「まずは自己紹介から」
ローブを羽織った奴...もうローブといいましょうか。ローブはオホンっと一度空気を正すように咳をしたかと思うと、改めて話始めました。
「ボクは君が戦った相手を殺す為に世界をを渡り歩く存在、神狩りって言う方があってる...のかな?」
......はぁ?ですぞ。
そんな都合の良い存在が居るのですかな?
ありえない、ですぞ。
「信じてないね」
「当たり前ですぞー、そんなチート持ちの奴がいるならどうしてお義父さんを救わなかったのですかな?」
チート、と言うと、俺も充分にチートですが。
それでも奴には敵わなかったのですぞ。
......そんな奴が、何故尚文くんを救わなかった?
怒りが、ふつふつと込み上げてくる。
「あのねー...この空を見てくれない?」
ローブが俺の感情を察したかのように呟いた。
俺は、そう告げられて空を眺めます。
空には沢山浮かぶ星。
...星が、どうかしたのですかな?
「ここは次元の狭間。空に浮かんでいるのは、一つ一つか独立した世界なんだ」
ローブがそう答えます。
よーく目を、お義父さんに向けるように凝らしてみるとそれらは星ではありませんでしたぞ。
水晶玉、でしょうか。本当に星ではありませんでしたぞ。良く眺めていると、思いのほか近く見えます。
椅子とかで手を伸ばすと届きそうですな。
「どんな世界でも辿り着ける次元の狭間。見た感じは魔法の無い世界から来たっぽいから、分かりやすく言うと宇宙かな?それに近い場所。ルールなんてない世界。普通の人間じゃ迷子になること請け合いだよ」
選択肢はありますがな。
お義父さんはギャルゲーの世界のようだと呟いておりましたぞ。お義父さんは何ら代わりない普通の日本、らしいですが。
こんなに世界が浮かんでいると、何が普通でどれが異常なのか分からなくなってきますぞ。
「まぁ、どうやら君は普通の人間では無さそうだけど」
ローブが意味深に呟きました。
自覚はありますが、他人に言われると...なんだか。
「で、ボクはひと通り話したけど、君の事も話して欲しいな。じゃないと君の疑問にも答えようがない」
敵意が存在しない事はあきらかですな。
油断はしませんが、ループの事が聞けるかもしれません。仕方ないですぞ。
「むぅ...そうですな...」
少し間を置いてから話ますぞ。
「俺の名前は北村元康。お義父さんからはギャルゲーのような世界だと言われた社会の愛の狩人でありますぞ」
「愛の狩人...?ま、まぁギャルゲーって言うのはよく分からないけど...君が来た社会ってどれくらいの文明?」
どれくらいの文明かですかな?
国によって大きく技術力の差はありますし、どれくらいと呼ばれても良く分かりませんぞ。
「......?」
「わからない?これただけ様々な世界があるって事は、君の世界に繋げようとしても繋げられないんだよ...ロボットが有る世界があれば、魔法の存在する世界もある。だからどれくらいかの基準が欲しい」
唖然と当たり前の事のように重要な事が呟かれ黙り混む事しか出来ませんでした。
いったい俺の世界ってどれくらいなのでしょうか。
比較対象が少ないので悩みますぞ。
「そうだなー......傾向と対策だけでも良いから聞くね、年表いくつ?AI搭載型の自立起動ロボットは居た?情報伝達能力はどの程度?」
「年表はーー」
情報伝達能力などは分かりませんが、確か自立起動ロボットは居たと思いますぞ。
砂漠の奴ですな。あれは良い思い出ですぞー。
「......なるほど、ね。ちょこちょこ情報が一致していないのは、君が平行世界に飛んでいたからなのかな。ほら、槍の名前が変わってたりするでしょ?」
ああ、確かに。
あの約束をしてから、槍の名前が変化しましたな。
“ーー真・龍刻の長針 0/300 LR
能力解放済み・・・・・・装備ボーナス、能力『時間遡行』『選択遡行』『ランダム遡行』
専用効果 平行分岐する世界”
こんな能力と名前だったと思いますぞ。
よく分からなかったので放置していましたが。
「そう、それ。その能力で君、槍の勇者は平行世界を繋いで世界を存続させようとしていた...らしいんだけど」
「らしい......?」
焦らしてきますなこのローブ...
早く話せ!ですぞ。
「そう、らしい。実は全ての世界はいわば夢のような世界で、ただの幻想だった...って話みたいだよ?」
タイトル回収やったぜ。