この素晴らしい世界にもナワバリを!   作:黄金の鮭

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・○○にやられた!
 自身が耐えられないほどのダメージを受けたイカは、倒したイカのインクをまき散らし、リスポーン地点に戻る。復活する場所さえあれば、水没しても射撃されても、爆裂魔法を受けても復活することが可能。



金イクラのハコビヤ

 アクセルにも冬の影響が次々と出始め、ギルドには難易度の高い危険なクエストが残り、厳しい環境も相まって討伐クエストを受ける冒険者はほぼいなかった。ベルディアの懸賞金を手に入れた

アクセルの冒険者達は、その潤沢な資金で冬を越す準備を万全にし、次の春に備えている。

 しかし、とある4人の冒険者は逆に借金を抱え、今日も借金の返済のため、パーティの実力と相談しながらクエストを探していた。とはいえ、そう簡単にクエストが見つかるはずもなく、掲示板

に張られた依頼以外にも仕事が無いか、受付に置かれた木彫りの熊にさえ相談していた。

 

「なあクマサン、シャケの他にも楽なクエストってないか?クマサンなら掲示板に載らないようなクエストも知ってるような気がするんだよな」

『ワタシを何だと思っているんだ…… 残念だけど、ここはサーモンランの受付だ。ワタシの扱う依頼は全てシャケが関わっているよ……』

「私はどんな強敵でもいいから、とにかくクエストに出発するべきだと思うのだが……」

 

 冒険者カズマの相談にクマサンが少しの間無言になると、カズマに1つの捜索の依頼を提案した。確実にシャケが関わっている内容だが、もしシャケが現場に現れても討伐する必要は無く、目

的の人物を探し出し、ギルドに連れ戻すだけのクエスト。

 

『最後に確認できた場所はこの湖だ…… 3号はオオモノを含めたシャケの群れを討伐しに行って依頼、連絡が途絶えている。彼を無事に連れ戻せたら、相応のほうしゅうを渡そう』

「ねえクマサン、3号はもう……」

 

 人聞きの悪いことを言わないで欲しい、とクマサンが強く訴える。カズマがエリスと一緒にいる所を見たと話していたため、3号はもうこの世にいないものだと思われているが、3号は現在もクエ

ストに出かけている。また連絡が途絶えたことを心配するクマサンだが、リスポーンした形跡がないため生きていると判断したのだろう。

 

『……おや?3号からの連絡だ…… カズマ君、依頼内容の変更だ。大量の金イクラをギルドに輸送してほしい。運ぶ機材はこちらで用意しよう、すぐに準備してくれたまえ』

「何だって!?……分かった。俺達は準備するから、クマサンも用意ができたら連絡してくれ」

 

 イクラコンテナを簡易的に馬車に取り付け、突貫作業だが移動できるイクラコンテナが用意された。カズマは仲間と馬車を連れ、3号が最後に連絡を残した湖へと向かった。

 

 

 

 澄んだ湖にてシャケを討伐する1匹のイカ。かつての調査を支えたヒーローシューターを手に、3号はまたもやシャケと不眠不休で戦い続けていた。他のブキとは比べ物にならない高性能なシュー

ターは、シャケとの戦いを劇的に楽にした。自分に襲い掛かるシャケを次々と討伐しているうちに金イクラが床一面に散らばった結果、金イクラを狙うタマヒロイとの戦いに変化していった。

 隙を見てクマサンに連絡を取り、大量の金イクラを何とか回収してもらうことになったが、高性能なブキでも物量には勝てず、地面の金イクラは数を少しずつ数を減らしている。

 

 数日前、クマサンからオオモノシャケの報告を受けた3号は、かつてアクアが浄化した湖に向かい、シャケの捜索を開始した。徐々に捜索範囲を広げていったが、昨晩にオオモノを含むシャケの

群れと遭遇。時間をかけ全滅させたものの、金イクラを守るべくタマヒロイを退け続けていた。

 元々はそれほど時間をかけるつもりは無かった3号だが、シャケにも引くに引けない事情があるのか、撤退する様子を見せず延々と3号に攻撃を続け、じわじわと体力と気力を奪っていた。

