プリンセスコネクト!! 〜NEW WORLD〜   作:真ん中

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無印の頃からリンちゃん推しです


第二幕 −牧場−エリザベスパークにて

「届けに来たぞ〜」

「おうおう、ようやく来たんだね〜、さぁさぁ、中に入っておくれよ〜」

 

俺は今エリザベスパークに来ている、目の前には自分の部屋でグータラと寝そべったリスのビースト少女のリンちゃんの姿があった。

 

このリンちゃんに荷物を届けるバイトを2日前からはじめている。

 

エリザベスパークの人達と出会ったのは3日前、ミソギちゃんの落とし穴に薬物取引をしようとしていた男達が引っかかったあの日だ。

 

 

その翌日、お礼をしようと思い俺はランドソルでお礼の品を選んでいた、その道中でエリザベスパークに荷物届けをする依頼を街中で突然頼まれた

 

行く予定もあったから丁度良かった為、俺は引き受けてエリザベスパークへと向かった。

 

ランドソルから歩いて1時間、全速力で向かえば20分程かかる道のり

 

手荷物程度なので軽く走りながら向かう、山の頂上にあるという事で俺は酸素が薄くなっていく事を警戒していたがそんな事はなくむしろ喉に優しいというか、心地の良い空気が流れてくる

 

整地された道を進み、パーク付近に近づくと、白い柵が並べられ草原が広がっているのが見える、中にはチラチラと牛や羊などの動物が見え始める

 

頂上に近づくと更に動物の数が増える、大規模な畑も見え始め、そろそろ着く頃だな

 

「あら?珍しい〜ここにシオリちゃんとか以外の人が来るなんて」

「ん?」

 

俺の目の前にいたのは……鎧を着た…アルパカ…?耳元に赤いリボンもつけてる

 

「…君が…俺に話しかけてきたの?」

「ええ!?私を見ても驚かないの!?大概の人は魔物扱いして攻撃してくるのに!?」

 

…まぁいきなり目の前に喋るアルパカがいたらビックリするかもな

 

「俺の場合は…喋るぬいぐるみとか幽霊とか見てきてるから…慣れてるんだけかも」

「へぇ、貴方って不思議な子ねぇ、私はリマ、ここで一応…何だろう、警備員って感じかしら?」

「リマ…前にマヒルさんが言ってた…そっか、俺はユウキ、よろしくね、リマちゃん」

 

俺はそう言って、リマちゃんの頭を撫でてみる、おお、毛がふわふわだ

 

「ちょっとぉ、私は子供じゃないのよ?いきなりレディの頭を撫でるものじゃないわ!」

「ああ、ごめん、つい」

「まぁ、こんな格好してるから動物っぽいものね、よっと」

 

そう言うとリマちやんは二足で立ち始めた、凄いな

 

「普段は旅人さんとかがビックリしないように外にいる時は四足歩行だけど見知った人やビックリしない人にはこっちの方が楽なのよ」

「へぇ、そうなんだ」

「ユウキくんはどうしてここにきたの?」

「俺はこの荷物を届けに来たんだよ」

 

そう言って俺は手荷物を見せる

 

「そうだったの、なら案内してあげるわ、と言っても目と鼻の先にあるんだけどね」

 

そう言いながらリマちゃんに連れられて歩く、数百メートル先に小屋が見える、アレがマヒルさん達がいる場所かな?

 

「少し気になったんだけど、リマちゃんはどうして喋れるの?」

「あー、やっぱり気になっちゃう?といっても別に何かあって話せるようになったわけじゃないのよ、むしろ私は自分の事を人間だと思ってるわ」

「つまり物心ついた時には話せるように?」

「そうよ」

 

そんな事もあるんだな

 

「私見た目がこんなでさ、まぁ、話さなければ結構人気あるんだけど、一度話したりこうやって立ったりしたら化け物扱い…だからって私は私らしくいたい、人目を気にしてまで自分の個性を捨てたりしたくない」

「…そっか」

「そんな時に出会ったのがマヒルちゃん、私の事を受け入れてくれて、部屋まで提供してくれたの、すごく優しくて…」

 

