幼馴染√は全てを解決する   作:杜甫kuresu

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一番助走をつけるべき一話ですが幼馴染√っぽさが薄いです。
タイトル詐欺で訴えられる。


凍える炎のサルヴァ―ロ
騎士狩り


「最近は景気が悪いよな~」

「あぁ全く! 俺も不作で昼から自棄酒だ、がははは!」

 

 酒場で酒をかっ喰らう男たちが空元気で騒いでいる。他の客も何だか無理をしたような騒ぎようで、店主は苦笑いしていた。

 

 今年のこの周辺地域は例を見ない不作。信じていた神々もお手上げだと言う、「深淵」というもののせいらしいとだけ彼らは聞いている。

 だが食えぬ着れぬは生きて行けぬ。自然と度の強い酒が溢れ、酔いは虚しい馬鹿騒ぎの火種となっていくばかりだった。

 

「深淵、だっけ? アレを何とかしてくれりゃーなー。魔術師界隈も必死なんだって?」

「まあ頑張ってるんだろうとは思うが、実際俺らきびしーから! ちくしょー!」

 

 冗談交じりにジョッキをカウンターに叩きつけた男の言葉が、この酒場の大半の本音と大差ない。

 実際、広まる噂も暗いものが多い。彼らは話の種すら暗くなってしまって、もう参っているのだ。

 

 一人だけぽつりとテーブルに居た男がグビリと酒を飲み干す。高そうな帽子をかぶった男、おそらく旅人だ。

 ゆるりと振り返って一際騒ぐ二人組に話しかける。

 

「…………なあ、アンタ方。最近聖女様を攫った莫迦が出たって聞いたこと有るか?」

「あ~? 何だお前さん、旅人かい。よく来たなあ、つまんねえ酒場だけどよ」

「ああ、旅人だ。良ければ質問に答えてもらえるか?」

 

 男二人は見合わせるなり、肩をすくめてヘラヘラ笑う。

 

「悪いな、知らねえや」

「そうかい。じゃあ覚えておきな、その男は黒い手のアールゴーンつって」

 

 

 

 

 

 

 

「今の世界を変える可能性のある男の名前だ」

 

 

 

 

 

 

 

「ショートブレッドは片手で食べれて良いね、人の手を借りなくて大丈夫なのは助かるよ」

 

 齧ると口の水分が持っていかれる感覚。けれど保存が利く食べ物、僕も文句を言うほど落ちぶれていない。

 

 右にばかり置かれた食べ物は、単純に僕の左手が潰れたことに起因する。見た目がどうというわけではないんだけど、素面の時に無理に動かすと勝手に暴れだす。

 理由はごく最近、傷口に妙なものを流し込まれたせいなんだけど――――――それは置いておいて。

 

「水、飲む?」

 

 おずおずと水を手に持つ小さくて白い頭。シルクのような長い白髪の奥から赤い瞳が僕を覗いている。

 

「自分で飲めるよ」

「私は「はい」か「いいえ」かを聞いたの、その答えはとんちんかんよ」

「じゃあいいえ」

 

 置いた水をそのまま手に取って飲み干した。冷たい、ギアフォード周りの谷は寒いと聞いていたが、まず谷の更に周りで相当寒い。コレ以上寒くなったら天然冷蔵庫じゃないかな。

 

 彼女が不満げに目を細めていくのに気づいていたのか、馬車を引いていたフルプレートの男がケタケタ笑う。

 

「ヴァール、お前そりゃ単純すぎるぜ。アルが「してください」とか言う奴に見えるかよ」

「素直じゃないのね」

 

 勝手に素直じゃないことにされた。僕は自分で出来ることは人にやらせないだけの話なんだけど。

 何時だって隣に人がいるとも限らないし、それで妙に慣れたりして自分で手をのばすことに不平不満を漏らすのも大変アレな訳で。

 

「何時も通りが一番だ、気は遣わなくて良いよ」

「アルは人を頼ることがないから、何処まで放っておけば良いのか心配よ」

 

 ランタン越しに向かい合っていた女性がコクコクと頷く。

 

「ラドウィルク様は」

「ラドヴィルクなんですよ、ヨセフカさん」

「…………失礼しました」

 

