黒金の戦姉妹   作:kakapobeans

45 / 79



どうも!

ジャガイモは美味しく煮込めるのに、サトイモはどうしても芯が残ってしまうかかぽまめです。

その食感が好きだから、直す気も無いのですが。


日常パートが続きます。
……が、家だけだと登場人物が少なくてつまらないのでは?

その上、4人揃って同時に会話に参加すると、それもまた地味に使い分けづらいですよね。
4人が全く同じ挙動をするなら構わないのですが、イメージ的に別の挙動を取るキャラがいるとその描写で進行が途切れちゃうんです。

え、思考シーンで頻繁に途切れてる?
心情シーンは日本式ですから。


では、始まります!





仮構の水源(後半)

 

 

 

寝室の窓、開かれたカーテンの間から光が差し込んで隅々へと行き渡り、外を見れば混じり気の無い白雲が絵画にでも描かれているような整った形におすましして、晴れ晴れとした淀みのない青空に浮かんでいる。

 

今日明日は一日中晴れの天気予報で、午後には金色の太陽に照らされた街並みと燃えるように綺麗な茜色の空が望めるだろうとか言っていた。

 

太陽は黄色いらしい。

日本人としては日の丸のイメージを覆すのは難しい所だが、日本にいた頃から太陽を見て赤いなんて思ったことはない。それでも白だけど。

 

昼食を終え、再び眠気に襲われる前に済ませておこうと銃の分解整備と格闘していた。

ベレッタの整備は授業中に練習する機会がある為だいぶ慣れたものだが、未だにコルトSAAの整備には慣れない。

部品数も少ないし簡単だとは思うが、なにせ骨董品だ。壊れた部品は容易には手に入らないし、どんな不調が起こるかも分かったもんじゃないから毎回一層の注意を払っている。

 

組み上げたベレッタを女子制服の襟、後ろ側の隠しホルスターに戻し、SAAの分解に取り掛かる。

グリップを外し、トリガーガードを……そこでふと気付くと結構時間が経っていた。そんなに食器は多くなかったはずだが、どうしたのだろうか。

 

 

「お待たせ。ごめんね、何も教えないまま会わせちゃって」

 

 

……こういうもんだ。気に掛けた事が待ってましたとばかりに現実世界へと踊り出る。

人間はこういう小さな予知能力を備えてるんじゃないかと思ってしまう時がある位だ。

 

ま、ただの偶然でしかないんだけどな。

 

分解途中でやめるなんて学校でやったら厳重注意を食らいそうだが、今はいいだろ。

 

 

「それはいい、カナの判断は間違ってなかったと思う。これからハンガリーの代表戦士が来るなんて言われたら否が応でも警戒しただろうし、俺に記憶の齟齬がない事は分かった」

 

 

前回目覚めた時は記憶の欠如が見られた……らしい。

それは俺には確かめようも無い事で、一定の単語や出来事のみを摘み取るかのように選び採られている可能性が考えられるのだ。

 

現に7日前の晩に起こった出来事なら正確に把握している。

俺やカナを含めた14人の代表者が3種類の同盟ないし無所属として箱庭の戦いを生き抜くことになった。

 

どいつもこいつも普通じゃない奴らばかりだったが、特に目を引かれたと()()()()()()のはヒルダとにらみ合っていたくすんだ茶髪のシスターと、水色に近い霧色の髪に小型機械みたいな髪飾りを付け全身軽装の両腕に手甲装備のまま立ち寝をしていたリンマ2号。あと、木の上に陣取っていた口数の少ない2人の少女達も危険だと感じた。

 

バラトナを救出後、ここに逃げ込んでそのまま睡眠期に突入した。

ここまで、流れの繋がりに違和感はない……はず。

 

 

しかし、なぜこんなにも長い期間眠っていたのかは説明できない。

通常は長くても2、3日の前後に1日の意識混濁期間がある程度であるのに、意識を回復するのに掛かった時間が2日も多い。

 

あるはずなのだ、原因が。俺の記憶の中から抜け出した何かが。

 

 

俺の言葉から我が意を得たりな反応を示したカナは、自然発生していた毛布が畳んでおいてあるソファに軽く腰を下ろして、代わりに室内を緩めの空気に仕立て上げた。

 

 

「良かった、ちゃんとキンジにも伝わってたみたいで。それで、どうだった?」

「ああ、見た瞬間にあいつがあの時の脱落者だってことは分かったよ。服はクロの……まあ、俺のっちゃ俺のなんだが、ローマに来てすぐにその場しのぎで買ったパーカーに着替えてたから印象は違った」

 

 

たぶんその日からここに住み着いているのだろう。

お礼が言いたいとか呟いてたし、それが叶ったのだから近いうちに帰るかもしれない。

 

 

「うーん……全部は伝わってなかったかな?」

「何の話だ?確認の他に意図があったんなら教えてくれよ」

「詳しく話すと気にしちゃうだろうから曖昧にするわ。彼女の印象が聞きたかったの、敵としてでなく普通に接したキンジは箱庭の戦士にどんな人柄や人格を見出したのか」

 

 

(あいつ個人に対する印象?そんなこと聞いてどうするんだ?)