そう言うリマちゃんはずっと笑顔だった

 

「その後にもシオリちゃんやリンちゃんが来て…2人とも私を受け入れてくれて…ここはとても素敵な場所よ♪」

「そうだな、確かにマヒルさんとかは凄く人柄が良さそうだ」

 

そんな会話していると小屋…というか結構大きめのウッドハウスに辿り着く、遠くから見たら小屋っぽく見えたけど

 

「ここが私達の家、エリザベスパークの中心よ、さ、中に入って入って」

 

リマちゃんの手招きに俺はウッドハウスへと入る、中はとても綺麗で広い、酪農具が綺麗に並べられている

 

「マヒルちゃーん!荷物が届いたわよ〜!」

「おっ!その声はリマリマか!?荷物かぁ!ちょっと待っててけろ!」

 

リマちゃんの声に遠くからマヒルさんの声が響く、その後直ぐにドタドタと足音を立てて急いでマヒルさんがやって来た

 

「およ?ユウキじゃねぇか、どうしたんだべ?」

「俺が荷物を持ってきたんです、あっ、あとこれ、昨日のお礼です」

 

俺はそう言って手荷物と俺がここに来る前にランドソルで買ったケーキが入った袋を手渡す

 

「なっ、お、お礼は良いって言ったじゃねぇべさ…まぁ、ふふ、ユウキは本当に律儀な奴だべさ、荷物もありがとよ」

 

そう言いながら手荷物をテーブルの上に持っていき、俺のあげた袋を広く、すると「うひょ〜ケーキだべ!!」と喜びの声が上がる、良かった気に入ってもらえて

 

「大きなケーキだべ!シオシオやリンリンにもあげねぇとな!」

「あ、なら俺呼んできますよ」

「えー、ユウキくんはお客様なんだから、マヒルちゃん、私が行ってくるわ!」

 

リマちゃんが呼びに行こうとするから俺はそれを呼び止めて

 

「いや、俺もここの人達と仲良くなりたいしさ、俺が行くよ」

「で、でも」

「はっはっは!いい心がけだべよ、リマリマ、ユウキに任せておくべ」

 

マヒルさんが俺に笑顔でウインクを飛ばしてくる、俺もそれに笑顔で答える、マヒルさんが最後にシオリちゃんとリンと呼ばれる子の居場所を教えてくれる

 

シオリちゃんはいつもロッジで本を読んでいるそうだ、俺はそこに向かうと

 

心地の良い風が吹き、耳障りの良い草木の音、小鳥のさえずり

 

そこに椅子に座り読書をしている女の子の姿があった、シオリちゃんだ

 

「おはよ、シオリちゃん」

「あ…貴方は…昨日の…」

「うん、ユウキだよ、」

「私はシオリです、ちゃんと自己紹介をしたのは初めてですね」

 

読んでいる本に付箋を貼ってテーブルの上に置き、こちらに目を合わせてくる、とても儚げな印象だ

 

肌も白くて何処と無くシノブちゃんに雰囲気が似てる気がする

 

「その本は…?」

「この地域に生息する動植物の図鑑です、私

こういった図鑑などの本が大好きで、お姉ちゃんがたまに届けてくれるんです」

「へぇ、シオリちゃん、お姉ちゃんがいるんだ」

 

結構意外な感じがする、彼女自身がしっかりしてるからかな

 

「お姉ちゃんはとっても優しくて、強くて…体の弱い私を守ってくれてるんです、だからいつか、私がお姉ちゃんの力になりたいんです」

「…そっか、うん、シオリちゃんなら多分なれるよ、きっと」

「そ、そうでしょうか」

「無責任すぎるかもしれないけど、その心を、目標を失わなければきっとなれるさ、なるまでやるんだから」

 

俺がそう言うとシオリちゃんは微笑んで頷いた、俺も笑顔になれた

 

「あっと、そうだったな、シオリちゃん、昨日のお礼にケーキ、買ってきたから良かったら食べてよ、それを言いに呼びに来たんだ」

「本当ですか?わぁ…ケーキ、好きなんです」

 

そう言うシオリちゃんに手を差し伸べて立たせてあげる

 