 しかしながらヒーローシューターを手に入れた3号にとって、普通のシャケを討伐することは造作もない。途中で火を吹くシャケやブキを奪おうとするシャケもいたが、3号のブキと魔法には敵

わず、床に落ちる金イクラが増えただけだった。

 

 これだけ大量の金イクラがあれば、大量の報酬金が貰えてもおかしくはない。現在お金に困っている冒険者はそれほどいないし、現に3号も生活には困っていない。一応クマサンが必要とするの

ではないかと守っているものの、回収する手段がなければこの努力も水の泡だ。

 

「きっ、金イクラよ!カズマ、馬車は任せるから私ちょっと回収してくるわね!」

「おい待てアクア!まだシャケが残ってるかもしれないから気をつけろよ!」

 

 クマサンへの通信が無事に届いたようで、湖に金イクラ回収部隊がやってきたようだ。クマサンにはイクラコンテナを持ってくるべきと伝えたが、きっとカズマ達は何かしらの手段で輸送してい

るはず。金イクラを持ち帰る算段が揃ったため、タマヒロイの討伐にも気合が入る。

 

 金イクラ討伐部隊の到着を待つ3号を、謎の暖かい光が包んだ。タマヒロイの相手をしているため反応はできないが、アクアが強化する魔法でも使ってくれたのかと周囲を少し見渡すと、青ざめ

た顔のアクアが立っていた。特に力が強くなったり足が速くなったり、傷が無くなったりしていないため、一体どんな呪文を唱えたのか気になるが、今はシャケの討伐を優先する3号。

 

「ちょっとカズマ!ターンアンデッドが効かないんだけどどうすればいいの!?私でも浄化できないなんてどうなってんのよ!」

「俺に分かるわけないだろ!……あれ、やっぱり3号だよな。何でこっちにいるんだ……?」

 

 3号は浄化の魔法をかけられていたようだが、3号は気にせずとにかく金イクラを集めて欲しいと伝える。めぐみんが怪訝な表情を見せ、ダクネスには剣を向けられているものの、これだけの金イ

クラは全員でも集められるか怪しい。

 

「3号の幽霊……。撃つべきでしょうか、撃たないべきでしょうか……」

「いいからめぐみんもイクラコンテナに運んでくれ!ダクネスもシャケに囲まれる3号を羨ましそうに見るなっ!」

 

 カズマの的確な指示を受け、新たに4人が金イクラの回収に加わった。3号の他にもアクアがタマヒロイの討伐に参戦し、3号をも上回るほどの速さで撃退している。これだけ倒しているのだから

少しはタマヒロイの数が減ってもおかしくないと考える3号だったが、どこから出てきているのか一向に数が減らず、倒しても倒しても金イクラに突撃し続けていた。

 アクアの働きで手が空いた3号は、クマサンにもう少し増援を頼めないか連絡すると、冒険者にシャケについての講習を開いているため難しいとのこと。残念だが、オオモノシャケが現れる可能

性のある危険度の高い場所にすぐに出発できるのは、カズマのパーティぐらいだったらしい。

 

 カズマ達の働きも相まって、金イクラをほぼ回収することに成功した3号は、馬車のイクラコンテナに合流し、5人でアクセルへ向けて足を進める。何事も無かったかのように加入した3号に対し

て物言いたげな表情を浮かべるカズマに、3号が何か自分に用事があるのか尋ねた。

 

「用事というか、どうして3号がここにいるのかと思ってさ。誰かに蘇生してもらったのか?」

「それはないんじゃないか?私もあの時雷が落ちた場所を確認したが、3号の身体どころか、持ち物1つ見つからなかった。カズマのように身体が残っていればよかったんだが……」

 

 直接スーパージャンプで帰ってきましたと言っても納得してもらえないと判断した3号は、女神エリスに頼んで帰してもらったことにして、カズマ達に伝えた。そもそもなぜあの場所から地上に

