トリガー使えば『宝具擬』が可能な説   作:癒しを求めるもの

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久しぶりです<(_ _)>

忙しくて更新できませんでした。
この話はかなりのご都合主義と自分の文章力のなさで不明な点がありましたら報告をお願いします<(_ _)>


模擬戦(木虎)『絶剱・無穹三段』〜後編〜

 

「…何やら不穏な気配がする」

 

 

具体的に言えば、僕の情報を片手にぼんち揚げを食ってる人がニヤついてそう。

 

僕こと阿宮 輝耀の直感はだいたいあたる。

今までは神様による過保護で身体能力が可笑しいくらいに強化されていると思い込んでいたが、僕の直感や視覚、聴覚などの感覚の強化は原因が違ったらしい。

 

サイドエフェクト:全感覚超強化

 

名前の通り、感覚が常人を超えて強化されるというものらしい。

欠点として、痛みなどの感覚も敏感となり、諸刃の剣とも言えるが、トリガー使えば痛みはないのでオールオッケーです。

 

しかし、このサイドエフェクトはある一点のみを強化したものではなく、複数を強化させるので、風間隊の菊地原くんより聴覚は良くないし、影浦隊隊長のカゲさんより相手の感情に敏感ではない。

所謂、器用貧乏なのだ。輝耀だけに。

 

……え、まさか僕の名前の由来ってマジで器用貧乏だからなの?

 

 

閑話休題

 

 

僕の名前をつけた亡きこの世界の両親に是非を問いたいところだが、今は模擬戦に集中しよう。

じゃないと後で木虎にドヤされる。絶対に。

 

まぁ、僕も後輩の頼みは昔から結局受けていたからなぁ……。

だから新人社員が入社した時は必ず残業した。

悲しいことに、その新人は颯爽と帰ったから。

 

 

「…まぁ、木虎は熱心だからいいか」

 

 

前世の思い出に一人悲しんでいたが、人影を見つけた。

この後輩はちゃんと残業もとい指導を訊いてくれるから断りにくい。

 

 

「次、お願いします」

「…正直に言いに来る必要はないよ?」

「先輩相手に奇襲は無理だと改めて分かりました。だから、正面から行きます」

 

 

と、スコーピオンを手に木虎は構える。

その目は僅かな動きでも逃さないという、研ぎ澄まされた集中が見て取れる。

 

嵐山さんはいい部下を持ったと思う。

前世でこんな後輩がいたら、僕も楽だったかもしれないのに。

というか、ボーダーの子達はいい人が多い。

C級隊員達は最近、すぐさま帰る僕をヒソヒソと馬鹿にしているが。

 

 

「…おっと、っと」

「逃しませんっ」

 

 

考え事をしていた僕に、木虎が片手でハンドガンをとり、近距離ゆえ正確に脚を狙って撃ってきた。

シールドを入れてないので、横にステップして避けるも、ワンテンポ早く移動を開始していた木虎に正面を抑えられた。

 

そのまま横薙ぎにスコーピオンを振るわれる。

足の軸がぶれないようにしゃがみこみ、その一撃を避ける序に腰にさしておいた孤月の柄を握って抜刀の準備をする。

 

 

「…シっ!」

 

 

先程、横にスコーピオンを振るったため、体幹のバランスをほんの少し崩した一瞬に狙いを定め、抜刀。

 

慌ててシールドを展開した木虎だが、読みを外してシールドの中心でガードができず、端の部分が斬られた残骸と共に、回避が間に合わなかった木虎の右手が飛ばされ、目の前を横切る。

 

その手はスコーピオンを持っていたため、主力武器を離すこととなった木虎は苦い顔をしていた。

 

 

「…降参かい?」

「まだですっ!」

 

 

しかし、木虎は止まらなかった。

地面に向けてハンドガンの照準を合わせ、引き金を引く。

屋上の床に弾が当たるとそのまま爆発した。

 

おそらくメテオラを使ったのだろう。

地面に亀裂が入るとすぐに、屋上が崩壊した。瓦礫とともに下に着く。

建物内に入ってしまい、瓦礫が崩れたことで土煙が辺りに充満する。未だに降ってくる邪魔な瓦礫を粉砕させながら辺りを見渡すも、何も見えない。

 

視界は最悪だが、これで僕の動きは阻害された訳ではない。

 

 

「…右上。1メートル先」

 

 

建物内のため場所は狭いが、その分サイドエフェクトが役に立つ。

聴覚と直感を使い、正確に木虎の位置を把握して、今度はこちら側から攻撃を開始する。

 

 

「…バイパー」

 

 

孤月を持っていない掌に、少し大きな立方体を出し、4×4×4に分割したバイパーが煙ごと壁を通過する。

煙は少々晴れたが、手応えがない。

つまり、木虎は回避に成功したようだ。

 

シールドを使ったなら6()3()のバイパーが壁と衝突することはない。

木虎の動きから、グラスホッパーで緊急回避するしか手がない。

 

そう思った直後、直感が働いた。

 

 

「──お返しですっ」

 

 

大声ではないにしろ、決着をつけるべく覚悟を決めた声が後ろから聞こえた。

グラスホッパーの機動力を駆使して、直前まで気付かれずに背後をとった木虎は、失った手の部分をスコーピオンで補い刃を突きつけようとしていた。

 

それに反応できている。

全力で孤月を振るえばギリギリ刃は届かないが、判断を見誤った。

 

 

「…スパイダーか」

 

 

元々この室内は一回戦目で木虎が罠を張った場所だ。

瓦礫の崩壊によっていくつかのスパイダーは機能を失っているが、僕を囲うように張られていたそれに意識を奪われた。

おそらく僕が視覚で周りを呑気に確認している間に仕掛けたのだろう。

流石の判断力と上手い配置だった。

 

感心している僕だが、もうスパイダーを無理矢理斬っても木虎のスコーピオンの方が早く到着する。

 

斬ったら、だが。

 

 

「──!?なっ、バイパーっ!?」

 

 

自由に弾道を定められるバイパー。

僕は壁に向かって放った64に分割したそれの一つを他とは異なる動きに合わせていた。

背中を僅かに突いただけとなってしまったスコーピオンに向けて。

 

 

「ほんと、厄介なサイドエフェクトですねっ!」

「…僕もそう思う」

 

 

今の一撃は直感が手助けしてなかったら確かに危なかった。

いや、僕が感心とかしなければ間に合ったりしてるんだけどね?