 

だが、カナの表情は冗談を含んだ笑みではなく、この問い掛けに真剣な姿勢で臨んでいるようだ。

 

 

「聞きたい事が分からない以上大雑把に答えるけど、表裏もなさそうで悪いヤツには到底見えなかった、同じく強そうにもな。戦争やりに来てるような国の代表だし悪逆非道な超人共を想像してたから拍子抜けした、ってのが一番の感想だ」

「ええ、いい感じよキンジ。その調子でもう少し深く踏み込んでみて?」

 

 

え、足りなかったか?

 

カナはおいでのジェスチャーをしながら更なる意見を求めている。

女は危険物な時点で行動を観察することに余念はないものの、そこまでじっくりと人格や身なりを観察してはいないからストックが無いんだけどな。

 

 

「えーっと……なんだ、髪が長い。身長も俺と変わらない位だった。肌が白くて髪は薄茶気た黄緑で……」

「それでそれで?」

 

 

まだ足りないのか……一体何を聞き出したいんだ。

 

 

「パーソナルスペースが狭いのは良くない……チュラは慣れたから別にいいけど」

 

 

頭の後ろをガリガリと掻いて残りの感想をなんとか絞り出す。

 

その様子見たカナは少し俯いた。

何かを我慢しているみたいに、肩を小刻みに揺らしている。

 

 

「そっか」

 

 

帰ってきたのは真剣味の無いそっけない返答。

顔を下げたカナの口からスタッカートがちょっとだけ強く顔を出していた。

 

(ん?そういえば、途中から顔が笑ってなかったか?)

 

正式にはおいでのジェスチャーをした辺りから微笑みがあったような。

 

まさか……

 

 

「総評は?」

「危険だ」

 

 

顔を上げたカナは完全に笑っていた。三つ編みの先端を指で弄っているのは楽しんでる証拠だろう、俺で。

だからこっちも適当に返す。何だったんだよこれ、その為にバラトナを追い出したのか?

 

緩かった空気が完全にダレた空気に変わってしまう前に引き締めに掛かる。

会話の主導権を握らなければ、いつ俺の求める情報が得られるか分かったもんじゃない。

 

 

「そんな事より戦況を聞きたいんだが、この話はもう終わりで良いんだよな?」

 

 

投げやりになり始めたのを自覚する前に、本来の目的を投げ掛ける。

と言っても諜報員がいる訳でもない我がクロ同盟に、大した情報なんて有りようもない。

 

 

「……もうちょっと、キンジをリラックスさせてあげたかったんだけど……仕方ないか。あなたは男の子、それも遠山家の子だもの。臆病風に吹かれなんかしたら……ふふ、ご先祖様は許してくれるかしら?」

「今頃何の心配をしてくれるってんだよ。それに、俺は遠山家の人間でもあるけど、それ以前にカナの弟だ。もし、カナの弟だっていうやつと任務を一緒にすることになったら、全面的に信頼してやれる自信があるぞ。俺がそれに相応しいとは思えないけど、たまには信じてくれよ、クロだけじゃなくて通常状態の俺の事も」

 

 

無理だろうけどな、って部分はぼかしておこう。

不安がられて勝手に情報を添削されたんじゃあ納得できないし。

 

心がモヤモヤする。

俺自身が求められていないような、そんな気がする。

 

 

「ごめんなさい。もちろん信じてるわ、キンジ。あなたはまだ未熟だけど、その可能性は私にだって見えないものだもの。それと……」

 

 

ソファから立ち上がったカナは、距離を空ける為にサイドチェアに腰掛けた俺の前まで歩いて来ると、右腕を少しだけ伸ばし手を丸めてモノクルのような形を作って、左胸の下に聴診器のように当ててきた。

 

 

「今、一番あなたの心を占めているのは誰なのかしら、ね」

 

 

今度は問い掛けの意思を感じなかった。

ただの独りごと、それを間近にいた俺が聞いてしまっただけ。

 

だから、その答えは……出ない。

 

俺から離れたカナは背を向け、振り向かずに答えた。

 

 

「戦況は……恐ろしく静かよ。今は」

「…………」

 

 

『今は』――

 

その現在を表す言葉には、過去も未来も含まれているんだな。

俺が寝ている間にも、そして近いうちに、大きな争いがあると暗に示している。

 

頭の中にはゲームのウィンドウみたいに選択肢が表示されているが、当然聞くのは過去からだろう。

んでもって、『本当に聞きますか?』問いには『イエス』で確定だ。

 

