してくれると嬉しいです。評価や感想、アドバイスなどコメント待ってます!