 しゅん、と項垂れてしまうヨセフカ。気にはしてないんだけど、時々面白ネームにされるのだけは困る。

 彼女に関しては謎が多いが、取り敢えず金銭と魔術担当の麗人。病的に白い肌にミステリアスに映えるブロンドの髪と深海色の瞳が特徴。あまりに情報がないので言うことは殆ど無い。

 

 後背が僕より高いので、ちょっと悔しい。

 

「ラドヴィルク様は何を考えているかがまるで」

 

 肩を竦めるヨセフカにヴァールと僕が声を揃えて

 

「「それは貴方もじゃないか」」

 

 そんな風に指摘すると、ヨセフカは首を傾げている。彼女はそんな疑問符すら表情からは全く伝わってこないのが困る。

 何を考えているか分からないと言うならこっちだろう。

 

 僕達は馬車を利用しながら旅をしているわけで、今も揺られているのもそうなのだが、これは一応ヨセフカの手配だ。出処は分からない、話を聞くには僕の記憶するところの「商会」に近いものを立ち上げる気らしい。

 

 無軌道にヨセフカが喋りかけてきた。

 

「そう言えばラドヴィルク様」

「どうかしました?」

「先程出た街の方から聞きましたが――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 声は雪を砕く落下音でかき消された。

 

「此処には薪の騎士が出るという話が」

「悪気はないんでしょうけど、でもちょっと遅すぎましたね」

 

 すぐさま側に掛けていた剣を手に取り馬車から躍り出る。バハクが取り乱す馬を宥めながら手綱をぐいと引き寄せた。

 

「バハク、一旦急旋回して逃げてくれ。僕が取り敢えず何とかする」

「おまっ!? ありゃ薪の騎士だ、片手も使えないお前じゃどうにも――――――」

「このままじゃ皆殺しだ! 早く行け! 街に戻るんだ!」

 

 叫ぶバハクを無理やり走らせて向かい合う。

 

 其処に立っていた騎士は、まるで焦げたように黒ずんだ鎧を纏っていた。

 到るところから残り火のような微かな火が散っていて、引き摺った大剣は赤熱していて雪をも近づけさせない。兜はバシネットがまるで歯のようにでこぼこに変形していてさながら骸骨の其れ。

 クロークはもう殆どが燃え尽きたように焦げており、僅かに舞っている赤い切れ端が本来の姿の唯一の名残に見える。

 

 後ろにはぼろぼろになった高い高い障壁。間違いなく、彼は「薪の騎士」の亡霊だ。

 神の直属の部隊の一つである「薪の騎士」。身体を燃え盛らせる彼らは、しかしその火が故に死後も思念だけが鎧に囚われるのだという。

 それは呪いだ。彼らの火は強大な力の証でもあったが、死後までも生に縛り付けてしまう。

 

 障壁を見るには、防衛をしていた騎士だったのだろう。

 

「退いてくれ――――――って言っても退く訳無いか」

【.....................Aa】

 

 呻くような声とともに、引き摺っていた剣先をゆっくりと持ち上げて盾を構える。話は通じなさそうだ。

 

 左手が動かないことを再三確認してこちらも右手で剣を構える。見た所リーチも重量も上、叩き落とすようにするのが定石か。

 思案駆け巡って止むことも知らないそんな最中、薪の騎士の兜の隙間から白い煙が立っていた。それは一瞬息のようにも見えたけど、きっと見間違いだ。

 

 

 

 

 

 雪を舞わせながら騎士がアールゴーンに飛び掛かる。まっすぐとこちらに突きつけられた大剣は単調、驚きこそすれ拍子抜けしながら体を半身に反らして軽い動作で避けた。

 そのまま後ろに足を置いて横から一撃を入れようと整えるが――――――騎士は速い。初動の重厚さに似合わない盾の動きに剣を受け止められてしまう。

 

 一瞬、きっと無いはずの目が合った錯覚。

 

【............Aaaaaaaaaa!】

 

 叫び声が兜の中を残響し、暴れまわりながら外へ撒き散らされる。

 

 アールゴーンが剣をすぐさま構え直そうとしたが遅すぎた。盾が彼の剣を刃の根元から持ち上げ、そのまま下から掬うように上へ大きく弾く。動作は力強いながら精巧、生前は手練に違いない。