飛ぶことができるのか、3号には理由が分からないため説明できないのだ。

 

「ってことは3号は生きてるってことだな。まあ、俺は3号が死んだなんて欠片も思ってなかったけどな。良かったなめぐみん、3号は幽霊じゃないぞー」

「べ、別に怖がって爆裂魔法を撃とうとしてませんよ!?カズマだって、最初に3号を見た時結構怖がってたじゃないですか」

 

 俺はお化けだろうと何だろうと怖くないからな、と話すカズマ。この4人は相変わらず仲が良いようで、カズマがめぐみんと言い合ってはダクネスがなだめ、アクアと言い合っては今度はダクネ

スが巻き込まれていた。賑やかな帰り道を歩く3号に、クマサンからの通信が入る。

 

『やあ3号、帰ってきてくれてなによりだよ。さて、キミたちはとても多くの金イクラを集めたようだね…… ワタシとしては是非持ち帰って欲しいが、シャケもどうやらそれを許してくれないら

しい。急いで戦闘の準備をするんだ、ハコビヤが来るよ……』

 

 その通信が聞こえた時、3号の周りが少しだけ暗くなり、大きな影が覆う。カズマ達はまだ会話に夢中だが、5人の視線が上空に浮かんだ巨大な輸送船に向くことにそれほど時間はかからなかっ

た。この遠く離れた世界でシャケの最終兵器であるハコビヤが出現したということは、シャケの情勢は良くないことが分かる。この世界に残っているシャケも、残り少ないのだろう。

 

「あー、あれはなんだ?コンテナが空に浮いてるけど、俺あんなの初めて見るんだけど」

「私もさっぱり知らないし、なんでこんなことになったか分からないわ……。ってことは、3号の世界の生き物よね?ほら、早く何とかして頂戴!」

 

 3号はハコビヤの襲来を何度か経験していた。あの空に浮いた輸送船はシャケの流通を担うとても重要なもので、そのコンテナをイクラコンテナに直接取り付け、イカが回収した金イクラを取り返そうと吸引する。撃退するためにコンテナに向けて直接射撃するのが本来の攻略法だが、隣でうずうずしている爆裂魔法使いなら、イカにはできなかったことができるかもしれない。

 反射的に爆裂魔法を詠唱するめぐみんをカズマが止めようとするが、3号はハコビヤに爆裂魔法を撃つことを許可し、コンテナから降りてくるシャケがいないか監視し続ける。

 

「分かってるじゃないですか3号!最近はこんな大きなものに撃つこともありませんでしたし、遠慮なくやらせてもらいますよ……!」

 

 ハコビヤからシャケが現れる間もなく、めぐみんの爆裂魔法がコンテナに直撃し、上空からどこかも分からない部品が飛び散り、金イクラをまき散らしながら墜落していく。必死に射撃したりハ

イパープレッサーを撃ち込み撃退していた3号と比べれば、とても簡単であっけない結末だった。めぐみんも満足しながら倒れ、その場にいた全員がハコビヤの墜落を確認した。

 

「あの金イクラ、回収しないともったいないわよね……。一旦戻って、あれを回収したほうがいいんじゃないかしら?」

「確かに俺達って少しでもお金が必要だったな……。皆、それでいいよな?」

 

 3号もアクアの意見に賛成し、他のメンバーも特に異存はないようだ。進行方向をアクセルから湖に戻し、道中に落ちている金イクラを拾い集める。1つでも馬鹿にならない金額になるため、爆

裂魔法を放っためぐみん以外の全員で金イクラを捜索する。

 

 

 

 散らばった金イクラも回収し終え、3号とカズマ達はもう一度アクセルに向かっていた。全て合わせれば数百個ほどの数になる金イクラを回収したため、パーティのメンバー、特にアクアの気分

が良いようで、今夜はギルドで宴会を開くなどとカズマに約束している。

 

「いいかアクア、俺達はまず馬小屋で凍え死にそうな生活環境をまずなんとかするんだよっ!朝になったらまつ毛が凍って……。なあ、なんだか暗くないか?まだ夜になってないはずだけど」