 

「順を追って聞きたい。まず『どこが戦いを始めて』、次に『なぜ戦いは休戦になって』、最後に『どうして戦いが始まるのか』だ」

 

 

戦争を先陣切って始めるような好戦的な国はマークしておくに越した事は無いし、その目的を知れば戦闘を避けられる可能性もある。

逆にこれから始まる戦いを未然に防ぐ事も不可能ではないかもしれない。そう考えての問いだった。

 

しかし、途端に場面が切り替わったかのように空気が変わる。

違う、変わったのはカナの方だ。カナの水の如く静かな、それでいて圧倒的な闘気が部屋中に満ちて飲み込んでいるのだ。

 

 

「キンジ、あなたの質問に答える前に、あなたには答えなければならない事があるわ」

 

 

怒っている時とは違う。

俺が自分の身を危険に晒した時の兄さんは、それはもう鬼と呼ぶのが形容ではない位恐ろしかった。

 

比較するとカナは怒っている訳じゃない。怒ったところなんてローマに来てから数回見た程度だ。

しかし、説教で許される様な雰囲気でもない。これは、まるで……

 

 

(敵対行動……ッ!?)

 

 

状況が分からない。

瞬間的に脳の機能がロックを掛けられたように動作を停止して、全ての神経がカナの動きに集中しようとフル回転で動き出す。

 

手元には使用可能な拳銃も無い、ナイフも無い、防弾制服も無い。

あった所で役立つとも思えないが、部屋着とカツラ以外には丸腰というだけで気が滅入ってきそうだ。

 

 

「久し振りに()()()、しちゃおうかな?」

「ッ!」

 

 

振り返るカナのお願い、すなわち命令。

それを断る術を、俺は持たない。

 

 

「ウソをついちゃダメよ?」

「うそ……?」

 

 

(強制させることを嫌うカナがお願いをしてまで俺から聞き出したい事……?)

 

そんな言い方だった。

俺がカナに隠し事をしてるとでも思っているらしく、答えによっては無事では済まされ無さそうだ。

 

 

「キンジは5年前、日本で隕石を巡る暴動事件があったのを覚えてる?」

「隕石?暴動?そんなニュースをテレビで見た覚えも無いはずだ」

 

 

ヘタな言い訳は通じない。

答えは細心の注意を払って、事実と違える事の無いようにしなければ。

 

 

「確かにこの事件はニュースどころか当時は新聞にすら載ることはなかったの。国家機密を含んでいたから、あらゆる情報機関に多大な圧力が加えられた。自身の仕事に誇りを持っていたと、どこか遠く手の届かない、誰にも声が届かない場所で吹聴している人間もいるのかもしれないわね」

「……その事件と俺に、何の関係があるんだ?なぜ、俺が知っていると思った?」

 

 

どうやらこのまま話が進めば俺と無関係であることを証言できそうだ。

一生のうちに隕石とお友達になった覚えも、暴動事件に参加して羽目を外した覚えもない。いわゆるお門違いって話。

 

緊張が解け始め、少しだけ肩の力が抜けた辺りでカナが唐突に個人の名を挙げた。

 

 

「かなせ」

 

 

聞いた事の無い名前だ。

やはりカナの勘違いだろう。

 

内心ほっと一息つく。

 

 

「『怪盗団』と名乗った犯人の内、1人はそう呼ばれていたらしいわ。年の頃は10才前後で少女のような振る舞い、黒髪にキツネ面を付けて奇妙な術を数多く使いこなしたそうなのだけど……」

 

 

同年代ではあるようだが女子らしいし、続けば続くほどに知り合いからはどんどん離れて行く人物像。

キツネで一菜を思い出しかけたが、髪を染めても黒くならないんだったな、あいつ。

 

 

「そいつがどうかしたのか?そもそも、箱庭とその事件の犯人に何の関連性があるっていうんだよ」

 

 

興味も無いが、ぶった切るのも悪いから乗っておく。

 

 

「その子は私達の親族である可能性がある。そして、この箱庭に参戦している……かもしれない」

「――っ!」

 

 

(俺達の……親族…………?)