「それじゃあもう1人…リンちゃん?って子を連れてくるから先に食べてていいよ」

 

俺はシオリちゃんにそう告げて向かう

 

向かう場所はこの建物内にある一室、リンちゃんの部屋らしい

 

俺がノックすると中から「は〜い〜」と気だるそうな女の子の声が聞こえてくる

 

「あーえーと、マヒルさんの知り合いのユウキって者なんですけど、ケーキを買ってきたんで良かったら一緒に食べませんか?」

 

その声を聞いて中で何やら物音がしたと思ったら次の瞬間ドアが開かれる

 

「え!?なに!?ケーキ!?良いねぇ甘い物は好きなんだよね〜!」

 

現れたのはこれまた小さな子だった、マヒルさんと同じくらいだ

 

髪の毛は一見整っているように見えて跳毛が無数にあり、かなりの長髪で茶髪、赤を基調とした衣服に…短パン?種類は分からないけど薄い色をしている、あと特徴的なのは赤い帽子の両サイドに鈴がついてるってところか

 

見た目の最大の特徴はやっぱり尻尾、超でかいリスの尻尾がついてる…すっげぇ触りたい

 

「えっと…君がリンちゃん…?」

「え!?何このイケメン!?マヒルもやるねぇ、こんな男を捕まえてくるなんて、いや〜これでこの牧場も安泰、安泰」

「いや、俺はただのマヒルさんの知り合いだ、昨日マヒルさんに助けられてお礼としてケーキを買ってきたんだよ」

 

そう言うとリンちゃんはほーんと言いながら部屋から出てくる

 

「アタシはねぇ、あんぱんとどんぐりとケーキには目がないんだよ、というか甘い物だったら何でもいいかなぁって感じだよね」

「そりゃあ良かったよ、リンちゃんは部屋で何してたの?」

「へ?何してたって…ゲームだよゲーム」

 

ゲーム?…ゲームって確かマッサークも言ってたけど、なんなんだろうな

 

「…なにそれ?」

「ええ!?あんたゲーム知らないの!?今時の若者の癖に!?」

 

今時の若者はゲームを知らないといけないらしい

 

「悪い、俺記憶喪失でさ」

「記憶喪失!?へー、レアな体験する奴もいるもんだねぇ」

「ま、そのゲームとかなんとかいうの知らないけど取り敢えず行こうぜ、みんなが待ってるし」

 

俺はリンちゃんを連れて皆が待つリビングへ向かう

 

ホールケーキが綺麗にカットされており、皆リンちゃんが来るまで手をつけていなかった

 

「おー!リンリンやっと出てきたべ!」

「うー…本当はもう少しゲームやってたかったんだけど…甘い物に変えられるものはないからねぇ…」

「もう!リンちゃんったら昨日からずっとゲームじゃない!ただでさえ自警団(カォン)の仕事してないのに!!」

 

リマちゃんが告げるその言葉に俺は少し引っかかる

 

「…自警団(カォン)の仕事?リンちゃん自警団(カォン)なの?」

「う、うるさいなぁ…別にいいでしょ、ここ平和なんだし、あたしが居ようが居まいが変わらないでしょ」

「でもなぁ、リンリン、あんまり仕事しないとシオシオが可哀想だべ、体が弱いのにリンリンの代わりにパトロールしてくれてるのに」

 

そうだったのか…

 

「リンちゃんってアレなの?サボり癖があるの?」

「ユウキくん、サボり癖があるってもんじゃないわ、リンちゃんはね基本的に部屋から出ずにゲームに明け暮れる日々を送ってるのよ」

「別にいいじゃん、迷惑はかけないようにしてるし…そ、それより早く食べようよ!はい!この話はおしまい!!」

 

話を切り上げてケーキを食べ始めるリンちゃん

 

うーん、これは…如何なものか、流石に部外者の俺がとやかくいう問題じゃないだろうし…

 

「あ、そうだ、ユウキっつったよね?あんたこのあと暇?」

「えっと、確かに何かやる予定があるわけじゃないけど…」

「ならあたしがゲームを教えてあげるよ、ふっふっふ、ユウキもゲームの虜になるといいさ」

 