 

スコーピオンがまたしても飛ばされた木虎はグラスホッパーを使い、僕が空けた壁から出た。

しかし、ここで決着をつけようか。

 

アレを使うのにいい位置だし。

 

 

「──…塵刹を穿つ。無辺の光を持って、天命を断つ」

 

 

この技を初めて見た時はホント驚いた。

Fateシリーズでは沖田総司が好きな僕だが、そのオルタ、魔神セイバーが出てきた時は思わず二度見した。

設定は何かごちゃごちゃしていて理解できてなかったが、宝具を発動させたアクションが物凄くカッコよかったのが印象的だ。

 

そして、沖田総司と魔神セイバーの技は擬を作りやすい。

特に、魔神セイバーの技はオールラウンダーの僕には最後まで再現可能だ。

 

 

外に出て、姿勢を低くしていた木虎は腰に孤月を戻した僕を見て警戒を高めている。

 

しかし、その孤月を抜き、枕詞と共に一歩を踏み出した時には、既に木虎の目の前で刃先を向けていた。

 

 

『無明三段突き』擬もだが、ちゃんとした剣術を習っていない僕は突きの技を早くできない。

そのため何度も斬る。

無造作に斬るのだが───

 

 

「──良かった。同じ場所で」

 

 

おそらく残り少ないトリオンを使って、的確にシールドを貼って生存したのだろう。両足は切断され、深い切り傷が腹部に見られるが、ベイルアウトはしていない。

体勢を低くしていたため、狙われる場所は狭まり、そして一度見ている技だから何となく狙われる場所はわかる、と。

 

 

……うわぁ、才能の塊じゃん。

 

一回で見切られるとは思わなかった。

やはりA級なだけある。下手したら負けそうだ。

 

現に、背中を向けている僕に、どうにか防いだ片手に持つハンドガンを向けている。

 

 

しかしだね、木虎。

僕は宝具の名前を最後まで言ってないよ。

 

背中は向けたまま。

孤月の変わりに取り出したアイビスの銃口と視線だけを後ろにして、呟いた。

 

 

「…『絶剱(ぜっけん)無穹三段(むきゅうさんだん)』」

 

 

ボーダー内トップのトリオン量を誇る僕がアイビスを引くとどうだろうか?

 

答え、一人余裕で包み込むビーム光線となる。

 

 

「…剣からビームだせないかな」

『………2-0 阿宮 有利です』

 

 

勿論、ガードする術がない木虎はベイルアウトした。

 

すっきりした表情を浮かべながら、これからの宝具擬の再現についての案を考えるのであった。

 

 

 

***

 

 

 

木虎との対戦はこの二回で終わった。

なんでも『何か掴めたんで一人で練習します』とか。

木虎が満足したならそれでいっか。

悪い方向にならないと僕のサイドエフェクトが言っている。

それが口癖の自称エリートはいつの間にかいなくなってたんで話題に出さなくて良さそうだ。

 

 

そして、嵐山隊作戦室に来た本来の目的である綾辻を待つことは、模擬戦のため長引いた。

慌てて作業する綾辻を見てられなくて少し手伝った。

 

めっちゃ驚かれた。そして効率がいいって。

 

そりゃ、元社畜なので事務作業は慣れてますからね。もう社畜にはならないけど。

 

………あれ?今日働きすぎじゃない?社畜じゃね?

 

 

社畜とは何か。働きすぎではないかと綾辻が晩御飯を作ってくれる間、ひたすら考えた。

 

すると、すぐに料理が運ばれてきた。

思わずエプロン姿の綾辻を凝視したが、ハッとしてすぐに目線を逸らす。セクハラ扱いされる前に。

 

視線を逸らして料理を見たが、美味しそうなハンバーグを中心に何品か料理が並べられた。

前世からだがまともに料理をしないので、自室のテーブルに美味しそうな料理が並んだことに感嘆の声が漏れた。

 

召し上がれ、と笑顔で言った綾辻。

遠慮なく口に運ぶため箸を手に取ったが、何故か僕のサイドエフェクトが働く。

 

やめとけ、死ぬぞ、と。

 

……全身から汗が流れた。

ここまでの具体的に直感が働いたのは初めてだ。

しかし綾辻の「レイジさんが輝耀くん自炊していないって訊いて…頑張って練習したんだ♪」とわくわくした視線が選択肢を一択にした。

 

だいじょーぶ。僕の身体は神様のおかげで頑丈だ!

 

こんがり焼けたハンバーグを一口サイズに分けて口に運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………(死ーん)」

「どーかな?試食してくれたお父さんは涙目で美味しいって言ってたけど……って!どうしたの輝耀くん!しっかりしてっ!」

 

 

綾辻のお父さんに合掌して、僕は意識を手放した。

初めての女子の手料理。天国に行ったが一瞬で地獄に直行したよ……。

 

 

 

その後、他のボーダー女子組により綾辻が料理する時は監視がつくようになった。

 

 

 

 

 

 




綾辻さん好きです(・ω・)

リメイク予定ですがこっちの更新も必要?

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