 

どういう事だ?なぜそんなことが分かる。

それに暴動事件の犯人だなんて、遠山家の親戚にいるはずがないだろ。生きているはずがない。

同年代の少女が宴会の席にいるのは見た事が無いし、いたとしてそれなら兄さんが知らないのはおかしいのだ。

 

(いくら何でも筋が通らなすぎるぜ、どうしたんだ、カナらしくもない)

 

顔に出てしまっていたのだろう、カナはそう断定した理由を遂に口へ出したが、それはにわかには信じがたいものだった。

 

 

「キンジも遠山家の技の1つ――『指矢』を知っている?」

「……知ってる。正式には継承はされてないけど、どんな技なのか位は聞いた事がある」

 

 

指矢は父さんの技だ。

継承したのは『羅刹』同様兄さんのみで、つまりカナも使うことは出来るのだろう。

しかし、音も光も無いという隠密や不意打ちの利点を除けば、威力も速度も上回る不可視の銃弾を習得した兄さんがわざわざ使う必要もなく、実戦で使っているのは見た事がない。

 

 

「かなせという少女は、両手から見えない何かを音もなく弾き飛ばして来たって報告があったの」

「両手って」

 

 

その発想は俺も実践してみた事はあったが、結果は散々たるもの。

相手を怯ませるどころかおもちゃ売り場の積み木で建てられたお城すら倒せない貧弱なもので、結局習得は諦めたのだ。

 

子供の頃の苦い思い出を辿る内、証拠を並べるように次へ、次へと戦闘報告が述べられていく。

 

 

「木々の茂る林の中で音もなく這い回り……」

「……『壕蜥蜴』?」

 

確証は出来ない、が。

 

「手に持っていた銃、弾倉、ナイフ、腰に付けていたワイヤーや通信機器に到るまで、次々と掠め取って……」

「『ヰ筒取り』……!」

 

カナの推理通りかもしれない。

 

「高い位置から落下した勢いをそのまま衝撃に変換させたような掌底で、体格で圧倒的に勝っていた大人を2m以上打ち撥ねたそうよ」

「『勾玉』の事か」

 

そいつは遠山家の技を継承している!

 

 

「すぐに親戚一同に知らせが回ったわ。でも年齢条件だけなら数人の該当者がいたのだけど、どこにも件の少女はいない。術理の漏洩として処理されて、その子供を討つ"仕事"が託されたのよ、私に」

「……俺と同じ年の子供を……殺すのか、カナ?」

 

 

今日日まで遠山家が正義の味方としてあり続けられたのは、その家族をも討つ覚悟と"義"への絶対の誓い、血生臭い過去の因習による。

義の道を外れた者は、その家族によって討たれるのだ。兄弟である俺と兄さんも、互いの義がどこかで衝突した時には道が一つに戻る様に、桜の木が一本の芯を通してまっすぐに伸びる様に戦う事になる。

 

 

正義とは、決して綺麗なモノなんかじゃない。

 

 

表の面が綺麗であればある程、その裏の面は薄汚れているもの。もし表も裏も変わらないのなら、それはきっと未完成で中身の無いものだと言えるだろう。

性格に裏表のない人間は心に陰を持っているもので、充実したサービスは裏で人員を酷使して成り立たせている。

 

逆に両面をピカピカに磨こうとすれば徐々に擦り切れてペラペラな、息で吹き飛ぶ紙切れになってしまう。

人間でいえば主体性の無い意志薄弱なやつだし、会社でいえば社員の生活を支える為に利益も出せず潰れてしまうようなもの。

 

 

だから俺は揺れてしまうのだ。

何かを犠牲にしなければ成り立たない正義を貫くことが、それ自体が俺の考えていた未完成な正義と違う道を進んでいるから。

 

 

 

だから……俺は兄さんを指標にした。未開の地を拓くことを、恐れたんだ。

 

 

今の俺に、俺の正義はない。

 

 

 

「危険よ」

 

 

セリフは俺の適当な回答と同じ言葉ではあったが、その重みは糸くずと金塊。

正義の瞳は一切の悪を見逃さない、"義"を口にする兄さんと同じ瞳、その色は変わっても輝きはどんな姿でも変わらなかった。

 

 

「彼女達の拠点は世界各地にある。その1つがここ、ローマにあることは分かっていたし、ヨーロッパのあちこちに隠れ家を構えているらしいの」

「カナが……俺たちがローマに来た理由は、少女を殺す為だったってのかよ!」

 

 

正義の味方に対して、声を荒げてしまった。

僅かばかり含まれていた怒気は完全な八つ当たり、そうやって自分に無い正義を相手を否定することで得ようとしてしまう。

 

しかし、意思のない言葉など、相手には、届かない。

私情を第一に考える群衆の言葉なんかに惑わされる正義の味方は失敗作だ。

 

カナはその長い睫毛を動かす間隔をコンマ秒もズラす事すらせず、姿勢を変えないままに、()()()――。

 

 

「……あなたが眠っている間に、『ルーマニア』が『バチカン』に仕掛けたわ、あの日の夜の内に。それも単身で、周囲を無茶苦茶にしてしまうんじゃないかと思える程に暴れ狂っていたの」

「…………」

 

 

緊張で満たされた中で、やっと聞きたかった箱庭の戦況を説明される。

だが、カナが構えた段階から脳は動きを止め、ただただ記憶のみに蓄積されていった。

 