 予感が冷や汗に。

 

 弾かれて胴ががら空きになった、横薙ぎの大剣の軌跡の幻視に彼の鼓動が早まる。

 だが彼とて技の一つも鍛えなかった身ではない。そのしなやかな動きに気圧されること無く、一抹の自信から思考を取り戻す。

 

 乱暴な動作にはこちらも相応の力で立ち向かうしか無い。上に飛んでいた剣を持った柄から下に無理やり引きずり下ろしていく。

 低姿勢で上から叩き落とす形で剣筋を止めた。すぐに雪を蹴りながら後ろに下がる。

 

「やっぱり一筋縄じゃ行かないか。速いし重い」

 

 当然、その騎士は片手で戦うには過ぎた亡霊だろう。

 また騎士が低姿勢で構えると、今度は盾を捨てて剣先を斜め後ろに変える。

 

――不味い、剣が隠れて間合いが取れない。

 一瞬彼が焦った次には隙を与えずに飛んでくる。思考などさせまい、そんな声が聞こえてくるような速攻。

 

 真っ直ぐと身体をぶつけんばかりに走ってくる騎士の姿にも怖じ気づくが、地面を擦っていた刃先から炎の音がする。焦りは刹那で膨大に膨張。

 

 

 

 だが、同時にアールゴーンの思考が一択に絞られた。

 危機感は時に判断を研ぎ澄ます、選択肢はもう騎士が十二分に燃やし尽くした。迷いを切り捨てるに足る確信と言って差し支えないだろう。

 最悪の選択肢を思いつき、しかしやはりそれは今死ぬよりは余程マシなのだ。

 

「………………やるしかないか!」

 

 そう息を切ると同時に彼の左腕が黒く、そして先も見通せない猛火に消えていく。

 その黒ずんだ、いや――――――まるで淀んだような漆黒の色は騎士をして少し怖気づかせた。その色を騎士は知っている、それが何をしてきたかを、亡骸となっても忘れられない。

 気づかぬうちに、騎士の大剣を握る手に力が籠もる。

 

 不自然なほど燃え上がると同時に、火の中の左腕が俊敏に動く。

 速い。速いのだが、アールゴーンは腕に振り回されるように僅かに姿勢を崩してしまった。

 

――逃さぬ。

 

 そう言わんばかりに騎士が左腕ごと両断する勢いで大剣を大回りに振り抜こうと踏み込んだ。弾丸のようだった力が一瞬だけ地面に叩きつけられ、次に大剣に灯る。

 だがその一瞬の踏み込む瞬間、そこで彼の左腕がぐねぐねと不可思議な動きで剣筋に飛び込んでいた。

 

「クソッ! 言うことを聞けってんだ!」

 

 が。アールゴーンの不満を余所に、左腕ががちりと大剣を受け止めてしまった。

 騎士も自我が有るのか無いのか、その事実に唖然とする。仮にも大きく踏み込んだ一撃をまさか片腕で受け止められる等と、幾ら何でも経験になかったのだろう。

 

 しかし腕を燃やす当人は別だ。少し戸惑いながら、待っていたと言わんばかりに剣を大きく後ろに構える。

 

「はぁっ!」

 

 掛け声と共に、首元の鎧の隙間に剣をねじ込む。

 するりと入った手応えのなさにアールゴーンは少し驚いたが、同時に血を撒き散らすように凄まじい炎が隙間から吹き出すのに目を剥く。

 

「え!? 中身が炎!?」

【Aaaaaaaaaaaa! Aa! Aaaaa!?】

 

 しかし明らかに騎士は苦しそうに叫びながら剣を抜こうと両手で藻掻いている。気づけば燃え盛る大剣はアールゴーンが一人で支えていた。

 

 苦しむ騎士に疑問こそ覚えたが、今以上の好機はない。

 躊躇うこと無く、剣で兜を刳り貫くようにぐるりと周りを回って隙間をこじ開けていく。どんどんと火が吹き溢れていって、同時に騎士の抵抗が弱くなっているのにも気がついた。

 

 舞い散る炎は美しい。その騎士のかつての生命力でも物語る様な、強く、激しく、そして――――――散り際には、あまりにも温かい。

 もうアールゴーンは敵意より、「解放してやろう」等という傲慢が強くなっていた。

 