 

 夕日を浴びながら街道に沿ってアクセルに帰っていると、再びイクラコンテナを運ぶ馬車が影に覆われてしまう。めぐみんの魔法で墜落したはずのハコビヤが、僅かなシャケコプターと共にイク

ラコンテナを襲撃していた。

 輸送船の本体は砕け、積んでいた荷物らしきものは無くなっているため、爆裂魔法の被害が無かったわけでは無く、むしろ甚大な被害を与えたといってもいいだろう。しかし、もうめぐみんの

爆裂魔法に頼ることはできないので、どうにか撃退の手段を考えなければならない。

 

 ハコビヤとはかなり距離が空いているため、モグラに撃ったように感電はしないと考えた3号は、輸送船に向けて雷撃魔法を放つ。雷撃が輸送船を直撃し、少し遅れてから周囲に雷鳴が轟く。

 爆裂魔法に匹敵するほど騒がしい呪文を2度3度と直撃させ、輸送船は再び煙を上げながら墜落した。3号はその様子を見つめ、自身が一撃で倒されたことを改めて納得する。

 

「3号はあの雷を直接受けたんだよな……。というか3号、前より魔法の威力が上がってないか?」

「今はあのハコビヤが墜落したことを喜ぶべきだろう。アクセルも見えてきたから、これ以上戦闘を長引かせれば、街に被害が出てもおかしく無かったはずだ」

 

 ダクネスにアクセルが近いと言われ、ふと3号が後ろへ振り返ると、工事中の街の外壁が見えてきた。当の本人は気付いていないが、カズマの言った通り3号の魔法の威力は見違えるほど上昇し

ている。これまでは生き物に魔法を使う際に少しためらいがあったが、モグラとの戦闘でそれも無くなり、躊躇せずに全力の魔法を放つことができるようになっていた。

 

 アクセルにあと数分でたどり着くほどの場所で、カズマから声を掛けられた。街道を歩きながらカズマの言葉に耳を傾けると、カズマが少し考えてから要件を伝える。

 

「魔法使いが3人になるけど、3号を加えて5人でパーティを組むのも悪くないと思うんだよなー。3号、食費と生活に掛かる費用は一切払うことができないし、住居も各それぞれに分かれて借金も

あるけど、元の世界に帰るまでパーティを組まないか?今なら上級職の仲間が付いてくるぞ」

 

 過去にもこの会話をしたような気がするが、1人で戦うことが厳しくなってきた今、カズマとパーティを組めばシャケとの戦いも有利に進められる。しかし、3号がこれまで一緒に行動しても

パーティに加わらなかったのは、必要のない戦いに巻き込みたくなかったからで、カズマの魔王討伐という目標を遠退けるのではと思っていた。

 これからも自分と共に行動すれば、今回のハコビヤ襲来のように危険なシャケと戦うことは確実に増えるだろう。3号はそれをカズマに伝え、本当に加わってもいいのかと尋ねた。

 

「俺は別に全く問題ないけど、多分みんなも不満に思うことは無いと思うぞ」

「私も構わないわよー。冬でもわんさか出てくるシャケの討伐が楽になりそうで嬉しいわね」

 

 3号が重く考えすぎていたのか、とても簡単に返事が返ってくる。めぐみんも馬車の上で寝転がりながら許可を出し、ダクネスも強敵に挑めることに満足しているようだった。

 

「これで戦力が増えましたね。カズマ、これからはもっと強い魔物に挑みましょう」

「な、なあ3号、一度でいいから私にインクを撃ってくれないか?できれば全身がインクまみれになるぐらいで頼む……!」

 

 ダクネスの奇妙なお願いは後で聞くとして、3号はめでたくカズマのパーティに加わった。シャケが居なくなるまでクエストに同行すると約束し、3号も積極的にサーモンランに誘うことを約束

した。一連の話が終わる頃にはアクセルの門をくぐり、馬車を連れながらギルドにてクマサンに報告しに向かう。事情を知らない街の住民は3号の存在に驚くが、気にせず3号はギルドへ歩いた。