口元にケーキのホイップをつけながらニヤリと笑うリンちゃん

 

ゲームねぇ、どういうもんなのかすら分からないしまぁ見てみるのもいいか

 

ケーキを食べ終えた俺はリンちゃんに誘われてリンちゃんの部屋へと向かう、さっきは部屋の中を見れなかったけど…

 

「…リンちゃん、少しは片付けた方がいいよ…」

「なっ、れ、レディの部屋に向かって失礼な!これでも綺麗にした方なんだよ!」

「いや…これはクッソ汚い部類だと思う」

「言い方さぁ!?もっとオブラートに包んでよね!?これでも花も恥じらう乙女なんだよ!?」

 

ならもう少しなんとかしようよ…

 

「はぁ、とにかく、こんな部屋で何かをするなんてあり得ません、まずは掃除な」

「えー…良いじゃん掃除なんて」

「良くない、ほら軽くでも良いからやるぞ」

 

俺はリンちゃんの手を引いて掃除を開始する、すっごいごちゃごちゃしてるなぁ、寝る部分だけは綺麗だけど

 

掃除をやり始めてから30分、取り敢えずパッと見は綺麗になったと思う、本当はもっとやりたいけどリンちゃんのやる気がほぼ皆無になってるので今回はここまでにしておく

 

「はぁ〜、あんた中々やるねぇ、こんな軽い掃除でこんなに綺麗になるなんて、あんたここに住んであたしの世話係になってよ」

「それは御免だ…それで、ゲームってのは?」

「あーはいはい、これだよこれ」

 

リンちゃんが指をさしてくるのは黒く、薄い箱型の機械だった

 

「これは『プレイステージフォー』っていうゲーム機、通称『PS4(プレステフォー)』、はいこれコントローラー」

 

リンちゃんに手渡されたコントローラーと呼ばれる、なんか色々とボタンがついた物を手渡される

 

「2つあるけど…なんで?」

「…たまーにだけどリマとかシオリンが一緒にゲームやってくれるからさコントローラーも2つあるんだよねぇ…殆どやってくれないけど」

「…それで?やり方は?」

「まぁそう焦らないで、ソフトによって操作方法も若干違ってくるからさ、まずはこの…対戦ゲームをやろうじゃないか!」

 

リンちゃんは本当に楽しそうなドヤ顔でソフトを起動する

 

意外にもリンちゃんはかなり丁寧に操作を教えてくれる…失礼かもしれないが

 

余程ゲームを共にやってくれる人が欲しかったのかもしれない、リマちゃんやシオリちゃんは真面目だし、マヒルさんはこういう物には疎そうだし

 

「よぉし、基本は押さえたね?なら後は実戦あるのみ!あたしと勝負だ!」

「よし!いつでもかかってこい!」

 

と対戦ゲーム、分類は格闘ゲームというものらしいがそれをやる、キャラクターがたくさんいてその中で1番初心者でも使いやすいキャラをリンちゃんが教えてくれてそれを使う

 

まぁ、結果は

 

「よっしゃ!あたしの勝ちだね!」

「くそぉ…難しいなゲーム」

 

負けた

 

「初めてにしては上出来じゃない?そもそもあたし結構このゲームやり込んでるし」

「…いいや、負けて当然なんて思われたくないな…俺は学習能力が高いんだぜ?」

「へぇ、なら…やれるもんならやってみな!!」

 

そこから連続で戦う、負け、負け、負けの連続。でも俺は徐々に操作に慣れ始める

 

それだけじゃない、俺の能力をフル発動、リンちゃんの手元の動きを見て学ぶ

 

「よし、次なら勝てるはず」

「あれ?あたしと同じキャラでいいの?結構難しいキャラだよ?」

「同じだから良いんだよ、まぁ見てろって」

 

俺はそう言って戦う、俺もリンちゃんも真剣だ

 

「なっ!?嘘っ!?…むぅっ!」

 

リンちゃんがそんな唸り声を上げながらボタンを押している、俺もぶっちゃけ余裕はない

 

結果は

 