「…………その首、斬らせてもらう」

 

 申し訳なさそうに前置きながら兜をテコの原理で鎧から引き剥がす、中身はないのに妙に重い。

 思い切り飛んだ兜からは溶岩のように炎が溢れ、中身のない残った鎧も隙間からどんどんと火を吐き散らし始めた。

 

【Aaaaaaa! Aaaaaaaaa!】

 

 それは凄まじい苦痛なのだろうか。アールゴーンが構えもせずに見つめているのに、藻掻くばかりで鎧は何も手を出してこない。

 最初は首元に手を回して暴れまわっていたが、段々とよろよろと倒れるなり、何かを探すように手を周りに振り回し始める。恐らく兜を探しているのだろう。

 ぽっかりと開いた穴から覗くのは残り火のような不思議な炎の群れ。炎が漏れ出すにつれて弱くなっているような気がする。

 

 何かの死に際に似つかわしくないが、その消えていく様も何処か幻想的。アールゴーンは気づけば其処にばかり目を向けていた。

 

【Aa............a......Aa】

 

 段々と叫び声も小さくなってきた。暴れるわけでもなく、騎士はふらふらと何処かへ向かおうと歩き出す。

 最初は何処へ向かっているのかよく分からなかったのだが、アールゴーンは騎士が必死に瓦礫を手に取っているのに気づくと小さく呟く。

 

「…………貴方はまだ、任務を続ける気なのか」

【Ah............Ah......】

 

 少し雰囲気の違う音は、まるで何かを呼んでいるようだった。

 

 弱々しい声を上げながら這いつくばって、瓦礫を探る姿を彼はもう見れない。

 顔を逸らしながらゆっくりと弾き飛ばした兜の方へと歩み寄る。もう炎も出ておらず、雪の降る此処では早く見つけてやらないと埋もれてしまうことだろう。

 ゆっくりと拾い上げた。骸骨のようなその表面は、少しだけ悲しそうにも見えなくはない。

 

「…………」

 

 もう一度後ろを振り向くと、何とか彼は要塞の端に辿り着いたらしい。

 ぺたぺた、と何度かその壁を触った後、どことなく安心したような様子でその壁にゆっくりともたれ掛かる。もう首から炎は、殆ど出ていない。

 

 何度か兜と鎧を交互に見遣りながら、アールゴーンは何かを考えていたようだったが決心がついたらしい。

 息を吐くと、走って鎧の所までやってくる。

 

「………………もう動けなさそうだね」

【............Aa】

 

 力なくもたれ掛かる姿には、先程の強靭な騎士の面影はない。

 

 小さく首を振った後、アールゴーンは静かに兜を鎧の手元に置いてやった。

 

「どうせもう僕には勝てないだろうし、付けたければ付けると良い。見えないんだよね?」

【...................?】

「それ、貴方のだよ」

 

 ゆっくりとした動作で兜を見つめるような仕草をした後、アールゴーンの方に身体を向ける。

 どうやら信用出来ないらしい。

 

「ほら、早くしないと本当に死んじゃうから」

 

 アールゴーンが兜を取り上げて無理やりくっつける。

 騎士がキョロキョロとしていたが、もう戦意らしきものはない。手も足も、殆ど動かせないようだった。

 

【..............Aa?】

「勝手な憐れみだよ、こういうのは騎士に対しては失礼なのかな」

 

 ただ。振り返ったアールゴーンが雪景色の向こう、小さく見える街の屋根を見つめながら騎士に尋ねる。

 

「今ならちゃんと街があるって分かるかもしれないと思って。保証は出来ないけど、多分貴方が守った人が作った街なんだろうね」

「見えるかい? あれ、今は魔物も出ないから人が住めるようになったんだ」

 

 しかし彼が恐れられていた――――――なんてことは言わなかった。もしくは、言えなかった。

 

 騎士はアールゴーンの指差す方向を眺めると、何だか震えた音を出す。

 

【Ah..................】

 

 ゆっくりと手を伸ばす。それはまるで何かを懐かしむような、喜んでいるような、どうとでも取れる仕草。

 