 

「最初は優位だったバチカンも『ローマ』が動いたことで膠着状態に陥った、使い魔がローマ中を飛び回っているからその影響もあるのでしょうね。そしてあなたが目覚める2日前にルーマニアは()()()()()()()()()()姿を消して、膠着状態のままどこも()()()()()を見せていない。それが現状よ」

 

 

1つ目、2つ目の質問が終わり束の間の平和であることは理解できたが、それ以上の推論は今は無理そうだ。

それが分かっているのか、カナも話を切ることをせずに3つ目の質問にも答えを提示する。

 

 

「あなたが起きたから戦いは始まるの、キンジ」

「俺が、起きたから?」

 

 

予想外の答えに眉間のしわが深くなったように感じていると、カナの右腕が動くのに気付いて咄嗟に身構える。

しかし、これまた予想していたよりも遥かに緩慢な普通の動作で、敏感になり過ぎて早とちりしていたがあの構えは不可視の銃弾の準備ではなかったようだ。

 

その手には一週間前に見た招待状と良く似た折り畳みの白い厚紙が、平和の作り手(ピースメーカー)の代わりに添えられている。

 

 

「これ、あなた宛ての手紙よ。女の子の手紙にはちゃんと返事を返してあげなきゃだめ、忘れないようにね?」

「待ってくれ、まだ答えを……って、俺宛てに女から手紙?何の間違いだ」

 

 

ローマに知り合いの女……?

パオラとかヴィオラとかか?

 

あいつらならこんな古典的な遣り取りをやりかねないな。

 

手渡された紙、その一面に書かれていた文字は――

 

 

「――『果し状』、か」

 

 

中身を確認すると1枚だけの便せんが封入されていた。

日本語、記名は無し、三行半……意外と丸文字。あいつか。

 

 

「なあ、日付と時間のとこが空白なんだが……」

「ええと……その紙は折り返し用らしいわ。クロちゃんがいつ起きるか分からないからって」

 

 

(果し状の折り返しなんて聞いたことねーよッ!)

 

果たし合いの押し売りじゃねーか。

アホだ天然だとは思っていたが、決闘を申し込む時にまで突っ込み待ちかよ。

 

 

「……これ、来週でもいいか?」

「ゴミ捨てじゃないんだから……明日にでも渡しに行くのよ」

 

 

(め、めんどくせぇ……)

 

おかげさまで、カナの闘気が萎えている。

とはいえ、それはそれこれはこれ。

 

鉛筆でいいか。

筆なんて持ってないし、ペンは授業でいっぱい使うし。

 

 

「どういうつもりだ?」

「そんなの、読んで字の如く、でしょ。彼女達――日本の代表戦士が、クロ同盟の最初の相手になるという事ね。ファイトよキンジ」

「場所の指定も無いんだが」

「場所を決めるのは男の仕事、そういうものなの」

 

 

(うっわ、マジめんどい、適当でいいや。)

 

受け取った手紙をそのままサイドテーブルへ、戦いが始まるって俺の事だったのかよ。

 

 

「今は他に争いの前兆はないんだな」

「ええ、『今は』ね」

 

 

そうか、それなら……

 

 

「かなせってやつに心当たりはない。俺は休むぞ、まだ本調子じゃないから決闘は先送りだ」

「そう、ならいいわ…………ねえ、キンジ。あのお祭りの日――」

 

 

 

「おねぇーちゃぁーんッ!!」

 

 

「!!」

「!?」

 

 

チュラの叫び声。

銃を整備しようとした体が少しだけ跳ね上がって、何かを言い掛けたカナと目が合った。

 

 

「――キンジはここに居なさい」

 

 

それだけを言い残し、カナは寝室を飛び出した。

 

そうではないと思いたい。

例え今が束の間の平和なのだとしたら。

 

 

「イヤな……予感がする」

 

 

今というタイミングは、もう過ぎ去ってしまっているのかもしれない。

 

 

「ここに居ろってのはあんまりだぜ、カナ」

 

 

ハンガーに掛けられた制服を見る。

そのまま着込んでも、違和感は無いだろう、なんせ朝から女装しっぱなしだったからな。

 

(今日はまだ成れないだろうけど……)

 

やれることくらいはやらせてくれよ。

臆病風に吹かれたら、ご先祖様にボコボコにされちまうだろ?