「くそっ…あとちょっとだったのにっ!!」

「いやぁ、本当に驚いた、あのキャラであたしがこんなに追い詰められるなんて」

 

ギリギリ敗北した。所詮はリンちゃんの真似事だ、リンちゃんの長年の経験とアドリブで切り返され最後は負けた

 

こればっかりは俺のコピー能力でも補えない、ひたすら練習、実戦あるのみだな

 

「でもユウキ凄いじゃん!初めてでちょっと練習しただけでここまで上手くなるなんて!あたし初めてだよこんな手に汗握る対戦したの!」

 

リンちゃんはここに来て初めて満面の笑みを見せる、はしゃぐ彼女はとても可愛らしい

 

「それは良かった」

「ねぇ、あんたさ、暇があるならあたしの…えーと、ゲーム仲間になってよ」

「そこは普通に友達でいいんじゃないか?」

「まぁ、別になんでも良いけどさ、ね?良いでしょ!?」

 

断る理由も無いし

 

「いいよ、暇な時はゲームしてやる」

「やった!」

「とはいえ、リンちゃんはもっと外に出た方がいい、マヒルさん達の手伝いをするべきだ」

「えーそれは…だってゲーム楽しいじゃん!」

 

それは否定しないけど…

 

「あ!そうだ!あんたさ、ここに荷物届ける仕事してるんだっけ?」

「してる訳じゃないけど…たまたま今日頼まれただけだし」

「ならあたしからも頼まれてよ!明日と明後日、あたしが欲しいものがあるんだけどランドソルの町まで降りるのめんどくさくってさぁ」

 

…それって俺をパシらせるつもりか?

 

「明日はね、限定のあんぱんが!あたしのお気に入りのパン屋で販売するんだよ!それを10個入りで買ってきて欲しいのと明後日は新しいゲームソフトの販売日なんだ!だからそれを買ってきて欲しいのさ!」

「やっぱパシらせるつもりなのね…」

「ねぇ、お金は払うから……お願い」

 

うぐっ、上目遣いで両手を合わせてお願いポーズ…リンちゃん無駄に可愛いから断りにくいなおい

 

「…今ちょっと失礼なこと考えたね」

「い、いや、そんな事は…まぁ、いいよ、午前中に届ければいいんだろ?」

「やったぁ!ありがとね!ユウキ!!頼りになるよ!」

 

これが俺が初めてエリザベスパークのみんなと出会った日

 

今から2日前の午前中の出来事だ。

 

 

そして冒頭、2日後の現在午前9時45分。昨日は言われた通りリンちゃんのお気に入りのあんぱんを届け、ゲームをしたりお喋りを楽しんだりした

 

リンちゃんと俺はなんか波長が合うのか割と話が盛り上がる、昨日もそこそこにこのパークに長居をしてしまった

 

「そういや、昨日はあんたが帰った後、何かあったみたいだねぇランドソル」

「ん?まぁな、てかリンちゃん気づいてなかったのか…」

「マヒル達がなんか騒いでたなーくらいだよ、あたしあんまり外のこと興味ないからゲームして寝てたし」

 

神経が図太いというか無関心なだけというか…リンちゃんらしいな

 

「それやり早く開けておくれよ♪新作のゲームソフトを♪♪」

「まぁ、そう焦るなって、ほらコレ」

 

俺が開封すると満面の笑みで喜ぶ

 

「ほら!ユウキ!何ボサッとしてるのさ!早く一緒にやるよ!」

 

そう言ってリンちゃんに手を引かれてリンちゃんの部屋に入る、部屋は昨日俺やマヒルさんの協力でかなり綺麗なっておりようやく女の子らしい部屋になった

 

「よいしょっと」

「…うーん、やっぱ少し邪魔だよなぁ…尻尾」

 

俺が座ると膝の上にリンちゃんが座るのが昨日からの定位置である

 

しかしリンちゃんの尻尾はリスの尻尾でデカイ、その為割とゲームをするには邪魔

 

唯一のメリットそれは

 

「そう言ってもユウキはあたしの尻尾をモフるじゃん、尻尾は本当は敏感で触らせないんだからね、あんただから特別に触らせてやってるけどさ」

「そりゃありがとう」

 