 

 

 

『すばらしい活躍だね…… 達人とは、まさにキミたちのことを言うのだろう。さて、ほうしゅうは300万エリスだ。借金の返済や、生活に役立ててくれたまえ…… 本当に感謝しているよ』

「うおおおお!イクラを集めるだけで300万!いいか、この金は俺が管理するからな!勝手に使ったりさせないから、肝に銘じておくんだぞ!」

『では、3号も…… うん?カズマ君と合わせていいのかい?なら、さらに100万エリスだ』

 

 一度のクエストで大金を稼ぐことに成功したカズマ達は追加の報酬を受け取り、アクアがカズマの言いつけをすぐさま破り大量の料理を注文しようとした時、クマサンの声がギルドの内部に響

く。夕飯を食べに来た多数の冒険者に向けて、クエストの案内を持ちかけた。

 

『緊急だ。冒険者の諸君、最近はクエストに出発せず、身体が鈍っているんじゃないか?現在のアクセルにはハコビヤの残党が襲来している…… 討伐した者には相応のほうしゅうを与えよう』

 

 ハコビヤの残党といえば、おそらくシャケコプターのことだろう。どこからともなくシャケを生み出す発泡スチロールで出来た箱を設置し、ザコシャケを次々と呼び出す厄介者だ。そんなシャケ

が現れては街が危ないと3号が立ち上がると、クマサンの放送の続きが流れる。

 

『おっと3号、キミが戦うのは禁止だ…… これは一種の訓練のようなもの。ザコシャケ程度、今ならこの街の冒険者だけでも守れるだろう。住民や子供たちには既に連絡しているから、安心して

戦ってほしい…… それでは、頼んだよ』

 

 カズマ君もいかがかな?とクマサンに誘われ、爆裂魔法を撃っためぐみんを残し、ギルドから飛び出してしまった。同じく街の冒険者もお祭りのように騒ぎ、街に出現したシャケを討伐しに行っ

ている。一瞬で静かになったギルドに、3号とめぐみんだけが取り残された。

 

「……なんだか暇ですね。3号、なにか面白い話でもありませんか?」

 

 気の利いた話ができるほど器用ではない3号は、代わりに爆裂魔法を教えて欲しいと頼んだ。めぐみんのように毎回倒れては戦えないが、強度を落とした魔法なら覚えておいて損は無いと考え

て、軽い気持ちでめぐみんに尋ねたが、本人は大変喜んでいるように見える。

 

「分かりました!ちょっとカードを見せてください……。3号の魔力なら、炸裂魔法までならなんとかなりそうです。冒険者なのに魔力が結構伸びてますけど、本当に生命力が低いですね……」

 

 

 3号が持つ全てのスキルポイントと引き換えに、爆裂魔法の下級である炸裂魔法を覚えることができるらしい。決定打が欲しい3号にとって、覚えられるものは出来るだけ覚えておきたいと考え

ていた。さっそく炸裂魔法を習得し、爆裂魔法使いへの道を一歩歩んだところで、めぐみんは疲れが溜まっていたのか机に伏して眠ってしまった。

 

 シャケ相手に試し撃ちしたいものの、3号が討伐することは禁止されているためギルドから動くことができない。受付の周りをうろちょろと歩き回っていると、クマサンが3号に話しかけてきた。

 

『冒険者は皆成長しているんだね…… ザコシャケを怪我することなく討伐できている。あのハコビヤが現れたことを考えると、元の世界に帰る日も近いかもしれないよ……』

 

 残り少ないであろうオオモノシャケさえ全滅させれば、この街は3号がいなくても大丈夫。その言葉を聞いた3号は、ふと元の世界であるハイカラスクエアへと思いをはせるのだった。

 




・シャケコプター
 小型のシャケで、頭に被ったヘルメットに取り付けられたプロペラの力で空を飛ぶ。耐久力は低いため、駆け出しの冒険者でも簡単に討伐でき、倒すと金イクラを1つ落とす。

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