 

 

だから――

 

 

まだ、もう少し、兄さんの道を歩かせてくれ。

俺の道は、まだ見えないんだ。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「しゃぴー……どっちも見付かんないよー」

「泣き言を言うでない、ほれ、またお前の使い魔が1匹帰って来ておるぞ」

「あ、にゃーま!おかえりー」

 

「パトラ様、わしの使い魔が戻ってきませんのじゃ!」

「知らぬわ!なぜ妾がお前の使い魔まで世話をせねばならぬのぢゃ!」

「どこいったんじゃぁー」

 

「まったく、ハトホルの相手だけで充分というに、ヒルダの奴はどこに隠れとるんぢゃ」

「パトラー」

「パトラ様ー」

「……もう疲れたわ。この計画を立てたクロは一度も姿を見せておらんし、早々にくたばっとらんと良いがのう」

「ハトホルーお腹すいたー」

「ひよこ豆しかないのじゃよ」

「やったー!」

 

 

「…………はぁー」

 

 

「ハトホルッ!風呂に入る。早急に用意せいッ!」

「……っ!かしこまりましたのじゃ。すぐにでも煮立たせてご覧に見せますじゃあ!」

「うむ、良く冷やした金と甘いバラを忘れるでないぞ」

「鯉はいるー?」

「いらぬ」

「パトラ様!ひよこ豆を一緒にいかがですじゃ?」

「そうぢゃな、若いものを茹でて持って来ぅ」

「湯船に漬けておきますじゃ」

「別々にせんかッ!釜茹でのつもりか、阿呆が!」

「も、申し訳ありませんのじゃー」

 

 

 

「今日ほど占星術の精度を嘆いた日はないのぢゃ……」

 

 

「パトラー」

 

「パトラ様ー、お客様ですじゃー」

 

「今度はなんぢゃ」

 

「鳥ー」

 

「鳩ですじゃ」

 

「……?――――ッ!?そ、そそ、そやつ、バチカンの使い魔ではないかぁー!捕らえよッ!生かして逃がすでないぞッ!銃弾は当たらんし耐魔術も高い、質量体で捕らえるのぢゃーッ!」

 

「わーわー、飛んだー」

 

「捕まえるのじゃー!……し、しもうた!わしの使い魔は偵察中じゃったぁッ!」

 

「リンマ、お前がなんとかせい!」

 

「『造流』も当たんないよー」

 

「うぎゃんッ!そのひよこ豆はだめじゃぁーッ!返して欲しいのじゃーッ!」

 

「豆なぞくれてやれ、手に持っとる豆をまくのぢゃ!リンマよ、『鳥籠(チョウリ)』は使えんのか!?」

 

「お腹が空いてるよー」

 

「こらーッ!緑色のばっかり食べてはいかんのじゃーッ!黄色いのも美味しいのじゃよーッ!」

 

「腹が減っておるならお前も豆を食えば良いではないか!」

 

「あっ、そっか!うん!それならいけるよ!」

 

「あああっ!お風呂の火を点けっぱなしだったのじゃ!パトラ様、お風呂が煮立ちましたのじゃ」

 

「後にせいッ!お前はもうよいから、はよう火を止めて来い」

 

「はぐっはぐはぐ!もぐもぐぉ」

 

「行ってきますじゃー」

 

「奴の進路を塞ぐぞ……そこぢゃっ!」

 

「『鳥籠(モギュギ)』ーッ!」

 

ガチィンッ!

 

「良し、ようやった」

 

 

 

捕まえたー!(ぐぐもっぐー!)これどうする?(もぐもぐーぐぐ?)ケバブにする?(もごぐぐもぐ?)

 

「腹を壊すぞ。何言っとるかわからんが、お前のことぢゃ。食う事しか考えとらんのぢゃろう?」

 

(コクコク)

 

「直にここもバレるぢゃろうし、数日中に移動するぞ」

 

(コクコク)

 

「パトラ様!準備が整いましたのじゃ!」

 

「分かった。ハトホルよ、あの使い魔はよくよく見張るのぢゃ。運よく籠が壊れてしまうかもしれんからの」

 

「かしこまりましたじゃ」

 

「あやつと合流する。使い魔が戻り次第、連絡を飛ばせ」

 

「わかりましたのじゃ!」

 

 

 

 

「いくら占おうと、クロについては何も分からんのう……その居場所さえ、不明ぢゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「何事かと思ったら……」

 

 

ビィイーーッピチピチピチュピチィッ!

 

 

「……カラフルです」

「カラフルね……」

「ピチピチピチュピチィッ!」

「テュラ、お上手でした!」

 

 

散歩に行ったんだよな、そうだよな。

どこまで行くのかを聞く気も無かったから、割と遠くまで行ってたんだなー、なんて思っていたのだが……

 

 

「なんで2人とも、そんなにボロボロなんですか?ああ、いえ、先にお風呂に入ってこ……来て下さい」

 

 

パチパチパチじゃないだろう。散歩は歩くものであって転がるものではない。

チュラの制服もバラトナのパーカーも、全面を一通り汚しており、ウチは土足厳禁だし、犬の散歩後みたいに風呂への直行確定だ。

 

 

「お風呂を沸かしてきます」

「チュラも――」

「カナ、2人にタオルと着替えを」

「私はシャワーで構わないのでした、クル」

「一度入ってみてください、疲れが取れますよ?」

「……お風呂は……浴槽は怖いのでした、でもクルが一緒なら――」

「カナ、着替えの用意もお願いします」

「ふふ……おも、しろい……ふふ……」

 

 

笑い事じゃねーんだって!