リンちゃんの尻尾はすっごいふかふかでモフモフで心地良い、リマちゃんに匹敵するモフモフ具合だ

 

「おお!流石は新作!ワクワクするねぇ!」

「グラフィックも綺麗だなぁ」

 

今回のゲームはRPGと呼ばれる分類のゲームだから1人用、リンちゃんがやっているのを俺が見ているだけだ

 

リンちゃんは俺の胸に背中を預け体重を乗せリラックスしながらゲームをする、昨日もそんな感じだった

 

「…いやぁ、改めて、あんたがここにきてくれて本当に良かったよ」

「いきなりどうした?」

「…あたしさ、ここに来てから、ううん、来る前からずっとこんな調子でさぁ、なんかやる事なす事全部面倒臭くてさ」

 

リンちゃんはボタンを押してゲームを進めながら語る

 

自警団(カォン)だって無理やり親に入れられたもんでさ、すっごい嫌だったし、面倒だったし…ここの人達はこんなあたしの性格を知ってても優しくって受け入れてくれたけどね?」

 

俺は取り敢えず黙って聞いた

 

「マヒルもリマもシオリンも…真面目だからさ、受け入れてはくれるけどあたしの遊び相手にはなってくれなくってさ、まぁあたしが真面目に働けばいいだけなんだけどね」

 

半笑いで自虐気味に言うリンちゃん

 

「…そんな中で仕事もしてるのにあたしに付き合ってくれるあんたが居てくれて本当に感謝してるよ、ありがと」

「…まさかリンちゃんからそんな言葉が聞けるとは…」

「む、あたしだって感謝くらいしてるよ、マヒル達にだって…確かに言葉や行動には出してないけどさ」

 

まだ出会って2日間くらいだけど、少しはリンちゃんの心に変化はあったのならこのゲームでの付き合いも悪くないな

 

「まぁ、だからさ、こんなあたしでもずっと友達でいてくれる?」

「んなもん当たり前だろ、満足するまで付き合ってやるさ」

「そっか、えへへ、ならよし!ゲームに集中だね!」

 

一通りゲームをやった後はリンちゃんを連れて牧場の手伝いをする

 

「えぇ〜これあたしもやらなきゃダメェ?」

「ダメ、マヒルさん達もリンちゃんにビシッと言わないとこの子動きませんよ?」

「言っとるつもりなんだべが、まだまだ足りなかったみたいだべ」

 

という訳で俺達は牛達の世話を始める、放牧してる為、遠くに行っている牛達を牛舎などに集めるのだが

 

マヒルさんから鈴をもらう、それを鳴らせば寄ってくるらしい

 

「オラの子はみんな頭さ良いべ!鈴を鳴らせばすぐに寄ってくるべよ!」

 

との事だった、俺とリンちゃんは鈴を鳴らして牛達を誘導する、本当に寄ってきて鳴らしてる間、ずっと後ろをついてくる

 

「へー、凄いな」

「疲れたよぉ、ユウキィ〜おんぶぅ」

「まだ初めて5分も経ってないよ」

 

リンちゃんを宥めつつ俺達はひたすら鈴を鳴らしながら歩く

 

「ぐへぇ、ランドソルに下りる以外でこんなに歩いたの久しぶりすぎる…気分が…」

「少しは運動しろよ、太るぞ?」

「あたしは太らない体質なのだ、だから平気なの」

「そう言ってられるのも今のうちってやつだぞ」

 

俺達はそんな会話をしながら歩き続ける、ふと後ろを見れば大量の動物達の姿、圧巻だ

 

「おー!ユウキ達!良くやったべ!後はオラに任せてけろ!」

 

マヒルさんが1匹、1匹名前を言いながら体を撫でて入れていく…凄いなこの数の動物の個々の名前を覚えてるのか

 

「あー…疲れた…もう休んで良い?」

「まぁ、そうだな、お疲れ様」

「うー…ユウキ、一緒にゴロ寝しようよ〜部屋に行こうよ〜」

「あー、悪いな俺この後予定あるし、また今度な」

 