 アールゴーンが考える間もなく、突然鎧はがしゃりと崩れてしまった。中には何もなく、ばらばらになった鎧はもうピクリとも動きそうにもない。

 何となしに、彼は鎧を無理矢理に組み直してやった。意味はないが、しかし何となく。本当に何となく、彼が気に食わなかっただけの話だ。

 

 不格好に揃えられた鎧はすぐに雪が積もり始める。きっと彼が立ち去って、もう一度此処を通ろうとする頃には崩れてしまっているのだろう。もしかすれば、もう見えなくなっているかも。

 

「おやすみ」

 

 その顛末に彼は興味がない。

 自己満足は自己満足。もう特段、それについて否定する予定もないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は? 薪の騎士倒したの?」

「うん。先に進めそう」

 

 さて。いい加減彼の名前の紹介をしても問題はないことだろう。

 

「冗談だろ、もう中身がないつってもアレかなり凄い人達なんだが?」

「倒したものはどうしようもない。そう言えばヴァール、もうちょっと厚着したら?」

「反応うっす!? 俺にはアルの行動基準がさっぱりだ」

 

 アールゴーン・ラドヴィルク。まだ18になったばかりの長身痩躯の青年、またはしがない新入社員だった誰か。

 

「それはアルにそっくりそのまま返すわ。あんなに寒いのに鎧一つで越えようなんて無謀よ、ヨセフカもそう思うでしょ?」

「いえ、どちらも無謀です」

 

 罪状。聖女連行の妨害、伴う神への叛逆罪。

 現在彼の首には一部の神から相応の値が掛けられている。

 

「でも毛布一枚しか無いわよ」

「じゃあヴァールが持っときなよ。僕は…………あー、アレだ。深淵持ちだし大丈夫でしょ」

「意味分からないこと言わないで、護衛してる当人が凍死なんて笑えないじゃない」

 

 趣味、幼馴染の護衛。特技、左腕から炎を吹き上げること、啖呵を切って何だかんだと達成すること。

 

「もう、要らないって。破っちゃうよコレ、ほら」

「素直に受け取りなさいよ、厚意に甘んじるってことが出来ないの?」

「おい惚気んなお前ら。もう一枚買えばいいだろ」

「予算内なので可能ですね、しかしお二人とも一枚では足りないような…………」

 

 好きなもの、特になし。現在案を募集中。

 苦手なもの、魔術師。稀代の叛逆者になると占われたため。

 

「もう何でも良いよ。ヨセフカさん、この街で毛布って売ってるんですか?」

「売ってますよ、視察済みです」

 

 

 

 

 

「じゃあ買ってから行きましょうか。あの谷、寒いですしね…………僕はともかくヴァールに風邪を引かれたらかないませんよ」

「こっちの台詞よ!」

 

 後世に名を残す――――――つまり。彼は所謂、『英雄』と呼ばれることになる男である。

 

「仲が良いのか悪いのかお前らさっぱりだ。取り敢えず毛布一枚ぐらいならもうちょい仲良くな、バハクお兄ちゃんは心配だぜ」

「――――――? バハクは誰の兄なのでしょうか」

「え!? 俺はヴァールの兄貴ですよヨセフカさん!?」

 

 手始めに、彼の王殺しの逸話から話を転がしていくことにしよう。




この作品のテキストを収納するファイル名は「ダークソウル4」と書かれているので、つまりそういう作品でもあります。
一応「職業、英雄。趣味、幼馴染を護ること。」のリメイクですがかなり内容が違います、前作のことは忘れてください。

後感想ください。無理ならエゴサするからツイッターで呟いて!!!!!!!

【薪の騎士】
主神ガラドゥサの率いる部隊の一つ、または火食み。
古くから存在し、その勇姿は時に子供に聞かせる英雄譚ともなってきた。現在でも存在はしているが、数十年前の魔物の大発生の影響に漏れることなく疲弊。現在では全盛期ほどの人数は存在しない。
彼らは燃え盛る身体で戦う剛健な魔物狩りであり、その火は魂の炎から漏れ出たものとされる。
死を迎えながらも朽ちた肉体、もしくは鎧。そんな哀れな亡骸で任を全うしようと徘徊する姿も目撃されている。
薪が崩れ去ろうと、残り火は中々消えないものだ。

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