風呂に入ればしばらく出て来ないと思っての作戦だったのに、そっちに転換されるとは思ってなかった。

走ったんだか何なんだか汗もいっぱいかいたみたいで、女スメルが蔓延した玄関が俺にとっての終着点になっちまうよ!

 

(風呂場だ、風呂場に逃げろ。ここは背中をカナに任せて逃げの一手だ)

 

俺だけを殺す気体が充満した空間からは戦略的退去。

追撃を友軍の対応に全任する形にはなるが、よく考えれば敵軍も友軍だ。仲良しこよしで足止めしていてくれ。

 

 

トイレの前を通過し、バスルームの扉を開けた。

日本のように換気扇を回さなければ乾かないなんてことも無く、壁がカピカピになる位に中は乾燥している。

 

風呂・トイレ別の貸家なんて無謀な家探しを頑張った甲斐もあり、誰かが入浴中でもトイレを探しに屋外へ出る必要もない。店内備え付けのトイレも公衆便所も利用料金を取られるし、日本と比べると汚いと聞いていたのでなるべく家で済ませたかったのだ。

 

 

「あの鳥はどっから連れて来たんだ」

 

 

女だらけの屋内で個人スペースを手に入れた後は、現実逃避の材料としてチュラの頭に乗って胸を張っていた色彩豊かな鳥類を思い出す。

もちろん手は動かしたまま、早く終わらせないとあいつが来る可能性があるし。

 

 

「チュラちゃん、お風呂に入るといたいいたいだから消毒してばんそうこうを貼りましょうね」

「染みるのやだー」

「お風呂のお湯の方がいたいわよ?ちょっとだけだからがまんしてね」

「……はーい」

 

 

時間制限の判断材料として、耳をそばだてる。

 

 

「……まだ、大丈夫そうだな」

 

 

作業の続行だ。

 

色以外の特徴としては……すごく、偉そうというか自信満々というか、仕草がうざい。猛禽類っぽい顔の作りはしているが、あれだけ目立ってたら獲れる獲物も獲れんだろ。

ペット用に品種改良された個体が逃げたか捨てられたかしたと考えるのが自然か、鳥が自分でメイクするとは考えられない。

 

何で頭に乗るんだか。定位置なのか、バランスもとり辛そうだぞ?

 

 

っと、手を動かせ。

 

(すぐにカビが生えないのはいいな、日本じゃタイルなんてすぐに黒くなるってのに)

 

ぬめりも残らないから風呂掃除は楽……なのには理由がある。

 

そう、ここはローマ。水は硬水。

乾けば浴槽全体に粉(塩素系)をふくし、髪も肌もズタボロにされてしまう。

鏡の留め具なんかの金属が錆びづらいのは良いのだが、肝心の鏡が見えなくなる。

 

下調べは重要だと思い知らされたよ。

パオラが編入早々に用意してくれた軟水シャワーの効果は絶大だ。じゃなきゃ朝も洗顔シートで済ませて顔も洗えてない所だったぜ。

 

 

「すみませんでした、カナ。先にお手洗いをお借りしました」

「ええ、行ってらっしゃい……?」

 

 

おっと、余計なことを考えていたら手が止まり掛けてた。

後は水を掛けて湯を張るだけだ。

 

 

「バラトナちゃん、あなた、怪我はどうしたの?」

「……っ!……最初から……して、ませんでした」

 

 

お湯が溜まるまでは引き籠ってようか、チュラが来たら速攻出るけどな。

 

シャワーから勢い無く注がれる、体温より少し温度の高いお湯が徐々にその容積を膨らませていくのを、焦点を合わせずにぼーっと眺める。

浴室の温度も上がっていき、水の跳ねる心地よい音が瞼の幕を下ろし始めた。満腹だからか眠くなってきたらしい。

 

 

(俺はなんで箱庭に参加したんだっけな……)

 

 

一菜を守りたい、って考えたのは覚えてる、その一菜が最初の敵な訳だが。チュラが狙われているのも夢の中で推理した。

だが、それとは別に。何か大切な約束をしたような気がするのだ。

 

思い出そうとしても、ある一定記憶まで遡ると頬の痛みと共にスタート地点に戻される。

とても大事な……約束をしたはずなのに。

 

約束を待つその人物の輪郭すら――

 

 

「クル、起きていました?」

「!!」

 

 

どうやら友軍の討ち漏らしが本陣まで到達してしまったようだ。

戦略ゲーだったらゲームオーバーだぞ?