えーケチ〜、仕事とかやめようよ〜と言ってくるが無視だ無視、俺までリンちゃんの様に怠け癖がつく訳にはいかないからな

 

こうして俺は今日はエリザベスパークを去ることになる…筈だった。

 

 

あーあ、ユウキの奴帰っちゃったし…暇だなぁ…

 

あたしは部屋に戻っていつも通りぐうたらしてる訳だけど、何だろう寂しい

 

いや、めちゃくちゃ寂しいって訳じゃないけど、マヒルやシオリンやリマもいるし…でもあいつが…ユウキがあたしの相手をしてくれている時間がすごく楽しいって、いなくなるとよく分かる

 

あいつは凄い、仕事も全力、遊びも全力、あたしを楽しませようって努力も見て取れるんだ

 

あいつとあたしは違う、根本的になにもかも、だから憧れてんのかもね

 

ふぁぁ…眠くなってきた…らしくもない事考えてないで寝よ寝よ…

 

…ん…?寝初めてまだ10分くらいだけど、なんか騒がしいな…外が…

 

何だろう、マヒルの声?…一体なにが…

 

次の瞬間、爆音が響く、何の音!?

 

何かが叩きつけられる音だ、というかこの家が揺れてる!?家に何かぶつかったの!?

 

流石のあたしもこうしてはいられない、あたしは愛用の槍を手に持って外に飛び出す

 

「マヒル!?何かあったの…っ!?」

「次の相手はお前って事でいいんだよなァ?」

 

だ、誰だこいつ…!知らない男が立っていた、そして横を見るとマヒルがうつ伏せで倒れていた、手には牧草を掻き分ける刺股?よくわかんないけどいっつも使ってるその道具を手に持っている

 

私達の木造の家の一部が陥没し破壊されている、恐らくマヒルが衝突した時に出来たものだと思う…コイツが…やったって事…!?

 

と、とにかく槍を構える、コイツ、本当に何者…!?

 

槍先が震える、いきなり現れた侵略者にあたしの頭が回らない

 

「ここにユウキって野郎が出入りしてるって聞いてよォ、来てみりゃこのガキが来てねぇだの何だの言うからヨォ…」

 

男は腰に手を当てながらニヤリと笑う

 

「1発のしてやったらのびちまって…少し退屈してたんだァ、お前は少しはやるのかァ?」

「ユウキ…あんたユウキに用があんの…?」

「まぁな、だがユウキだけじゃねェ、ユウキに関わる奴は全員、殺す」

 

コイツ…目がマジだ…や、ヤバイよ…ヤバイ奴が来ちゃったよ…!!

 

あたしが狼狽えてると男の後ろに人影が1つ

 

「…やぁ!!」

 

シオリンだ、シオリンが弓の弦を弾いて矢を放つ

 

「…ふゥん、いい攻撃だな」

 

え…?

 

よく分からなかった、これは比喩なしで

 

それは何故か、シオリンが矢を放った瞬間、奴の姿はあたしの前から消えていたから

 

「えっ…!?」

「こっちだァ、ガキィ」

「っあうっっ!?!?」

 

シオリンも驚きを隠せていなかった、奴はいつの間にかシオリンの後ろに立っていて、シオリンの脇腹に思い切り蹴りを入れる

 

シオリンは5メートル以上吹き飛ばされて草原を転がってそのまま動かなくなった

 

「シオリンっ!!?」

「やるなァ、今のガキ、蹴りの衝撃を最小限に抑えヤがった…反応が遅れていたのに大したもんだなァ」

 

シオリンは元々体が弱いんだ…例え受け身を取れたとしても今の攻撃を受けて立ち上がる事なんてできやしない

 

「リン…さ…ん…」

 

シオリン……っ!!

 

…めんどくさいだとか…退屈だとか、もうそんなの関係ない、今ここで…あたしがやるしかないんだ…!!

 

あたしは槍を構える、呼吸を整える…よし、震えが止まり始めた

 

「ほウ、やる気になったミテェだなァ」

「あたしは…腐っても自警団(カォン)の一員なんだ…!お前なんか怖くない…!!」

 

あたしが…エリザベスパークを、みんなを守るんだ…!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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