 

 

「いえ、起きていますよ。どうかしましたか?」

 

 

バラトナで良かったと心から思う。

チュラだったら特攻+のスキルで湯船にどっぽーんだったからな。夢でやられた。

 

 

「あの……湯船に沈んでるんじゃないかと……思いました」

「どんなドジっ子ですか、いいから部屋で休んでいてください。ケガをしていたでしょう?」

「……ッ!?」

 

 

手を掛けていたのかそれとも背をのせていたのか、戸が動揺するようにカタンと音を立てた。

 

一目見て分かっていたが彼女の太腿、スカートに隠れるか隠れないかの微妙な位置に打撲のような赤腫れがあった。そんなに重症ではなさそうだが、歩けば痛み、治りも遅くなるだろう。

去って欲しいのもそうだが、少しだけ心配もしている。

 

 

「……して、ない……気のせいでした」

「?」

 

 

強がりか?子供じゃあるまいし。

 

 

「そんなわけありませんよ、確かにあなたの脚には……」

 

 

――気配が消えた。

 

うーん?素直なやつだと思っていたが、変な所で頑固な面があるのか。

ホント、予想してなかった意外な一面だ。

 

 

「さて、もうちょっとしたら――」

 

 

 チ

  ャ

   ァ

    ア

 「おっふろーッ!」

      ア

       \

        \

         \

          ン

           !

            !

 

 

「潜林ッ!」

「わぷぅっ!」

 

ザバーンっ!

 

おーおー、派手に突っ込んだな。

水位が低いから頭も打っただろうよ。

 

特攻どころか爆雷レベルの戦妹は、あの勢いで俺を道連れにしようとしていたのか。

…………湯船に沈みゃしないよな?

 

 

「がぷぁっ!あれー?戦姉がいなかったー?」

 

 

沈んでいなかった不発弾は立ち上がるまで勢いを失わず、一気にその全身を……

 

(当たり前だが……何も着てねぇッ!)

 

不発弾の大爆発。

その威力たるや爆雷の名に恥じぬ衝撃波で、あの柔らかな肢体が直撃すれば……免れなかっただろう。

 

チュラは家族のようで血のつながりはないから家族でない。

近しい人間というのは心を許せる存在だから、本能的に……

 

 

「ニキャアーッ!」

 

 

恥もへったくれも無い。

防空壕も無い戦場から命からがら脱走した。

 

頭のおかしな声?

出たからしゃーないだろ!変声術の後遺症だ。行ったり来たりしてる内になんかああなっちまうんだよ!

 

転がり出た先にカナがいる。

物思いに耽っているのか、さっき起こった空爆にも俺の奇行奇声にも、その目を向けてはいなかった。

 

フローリングに強打した肩を押さえながら立ち上がり、しっかりと気持ちが届くように抗議の意思をいっぱい詰めて今朝と同じ第一声。

 

 

「カナ、頼むから戦妹(チュラ)を止めてくれ」

「あら?チュラちゃん、いつの間にいなくなってたのかしら」

「クル、寝惚けてました?」

 

ピチュピチィッ!

 

 

そうか、寝ても覚めても悪夢なら。

 

俺は寝るぞ!

ふて寝の二度寝だ!

 

 

 







クロガネノアミカ、読んでいただきありがとうございました。


戦いは始まるぞ!
ってことで、日本と戦う事は決定事項となりましたね。

無尽蔵の生物エネルギーを持つガン=カタの使い手、三浦一菜。
へんてこな妖術を使った苔石に化ける妖怪、兎狗狸。
狙撃が得意な眠たがり風鈴に化ける妖怪、槌野子。
何をするか分からないやる気もナーい三毛猫の妖怪、三松猫。
隠形、忍法、戦闘技能も不意打ちも!風魔の末裔、風魔陽菜。

はてさて、数の上では不利ですが、どんな戦いになるのやら。


本編の内容として

チュラとバラトナはボロボロになって帰ってきましたね。
ただの散歩でそうなるか?頭に鳥は乗るものなのか?
その内容はまた後ほど。

キンジ自体は金星の記憶を持っていませんでした。
しかしカナの目的、少なくともその1つには『かなせ』と名乗った少女を討つ事が含まれていました。
クロは金星という人格を知覚していますが、果たして……


以下、雑談。

カナの記憶設定がいまいちつかめてないんですよね。
"金一とは記憶の一部を共有している"との事ですが、キンジの事は弟だと認識している反面、母親の記憶は曖昧。母親が亡くなった後に生まれた人格だから顔を知らないにしても、父親"金叉"の記憶も持ち合わせていないんでしたっけ……?

原作では金一引退後もカナとして登場はしました。
しかし、出番も減るでしょうし、カナの活躍ももっと見たいなぁー、とか思ってみたり。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。